GOD EATER ~The Broker~   作:魔狼の盾

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今回はアリサとの共闘回です。リンドウさんもっと強くても良かったかな...?


mission12 共闘

 アリサとの遅い昼食を終えて、訓練ついでにポール型神機のデータ取りを行うためにエントランスへ向かう。

 

???「嘘つき!!そんなことあるはずないもん!!!」

 

 突如、下階から幼い少女特有の高い声が響く。何事かと思って降りてみると、エリナがいた。複数の神機使いと話している。口論になる前に止めた方が良いと判断し、ユウキはエリナに話しかける。

 

ユウキ「こんにちは。エリナちゃん。今日はお父さんと一緒じゃないんだね。何かあったの?」

 

 ユウキが話しかけた途端、神機使い達はそそくさと去っていった。大方、面倒事を押し付けようとしているのだろう。受付にいるヒバリもどう対応したらいいか分からず、動けないでいる。

 

エリナ「…ひとりでここに来ちゃいけないって、パパに言われてるの。」

 

 悪いことをしているという自覚があるのか、その声は控え目な大きさだった。しかし、その後は自分のやっている事は間違っていないと言わんばかりに、大きな声で自分の主張を伝える。

 

エリナ「でもね、みんな嘘つくの、エリックが…死んだ…って!」

 

 どうやらエリックに会いに来たようだ。しかしエリックはもういない。真実を伝えるか、誤魔化すか...悩みはしたが結局真実を話すことにした。

 

ユウキ「エリックは…もういない…」

 

エリナ「ほら!また嘘言ってる!やっぱり私が確かめなきゃ…!ねぇ基地の中に入れてよ!」

 

 案の定否定してきた。

 

ユウキ「エリックは…死んだよ…俺の目の前で…俺が一番近くに居たのに、ボサッとしていたせいでエリックは死んだ…俺が…エリックを…死なせた。」

 

エリナ「嘘つき!!エリックは死んでない!!お洋服買ってくれるって言ってたんだから!!!」

 

 言いにくそうに自分が死なせたという真実を伝える。しかし、エリナはエリックの死を受け入れられず、大きな声で駄々をこねる様に否定する。

 

???「エリナ!!!!」

 

 エリナを呼ぶ声が響く。エリナの父親が息を切らしてエントランスに来た。

 

裕福そうな紳士「探したぞエリナ。一人でここに来てはいけないと言った筈だ。何故ここにいる?」

 

エリナ「だって…皆エリックが死んだって嘘つくから!!」

 

 エリナの言い分に大きくた溜め息をつき、話を続ける。

 

裕福そうな紳士「とにかく、私は少し彼女達にお話しがあるから、お前はここから出て待ってなさい。」

 

エリナ「でも!!」

 

裕福そうな紳士「待ってなさい!!!!」

 

 紳士が怒鳴り声をあげ、エリナを叱責する。

 

エリナ「…お父様の馬鹿!!!!大っ嫌い!!!!」

 

 エリナ泣きながらエントランスを走り去っていった。

 

裕福そうな紳士「申し訳ない。娘がご迷惑をお掛けしました。その上貴女にあんな暴言を…」

 

 頭を下げ、エリナが騒ぎを起こした事を謝る。

 

ユウキ「いえ…俺が近くに居たのに助けられなかったせいでエリックさんは亡くなったんです。責められても仕方ありません。謝って済む事ではありませんが…本当に…申し訳ありません…」

 

 ユウキも頭を下げて謝る。エリックを死なせた。その罪悪感から紳士の言葉を素直に受け入れることができない。

 

裕福そうな紳士「謝らないでください。あの馬鹿息子も…こうなる事は覚悟していたはずです。貴方が気にやむことではありません。」

 

ユウキ「ですが…」

 

 だからと言って助けなかった自分に非がないわけではない。どうしてもそんな風に考えてしまう。

 

裕福そうな紳士「でしたら…どうかエリックが生きていたということを忘れないでください。きっと…それで、あの馬鹿息子も報われるでしょう。それでは失礼。お騒がせして申し訳ない。」

 

 そう言うとヒバリにも謝罪し、紳士はエントランスの出口に向かう。出る直前に一度ユウキの方を見る。

 

裕福そうな紳士「…エリナに真実を伝えくれてありがとう。」

 

