役人転生〜文部科学省学園艦教育局長に転生した私はどうしたらいいのだろうか〜   作:トマホーク

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加速する役人の勘違い。

ダー様最高。

高島君による原作ブレイク。

そんな感じのお話。


信頼は揺らぐ事なく

あ。もう夜ですか……。

 

後ろ髪を引かれながらも高島君を残しみほちゃん達の元から撤退した後、大洗の学園艦にあるホテルに戻ってから魂が抜け落ちたみたいにボーッと外の様子を眺めていたらもうこんな時間です。

 

いい加減しっかりせねば。

 

えーと、確か……少し前に高島君がみほちゃん達に廃校になるという説明をした結果の報告に来てくれたんでしたね。

 

その報告を聞いた限りでは深刻なイレギュラーが発生していなかったようなのでいいとして。

 

……はぁ、これでみほちゃん達に嫌われてしまいました。

 

こうなる事は最初から分かっていて覚悟していたとは言え……実際に嫌われるとなるとやはり落ち込みますね……。

 

しかし、私が嫌われる事でみほちゃん達が救われるというのであれば、いくらでも嫌われてみせましょう!!

 

……と言いつつも、ショックなのはショックなのでふて寝しま――電話です。

 

うわっ……何ですか、これ。

 

知らない内にみほちゃんや麻子ちゃん、優花里ちゃん、ダージリン君、アンチョビ君、カチューシャ君、まほちゃん、蝶野一尉、他多数からの着信履歴が凄い事に……。

 

え、えーと。それでとりあえず今の電話の相手は……ダージリン君ですか。

 

恐らく大洗の廃校が決定した事を知って掛けてきた抗議の電話でしょうね。

 

はぁ……本音を言えば出たくないです。

 

だって約束を破るなんて見損なった的な事を言われるのでしょうし。

 

ですが、今現在掛かってきている電話に気が付いてしまった以上、無視する訳にもいきません。

 

「……はい、もしもし?」

 

『もしもし?良かった。ようやく繋がりましたわ』

 

「申し訳ない。少し立て込んでいまして……」

 

『大洗の廃校の件……ですわね』

 

「……えぇ」

 

やはり大洗の廃校の件での電話でしたか。

 

さぁ、残り僅かな私のHPはダージリン君の言葉の刃に耐える事が出来るのでしょうか!?

 

『心中お察し致しますわ』

 

……あ、あれ?何だか予想と違う言葉がダージリン君から出てきました。

 

私の予想だと裏切り者!!とかろくでなし!!とか見損ないましたわ!!とかの罵詈雑言が飛んでくるはずだったのですが。

 

「あ、あの……ダージリン君?君は何か勘違いしていませんか?」

 

『あら?何をでしょう』

 

「いえ、大洗の廃校を決定し実行しているのは私ですよ?みほちゃん達にその言葉を言うのなら未だしも、私に心中お察しするというのは……おかしくないですか?」

 

『フフッ……局長はずいぶんと嘘が下手なのですわね』

 

「へ?」

 

『貴方が大洗の廃校を決定し実行している……そんな訳がありませんわ』

 

「しかし、実際に……」

 

『それは表向きの事ですわよね?』

 

「……」

 

『もう一度言わさせて頂きますけれど、貴方が大洗を廃校にするなどあり得ませんわ』

 

「……何故、そう言い切れるんですか?」

 

『わたくしが知る“貴方”だからこそですわ。他の方なら分かりませんけれど……貴方が大洗を廃校にする事は絶対にあり得ません。それは自信を持って断言させて頂きますわよ』

 

「……」

 

なんか……すごく信頼されてます?私?あ、不味い。顔が熱いです。

 

『それに……これまでの局長のご活躍の事を考えれば簡単な事ですわ。戦車道を愛し学生達の為に親身になって動いて下さる局長が、このような非道な決定を下すはずがないと』

 

「……」

 

『いろいろと事情がおありだとは思いますけれど……どうか、みほさん達を助けて下さいまし。そして……あまり無茶を為さらないように。私が言いたかったのはそれだけですわ。では……ごきげんよう』

 

うーん。物の見事に裏事情を見抜かれてるみたいですね。

 

しかし……私は何て単純なんでしょう。

 

ダージリン君に応援されて、こんなにも元気が出てくるなんて。

 

「局長!!大変です!!」

 

「ど、どうしたんですか高島君!?」

 

うおっ!?ダージリン君との電話を切った瞬間、高島君が血相を変えて私の部屋に飛び込んで来ました。

 

「いいから私に付いて来て下さい!!」

 

「え!?え!?一体どこへ!?」

 

……あれよあれよという間に高島君に腕を掴まれてホテルから連れ出され、レンタカーに乗せられたのですが。

 

これからどこへ行こうというのでしょうか?

 

「高島君。一体どうしたというのですか?」

 

「私の勘が当たりました。あの生徒会長が何かやらかすのでは無いかと思って、ここら辺の無線電波を傍受していたら!!」

 

それ……犯罪じゃないんですかね?うん?聞くだけだったらセーフでしたっけ?

 

というか、何故そんなモノ(無線を傍受する機械)を高島君は持っているんですか?

 

「いたら?」

 

「サンダース大学付属高校に連絡を取っていたいたんです!!」

 

「それがどうかしたんですか?」

 

「内容までは詳しく聞き取れませんでしたが、恐らく――」

 

ん?おぉ、あの機影はC-5Mスーパーギャラクシー。

 

という事は、原作通りにケイ君が戦車を引き取りに来てくれたんですね。

 

「――戦車を持ち逃げするつもりです!!」

 

……うん?マズイ!?杏ちゃん達がケイ君に戦車を渡そうとしている事が高島君にバレてる!!

 

というか、この車の行き先って大洗女子学園ですか!?

 

え!?あの友情に満ちた感動的なシーンに乱入して阻止するつもりなんですか!?

 

イヤだぁ!!そんな事をしたらみほちゃん達にますます嫌われてしまいます!!

 

ここで下ろしてぇッ!!


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