GOD EATER ~The Broker~   作:魔狼の盾

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OLDCODEXのFeed A聞きながら書いたら無双させたくなった。

※今回もグロ…と言うよりはカニバリズム描写があります。始まりと終わりに※を配置しますので苦手な方は飛ばしてください。


mission110 魔狼

 -エイジス、管制塔頂上-

 

  『グルルル…』

 

 巨体であり、胸部には人と同じくらいの大きさで剥き出しのコアが格納された狼、フェンリルは大きな唸り声を上げ、何時でも襲い掛かれるぞと言いたげにユウキを睨む。それは腹を空かせた野獣が獲物を前にしたときのようだった。

 しかしユウキは表情を変える事なく、無表情のままフェンリルを睨み返す。

 

(…ちょうどいいか)

 

 何か思い付いたユウキは順手で両手の神機を逆手に持ち変え、切っ先を床に向けて振り下ろす。

 

  『『ギンッ!!』』

 

 甲高い音と共に2つの神機が床に突き刺さる。ユウキは神機から手を放し、そのままフェンリルに向かって歩き始める。するとユウキの身体が黒い霧に包まれた。霧の中から黒い翼が生え、その時の風圧で霧を振り払うと、アラガミ化したユウキが細く縦に割れた瞳孔で鋭い眼光をフェンリルに向け、数秒程両者は睨み合っていた。

 本来なら操る筈だったアーサソールは既にいない。制御する者がいない、本能のまま暴走するフェンリルが待ちに待った餌を目の前に先制攻撃に振り上げた左の前足を全力で振り下ろす。

 

  『ガァンッ!!』

 

 敵を踏み潰そうと勢いよく叩き付け、辺りに爆音が響き渡る。仕留めた。そう確信したのか、フェンリルは舌なめずりをしたが、ふと横を見るといつの間にかユウキは大きく左側へと移動していて避けていた。

 

(遅せぇ…)

 

 ユウキの目から見ても先の一撃を避けるのは非常に簡単だった。この一撃を実際に見たユウキはあまりにも大振りな癖に遅い攻撃に心の内で落胆していると、今度は右の前足を叩き付ける。

 

  『ガァンッ!!』

 

 今度は確実に手応えがあった。しかしフェンリルの右前足の下には特に力を入れた様子もなく、右手だけで軽く受け止めていた。

 

(弱い…)

 

 今度は敢えて攻撃を受け止めてみたが、想像以上に軽い攻撃だった事でフェンリルに抱いていた心情が落胆から失望に変わった。フェンリルの足に爪を突き立てながらもしっかりと掴む。突然鋭い痛みが走った事でフェンリルは足を退かそうとするが全く動かなかった。そしてユウキはそのまま右腕を外に大きく振ると、フェンリルの右前足を軽々と引きちぎった。

 

(脆い…)

 

 血を吹き出しながら痛がりその場に倒れるフェンリルと、引きちぎった足を横目で見るユウキ…この現状からフェンリルの細胞結合もさして強くないと分かりユウキは幻滅した。

 

(…こんなもんかよ…)

 

 目の前にいる究極のアラガミが想像以上に不甲斐なくて怒りさえ覚えてきた。

 

(…実の兄を贄にして作ったのが…こんな『出来損ない』とはな…)

 

 ガーランドが実兄のヨハネスの意思を宿したコアを消滅させてまで作り出した究極のアラガミ…本人も自信ありげに大々的に吹いて回っていた事もあり、もっと強敵になるかと思えば実際はデカくて威圧感があるだけの木偶の坊だった。想像していた強さからは程遠く、何だか真面目に戦うのがバカらしく思たユウキは早々に決着を着ける事にした。

 

  『ボゴッ!!』

 

