役人転生〜文部科学省学園艦教育局長に転生した私はどうしたらいいのだろうか〜 作:トマホーク
『プラウダ高校のフラッグ車、行動不能!!よって大洗女子学園の勝利!!』
さて。これでみほちゃん達の決勝戦進出が決定した訳ですが。
いや〜しかし。みほちゃん達とカチューシャ君達の戦いぶりは素晴らしかったですね。
試合展開を知っている私ですら思わず息を飲む戦いでしたよ。
「……局長」
「うん?どうかしましたか、高島君?」
「どうかしましたか、じゃありません!!というか満ち満ちた顔で嬉しそうに拍手している場合じゃないんですよ!?次はもう決勝戦なんですから!!本当に後が無いんですよ!?」
「……そうですね。次は決勝戦ですね。いや〜楽しみです」
と、慌てふためく高島君をよそに。口ではお気楽な事を言いつつも実際の所はあまり安穏としていられないんですよね……。
もう少ししたら約束を反故にしないといけないという事もあって。
あぁ、気が重い。
「た、楽しみですって……あぁ、もう!!こうなったら私が動くしか……。局長!!お先に失礼します!!」
「え?た、高島君!?」
……えーと。何故だか高島君が凄い早さで先に帰ってしまいました。
というか、なんか目をギラつかせて……やる気?に満ちていましたがどうしたのでしょうかね?
まぁ、帰ってから聞けばいいですか。
――あ、そういえば……まほちゃんと一緒にしほさんがこの試合を見に来ているんでした。
カチューシャ君達の労を労いに行く前に挨拶をしに行きましょうか。
仮にも原作と同じようにプロリーグ設置委員会の委員長役をお願いしている訳ですし。
「――あんなものは邪道。決勝戦では王者の戦いを見せてやりなさい」
「西住流の名に懸けて、必ず叩き潰します」
あ、居ました。
ちょうど原作にあったしほさんとまほちゃんのやり取りが終わった所のようです。
今なら声を掛けても良さそうですね。
「先生、先生ではありませんか。お久し振りです」
「……チッ!!」
し、舌打ち!?
ただ単に声を掛けただけなのに睨まれた上に舌打ちまでされましたよ!?
何かしましたか、私!?
「せ、先生?」
「私に何かご用ですか?」
き、機嫌が悪いのでしょうかね?非常に気が立っておられるご様子。
とりあえず手短に話を終わらせて撤退しましょう。
……今まさに、にじり寄って来ているまほちゃんに捕まらないためにも。
「いえ、その……ご挨拶とプロリーグ設置委員会の件で」
「あぁ、あの件の事でしたら近日中にお返事致します」
「そうですか。では、良いお返事を心からお待ちしております。――……それにしても、あのみほちゃんがここまでやるとは思ってもみませんでしたね」
「ここまでやるとは、ですって?」
「ぁ……」
やってしまいました。ついポロリと余計な事を……。
お陰で完全にしほさんに火がついてしまっています。
それに加えて話し方が私的な時のそれになっていますし……不味いですね。
「白々しい事を言わないでちょうだい。みほが再び戦車道を始めたのは貴方の差し金でしょう。全く……余計な事をしてくれたわね。これで西住流の名に傷が付いたらどうするつもりなの?」
「な、なんの事でしょうか?私にはさっぱり」
私はみほちゃんに戦車道をやるようになんて言っていませんよ。
本当ですよ?ただみほちゃんが大洗に行けば再び戦車道をやることを知っていたので事前に環境を整えたりはしましたけど。
あとは色々な“偶然”が重なっただけなんですから。
「とぼける気?戦車道が嫌になって逃げ出したあの娘がわざわざ転校先で戦車道をするなんて誰かが裏で糸を引いていない限りありえないのよ」
「そう言われましても……」
「あくまで白を切るつもりなの?……まぁ、いいわ。貴方の事だから調べても何も出てこないでしょうし(この男は肝心な所で抜けている所があるから……そうね、蝶野一尉辺りを突っつけば何か出てきそうね)どのみち決勝戦ではまほが西住流の戦いであの子の邪道を叩き潰すのだから」
……ふーむ。実際は親バカなのに戦車道の事となると西住流の師範としての自分を出し過ぎてしまう不器用なしほさんの為に少し手を打っておきましょうかね。
「さて、それはどうでしょうか?」
「……なんですって?」
「風の噂によるとみほちゃんは大洗で得難い仲間達を得て、自らが思う戦車道を見つけようと今までになく頑張っているそうですから。――これは優しすぎるあの子の成長を妨げていた西住流という枷から解き放たれたお陰ですかね」
くそ生意気にメガネをクイッと上げてから、しほさんが絶対に食い付くような餌を垂らしましたが……食い付いてくれるかな?
「そう。西住流の枷から解き放たれたお陰……」
く、食い付きました!!けど、怖いぃ!!
怒髪天を衝く勢いで怒っているはずなのに無表情で平坦な声なのが余計に怖い!!
「それで?まさか貴方はまほとみほが戦ったら、みほが勝つとでも言うのかしら?」
「さすがに断言は出来ません。しかしながら今のあの子……いや、大洗の子達であれば勝つ可能性は十分にあります」
シリアスっぽい会話の途中に何なんですが……。
あの……まほちゃん?そんなに悲しそうな顔をされると心が痛いです(というか、いつの間にかまほちゃんに腕を握られている)
いや、私がいけないんですけれどもね。
というか可愛い姪っ子分達が戦わないといけないこの状況も結構辛い。
まぁ、原因の8割ぐらい(直接的・間接的含む)は私のせいだという。
……鬱ですよ。
「そんな大言壮語を吐くなんて後で後悔するわよ」
「さて、どうでしょうか?――何なら賭けてみますか?私が負けたならしほさんの言う事をなんでもお聞きますよ」
「そう。なんでも……ねぇ……」
し、しほさん?そんな獲物を前にした肉食獣のような笑みは浮かべちゃダメですよ?
「いいでしょう。受けて立つわ――フフフッ……楽しみね」
……あ、不味い。
この人、凄く悪い事考えてますよ!!
「その代わり、私が勝ったらしほさんは……そうですね。みほちゃんと話し合いをしてもらいますからね?あの子の言い分や気持ちを頭ごなしに否定するでなく、しっかりと受け止めながら」
「ッ!?あ、貴方ッ!!何を――」
「何ですか?まさか西住流の師範ともあろうお方が前言を撤回すると?」
「クッ、貴方……最初からそれが狙いで……」
「さて、なんのことやら」
クククッ、あのしほさんに一杯食わせてやりましたよ!!
「……まぁ、いいわ。決勝戦ではまほが勝つのだから。――せいぜい首を洗って待っていなさい!!」
……あれ?しほさんが首を洗って待っていなさい!!とか言うと私がリアルに首チョンパされる未来しか見えないんですが。
わ、私の勘違いだと思いたいです。
「まほ、帰るわよ」
「はい、お母様」
しっかりとしほさんに返事を返す割には……私の腕から手を離さないんですね、まほちゃん。
……うん?何ですか?屈め?
「私が勝ったら私の言う事も何でも聞いてもらいますからね。では」
……何でそう言うことを耳元で恥ずかしそうに囁きますかねぇ……思わずドキッとしてしまい――ヤバい……万が一原作通りに進まなかったら……人生の墓場行き?