アリサの紹介が終わり、サクヤ、ソーマ、ユウキ、コウタは神機保管庫で神機を受けとる。最後にユウキが神機を受けとると、リッカから声をかけられる。
リッカ「神裂くん、ちょっといい?」
ユウキ「どうしたのリッカ?」
リッカ「実はプレデタースタイルが解放したからその報告にね。今回解放されたのは、空中で浮きながら捕食できる『レイヴン』…これで空中戦もやり易くなるはずだよ。」
ユウキ「うん。わかった。ありがとう。」
お礼を言って保管庫から出ていく。その先には既に3人が準備を済ませて待機していた。
サクヤ「準備できた?」
ユウキ「はい。」
ソーマ「さっさと乗れ。行くぞ。」
コウタ「…」
任務に行くメンバー全員がヘリに乗り込む。さっきから黙ったままのコウタがなんだか気になるのでユウキは声をかけてみた。
ユウキ「コウタ?どうかした?」
依然として少し俯いていて、表情が読めない。するとコウタがぼそりと呟いた。
コウタ「…見た?」
ユウキ「え?何を?」
主語がないので何の事か分からず聞き返す。コウタが少しずつ声を大きくしながら返事をする。
コウタ「…ってか、見たよな、もちろん!超かわいいじゃん!ロシアだぜ!ロシア!北の大地の恵みって感じ!やっべ、モチベーション上がってきたぁ!ユウキもそう思うだろ!?」
アリサを見てテンションが上がってたのを今まで押さえていたようだ。いつも以上に興奮して、ユウキにアリサを見た感想を聞いてきている。
ユウキ「う、うん。そうだね。確かにかわいい…と言うよりは美人だったね。」
確かにスタイルもよく、容姿も整っていた。つり上がり気味の目にサファイアのような青い瞳で、銀髪を際立たせる透き通るような白い肌をギリギリまで露出していた。異性の魅力に疎いユウキから見ても魅力的な女性だった。
ちなみにコウタの話を聞いてサクヤは苦笑いをして、ソーマは引いてた。
-煉獄の地下街-
旧時代では地下鉄として使われていた場所である。ここではアラガミが地下に向かって捕食を進めたため、溶岩が溢れ出ている。その溶岩が地下鉄の一部を飲み込んでいるので、とても暑い。要するに灼熱地獄である。
そんな場所での任務は翼手を持つ中型アラガミ、『シユウ』の討伐である。4人は待機ポイントから飛び降り、索敵を開始する。不意にサクヤがソーマに話かける。
サクヤ「ソーマ、わかっていると思うけど…」
ソーマ「ああ…俺たちはあくまでサポートだ。リンドウの代わr」
コウタ「あっちい…溶けそうだぁ…」
コウタが2人の会話を遮る。ソーマはそのまま黙ってしまい、反応を示したのはサクヤだけだった。
サクヤ「そうね、私たちは体内の偏食因子の恩恵のお陰で耐性があるけど、一般人には耐えられないでしょうね。」
コウタ「うへぇ…この体に感謝だね。」
そんな話をしていると明らかに地下鉄には無いはずの空洞が空いている。その先には右側に溶岩が溢れており、円形の地形があった。その奥に何かがいた。
ユウキ「…あいつか?」
ユウキが呟き、全員が視線の先を見る。そこには、人間と同じ骨格をして、先端に手がついている特徴的な翼を背中から生やしたアラガミがいた。ただし、大きさは人間の2、3倍はある。
ユウキ(人型骨格か…得策とは言えないが、捕食に気をとられている今ならいけるか?)
そう考えてユウキは銃形態に変形する。
ユウキ「サクヤさん。提案があります。」
サクヤ「何?」
ユウキはサクヤにある提案をする。
-数分後-
シユウは相変わらず捕食に気をとられて、近くにはコクーンメイデンがいる。ユウキは集中してシユウの頭に狙いを定める。
『パァン!』
シユウの頭を撃ち抜いて、結合崩壊を起こす。シユウが気づいてユウキを挑発するように手招きをする。しかし、ユウキは逃げる。そのためシユウはユウキを追いかける。
ユウキ(移動は思ったより速くないな...これならいけるか?)
ユウキは剣形態に戻して後ろに走る。その先は本来であれば地下鉄のプラットホームに当たる場所。当然下に降りることになる。階段で追い付かれるようなことは避けたいので、ユウキは階段の一番上から下の階まで飛び降りた。
ユウキ(よし、もうすぐ…そのまま来い!)
シユウが階段まで来ると、シユウは何故か一度後ろに飛ぶ。するとシユウは滑空しながら高速で突っ込んできた。
ユウキ(!!!)