 倒れたフェンリルの顎を蹴り上げると、大きく身体を反らして頭を上に向ける。するといつの間にかフェンリルの上にユウキが移動し、左手を鼻先に添えていた。

 ユウキは床に向かって急加速し、少し移動しただけで止まる。その途中で左手を振りかぶり、加速とアラガミ化した腕力でフェンリルの頭を地面に叩きつけた。そして次の瞬間には再度加速して、フェンリルの鼻梁辺りを底掌で叩き付ける。そして着地と同時に右手の爪で床を切り裂きながら下から掬い上げる軌道でフェンリルの顎を底掌で捉える。再びフェンリルは身体を反らして頭を上に向ける。その間にユウキは飛び上がり、フェンリルの喉元を蹴る。するとその巨体が蹴り飛ばされて柱に背中からぶつかり、ぐったりと倒れた。

 

「…?」

 

 しかし気が付くと引きちぎった前足が霧散し、周囲に黒い霧が立ち込めていた。その霧が流動し始めると、失った前足のところに集まってきた。すると前足が急速に再生した。

 

『ゴァァァォォォオオオオオ!!』

 

 失った部位が再生し、フェンリルが万全の状態になると即座に空中に浮いているユウキへと襲いかかる。フェンリルが大口を開けて吠えながらユウキの元に一気に詰め寄り、ユウキを喰おうと口を閉じる。

 

  『ガチンッ!!』

 

 金属が噛み合うような音が響いたが、ユウキは後ろに下がって簡単に躱された。追撃に右の前足を上から振り下ろすが、これも上に飛び上がって蛇のような小回りの効いた軌道で躱し、上昇をやめたユウキがフェンリルを見下す。フェンリルが恨めしげにユウキを睨む中、ユウキはゆっくりと右の人差し指でフェンリルを指差す。

 

  『バンッ!!』

 

 破裂音と共に爪の背から狙撃弾が発射され、フェンリルの左目を貫いた。

 

『オォォォオオ?!』

 

 悲鳴にも聞こえる雄叫びをあげてフェンリルは仰け反る。しかしその間もユウキはゆっくりと手を下ろすだけで特に追撃する様子はない。

 

『アァァァォォォオオオオオ!!』

 

 そして遂にキレたフェンリルが遠吠えと共に目元と鼻から炎を噴き出してきた。

 

(…活性化したか)

 

 フェンリルの様子が変わった事で活性化したと判断したがユウキは特に何かする訳でもなく、フェンリルを見下しているだけだった。

 

『グオオオオオァァァォォォ!!』

 

 左目が復活し、大口を開けたフェンリルが雄叫びと共に飛びかかり、ユウキを喰おうと口を閉じる。対してユウキは右に避けると、間髪いれずに左の前足からパンチが飛んできた。

 

(…)

 

 ユウキは回避が間に合わなかったのか、もろに食らって下ろされながら後ろにふっ飛んだ。何度かバウンドして転がりながら高速で管制塔の外に投げ出された。

 外に出た後、ユウキは空中で体勢を整えて制止する。しかしユウキ本人は硬質化している両手の爪で防御していたため、ノーダメージだった。

 だが隙が出来た事を好機と見たフェンリルは口から炎を吐いてきた。ユウキは右に飛んで避けたが、フェンリルは炎を吐いたまま左を向いてユウキを追う。追い付いてきた炎をバク転の様な動きで上から飛び越え、炎の反対側に飛び移る。そして今度は左に飛んだが再度フェンリルの炎がユウキを追いかける。

 

(…)

 

 ユウキは左手に小さいオラクル弾を作ると、迫ってくる炎を下に避けながら左手を突き出してオラクル弾を発射する。弾は炎の影に隠れて、吸い込まれる様にフェンリルの顎へと向かっていく。

 

  『バァンッ!!』

 

 顎の下で爆発が起きて、フェンリルは思わず口を閉じて炎を遮ってしまった。しかしユウキはその間も動く事はなく、ただただフェンリルを眺めているだけだった。

 その間に体勢を立て直したフェンリルが再度炎を吐く。対してユウキは炎を切る様な動作で右手の爪で軽く振ると、かまいたちが発生し、そのときの風圧で炎がかき消された。さらにかまいたちはそのままフェンリルに直撃し、ダメージは与えられなかったものの怯ませる事は出来た。その結果、フェンリルは炎を吐くのを止められて隙だらけとなった。

