GOD EATER ~The Broker~   作:魔狼の盾

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 物語を進めたいのに横道にそれてしまう...ただでさえ遅いのに( ;´・ω・`)
 そんなこんなで今回は本格的な訓練回です。


mission17 強化

 -エントランス-

 

 アリサの見舞いの後、エントランスに戻り、特訓のためにツバキを探す。が、今は忙しく、ユウキの面倒を観る余裕はないようだ。

 ならば実践経験が豊富そうな人物に声をかける。

 

ユウキ「ゲンさん。少し時間ありますか?」

 

ゲン「なんだ?坊主?」

 

 普段ユウキからゲンに話しかける事が少ないので少し驚いたが、いつも通りの雰囲気で受け答えする。

 

ユウキ「俺を…鍛えてください。」

 

 ゲンは驚いた様な表情をしていたが、この要望には本来適切な人物がいるので、一応その事を話しておく。

 

ゲン「それなら旧型神機よりも古い神機を使っていた俺よりも、ツバキの方が適任だろう?」

 

ユウキ「ツバキさんは忙しいみたいで…それに立ち回りや戦術についてはゲンさんの方が詳しいと思ったので。」

 

 ユウキは『お願いします』と言い、頭を下げて頼む。

 

ゲン「まあ、わかった…俺でいいなら付き合おう。」

 

ユウキ「ありがとうございます!えっと…早速なんですが…今からでもいいですか?」

 

 『今から』と言うことだが、ゲンにも少し準備があるので、ユウキを先に訓練室に行かせる事にした。

 

ゲン「先に行って準備しておけ。俺もすぐに向かう。」

 

ユウキ「はい!」

 

 こうしてユウキの特訓が始まった。

 

 -訓練室-

 

 訓練室にて、フィールドマップを再現したホログラムマップが投影され、より実戦的な訓練を行っている。

 ちなみにユウキは神機の扱い方と、何もない場所での戦闘訓練のために訓練室を利用していたので、今までにフィールド再現機能を使った事がなかった。コウタは訓練期間が長かったため、この機能を使った訓練もした事がある。

 現在、贖罪の街のホログラムマップにて、ヴァジュラ2体を相手にしている。ヴァジュラの素早い動きに翻弄され、何度も攻撃を受けながらも何とか戦っている。

 今は大穴の空いたビル内で戦闘している。このビルは西の広場と、そこから迂回して裏手にある小道と繋がっている。現在この2方向から挟まれている。西の広場側のヴァジュラが電撃を撃つために構えるが、血を吹き出して倒れ込む。どうやら瀕死のようだ。先にこのヴァジュラを倒すため、シュトルムで一気に近づいて捕食、バーストする。

 このとき、ヴァジュラが立ち上がろうとしたので、神機を上段に構えて一気に降り下ろし、顔面を2つに別けて倒した。

 直ぐに次のヴァジュラに標的を移す。…が、

 

ゲン「バカ野郎!!自分で退路を絶つ奴があるか!!どんな状況下でも常に退路を意識して戦え!!」

 

ユウキ「!!はい!!」

 

 倒したヴァジュラが、広場に続く大穴を塞ぐ様に倒れている。これでは折角動きやすく、退路も多い広場に出て戦う事ができない。敵を倒すことしか考えず、先の展開を読めていない証拠だ。特に乱戦では動きやすい場所と退路の確保が重要になるため、尚更先の展開を読むということが必要になる。

 そんな調子で1日目の深夜0時まで特訓が続いた。

 

 -翌日、午前-

 

 午前中はツバキの予定が空いているので、訓練を見てもらう。現在グボロ・グボロ2体とヴァジュラ1体と戦闘している。ヴァジュラがユウキに飛び掛かり、グボロ・グボロが水球を射ってきた。

 3方向からの同時に攻撃を、跳んでいるヴァジュラの下をステップで潜り抜け、シュトルムで真後ろに加速する。進行方向とは真逆に急反転したため、体に若干の痛みがあったが、それでもヴァジュラの捕食し、バーストする。

 そこから体を回転させてヴァジュラを斬る。しかし、ヴァジュラもその事を察知したのか、ユウキから距離を取る方向に走る。だが、走り出しが僅かに遅く、後ろの左足を切り落とされた。

 

ユウキ(一本か…だがこれで足を封じた!)

 

 すると1体のグボロ・グボロが突撃してくる。それを右に跳んで躱すが、残ったグボロ・グボロが先読みしたように移動先の上空から酸の雨を降らせる。ユウキは再び真後ろに跳んで回避する。

 回避後、突撃してきたグボロ・グボロに一瞬で近づき顔面を斬る。しかし、切れ目は入ったが、あまり効いている様子はない。

 

ユウキ(チッ…ならさっきのアラガミバレットで!)