ユウキ「…え?」

 

 何故感謝されたのか分からず、間抜けな声で聞き返す。

 

裕福そうな紳士「否定したい真実は伝える側も受け止める側も勇気がいる。自覚があったかはわかりませんが、真実を伝えると言う形で貴方はエリックの死に向き合ってくれました。エリナもきっと、いつかその事に気付いてくれるでしょう。」

 

 それだけ言うと紳士はエントランスを出ていった。

 

ユウキ「…ヒバリさん…訓練の申請…お願いします。」

 

 ヒバリに訓練の申請をして、暗い雰囲気のまま訓練室に行く。今回はあまりいいデータが取れなかった。

 

 -翌日-

 

 結局、暗い雰囲気のまま翌日を迎えた。今日は任務に行くので、どうにか気持ちを切り換える。精神に参っている時に任務に行くと、自分は勿論、周りも危険に晒す事になる。

 任務に行く準備のためにエントランスに向かい、ターミナルを操作する。ふと先日のバレットエディットの事を思い出し、自分でバレットを作り、シミュレーターで使ってみるが、無効なバレットで使えないと画面に表示された。

 銃身神機使いに聞くのが一番だろうと考え、ツバキ、サクヤ、ジーナのうちの誰かを探す。運よくジーナがソファでコーヒーを飲みながら任務の資料を読んでいた。

 

ユウキ「ジーナさん。バレットエディットについて教えていただけませんか?」

 

ジーナ「ちょっと待ってて...もうすぐ終わるから。」

 

 そう言うとジーナは資料に何か書き始める。言った通りすぐに終わった。

 

ジーナ「何が知りたいの?」

 

ユウキ「シミュレーターで無効になるんです。何でか分からなくて...」

 

 ジーナはユウキが試しに作ってみたバレットを見てみる。

 ユウキが作ったバレットは初段が2方向に別れ、その後一ヶ所を2方向から撃ち抜くというものだった。ジーナはすぐに原因がわかった。

 

ジーナ「まず、バレットエディットのルールについては知ってるかしら?」

 

ユウキ「…い、いいえ…」

 

 ふむ...と一度考え込む。考えが纏まったのかジーナが説明を始める。

 

ジーナ「バレットエディットのルールは3つあるわ。まあその内1つはそんなに気にしなくていいわ。」

 

ユウキ「要するにまず気を付けるルールは2つですか。」

 

ジーナ「そうね。まずは子接続可能と子接続不可ね。バレットの最小単位であるモジュールによって決まるの。簡単に言うと弾丸一発がモジュールひとつ分って事になるわね。」

 

ユウキ「じゃあバレットエディットではこのモジュールの組み合わせを考える事になるんですか?」

 

ジーナ「そうなるわね。さらに言うとモジュールの内容を決める因子として、弾種を決めるセルや発射条件、角度があるけど、まあこれを見ている限り、理解しているみたいだし、ここは飛ばしましょう。」

 

 初弾から角度をいじってバレット製作をしていたのでここは問題ないとジーナは判断し、次の説明に移る。

 

ジーナ「話を戻すわ。子接続可能と子接続不は正確に言うとセル…つまり弾種を決めた段階で決まるわ。これは接続できるか表示されるから、ここで迷うことはないと思う。」

 

 そう言ってジーナはターミナルを操作し、ユウキが作ったバレットを少しいじった。

 

ジーナ「そうね…例えばこの爆破セル。子接続不可になっているでしょう?でも貴方が今まで作っていたものには表示がなかった。だからすぐわかるわ。」

 

ユウキ「な、なるほど…(ち、近い…)」

 

 確かに、爆破セルには小さく子接続不可の文字が表示されていた。しかし、ジーナの顔がすぐ横にあったので、ユウキは動揺しまくっていて、説明を聞くどころではなかった。

 

ジーナ「…顔が赤いけど…大丈夫?」

 

ユウキ「だ、大丈夫です…」

 

 実際はあまり大丈夫ではなかったが、どうにか受け答えをする。ジーナは『そう…』とだけ返して説明を再開する。

 

ジーナ「次は交差消滅ね。これは二つ以上の弾丸が衝突したときに起こる現象よ。これは衝突したオラクルが互いに喰いあって起こるわ。だから交差する高さをずらすか、通るタイミングを変えないといけないわ。」