 

(…)

 

 その隙にユウキは距離を詰め、フェンリルに向かって右爪を振り上げる。しかしそれよりも先にフェンリルが口を開けて前に出てきた。ユウキは上に軌道を変えながら右爪で鼻先を捉え、そこを軸にフェンリルの上をまっすぐ背中に向かって跳ぶ。そしてフェンリルの背中の上に来ると右の爪で切りつつ身体を寝かせて回転させる。その後左の爪で切り付けてつつ体勢を直し、フェンリルの背中に着地すると、その時の勢いを殺す事なくスライドして、両足の爪で背中を引き裂いていく。

 

『グォォォオ?!』

 

 まさかのカウンターにフェンリルは悲鳴にも聞こえる声を上げる。だがユウキの追撃は終わらない。背中から降りるついでに尻尾を真ん中辺りから切り落としてから床に着地する。

 その後すぐに反転し、低空飛行しながらまずは左の後ろ足に外から切りかかる。次は右の前足へと内側から切り付ける。そして左前足、続いて右の後ろ足と次々と切りかかる。そして少しずつ上に上がり、四方八方から次々と切り付けていく。胴体が邪魔になると上へ下へとなぞる様に傷を付けながら、ひたすらフェンリルの表面を切り付け、時には底掌で殴る、膝蹴りを浴びせて体勢を崩させるが、頭やコアには切りかかる事はなく足や胴体へ執拗に攻撃を加えていく。

 

『オォォォォォォオオオオオ!!』

 

 しかし、突然遠吠えと共にフェンリルの周囲から大きな火柱が上がる。ユウキは後ろからの攻撃を中断し、反射的に後ろに下がった。そしてユウキが着地すると同時に残った尻尾に炎を纏わせて振ると、巨大な火炎弾となって飛んできた。

 

「…チッ!!」

 

 小さく舌打ちしたユウキは右手を外へと振り、爪で火炎弾を切る様にかき消した。その間にフェンリルはユウキへと飛びかかる。だが、炎に遮られた視界が開けた瞬間、既に振り替えって飛びかかってきたフェンリルがユウキのすぐ近くまで来ていた。

 ユウキは前に出て、フェンリルの下を潜って回避する。対してフェンリルは着地した前足を軸に前後反転すると、即座にユウキへと再度飛びかかる。口を開けて喰いかかるが、ユウキは後ろに軽く下がって避ける。すると今度は左前足の爪でユウキに切りかかる。それを再び後ろに下がって躱したが、今度は右の爪で追撃してくる。それも後ろへと躱し、両手を広げて反撃の体勢を取ろうとしたが、それよりも先に最後の攻撃を利用して前に出たフェンリルが先に動く。

 再度ユウキを喰らおうと口を開けて突っ込んで来きたが、ユウキは上に跳びつつフェンリルの鼻先を掴むと、腕をバネにして胴体の上まで跳び上がる。フェンリルを背中から引き裂こうと構える。

 だが先に動いたのはフェンリルだった。フェンリルは最後の攻撃の勢いをそのままに前へと走ってユウキの爪の射程から外れると、いつの間に回復した尻尾を使てユウキを地面に叩きつけた。

 高速で空中から地面に叩き落とされたが、体勢を変えてしっかりと両足で着地する。しかしその隙にフェンリルは急反転しながら炎を吐き出し、互いの視界を遮る。ユウキは左手の爪を外へと振って炎をかき消すと、すぐ目の前には大口を開けながらフェンリルが突っ込んできた。

 

  『ガチンッ!!』

 

 金属の様に硬い爪と牙がぶつかり合う甲高い音が響くと同時に、遂にユウキはつっかえ棒の様な状態でフェンリルの口の中に捕らえられた。本来なら顎による強靭な力で即座に噛み砕かれるだろうが、ユウキは両足と右腕だけで軽く支えていた。

