役人転生〜文部科学省学園艦教育局長に転生した私はどうしたらいいのだろうか〜   作:トマホーク

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ちょっとやっつけ気味で書き上げた69話が案の定不評だったので、これは不味いと訂正に勤しんでいたら……。

ドツボにハマって話の進め方が分からなくなり、更新が空いてしまいました(爆)

今年中には完結させたかったなぁ……。

ちなみに本話はいつもの倍――量的には2話分あります。


勅命

さて。それではしほさん達の所へ――っと、その前に。

 

これまで色々とお世話になった蝶野一尉と児玉理事長にもお礼を言わなければ。

 

「ゴホン。……蝶野一尉、児玉理事長。長い間お世話になりました」

 

「いえ、そんな。お世話だなんて大袈裟な……でも、辻局長のお役に立てていたと言って頂けるなら光栄ですわ」

 

「いやいや。ワシの方こそ辻君の世話になっていたよ。しかし、辻君が居なくなってしまうとなると寂しくなるなぁ」

 

「……本当に……」

 

「ハハハッ、お二人にそう言って頂けると今まで頑張ってきた甲斐がありましたよ」

 

何か……蝶野一尉がしょんぼりしているんですけど、どうしたんでしょう?

 

「あぁ、そうだ。辻君。もしよかったら今度、君の慰労会を開いて――」

 

「是非ともそうしましょう!!あ、私ちょうどいいお店を知っていますから手配しておきますね!!」

 

あれ?急に元気になりました。

 

蝶野一尉に一体何が起きて……うん?酔わせて、上の階、介抱、事実とかブツブツと呟いておられますが……何の事でしょうか?

 

「局長。後の事がありますから、そろそろ文科省へ戻りませんと」

 

いや、あの、高島君?

 

突然グイグイと私の腕を引っ張ってどうしたんです?

 

まるでこの場から早く離れたがっているみたいですけど。

 

「えぇ、それはそうなのですが……私はご迷惑をお掛けしてしまった西住流家元と島田流家元にお話があるので後から行きますね。高島君は先に戻っていて下さい」

 

「……分かりました」

 

そんなに心配そうな顔をしなくても大丈夫ですよ、高島君。

 

何も取って食われたりする訳では無いのですから。

 

……多分。

 

しかし、それはそうとあのお二人は何処に居られるんでしょうか?

 

原作では観客席に居たようですけど。

 

「あの辻局長。家元達の元へ行かれるのであればそこまでご案内させて頂きますが」

 

蝶野一尉から何とも有難いご提案が。

 

ここはお願いしましょうか。

 

……しかし、高島君は何で蝶野一尉を睨んでいるんです?

 

「では……お願い出来ますか?蝶野一尉」

 

「はい。こちらです」

 

さてさて、しほさんと千代さんは私がクビになったと知ったらどんな反応をするんでしょうかね。

 

ちょっと楽しみです。

 

「――おや?」

 

「噂をすれば……」

 

「あ、これはこれはご無沙汰しております」

 

案内役を務めてくれている蝶野一尉と雑談しながらしほさんと千代さんの元へ向かっていた所、常夫とかほさんの旦那さんである西住栄治さんと遭遇しました。

 

観客席近くのこんな所で2人は何を喋っていたんでしょうか?

 

「常夫君から色々聞いたよ。君も大変だな」

 

あぁ、話の種は私の裏事情だったようですね。

 

「いえ、これは私の役目ですから」

 

「そうか、もう覚悟を決めているのか。……これから大変だとは思うが頑張りなさい」

 

「? はい。ありがとうございます」

 

……何だか私と栄治さんの会話が噛み合っていないような。

 

気のせいでしょうか?

 

「僕としては甚だ不本意で大変複雑な心境ではあるが、そこまでの覚悟を決めたのならもう何も言うまい……頑張れよ」

 

うん?常夫の言葉も何だか違和感がありますね。

 

「西住の女は1度喰らい付いたら離れないからなぁ」

 

「えぇ、何があろうとも。それにこいつの場合は2倍ですから」

 

「え?……あ、あの、お二人は何の話を?」

 

喰らい付いたらって、それに2倍って何です?

 

「……想像を絶するな」

 

「ちなみにこいつは他の子達にも無自覚で粉をかけてたりします」

 

「それは……可哀想に」

 

「あの、私の話を……」

 

いや、だから粉をかけてたりとかって何の話なんですか!?

 

そんな風に憐憫に満ちた視線を送られても何の事か分からないんですけど。

 

「まぁ、とにかく頑張れよ」

 

「我々は見ている事しか出来んからな。ではまた」

 

え、ちょ……行ってしまわれた。

 

結局、常夫と栄治さんは何の事を言っていたんでしょうかね?