 

 ジーナは交差の説明に自分の指で×印を作りながら説明する。

 

ジーナ「貴方が作ったバレットは初弾で交差していたから無効になっていたのよ。」

 

 発射と同時に二股に別れるように角度を調整していたので、発射の瞬間に交差消滅していたようだ。

 

ジーナ「最後はルールというよりは注意かしら?一応、初期の神機をベースにどれだけのオラクルを使うか表示されるわ。これがあまり大きくなりすぎないようにね。もし、モジュールの移動が目的なら、攻撃や当たり判定のない装飾弾丸と言うものがあるわ。オラクルの使用量が減るから、活用してみたらどうかしら?」

 

 そう言うとジーナはターミナルから離れた。そして1つ思い出したように付け加えて説明する。

 

ジーナ「あ、そう…ひとつ言い忘れてたわ。セルの大きさ、スケールでもオラクルの使用量が変わるから、燃費が悪いならスケールを小さくして威力を抑えることも考えるといいわ。それじゃあね。」

 

ユウキ「ありがとうございます。」

 

 ジーナは下階に降りていった。ユウキはターミナルに向かい、教わったルールを思い出しながらバレットを作ってみる。

 

ユウキ(最初は単純なやつで練習しようかな…)

 

 こうしてユウキは同行者であるアリサが来るまでバレットをいじっていたのだった。

 

 -贖罪の街-

 

 待機ポイントでアリサとユウキが待っていると、少し遅れて神機を携えたリンドウが、待機ポイントに現れた。

 

リンドウ「お…今日は新型2人とお仕事だな。足を引っ張らないよう気を付けるんで、よろしく頼むわ。」

 

 ベテランの神機使いの癖にどの口が言うか、とユウキは思い苦笑する。

 

アリサ「旧型は、旧型なりの仕事をしていただければいいと思います。」

 

ユウキ「アリサ…!」

 

 さすがにこの発言は言い過ぎではないか?旧型は新型に敵わないのだから邪魔はするな。そう言っているようなものだ。自分に向けられた言葉ではないがなんだか苛ついた。

 

リンドウ「はっは、まぁ精々期待に沿えるように頑張ってみるさ。」

 

 格下だから邪魔だと言われたにも関わらず、笑って流せる辺りやっぱりリンドウは大人だなとユウキは思った。

 リンドウは話ながらアリサに近づき、彼女の肩を叩く。

 

アリサ「きゃあ!!」

 

 肩を叩かれた瞬間、アリサは悲鳴を上げて飛び退いた。嫌がっても手で叩く程度だと思っていたが、まさか飛び退いてまで嫌がるとは思ってなく、リンドウとユウキは面食らってしまった。

 

リンドウ「あーあ…随分と嫌われたもんだなー。」

 

ユウキ「だ…大丈夫?」

 

アリサ「あ…す…すみません!何でもありません、大丈夫です。」

 

 大丈夫というが、体が震えていて表情から血の気が引いている。大丈夫には見えない。

 

リンドウ「フッ…冗談だ。んー…そうだなあ…よしアリサ。」

 

 リンドウはアリサを見るとひとつの命令兼アドバイスをする。

 

リンドウ「混乱しちまったときはな、空を見るんだ。そんで動物に似た雲を見つけてみろ。落ち着くぞ。それまでここを動くな。これは命令だ。その後でこっちに合流してくれ。いいな。」

 

アリサ「な、なんで私がそんなこと…」

 

 アラガミを倒しに来たのに、そう言いたそうな表情と口調で納得できないという様子で反論する。

 

リンドウ「いいから探せ。な?」

 

 が、口調こそ穏やかだが何故か逆らえない空気を出して命令する。アリサも渋々命令に従う。

 

リンドウ「よし、先に行くぞ。」

 

ユウキ「あ…はい。」

 

 そう言うとリンドウとユウキは待機ポイントから飛び降りた。少し離れたところでユウキはふと振り向いてアリサを見た。命令に従い、空を見上げて動物に似た雲を探しているのだろう。嫌々ながらもきちんと探している辺り、根は真面目で素直な子なのだろう。

 そんなことを考えていると、リンドウが話しかけてきた。

 