 いつまでも噛み砕けない事に苛立ちを覚え始めたフェンリルが更に顎に力を入れるが、それでもユウキは余裕を見せていた。

 

(…)

 

 フェンリルが必死に噛み砕こうとする中、ユウキは徐に左手の爪を下に向かって振る。するとフェンリルの下顎の先が切り落とされ、ユウキはフェンリルの拘束から解放されて床に着地する。

 顎を即座に再生させたフェンリルは再び口を開けてユウキに向かってくる。だが下から右の掌底が飛んできて、フェンリルの顎は無理矢理閉ざされ、体は大きく仰け反った。その隙にユウキはフェンリルの股下を一瞬で通りすぎる。

 

  『ブシャッ!!』

 

 股下を潜るついでにフェンリルの四肢を爪で切り落とし、勢いよく血が吹き出た。すかさず飛び上がりフェンリル尻尾を掴むと、ユウキは腕力に任せてフェンリルを振り回して背中から叩き付ける。

 続いて横凪ぎに腕を振ってフェンリルを投げ飛ばすと、フェンリルは柱に激突し、そのまま床へと落ちていく…はずだったが、柱に激突した時にはユウキはフェンリルに追い付いていて、追撃に右爪を振り下ろす。爪はフェンリルの顔を引き裂き、それと同時に勢いよく床へと叩きつける。

 動けないフェンリルの頭を掴み、床に押さえ付けながらユウキは高速、かつ低く飛ぶ。顔の左下を地面に擦り付けられたまま動かされた事でフェンリルの顎と顔の左側が削れ、摩擦熱で傷跡はぐちゃぐちゃになった状態で塞がった。そしてアンダースローの要領でフェンリルを投げて背中から柱にぶつけると、一気に距離を詰めてきたユウキが腹に膝蹴りを入れる。

 

『ッ!?!!』

 

 フェンリルが声にならない痛みを覚え、両目を見開いている中、ユウキは再度フェンリルの尻尾を掴んで1度床に叩き付けた後、管制塔の外に投げ飛ばす。そしてまたいつの間にフェンリルの行き先に周り込んだユウキはフェンリルの首を掴むと同時に喉元に膝蹴りを入れ、フェンリルの動きを数秒止める。

 その後、ユウキは掴んでいたフェンリルを入れて上空へと放り投げると、両手の広げて構える。すると両手の爪から赤黒いオーラが噴き出してきた。

 

「…」

 

 放り投げたフェンリルが速度を落としてから落下し始める。そのタイミングでユウキは両手を内側に振る。

 

  『ズバァッ!!』

 

 爪から放たれた赤黒い斬撃がフェンリルの首を切り落とし、胴体は巨大なコアを残して細切れになるまでバラバラに切り刻んだ。

 

(…)

 

 残った頭とコアが落ちてくるが、頭の方には目もくれず、そのまま地上に落ちていった。しかしコアは左足で軽く蹴って管制塔へと戻していった。そのままコロコロと転がり、丁度管制塔の真ん中辺りで止まったのを確認すると、ユウキも管制塔の方へと戻って行った。

 

 

(…)

 

 戦いが終わると、ユウキの周囲には黒い霧が纏わりついた。その霧が晴れると、そこには人の姿をしたユウキが何時通り無表情で立っていた。

 

  『ギュルルルウウグクウゥゥゥ…』

 

 

 怪獣の鳴き声の様な音がユウキの腹から鳴る。それを聞いたユウキは急激にとても強烈な空腹感に襲われて思わず舌打ちする。

 

(…やはりアラガミ化するとやたらと腹が減る…)

 

 記憶を取り戻してからと言うもの、どうにもアラガミ化する度に腹が減る。ユウキは強い飢えに不快感を感じてどうしたものかと思っていると、今しがた倒したフェンリルのコアが目に映る。

 

(…ちょうどいい)

 

 ユウキはフェンリルのコアに手を伸ばし、その一部を力任せに砕いて口に運ぶ。

 

