役人転生〜文部科学省学園艦教育局長に転生した私はどうしたらいいのだろうか〜   作:トマホーク

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※高島君視点です。


察し

高島side

 

全く……私が大事な話をすると言っているのに、この3人ときたら。

 

どうして局長を追い掛けようとしたのでしょうか?

 

……まぁ、いいです。さっさと話をして私も引き上げましょう。

 

「大洗女子学園は8月31日付けで廃校が決定しました」

 

「「「「えぇっ!?」」」」

 

「なお、廃校に基づき学園艦は解体されますのでそのつもりで」

 

「そんな……戦車道大会で優勝したら廃校は免れるって……」

 

「……あれは……確約では無かったそうだ」

 

そんな恨みがましい視線をこちらに向けないで欲しいですね。

 

そもそも局長が仰ったのは『一考の余地があります』という言葉。

 

考える余地があると言っただけなのに確約だと勝手に勘違いしていたのはそちらの落ち度でしょうに。

 

最も……局長は本当に廃校を撤回するべく動いていたようですが。

 

ご自分の地位を捨てる勢いで。全く、あの方はご自分の事を省みないから困ります。

 

「なにぃ!?」

 

「存続を検討しても良いという意味で正式に取り決めた訳では無いそうだ」

 

「そんな……」

 

「それにしても急過ぎます!!」

 

「そうですぅ〜廃校にしろ、元々は3月末のはずじゃ〜」

 

「検討した結果、3月末では遅いという結論に至ったそうだ」

 

「何で繰り上がるんですかぁ〜」

 

貴女達が余計な事(優勝)をしたからですよ。

 

大人しくしていれば、最後の学校生活を楽しめたというのに。

 

「じゃあ、私達の戦いは何だったんですか?学校が無くならないために頑張ったのに……」

 

「……納得出来ーん!!我々は抵抗するぅ〜」

 

「何をする気!?」

 

「学校に立て籠るぅ〜」

 

よくもまぁ、私がいる前でそんな事を……。

 

バカなのか……肝が座っているのか……恐らくは前者ですね。

 

「残念だが、本当に廃校なんだ!!……我々が抵抗すれば、艦内にいる一般の人達の再就職は斡旋しない。全員解雇にすると言われた」

 

「……酷すぎるぅ〜……」

 

酷すぎる?雇用契約の書類に突然の解雇もあり得ると明記されているのだから、こちらに落ち度はありません。

 

……まぁ、全員解雇の話は所詮ブラフですけどね。

 

実効力を付けようとしたら局長にお叱りを受けて出来ませんでしたから。

 

「みんな静かに。今は落ち着いて指示に従ってくれ」

 

「会長は……それでいいんですか?」

 

「……」

 

この片眼鏡の子は中々、酷な事を聞きますね。

 

私がいる前で反意を翻せばどうなるか分かっていないのでしょうか?

 

しかし、この生徒会長……何かやってくれそうな気がしますね。

 

廃校完了までは警戒しておきましょう。念のため。

 

「あ、あの……戦車はどうなるんですか?」

 

「全て文部科学省学園艦教育局長の預かりとなります」

 

局長の預かりになるとは言え……戦車も早めに取り上げておきましょうか。

 

この後、回収車両の手配をすれば明日の退艦と同時に回収出来るでしょうし。

 

……いくらなんでも今夜中に戦車を持ち逃げされる事は無いと思いますから大丈夫でしょう。

 

「戦車まで取り――……戦車とまでお別れしないといけないんですか!?」

 

「そんな……」

 

「……すまない」

 

さて、事情の説明は終わりましたし局長の所へ戻りましょうか。

 

「あ、あの最後にお聞きしてもいいでしょうか?」

 

「何でしょう?」

 

この子は……確か隊長の西住という子だったはず。

 

「学園艦の管理を行っているのは学園艦教育局でしたよね?」

 

「えぇ、そうです。我々の部署が管理しています」

 

「でしたら……大洗の廃校を決めたのは学園艦教育局長さんなんですか?」

 

「それは……――」

 

……ここでそれを肯定するのは局長の想いを知っている私には厳しいですね。

 

結局の所、局長の続投を願った私と利権に目が眩んだ上層部のせいで大洗の廃校は決まったのですから。

 

しかし、ここで局長がこの子達の為に上層部の命令を無視して廃校撤回に向け裏で動いていたなどと言って、万が一それが上に伝われば……局長のお立場が危なくなる。

 

それは何としても回避せねば。ですがここで肯定して……あれだけ廃校撤回に向け行動を起こしていた局長が悪者扱いをされるのも気が引けます。

 

何と返事を返したらいいものか。

 

「………………大洗の廃校は――」

 

「あ、もう大丈夫です。分かりましたから」

 

「え?そ、そうですか?」

 

「はい。ありがとうございました」

 

返答に困っていたので助かりましたが……私の長い沈黙で何が分かったというのでしょうか?

 

うん?この子……笑ってる?この状況で何故――……いや、この子だけじゃない。

 

他の子達が廃校が決まった事で悲しんでいるのに、この3人……最初の時に局長を追い掛けようとした3人だけは小さく笑っている。

 

どういうことでしょうか?




ヤンデレは全部お見通し。
((((;゜Д゜)))

さて、伏線を張りましたが……気が付く方はいるかな?

……結果的にまた、野暮だろ。と突っ込まれそうな気もしますが
(;´д`)

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