リンドウ「あいつのことなんだがな…どうも色々訳ありらしい。」

 

ユウキ「訳あり…ですか…?」

 

リンドウ「まあこんなご時世、みんないろんな悲劇を背負ってるちゃあ、背負ってるんだが…」

 

 世界中で1日に10万人以上が捕食されていく世界で、悲劇を背負っていない人間の方が稀だ。現にユウキ自身も過去にとある悲劇と呼べるような体験している。そのため、リンドウの言いたいことは何となくわかった。

 

リンドウ「同じ新型のよしみだ。あの子の力になってやれ。いいな?」

 

 リンドウはユウキの肩に手を置く。

 

ユウキ「はい。そのつもりですよ。」

 

  『グオオォォ…』

 

 不意にアラガミの雄叫びが聞こえる。今回は先日も戦ったシユウを2体討伐する任務だ。事前に作戦は聞いており、ユウキ、アリサのペアとリンドウに別れてそれぞれが1体ずつ仕留める作戦だ。確かにその方が効率がいいし、戦力的にも上手くバラけている。リンドウも中型種なら自分がいなくても大丈夫と判断した上で立てた作戦となっている。

 

リンドウ「うっし!じゃあ行くか!」

 

ユウキ「はい!」

 

 ユウキが作戦地域西側の奥、リンドウが北側にそれぞれシユウを誘い込み、戦闘を開始する。

 

 -ユウキside-

 

 ユウキは西の広場を南によりながら横切る。ビルの残骸の間を走り抜け、小さめな建物が並ぶ旧オフィス街か住宅地跡のような場所に出る。そこには小さな広場のような場所になっている。さらにその先も道が続いているが、捕食と地盤沈下によって途中で道が無くなっている。左手にはビルが建っているので、右に曲がるしかない。

 

  『グオォォオ』

 

 曲がった先でシユウと鉢合わせになった。これはまずい。そう思ったが、シユウは余裕を見せつけるように、挑発的に手招きをしている。今ユウキがいる場所は狭い通路になっているので、挑発している隙に、一旦下がってさっきの広場まで戻る。当然シユウが追走してくる。

 広場に戻り、シユウを迎え撃つ。シユウが建物の影から飛び出してくるタイミングに合わせてユウキも飛び出して足を斬りつける。

 

ユウキ(クッ!硬い!)

 

 前回の戦闘の前にシユウの下半身が硬い外郭に覆われていて、破壊力のある攻撃でないと通りにくいとツバキから聞いていたが、ここまで通りにくいとは思っていなかった。

 大したダメージも無さそうに、シユウは素早く姿勢を落としながら、上段から下段へ半円を描くような手刀を放つ。それを縄跳びの要領で小さくジャンプして翼手を斬り、その衝撃を利用して後ろに下がる。シユウから見て右側の翼手に切り傷ができる。

 ユウキとシユウの間に少し距離が開く。そこでシユウがオラクル弾を両方の翼手から打ち出してくる。それを横に躱す。

 

ユウキ(チッ!)

 

 しかし、オラクル弾は少し軌道を変えてユウキを追尾してくる。それを反射的にステップで跳び、さらに距離を取る。シユウはまだ攻撃が当たると考えているのかオラクル弾を射っている。その隙に銃形態に変形し、シユウに狙いを定める。しかしシユウは両翼手を合わせて大きなオラクル弾を放ってきた。大きなオラクル弾は先のものより高い追尾性能を持っており、このままでは直撃する。

 ユウキは驚きはしたが、大きくジャンプする。すると、オラクル弾はユウキの下を通りすぎた。どうやら、オラクル弾は水平方向への追尾性能はあるが、垂直方向への追尾能力は無いらしい。

 

ユウキ「!!」

 

 しかし、オラクル弾は地面に着弾すると爆発して上にいたユウキを爆風で吹き飛ばした。

 爆風で前方に飛ばされ、シユウに近づく。体勢を崩しながらも頭を下にした状態でシユウに狙いを定める。

 

  『パン!』

 

 軽い炸裂音と共にシユウに弾丸を射つ。シユウに着弾しても大したダメージにならないはずだった。しかし、弾丸が着弾した瞬間、ボン!!という爆発音が響いた。そう、着弾点が爆発したのだ。ユウキは任務前のバレット編集で、敵に着弾すると爆発するバレットを作っていたのだ。