  『ガリッ!!ボキッ!!ベキバキッ!!』

 

 殻を砕く様な音と共にフェンリルのコアを喰らい始めた。あまりのんびりしているとコアが霧散してしまう。今までの喰ってきたアラガミのコアを遥かに超える硬度に苦戦しつつも、それなりに速いペースでフェンリルのコアを食べていく。

 そうしているうちにユウキはフェンリルのコアを全て喰らい尽くす。しかし、それでも飢えは満たされていないと感じていると、今度は周囲には今の戦闘で焼け焦げたり、ミンチの様に潰れたり、或いは殺害した時と変わらぬ様相の『アーサソール達の死体』が目に映った。

 まずは一番近くに居る下半身を失ったレオンの右肩に左手を置き、右腕を掴んで力任せに引っ張った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  『ベキッボキッ!!…ブチッ!!』

 

 レオンの右腕を肩から無理矢理引きちぎり骨ごと引っこ抜いた。そして指を噛み千切り、骨は噛み砕きながら喰っていく。

 腕を喰い尽くすと今度は腹の肉を毟り取って口に運ぶ。血が抜けていない為、ニチャニチャと汚い水音を発ててひたすら人肉を貪り喰う。そして腹周りの肉が少なくなり、次第に内臓が見えてきた。今度は臓物を引きずり出して一口で

喰らっていく。こうしてユウキは自らの腹が満たされるまで手当たり次第にアーサソールの死体を喰い漁り続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 -エイジス、管制塔中層-

 

 時は遡って第一部隊がユウキと別れてから少し経った頃、指示通りに管制塔内部をしらみ潰しに探していると、かなり大きな部屋を見つけた。そこには低く、小さな唸っている大きな円錐台の形をした機械が鎮座していた。

 

「これが…感応波発生装置…」

 

「…みたいだね」

 

 思ったよりも大きなスケールにアリサが思わず驚いていると、調子が悪そうなソーマの様子を見たコウタも、目の前にある物が破壊対象だと確信する。

 

「…チッ!!さっさと…破壊するぞ」

 

 アーサソールがいない為、多少マシではあるが感応波で相変わらず不快感を感じて調子が悪くなる。この不快感から解放されたいソーマは早く終わらせようと神機を構える。それに各部隊への増援もしなければならない為、装置の破壊は急務だったので、アリサとコウタもすぐに神機を構えて発砲する。

 2人が撃ったオラクル弾が装置に着弾すると爆発が起こる。爆破弾が装置の表面を抉り取って少しずつ破壊していく。その間に準備を終えたソーマがチャージクラッシュを叩き込む。

 ソーマの一撃が装置の表面を抉り取り、内部にまで届く。装置の中枢を破壊したのか、チャージクラッシュを受けた装置から駆動音が少しずつ小さくなり、やがて聞こえなくなった。

 ソーマの感応波による不快感もなくなった事で装置が止まったと判断した第一部隊は、居住区で戦っているリンドウと連絡を取る。どうやらアラガミ同士の連携もなくなり、制圧も進んでいるとの事だった。

 感応波発生装置の破壊任務を終え、第一部隊は未だに戦っているであろうユウキの元へと急いだ。

 

 -エイジス、管制塔頂上-

 

 第一部隊が管制塔の頂上に着くと、既に戦闘は終わっていて、床に突き刺した神機を回収しているところだった。

 

「「…」」

 

「…な、何が…起きて…」

 

 しかしそこにはフェンリルやアーサソールの死体はなく、血の海が広がっているだけだった。

 アリサとソーマ絶句して、コウタはどうにか言葉を絞り出したといった様子だった。

 

「ユウ、アーサソールは…?遺体は?」

 

「…」

 

 第一部隊はユウキがアーサソールを葬る所を実際に見ている。その時にはアーサソールの遺体は確かにあった。しかしそれらはユウキに捕食されてしまった。それを知らない第一部隊はあれだけの遺体が何処へ行ったのか検討が付かなかった。