ユウキは咄嗟に横に跳んで避ける。そのまま地下鉄内に入り、地下鉄を走る。シユウはユウキを追走する。
『パァン! 』
後ろからサクヤの一撃がシユウを撃ち抜いた。だがシユウはユウキを追い続ける。そのまま進むと壁の切れ目見える。その切れ目の手前に来るとコウタが飛び出す。
コウタ「行くよ!」
その合図でスタングレネードが炸裂する。シユウは目が眩み動きが止まる。その隙にソーマがコウタが隠れていた場所から飛び出し、チャージクラッシュを叩き込む。その一撃でシユウの下半身が結合崩壊を起こす。そのまま全員で畳み掛ける。
『グオオォォオ!!!』
遂にシユウが怒りで活性化した。そして一旦腰を落とした。
コウタ「トラップ設置するよ。」
コウタはチャンスと思い、コンゴウの時と同じようにシユウに近づいてトラップを設置しようとする。
サクヤ「ダメよ!近づかないで!」
その瞬間、シユウは回転してコウタを殴り飛ばした。当たりどころが悪かったのか、気絶してぐったりとしている。サクヤがコウタの救助に向かう。
その隙を狙わせないようにソーマが正面から斬り込む。しかし、シユウは後ろに跳んで避け、突進してきた。ソーマもユウキもそれを避ける。
しかし、シユウとは距離が開いてしまった。それを好機とみたのか、両手からオラクル弾を連続で飛ばしてくる。その最後に両手分のオラクルを合わせた大きなオラクル弾を放ってきた。
それらを掻い潜り、ソーマとユウキはシユウの元にたどり着く。ソーマ地上で横凪ぎに神機を振るい、ユウキは空中で翼手や頭を切る。2回斬りつけ、3度目に鳥のクチバシのような捕食形態を発現させ、バーストする。そう、リッカから聞いていたレイヴンを使ったのだ。
ユウキ(…もしかして…)
バーストした瞬間、ユウキは何かを感じ取り、再び先の動作を繰り返す。
ユウキ(やっぱり!)
そう、ユウキは延々と空中で攻撃し続けていたのだ。その間もソーマの攻撃が止むことはなく、翼手を結合崩壊させてシユウは絶命した。
余談であるが、神機もアラガミであるため、一応ザイゴートのように浮かぶことはできる。しかし、飛ぶ方面への進化はほとんどされていない上、人間と武装の重量を抱えているので、短時間しか浮くことができない。だが、レイヴンはバーストしたときの能力の上昇を浮遊に回すことで、浮遊時間を引き伸ばすことができるのだ。ユウキはバースト時に体が軽くなったような感覚をいち早く察知して、実行したのだ。
ちなみに、バースト時の能力上昇を利用して2段ジャンプもできたりする。それでも空中戦は不利なので、実際にやる人は少ないが。
こうしてシユウ討伐戦は終了した。
-ラボラトリ-
気絶したコウタが特に大きな怪我もなく意識を取り戻し、ルミコ先生からも異常無しと診断されたので、帰投した後ペイラーによる講義のため、コウタと一緒にラボラトリに向かった。そこには既にアリサが来ていた。ユウキとコウタが席に着くと講義が始まる。
しかし、コウタは講義が始まると任務の疲れが出たのかすぐに寝てしまった。
ペイラー「前にも言った通り、アラガミを構成しているオラクル細胞は何でも食べる。動物や植物のような生物に限らず、鉱物やプラスチックのような合成樹脂...挙句には、通常の生物には危険な核廃棄物だって食べてしまう。建造物や大地だって…ほら、この通りだ。」
ここでモニターにビルや地面に大きな穴が空いた画像が映し出される。その画像のビルは穴だらけに食い荒らされ、不気味な造形になっていたり、地面は巨大な穴が多数空いているため、所々崖のようになっていたり、地面が陥没して底が見えなくなっている。
ペイラー「結果、『食べ残し』である従来の環境は減少の一途を辿っている。この辺りには、春に桜を、秋には紅葉を見に行くなんて習慣もあったんだけど...今となっては望むべくもないね。」
ユウキ「…綺麗だな…」
春の話で桜が映り、秋では紅い紅葉が映っている。ユウキとアリサは素直に綺麗だと思った。しかし、今は講義中であるためその画像はすぐにアラガミの特性を纏めたスライドに切り替えられた。
ついでにペイラーはコウタを横目に見る。
ペイラー「その一方で、アラガミは食べたものの性質を取り込む事がある。最近では『光合成』を行うアラガミすら発見されているんだよ。窒素79%、酸素21%…世界中の植物が20年前の3割弱まで減ってしまった今でも、地球の大気は保たれている。これがアラガミの『光合成』のお陰だとは実に皮肉な話だと思わないかね?」
話ながらもコウタに少しずつ近づいていく。コウタの横まで来ると頭をグーで軽く小突く。
ここまでの講義内容によると、アラガミのお陰で、人間は荒廃した地球で生きているとの事だった。人間は生きていくためにアラガミと戦っているにもかかわらず、人間が生きていく環境をアラガミが保っている。確かに皮肉以外の何物でもない。
コウタ「…ぅぅ~ん…かぁちゃん…もう食べれないよ…」
ユウキ「あはは…ベタな寝言だなぁ…」
アリサ「…ホント、自覚が足りない人ですね。」
目付きを鋭くしてアリサなりのコウタへの評価を下す。どうやらアリサのコウタへの評価は右肩下がりのようだ。
ペイラー「君たち、『ノヴァの終末捕食』って言葉...聞いたことあるかい?」
ユウキ「…終末捕食?」
次はアリサの前までペイラーが歩き、ユウキは聞いたことの無い言葉に疑問を持つ。気のせいかコウタがピクリと動いたのような気がした。
アリサ「ええ、アラガミ同士が喰い合いを続けた先に…地球全体を飲み込むほどに成長した存在、『ノヴァ』が引き起すとされる『人類の終末』…ですか。」
やはり少し前から起きていたのだろう、ゆっくりと顔を上げてペイラーを見る。
ペイラー「その通り、誰が言い始めたのかも知らない。単なる風説に過ぎないとも言われているけどね。」
コウタ「エイジス計画が完成すれば、それからも守れるんだろ?」
やはりコウタはエイジス計画によって、どんなアラガミからの攻撃も防ぐことができると考えているようだ。
ユウキ(…本当にそんなことができるのか?)