 発射の衝撃で少し上へ跳ぶ。少し跳んだお陰でユウキはシユウをギリギリ飛び越え、後ろを取る。そのまま着地し、振り向きながらシユウと距離を取るように跳び、再び銃を射つ。先と同様、着弾した瞬間に爆発が起こる。この攻撃でシユウの足と胴体にヒビが入る。

 ユウキはシユウが振り向く前に剣形態に変形して、斬り込みなが近づき、もう一度斬り、その後に斬りながら離脱した。するとシユウが限界まで翼手を伸ばしてユウキに向ける。

 

ユウキ「ガッ!」

 

 突如ユウキに衝撃が入る。どうやらシユウの翼手はオラクル弾だけでなく、衝撃を放つことができるようだ。その衝撃でシユウが後ろに下がる。

 ユウキはビルの壁に叩き付けられた。衝撃で視界や思考にノイズが走ったような状態になる。そこへシユウが一歩踏み出して翼手を広げて近づいてくる。動けないユウキに左右の掌を合わせて叩きつけようとする。

 

  『ズガガガ!!』

 

 とシユウの横から銃弾が飛んできた。シユウも驚き、体勢を崩した。弾丸が飛んできた先を見ると、ガトリング砲を構えたアリサがいた。

 

アリサ「何してるですか!動けないなら邪魔です!早く消えてください!」

 

 辛辣な言葉が飛んできたが、助けてはくれたようだ。アリサはガトリング砲を射ちながら少しずつ近づき、射ち尽くす頃に剣形態に戻して斬り込む。ユウキも体勢を立て直し、一旦離れて銃形態で援護する。シユウの頭は貫通力の高いバレットで大きなダメージを与える事ができる。しかし、アリサとシユウが動き回っている状況ではそんな小さな的を撃ち抜く事は至難の技である。

 アリサはシユウの翼手を重点的に攻撃している。シユウが手刀で攻撃すために腕を振り上げる。このタイミングでアリサは前に出て、振り上げた腕の下を潜りつつ、斬り上げる。先のユウキの斬撃での傷がさらに深くなった。

 シユウはステップで一旦後ろに下がりながらアリサの方を向き、アリサが体勢を立て直す前に滑空して突進してくる。それをスライディングの要領で下を潜り、すれ違うタイミングで先とは反対の翼手を斬る。

 シユウが起き上がる時に一瞬止まり、さらにアリサも離れている。この隙にユウキは胴体に爆破レーザーを撃ち込む。

 

アリサ「何やってるんですか!?あのタイミングなら頭を撃ち抜く事ができたはずです!もっと効率のいい攻撃をしてください!」

 

ユウキ「なかなか無茶言ってくれますね。」

 

 ユウキは悪態をつきながらも剣形態に変形して横凪ぎに斬りかかる。それとは反対方向からアリサも斬りかかる。それを振り払うようにシユウは回転して攻撃する。ユウキとアリサはそれぞれが離れる方向に飛んで避ける。ちょうどシユウの左右に位置する場所にいる。そこから再び同時に斬りかかる。

 

アリサ「はあぁ!!」

 

ユウキ「ぜあ!!」

 

 アリサが先に斬り、ユウキがその後に斬りつける。X字状にシユウの胴体に傷がつく。

 

ユウキ(…強いな…)

 

 ユウキはここまでのアリサの動きを見て単純にそう結論付けた。その動きはアラガミの動きを研究し尽くし、戦術理論に当てはめて最大効果を発揮するように洗練されている。演習で抜群の成績を残してきたと言うのも頷ける。

 そんなことを考えていると、怒りで活性化したシユウが地面を両翼手で叩きつけ、衝撃で周囲の地面が揺れる。アリサは大きめに後ろに下がり、ユウキは少し下がることでそれを回避した。

 叩きつけてから立ち上がるまでの隙に、ユウキは捕食形態で捕食する。そしてアリサは回避後に即座に反撃に出る。

 シユウはカウンターを狙い、手刀を振り下ろす。アリサは脇の下に潜り込み、上へ斬撃を放つ。シユウから見て右の翼手が切り落とされる。

 しかし、シユウはそのまま一旦アリサの後ろにスライドするように移動し、後ろへローリングソバットを放つ。『当たる』そう思い、ユウキはアリサを突き飛ばして回避させる。だがこれでユウキにローリングソバットが決まる。