 いや、正確には何となく察しは着いていた。しかし自分達の仲間が人道から外れた事をするはずがないし出来るとは思っていなかった。

 ユウキがそんな事をしたと信じられないコウタは自分達と別れた後に何があったのかを尋ねる。

 

「お前が殺したアーサソール達はどうしたんだよっ!!答えろよ!!」

 

「…」

 

 コウタはユウキがそんな事をするはずがないと、特に強く信じていた。それ故に、アーサソールの遺体がどうなったのか…人道から外れた事はしないのだから答えてくれる。そう思って何があったのかを問い詰める。しかし、ユウキは話す事はなくアラガミ化して飛び上がる。

 

「待てよっ!!ユウっ!!」

 

 コウタは何も話さずに立ち去ろうとするユウキを止めるが、ユウキはそのまま外部居住区に向かって飛んでいった。

 

 -エイジス、管制塔入り口-

 

 更に時は遡り、ユウキがフェンリルを倒したところまで遡る。ガーランドはレオンの手引きでどうにかユウキから逃げきって、管制塔から出てきたところだった。

 

「はぁ…はぁ…ここまで来れば…あとはフェンリルが、神裂ユウキを殺せば…」

 

 普段から杖を必要としている上に義足と言う事もあり、エレベータを使っていたにも関わらず、相当苦労しながらここまで来ていた。その証拠にかなり息が上がっていた。

 取り敢えずこれで自分自身には手を出せないはずだ。あとは最高傑作である究極のアラガミであるフェンリルがユウキを殺せば、後々動きやすくなる。

 あとはどうにかして再度操る手段を確保しなければならないが、アーサソール隊の再建と洗脳装置を用意するには時間が足りない。最悪新型を1人2人拉致してでもフェンリルを手に入れる事を考えていると、『ドスンッ!!』と鈍い音を響かせて、ガーランドの目の前にフェンリルの頭が上空から落ちてきた。

 

「なっ?!わ、私の…私のフェンリル…私の最高傑作がっ!?」

 

 自身が作り出したのは究極のアラガミ…の筈だった。しかし、ガーランドの目の前に落ちてきたのは、間違いなくそんな絶対強者であるはずのアラガミの頭だ。自分の研究成果に対する絶対の自身と目の前で起きている事実が噛み合わずに混乱する。

 そんな中ガーランドの通信端末に着信か入る。

 

「何ですか?!私は…」

 

 ガーランドは乱暴に端末を取り出して電話に出る。目の前の現実に苛立っている事もあり、普段よりも余裕がなく荒い口調で話していく。

 

「貴方は確か…いや、そんな事はどうでもいい。貴方の様な者が私に何のようですか?………何?どういう事だ?言っている事の意味が良く分かりませんよ?」

 

 通話の相手はガーランドからしたら意外な相手だった。しかし、その通話相手の言っている事の意味が良く分からず聞き返す。もう1度話を聞くと、内容を理解したのか、少しずつ狂気的な笑みを浮かべていく。

 

「ククク…良いでしょう。貴方の話に乗りましょう」

 

 ガーランドは通話相手の提案を受け入れたようだ。

 

「貴方と同じ、あの憎き『小僧』に野望を打ち砕かれた者同士、協力する事を約束しましょう…ええ…では後程…」

 

 ガーランドは通話を切ると、狂気的な笑みを浮かべたまま、何処かへと歩いていった。

 

To be continued




あとがき
 フェンリルとの決戦…ですが大したことない様な感じになってしまいましたね。まあ、アラガミ化したユウキの強さを見せる場でもあったので仕方ない…という事でひとつ…そう言えばフェンリルって氷属性なイメージですけど鼻や目から火を吹くらしいですよ。(wiki参照)
 その後もユウキが人として一線を超えたりと色々とやらかして仲間との間の溝をより深くしてしまいました。
 ガーランドも生き延びて何者かと組んで何やら画策している様子…まだまだ人vs人の争いは終わりそうにないです。
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