役人転生〜文部科学省学園艦教育局長に転生した私はどうしたらいいのだろうか〜 作:トマホーク
乙女達の秘密のお茶会 パート1
「――そうそう。そう言えば少し気になっていたのですけれど……皆さんはどうして辻局長の事を好きになったんですの?何か特別な事がおありになって?」
第63回戦車道全国高校生大会が大洗女子学園の優勝という波乱に満ちた形で幕を下ろしてから少しして大洗、聖グロ、サンダース、アンツィオ、プラウダ、黒森峰といった各校の戦車道における主要人が集まったお茶会(親睦会)の最中、ダージリンの一言からそれは始まった。
「ふぇ!?」
「ダ、ダージリン!!お前はいきなり何を言い出しているんだ!!」
「ふん。また下らない事を……」
ダージリンの爆弾発言ともとれる言葉にみほがボフンと一瞬で顔を真っ赤にし、同じく顔を赤くしたアンチョビが椅子から立ち上がってダージリンに食って掛かる。
加えてまほの側に座るエリカがダージリンの突拍子も無い発言に眉をひそめていた。
「いえ、せっかくこうしてあの方と所縁の多い――有り体に言えば想いを寄せている方が多く集まっているのですから、聞いてみたくなって(最も1人の殿方を奪い合うライバル同士でもあるわけですけれど)」
「だからって、そんな急に……な、なぁ……やめておかないか?」
「私はアンチョビに賛成だ。ここで大っぴらにするような話でもないだろう」
「あら、もうあの方を想っている人の事はバレバレなのだから、よろしいのではなくて?別に隠すような事ではないですし。それに喋れと強制するつもりもありませんわ」
渋るアンチョビにまほが賛同するが、ダージリンはにこやかな笑顔で話を続ける。
「アハハハッ、面白そうじゃない!!良いわね、そういうガールズトークをするのも。私は賛成よ」
アンチョビとまほが反対意見を述べる一方でケイがダージリンに賛同したために、場の流れが一気に妖しい雰囲気を帯び始める。
「……ねぇ、ノンナ。ダージリン達は何の事を言っているの?」
「カチューシャ、貴女には早すぎる(関係ない)話ですから気にしなくていいんですよ」
「そう」
もっとも一部、色恋沙汰に疎すぎて(とある人物の教育により)場の流れを理解出来ていない者もいたが。
「では最初に言い出しっぺであるわたくしからお話しましょうか」
「おいおい、本当にするのかぁ?」
「あら、アンチョビはこういうお話はお嫌い?」
「嫌いじゃないけどさ……ま、強制じゃないならいいか」
「ゴホン。では、改めて」
ただの聞き役に徹しているだけで嵐が過ぎ去るのであれば、よしとしたアンツィオ勢。
そして、アンツィオ勢と同様にプラウダ勢や黒森峰勢は傍観者の立場を取り、大洗勢は態度を決めかね、サンダース勢のみが聖グロ勢に追随の姿勢を見せる中、親睦会からとある人物に対する想いの暴露大会へと変貌したお茶会の新たな幕が開く。