しかし、ユウキはそうとは思えなかった。地球を飲み込むほどのアラガミの捕食に小さな人工島が耐えられるとは思えなかった。また、仮にエイジスが終末捕食に耐えられたとしても、その他の土地や資源を失い生きていけるとも思えない。
そんなことを考えているとペイラーか講義を続けたので、ユウキは思考の海から現実に帰ってきた。
ペイラー「…犬という動物を知っているかな?」
コウタ「…え?」
ペイラー「もう大分数は少なくなってしまったが、今も稀に外部居住区などで見かける事があるはずだ。犬は賢く...言葉こそ話せないが、我々人間とコミュニケーションをとることができる。犬のような性質を引き継いだアラガミがいれば、あるいは共生できるのかもしれないね。」
アリサ「共生?」
アリサの表情が険しくなる。
ペイラー「コミュニケーションという観点で見れば、もちろん犬に限った話ではない。昔はサーカスと呼ばれる見世物小屋で猛獣を繰る、猛獣使いすらいたのだからね。」
アリサ「アラガミと仲良くなんて…できるわけ無いじゃない…!」
アリサは視線を誰もいない方に反らしながら呟いた。その表情には年不相応な憎しみが現れており、声にははっきりとした拒絶の意志が込められていた。
-食堂-
講義が終わった後、アリサはそそくさと何処かに行き、コウタは撮り溜めたバガラリーを見るために自室に戻った。ユウキも一緒に見ないかと誘われたが、腹が減っていたので今回は断り、食堂に来た。
そこにはアリサが既に来ており、その周囲は空席となっていた。新型と言うだけで嫉妬や嫌悪され、さらにあの刺々しい性格だ。確かに彼女と一緒に居ようと言う人は少ないだろう。
ユウキ「ここ、いいですか?」
ユウキは注文した料理を受け取り、アリサの向かい側に座ろうと許可を貰う。
アリサ「…お好きにどうぞ。」
アリサは若干驚いたようだったがすぐに表情を引き締めて許可を出した。そのまま2人はしばらく無言で食事をしていたが、不意にアリサが話しかけてきた。
アリサ「神裂さん…あなたはコウタって人と仲がいいんですか?」
ユウキ「え?…はい、そうですけど?」
アリサ「あの人、全然神機使いとしての自覚がないみたいですよね?その辺の所、よく言い聞かせておいてください。同じミッションに出撃したら足を引っ張られんるじゃないかと不安です。」
ユウキ「あはは…随分と辛口なコメントですね...でもコウタが足を引っ張るってことは無いと思いますよ?同行した任務ではサポートが上手いって話をよく聞くので。」
アリサ「どうでしょうか…あまり信用できませんね。」
再び無言になり、食事が終わるまで2人の間に会話はなかった。
To be continued
今回で正式にプレデタースタイルが解禁されました。もうすぐスタイリッシュな戦闘描写を書きたいのですが上手く書けるか心配です。
そして、アラガミとの共生の話が出ました。この話は本編では忘れ去られたような扱いになっていますので、絶対に書きたいと思っていました。(まあ、共生が成立したらシリーズが終わってしまいますが...)
無印をプレイしていたときは何とも思わなかったのですがエイジス計画と終末捕食ってなんだか矛盾している気がするんですよね。
最後に、主人公の提案した作戦ですが
1 追い付かれる可能性があるので装甲が使える新型の銃身でシユウの注意を引く
2 シユウを孤立させ、物陰に隠れているサクヤが後ろから攻撃
3 コウタがスタングレネードで動きを止める。
4 その隙にソーマのチャージクラッシュで大ダメージ
5 あとはコウタに何度か動きを止めてもらいタコ殴り
となっています。
得策ではないと言ったのは奇襲による大ダメージを狙い、骨格的に小さい頭を狙う必要があったことと、旧型銃身神機使いに単独で動いてもらうためです。