役人転生〜文部科学省学園艦教育局長に転生した私はどうしたらいいのだろうか〜   作:トマホーク

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ようやく……試合“当日”です。
(;´д`)

PS,試験的にタイトルをちょっと弄りました。


命日

……うん。戦車道日和の実にいい朝です。

 

さて、いよいよ運命の日がやって来た訳ですが。

 

長きに渡る私の使命も今日を持って終わりになるかと思うと……中々に感慨深いモノがありますね。

 

いやぁ〜しかし……長かった。

 

これまで本当に……本当に色々な事がありました。良いも悪いも含めて。

 

……あれ?何だかもうこれまでの出来事が走馬灯のように脳裏を駆け巡っているんですが……。

 

いやいや、ちょっと早いです。

 

走馬灯が駆け巡るのは全てが無事に終わってからでないと。

 

今ここで気を抜いたが為に最後の最後で全部オシャカみたいな展開になったら洒落にならないですし。

 

最後の一瞬まで気を引き締めておかないといけません。

 

それに……学園艦教育局長としても最後の日ですからね。ビシッと決めなければ。

 

さて……ふむふむ。ダージリン君達は順調にこちらへ向かって移動中と。

 

目下、問題は起きていませんね。

 

では……とりあえず食堂に行って朝食を食べましょう。

 

「……あ、局長。おはようございます」

 

「おはようございます」

 

あれ?食堂に来たらちょうど高島君と一緒になったのですが。

 

高島君、やけに眠そうですね。目の下にクマも出来ていますし。

 

まさか……寝ていないのでしょうか?

 

「高島君、大丈夫ですか?凄く眠そうですけど」

 

「え、あ、すみません。昨日はちょっと……嫌な胸騒ぎがしたので夜通し無線や通信回線を監視していまして」

 

「……」

 

不味いです。原作通りにダージリン君(正確にはオレンジペコ君が打電)がモールス信号で各高校の戦車道チームに連絡を取ってくれていたから良かったものの……。

 

無線や通常の通信回線を使用して連絡を取っていたら、高島君の妨害があり得たかもしれないという。

 

……まぁ、仮にモールス信号を傍受されていても内容が暗号化されているので差ほど心配する必要は無かったでしょうが。

 

「このまま無事に今日の試合が終わってくれればいいのですが」

 

「そ、そうですね」

 

しかし……げに恐ろしきは高島君の執念と行動ですね。

 

ですが、それを成す根底にあるのが私の為という……。

 

全く、これ程までに慕ってもらえるとは上司冥利につきますね。

 

「そう言えばまだお聞きしていませんでしたが、本日の――この後のご予定はどうされるのですか?」

 

「予定ですか?とりあえずは……関係者の皆様や試合運営にご助力頂いている方々に挨拶を――」

 

「あ!!辻局長じゃありませんか!!お隣よろしいですか!?」

 

「え、あ、えぇ、構いませんよ。どうぞ」

 

「では、失礼しますね」

 

「……」

 

本日の試合で主審を務めて頂く蝶野一尉がホクホク顔で私の隣に座った途端……対面の席に座っている高島君が苦虫を噛み潰したような顔に。何故です?

 

「ウフフ、早起きはしてみるものですね。まさかこんな三文の徳があるなんて」

 

蝶野一尉……何か良いことでもあったんですかね?

 

あ、もしかしてプリンですか?朝食で出された北海道プリンが嬉しかったのでしょうか?

 

甘い物が好きですからね、蝶野一尉は。まぁ、お酒の方がもっと好きみたいですけど。

 

「……局長。先の続きをお願いします」

 

うっ。機嫌良さげな蝶野一尉と対照的に高島君の機嫌が悪くなっています……。

 

うーん。寝不足のせいもあるんでしょうが。

 

最大の理由は……やっぱり蝶野一尉なんでしょうね。

 

高島君はどうも蝶野一尉とウマが合わないみたいですから。

 

ウチの部署に居る噂好きの娘によると、2人には互いに譲れない何かがあって、それがお互いの関係を悪くしていると言っていましたが。

 

この2人がそこまで固執するモノとは一体何なんでしょうか?

 

「あぁ、すみません。とりあえず試合が始まる昼過ぎまでは挨拶周りをするつもりです」

 

「畏まりました。では、私もお供させて――」

 

「それでしたら辻局長。この後、私達の宿舎へいらして下さませんか?本試合の戦車回収班のサポートとして来ている施設中隊に随行している蝶野一佐が、是非とも辻局長にお会いしたいと仰っていましたから♪」

 

うん。色々と言いたい事がありますけど。

 

まず……蝶野一佐って、蝶野一尉のお父さんですよね?強面で有名な。

 

何で蝶野一尉のお父さんが面識の無い私と会いたがるんですか?

 

……あれ、変ですね。何か背筋が凍り始めたんですけど。

 

「ッ!?……ちょっと良いですか?今は私と局長が喋っているんです。貴女は後にしてくれませんか?」

 

「あら、失礼しました。副局長さんが居ることに気が付きませんでしたので」

 

何か……2人の間にバチバチと火花が散っている気が。

 

私の気のせい……ではないですよね?

 

それに何だか凄く重苦しい雰囲気が漂い出したんですが。

 

って、皆さん!?一斉に席を立って私達から離れないで!!

 

まだ食べ終わっていない人もいるでしょう!!

 

というか、私も連れていってお願い!!

 

あ、児玉理事長!!ちょうど良いところに――って、ちょっと!?

 

目を逸らして知らん顔しないで下さい!!今、目が合ったでしょうに!!

 

ほら、諦めてこっちに来て――おいぃいい!!愛想笑いして逃げないでぇええー!!

 

だ、誰か!!誰か私を助けて!!


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