 

ユウキ「ガハッ!!」

 

 シユウの足の爪でユウキの腹から胸にかけて切り傷ができ、そのまま蹴り飛ばされて倒れた。

 

アリサ「余計な事しないでください!もう戦えないなら後退してください!」

 

 アリサの声が聞こえるがそれどころではなかった。自分の胸元から血が出て痛い。『死ぬかもしれない』その事を考えた瞬間、エリックが死んだときの事を思い出した。

 

ユウキ「いッたイなァ!」

 

 ユウキはシユウを睨み付ける。その表情はいつものように女々しい顔つきではなく、鋭い目付きで獲物を殺すことだけを考える獣の様な顔だった。

 

アリサ(…雰囲気が変わった?)

 

 アリサもその変化に気がついて思わず動きが止まってしまった。その隙をシユウが見逃すはずもなく。残った翼手でアリサを切り裂こうと、翼手を振り下ろす。

 

アリサ(!!しまった!!)

 

 アリサは気が逸れてシユウの動きを見逃した。自分の死を悟り、思わず眼を瞑る。しかし一向に痛みは襲ってこない。眼を開けるとユウキが神機の柄を翼手のオラクル発射口に突き刺して止めていた。

 そのまま神機を押し込んで翼手を少し押し返し、ユウキも柄を突き刺したまま跳び上がる。するとユウキは突き刺した柄を中心に回転して、シユウの顔の側面にローリングソバットを決める。シユウは蹴り飛ばされて壁に激突した。

 

アリサ「なっ!!」

 

 アリサは信じられないものを見たような気分だった。近代兵器が一切通用しないアラガミが人間の蹴りで吹っ飛んだのだ。

 そんな事を考えているとシユウが立ち上がり、滑空して突っ込んできた。翼手を片方失い、バランスがとりにくそうだがそれでもなんとか滑空している。ユウキは体の右側を下にしてシユウの頭上にくるようにジャンプする。

 

ユウキ「ゼあァあ!!」

 

 両手で神機をしっかり握り、下から掬い上げるように斬る。

 

  『ブシャァ!』

 

 シユウから噴水の様に血が吹き出し、頭が二つに割れ、胸元辺りまで斬れて吹き飛んだ。ここでアリサも我に帰り、前に出る。

 シユウも壁に叩き付けられて怯みつつも立ち上がる。この隙にユウキも一瞬で近づく。

 

アリサ「はあああ!!」

 

ユウキ「シねエェ!!」

 

 アリサは残った翼手と頭を、ユウキは上半身と下半身を切り離した。さすがにアラガミと言えど胴体だけでは何もできない。ユウキはコアを捕食してこちら側の作戦は終了した。

 

 -リンドウside-

 

 時はリンドウとユウキが別れたところまで遡る。シユウを探して西の広場を北に進み、教会の影から覗きこむ。ちょうどシユウがこちらに向かってくる。リンドウは迷わずに飛び出し、シユウの頭を目掛けて跳んだ。まさに電光石火のような動きでシユウの頭をはね飛ばし、そのままシユウの後ろを取る。

 しかしシユウもやられてばかりではない。体を回転して周囲を凪ぎ払う。だがリンドウはさらに後ろへ跳び、距離を取る。それを好機としたシユウは滑空してくる。

 対してリンドウは右足を大きく前に出し、姿勢をかなり低くした。結果、滑空してくるシユウの下を潜る事になった。リンドウはシユウの下を潜った瞬間下から斬り上げる。通常、シユウの胴体は斬撃が効きにくい。大したダメージにはならないはずだった。

 

  『ギュイイィィン!』

 

 シユウの下を潜る瞬間、リンドウの神機『ブラッドサージ』の鋸刃がチェーンソーの様に回転し、そのままシユウを斬り上げる。

 ブチブチ!と無理矢理引きちぎるような音を立ててシユウの上半身と下半身を切断した。

 ユウキ側の2人は未だにシユウと戦っているにも関わらず、リンドウは文字通りシユウを瞬殺したのだった。

 動けないシユウのコアを回収してリンドウはユウキとアリサの様子を見に行った。

 

