役人転生〜文部科学省学園艦教育局長に転生した私はどうしたらいいのだろうか〜   作:トマホーク

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裏工作

さて、杏ちゃん達も帰った事ですし。

 

彼女達の為に根回しでもしますか。

 

となれば電話、電話。

 

「――もしもし?文部科学省学園艦教育局長の辻廉太と申しますが、そちらの教導団戦車教導隊に所属している蝶野亜美1等陸尉にお取り継ぎ願えませでしょうか?はい、はい、そうです。お願い致します」

 

ふぅ……いつも思う事なんですが、自分の役職名が長いと電話を掛けたり受けたりする時が大変です。

 

『もしもし?蝶野ですが』

 

「あ、お久し振りです。蝶野1尉。いきなり電話をお掛けしてすみません」

 

『いえ、構いません。それで私に何のご用でしょうか?』

 

「はい、実は蝶野1尉に折り入ってお願いがありまして」

 

『お願い……ですか?』

 

「えぇ、実は大洗女子学園において近く戦車道が復活する事になりまして……恐らくは後程大洗女子学園から戦車道の教官派遣の要請がそちらに行くと思うのですが……その際、蝶野1尉に教官をしていただけたらなと思いまして」

 

『そういう事でしたら構いませんよ。しかし……私の本職は教官ではありませんが、宜しいんですか?』

 

「えぇ、構いません。私の個人的な考えで大洗の子供達を蝶野1尉に見ていただきたいと考えているだけですので」

 

『まぁ。ずいぶんと私の事をかっていただいているようで嬉しいですわ』

 

「えぇ、それはもう。一番頼りにしていますから」

 

うーん……かっているというよりは原作のためなんですがね。

 

それは言わぬが仏でしょうか?

 

いや、まぁ……アニメだとかなりの破天荒かつ、おおざっぱキャラな彼女でしたけどアニメの公式ノベライズでだと生徒に個別指導を行っている補足描写とかがありましたし。

 

実際はしっかりしている方なので、教官としても問題は無いんですけど。

 

ふぅ……それにしても本来ならこんな風に私が根回しをしなくても杏ちゃんが蝶野1尉を教官として招くんでしょうけど、この世界……私という異物のせいかたまに原作から解離する所があるんですよね。厄介な事に。

 

だからこうして極力原作通りに進むように根回しをしておかないといけないという。

 

前世で読んでいたガルパンの二次創作の主人公達のように臨機応変に対応出来たらいいんですが、私には特別な能力とか無いですし……立場が立場なので万が一の時に表だって動けないですし。

 

『そ、そんな……一番信頼しているだなんて、ご冗談が上手なんですから。でも……冗談だとしても辻局長に言われると嬉しくて照れてしまいますわ』

 

……ぬ?

 

え、私さっき何か言いました!?

 

無意識だったんですけど!?

 

ちょ、タンマ!!何て言ったんです!?

 

「あ……えっ、その……すみません、私さっき何て――」

 

『そう言えば少し気になったのですが。辻局長は大洗の子達に指導をなさらないのですか?辻局長は西住流家元の西住かほさんから師範代の位を授けられていたはずでしたよね?』

 

チクショウ!!聞き返しそびれた!!

 

そして私の黒歴史というか思い出したくない記憶をほじくり返さないで!!

 

「い、いえ、少し訳ありで……私が指導する事は出来ないんですよ」

 

『そうなんですか……――あ、すみません。上官から呼び出しが』

 

「あ、はい」

 

またやってしまった……。

 

無意識の内に何か言ってしまう癖があるんですよね、私。

 

『先程の件は了解しましたので連絡が来次第、私が対応させて頂きます』

 

「え、えぇ。では、お願い――」

 

『あの!!それと最後に!!』

 

「はい!?な、なんでしょうか?」

 

『よろしければ今度、お食事でもご一緒にいかがですか?』

 

「……アッハイ、ゼヒトモ」

 

断れないですよね!?

 

頼みを聞いてもらっておいて、相手の頼みだけ断るとか出来ないですよね!?

 

あんな美人と2人っきりで食事とか天国を通り越して地獄だから断りたいのに!!

 

それに彼女と2人でいると不幸な事ばっかり起こるから!!

 

何故だ!!私には下心なんか無いのに!!

 

『では、また。お食事の件楽しみにしていますね』

 

……根回しだけのつもりがエライ事になってしまいました。

 

「んふふ〜♪」

 

「あれ、蝶野1尉ご機嫌ですね。何か良いことあったんですか?」

 

「んふ。えぇ、私のアタックを避けまくっていた的(男)を、ようやく撃破までもっていけそうなの」

 

「あぁ、例の……少し前から撃破率が120パーセントじゃなくなったって嘆いていましたよね」

 

「そう。だからもう逃がすつもりは無いわ。必ず撃破してやるんだから」

 

「アハハッ、手加減してあげてくださいね」

 

「もちろん(全力で行くわ)よ」




主人公、逃げてぇえぇぇぇ!!

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