 

「辻局長?」

 

「え、あぁ、すみません。行きましょうか」

 

謎だけが残ってしまいましたが、とりあえずしほさんと千代さんの元へ行きましょう。

 

「次からは蟠りの無い試合をさせて頂きたいですね」

 

「全く」

 

うっ。蟠りの有る試合をさせてしまった身としては凄く声が掛けづらいタイミングでお二人の元へやって来てしまいました。

 

しかし、ここで逃げる訳にはいきません。

 

「えー……ゴホン。この度は先生方に大変ご迷惑をお掛け致しまして誠に申し訳ありませんでした!!」

 

「あらあら。こちらへいらしていたんですか辻局長?今のは言葉の綾ですからお気になさらないで下さいね?」

 

「頭を上げて頂戴。もう終わった事をどうこう言うつもりは無いわ」

 

「ありがとうございます」

 

ふぅ……お優しいお二人で良かったです。

 

「それよりも……みほ達が勝ったのだし今度こそ廃校は撤回されるんでしょうね?」

 

「それは勿論です」

 

そのために今まで幾多の根回しと準備を行い、裏で動いていたんですから。

 

「そう」

 

「フフッ、良かったわね。しほちゃん」

 

「しほちゃんは止めなさい。もうちゃん付けするような歳では無いのだから」

 

「フフフッ」

 

お二人は相変わらず仲が良いですねぇ……。

 

まぁ、戦車道が絡むと家の事もあって殺伐とした関係になったりもしますけど。

 

「……ところで廃校の撤回が決まった事でプロリーグの設置や世界大会誘致への影響は大丈夫なのかしら?」

 

「あぁ、それに関しましては既に手を打ってありますから大丈夫です。それに万が一問題があったとしても私の後を引き継ぐ高島君がしっかりやってくれますからご安心を」

 

「後を……引き継ぐ?」

 

「えぇ、今回の件で私はクビになりましたので。所謂トカゲの尻尾切りというヤツです」

 

「……」

 

「まぁ……それは……」

 

いや、しほさん?そんな底抜けのバカを見るような目で私を見ないで頂けますか?

 

そして千代さんは何かを企むのを止めて下さい。

 

「はぁ……ここまでバカだったとは」

 

あ、普通にバカって言われました。

 

「アハハッ。耳が痛い限りです。しかし……以前にも言わせて頂きましたが、この一件は大人が始めた問題です。大人が責任をもって収めるべきだとは思いませんか?」

 

「責任って、貴方……まさか最初からそのつもりで!?」

 

「はて、何の事でしょうか?」

 

「……もう呆れて言葉も無いわ」

 

「フフッ、何とも辻局長らしいじゃないですか。私は好きですよ」

 

まぁ、もっと上手くやればクビの回避は出来たでしょうけど……。

 

最大限にイレギュラーを排除し、今後の布石を磐石なモノとするには今の形での幕引きが一番いいですからね。

 

「それで?貴方はこれからどうするつもりなの」

 

あ、そう言えば終わった後の事を考えていませんでしたね。

 

はて……どうしましょう?

 

幸いにして残りの人生を細々と送るぐらいの貯蓄がありますし、ちょっとばかり早い隠居生活でもいいのですが。

 

しかし、この歳で今後働かないというのもアレですね。

 

うーん。そうなると……教員免許がありますし、どこかで教師でもやりましょうかね。

 

いや、常夫みたいに整備士という選択肢も……戦車道のパーツショップを開くのもありですね。

 

あぁ、でも……働くにしろ働かないにしろ、その前に旅行とか行きたいです。

 

「そうですね……とりあえず旅行――」

 

「何をバカな事を言っているの。貴方にはこれからやる事があるでしょう」

 

ファ!?かほさんがいきなり現れました。

 

「……お母様」

 

「ご隠居、お久し振りです」

 

「えぇ、お久し振り。それはそうと島田流家元。貴女そこに居る私のオモチャ――ゴホン。優秀な人材に色々とちょっかいを掛けているみたいね」

 

今、確実に私の事をオモチャって言いましたよね?

 

「あら心外ですわ。ちょっかいでは無く真剣に引き抜こうとしているだけです」

 

「……そう。まぁいいわ。それよりも貴方」

 

ギクッ。かほさんの矛先が私に……。

 

「な、何でしょう」

 

「頑張ったまほやみほに事情の説明をせず、労いの言葉も掛けずにこの場を立ち去ろうというつもりじゃあ……無いわよね?」

 

ヒィ!!バレてる!?

 

「そ、そそ、その様な事はありません!!」

 

「そう。なら貴方の口から今回の件の全容を全て説明しておきなさい。この後すぐに」

 

……えぇ、自分から全てバラせと言うんですか?

 

それはちょっと違う気が。

 

他の方が実は……みたいな感じで言うのならともかく自分から実は君達の事を裏から支援していたんですよ。と言うのはちょっと。

 

「何?これ以上、まほやみほを悲しませるつもり?というか、もう全部バレているのだから誰が言っても同じよ」

 

「いえ、滅相も――え、バレて?」

 

どういう事……です?

 

「あら?まだ隠し通せていると思っていたの?はぁ……呆れた。貴方と親しい子達はもう全員事情を理解しているわよ」

 

「……」

 

かほさんのお言葉が事実であるとすれば……今までバレないようにと最善を尽くしていた私の頑張りは一体何だったのか……。

 

「そんな顔をしてないで早く行ってきなさい。そうそうそれと……私に黙って他の流派への移籍を賭けていた件に付いて少し話があるから……状況が落ち着いたら家に来るように」

 

……あ、終わった。




さて、次回。

皆様お待ちかね、修羅場です(愉悦)

役人は果たしてどうなってしまうのでしょうか!?

お楽しみに(´∀`)ノシ


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