役人転生〜文部科学省学園艦教育局長に転生した私はどうしたらいいのだろうか〜   作:トマホーク

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今回はちょっと話の流れが駆け足気味です(;´д`)



黒幕

さて。みんな居なくなりましたし、私もそろそろ審判部本部に行きましょうか。

 

……しかし自分で仕組んでおいてなんですが、試合を見に来る方がすごく多いですね。って、あの人は!?

 

「せ、先生!?いらしていたんですか!?」

 

「あら、見つかってしまったわ」

 

何故ここにかほさんがお越しになっているんですか!?

 

来るなんて一言も聞いて無いですよ!?

 

「申し訳ありません!!まさかお越しになられるとは思いもよりませんでしたので、お迎えもお出迎えも出来ず大変失礼を致しました」

 

「いいのよ、今回はお忍びで来ているのだし。気にしないでちょうだい」

 

「は、はぁ……」

 

お忍び……ですか?それはそれで困るのですが。

 

それに気にするなと言われても無理です。

 

「あ、そうそう。貴方にはお礼を言わなくちゃね」

 

「は、お礼と言いますと?」

 

「フフフッ、私の願いを叶えてくれたじゃないの」

 

「いえ、その件でしたらお礼などと恐れ多い」

 

「そう言う訳にもいかないわ。往年の賑わいを失い徐々に衰退の道を歩んでいた戦車道を盛り上げる。そんな無理難題な私の願いを貴方はしっかり叶えてくれたんだもの。中立高校の戦車道連盟加盟や各高校で戦車道を授業や部活動として再び取り入れようとしている動きは貴方のお陰。それに今回の試合だってそうよ。廃校という切っ掛けがあったにしろ、こんなに心沸き踊る試合を開催してくれるなんて」

 

いや、まぁ……結果として盛り上がっては来ていますが、それは廃校を回避するべくみほちゃん達が必死に頑張って戦車道大会で優勝した事に起因するものでありまして。

 

仮に私の成果だったとしても、この現状は私の目的を達成する為の副次的産物で、お礼を言われるような事では無いのですよ。

 

……それにしても、さすが生粋の戦車道マニア。

 

家元の座をしほさんに譲って隠居された今も試合狂(バトルジャンキー)な性格は相変わらずのようで。

 

一応……貴女のお孫さんの窮地なんですがね。それでもやっぱり戦車道第一ですか。

 

いい意味でも悪い意味でも、かほさんらしいと言えばかほさんらしいですけど。

 

「しかしながら、先生の多大なるご支援がなければそれらも叶いませんでしたし」

 

私がこれまで色々と動けた背景にはかほさんの存在が大きいですからね。あと資金援助等々。

 

「はぁ……貴方はいつまで経っても自分の自己評価が低いままね。謙遜も良いけれど、度が過ぎると嫌味になってしまうわよ」

 

「はぁ」

 

謙遜と言われましても……事実を言っているだけなんですけど。

 

「所で……話は変わるのだけど。どっちを選ぶか決めたの?」

 

「選ぶ……ですか?」

 

何の事でしょうか?

 

「えぇ、そうよ。まほとみほ。どちらを嫁にするのか。まぁ、嫁と言っても貴方に西住家へ婿入りしてもらう事になるのだけれど」

 

「……」

 

え?ちょっと待って下さい。まほちゃんとみほちゃんのどちらを嫁にするのか。とか聞こえたんですけど?

 

私の聞き間違いですよね?

 

「ちょっと、私の話を聞いているの?まほとみほのどちらと結婚するのかと聞いているのだけど」

 

 

聞き間違いじゃなかった……だと。

 

「いやいやいや……先生、それは――」

 

「待った。いくら貴方でもこの期に及んではぐらかすのはナシよ。まほはちゃんとした形で好意を伝えているのだし。みほだってあの約束の事があるでしょう」

 

うっ!?……それを言われてしまうとぐぅの音も出ません。

 

しかし、かほさん。その凄く愉しそうな顔は何なんですか?

 

何か……私が困っているのを見て楽しんでません?

 

「そ、それはそうですが……。まほちゃんは別としても、みほちゃんとの約束は彼女が幼い時に交わしたものですし、それに何より今回の一件で私はみほちゃんに嫌われてしまっていますから」

 

「……。(とんでもない勘違いをしているわね。というか、みほに今回の事を隠し通せている思っていたなんて)言い訳は結構。で、まほとみほのどちらを選ぶの」

 

今度は心底呆れた顔をされていますが……どうしたんでしょう?

 

「前向きに検討させて頂き、可及的速やかに結論をお出し出来ますよう善処致します」

 

可及的速やかに……いつとは言ってないですからね、これでしばらく時間が稼げます。

 

「またそうやってうやむやにする。そうだ、決められないのなら2人共でもいいわよ」

 

「ふぁ!?」

 

何を言っているんですか、この人は!?

 

「あ、それともなに。他に好きな人がいるのかしら?貴方の周りには魅力的な娘がたくさん集まっているから、例えそうだったとしてもしょうがないけれど」

 

確かに、魅力的な人が多いというのは事実ですね。

 

しかし……その魅力的な人の多くが手を出したらアウト!!な人物なんですがそれは。

 

「い、いえ、そう言う訳でも……」

 

「そうなの?まぁ、何はともあれこの試合が終わったら貴方は暇になるでしょう?その辺りでハッキリしてもらうわよ」

 

「……バレていましたか」

 

ご慧眼、お見逸れ致しました。かほさんにはやはり敵いませんね。

 

「逆に私にバレていないとでも?あれだけやってれば嫌でも気付くわ。全く、自分の首で事を収めようだなんて」

 

「しかし、事を上手く収めるにはこれが――」

 

「例えそれが一番上手く事を収める方法でも貴方が割を食っていたら元も子もないでしょうに。貴方は本っっ当にウチの孫や学生達に甘いんだから」

 

そう言われましても……確実で安全な方法があるなら誰でもそれを選びませんかね?

 

ま、それはさておき。私が割を食って事が収まるなら安いものです。

 

「大事なのは未来ある学生の前途を守る事ですから、私の事はいいんです。どうとでもなりますから」

 

「貴方らしいわね。――あらいけない。もうすぐ試合ね、早く行かないと席が無くなっちゃうわ」

 

「それでしたら、関係者用の観覧席をご用意させて頂きますが」

 

「結構よ。貴方は試合後の自分の心配でもしてなさい。じゃあね」

 

……まるで嵐のように過ぎ去っていきましたね。はぁーやれやれ。




次回、ようやく試合開始(意味深)の予定

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