リンドウ「お!アリサが合流したのか…神裂のやつ、随分キツいこと言われてんなぁ…」

 

 リンドウが来たのはアリサが合流して、ユウキが『邪魔だから消えろ』と言われた辺りだった。

 ユウキが銃形態に変形して頭を狙うが、アリサとシユウが動き回るため狙いをつけられず、アリサは翼手への攻撃することに躍起になっているのか、ユウキのサポートの事など考えていない。

 

リンドウ(うーん…連携が取れてないなぁ。アリサはスタンドプレイ状態だし、神裂がそれについていけてない…)

 

 リンドウは2人の共闘をスタンドプレイと評価した。ユウキは共闘で銃形態をあまり使わないので、ユウキが銃を使って合わせるよりも、アリサがユウキに合わせて動く、あるいはどちらも剣形態で連携を取る方がいいだろう。

 そんな中、ユウキが剣形態に変形してアリサと共にシユウを圧していく。アリサとユウキがシユウをX字の傷をつけた。

 

リンドウ(…剣形態ならまずまずの連携だな。まだお互いの長所を生かしきれていないが…)

 

 先よりも評価は高いがまだ改善の余地があるとしている。

 

リンドウ(神裂は高い反射神経と身体能力、そしてバースト時の能力上昇率…アリサはアラガミを研究し尽くされた立ち回りと最大効果を発揮できる戦術理論…だが…)

 

 一見うまく役割が別れているようだが、それの担う者が逆なのだ。リンドウの分析した長所を生かすにはユウキが前線で接近戦、アリサが後衛で作戦指揮というのがセオリーなはずである。

 そんな事を考えているとユウキがシユウの攻撃を受け、雰囲気が変わった事に気がついた。

 

リンドウ(!!あの表情は…!)

 

 リンドウはユウキの目付きが鋭くなった表情に見覚えがあった。初めてリンドウとユウキが会った時の表情だ。

 一瞬リンドウも怯んだがすぐに我に還り、戦いの行く末を見守る。そうしているとシユウが2つに別れて倒れた。

 

リンドウ(終わったか。さて、そろそろ行くか。)

 

 そしてリンドウはユウキとアリサに合流した。さっきの戦闘でのユウキの傷が気になるので見せるように言う。その頃にはいつもの雰囲気に戻っていた。

 

リンドウ「出血は止まっているな。これならルミコ先生に観てもらえばすぐによくなるだろう。」

 

 ユウキが傷を観て貰っている中、アリサが先に待機ポイントに向かって歩き出す。

 

リンドウ「アリサ!お前を助けて怪我したんだ。何か言うことがあるだろ?」

 

アリサ「それは神裂さんが勝手にやったことです。それに、私はそんなこと頼んでませんし、私一人でどうにかできました。」

 

リンドウ「そんな言い方は無いんじゃないか?」

 

ユウキ「リンドウさん…もういいですから…」

 

 喧嘩になりそうな雰囲気だったので思わず止めてしまった。しかし、アリサはさらに挑発的な発言をする。

 

アリサ「知りません。元々他人をアテにはしていませんし、一人でも戦えるように戦術を組んであるので問題ありません。」

 

 何やらアリサはムキになって言い返し、再び待機ポイントに向かって歩き出す。リンドウは頭を掻き、ユウキは苦笑いをしながら続いて待機ポイントに歩き出す。

 

To be continued




 今回はアリサとの絡みがメインとなっております。...初期アリサってこんな感じだったかなぁ?何だかただの嫌な奴みたいになった気がします。
 そして、戦闘以外でエリックパパとエリナとも絡ませてみました。エリックが死んでからの2人の関係の変化があまり語られてないので、自分なりの解釈で書いてみました。
 エリックパパは息子の死を受け入れ、エリナは受け入れられないでいるところを表現したつもりです。
 リンドウさんは無双ゲーみたくバッサバッサと斬り倒せますが、今までは演習がてら任務に行くため、手を抜いていただけです。
 あと、主人公は初です。プロローグでの生活を考えると当然と言えば当然ですが。
 指で×印作るジーナさんを想像したらなんか可愛かった。
 文字数は...もういいや
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