 

 下から上に切り上げながら銃形態に変形してグボロ・グボロの上に跳ぶ。対して2体のグボロ・グボロは、上を見上げながら水球を発射する体勢に入る。

 水球を発射される前に、顔面を斬ったグボロ・グボロに雷球を発射する。雷球はグボロ・グボロを貫通して風穴を開けた。

 もう一方のグボロ・グボロはその隙に水球を発射する。しかし、雷球を射った時の反動でユウキは後ろに飛んでいたので、当たることはなかった。

 着地して、剣形態に変形しようとするが、足元が光る。いつかのコンゴウの時のように地面からの攻撃と判断し、後ろに跳んで回避する。すると、さっきまでユウキがいた場所には電撃が発生した。どうやら、ろくに動けないヴァジュラのせめてもの抵抗と言ったところか。

 しかし、回避直後の隙を狙い、グボロ・グボロが突っ込んできた。それを右に躱し、先程阻止された剣形態への変形を試みるが、グボロ・グボロが左右に大きく体を振って暴れだした。

 

ユウキ「グッ!!」

 

 辛うじて避けるが、意識をグボロ・グボロに持っていかれたため、ユウキの足元が光っていることに気がつかなかった。

 バリバリ!と雷音を響かせてユウキに電撃が直撃した。

 

ツバキ「変形までが遅い!本来スナイパーは遠距離武器だ。さらに銃形態では装甲の展開もできん!近距離でのスナイパーの運用は迅速に行え!!」

 

ユウキ「ぐ…はい!」

 

 電撃を食らいながらも即座に体勢を建て直して、ようやく剣形態に変形する。動けないからといって残しておくと、乱戦になり厄介だと言うことがわかったので、先にヴァジュラを仕留める。

 シュトルムで一気に近づき、力任せに神機を振ってヴァジュラを倒す。そして、走ってくるグボロ・グボロに雷球を発射し、全てのアラガミを仕留めた。

 

ツバキ「始めて神機を使ったときにも言ったが、神機はお前の手足も同然だ。変形を含めた各種動作はお前次第でいくらでも短縮できる。今後の課題は動作時間のさらなる短縮と回避等の動きながら操作することだ。いいな。」

 

ユウキ「はい。」

 

ツバキ「よし。続けるぞ!」

 

 こうしてツバキが居る午前中の特訓が進んでいった。

 

 -午後-

 

 昼食を済ませて、特訓の前にアリサの様子を見に行く。しかし、面会謝絶な上、少し前に眠ってしまったらしく、話すことはできなかった。ちなみにルミコ曰く、薬物による睡眠ではなく自然な睡眠だったとの事だ。午前中は錯乱もなく、眠そうだったが意識はしっかりしていたらしい。

 取り合えず錯乱や暴走から暴れたという話は無いようだ。アリサの現状に安心して午後の特訓に向かう。

 訓練室に着くと既にゲンが来ていた。神機の準備を済ませて訓練室に入る。

 

ゲン「今回坊主にやってもらうのは環境の利用だ。」

 

ユウキ「環境の利用…ですか?」

 

 『環境の利用』と言う聞きなれない言葉に疑問を持つ。直ぐにゲンが説明に入る。

 

ゲン「環境の利用ってのは、例えば地形、天候、明暗…さらには自分の癖や敵の特性...こう言ったものを利用して自分が有利な状況を作り出すことだ。」

 

ユウキ「その場にあるものを利用して、敵を追い詰めるって事ですか?」

 

ゲン「そうだ。まさに利用できるものは全て利用しろってことだ。」

 

 『利用できるものは全て利用する』戦場で生き残るには当たり前の事ではあるが、実際の戦場でそこまで考える余裕は、今までのユウキにはなかった。今ならそれができるだろうか?

 そんなことを考えていると、いつの間にか鉄塔の森のホログラムマップが展開されていた。

 ゲンがここでの立ち回りについてアドバイスをする。

 

ゲン「このマップでは高低差とそれによる遮蔽物が多くなっている。こんな場所ではスナイパー特にが有利だ。」

 

  『ガアァァァ…』

 

 アラガミの鳴き声が聞こえる。このフィールドのどこかに出現したようだ。

 

ゲン「スナイパーは敵に見つからない位置から奇襲できるメリットがある!射ったら即座に移動して別の狙撃ポイントに向かえ!決してアラガミに見つかるな!」

 

ユウキ「はい!」

 

ユウキ(と言うことは作戦地域のマップと狙撃ポイントを覚えておかないといけないな…)

 

 フィールドの中心にある塔に向かい移動する。フィールドの奥にはヴァジュラが捕食していた。

 ステルスフィールドを展開して奥に通じる小道に出る。小道の終わりにある柱の影に隠れて尻尾を狙い射つ。直撃して尻尾が砕け、ヴァジュラが仰け反る。その間に後退し、中心の塔から離れる。

 塔から出た所で再びステルスフィールドを展開する。そこからフィールドの東側に移動し、広い高台に登る。途中ヴァジュラが横切ったが、ステルスフィールドのお陰で見つかることは無かった。高台の上から通りすぎたヴァジュラを狙う。今度は爆破レーザーをセットして胴体を射つ。その直後、スタングレネードをヴァジュラに向かって投げつけながら後ろに下がる。すると着弾してヴァジュラの注意がこちらに向く。しかし、その頃には念のため後ろに下がったことで、ヴァジュラからは見えない位置に居る。そのため、発見はされることはない。さらに、振り向くと本命のスタングレネードがヴァジュラの顔面に迫っている。

 バン!という炸裂音と共に、閃光が辺りを包み、ヴァジュラの鳴き声が響く。この閃光は下がった位置からでも見えるので、光が収まった瞬間にヴァジュラが見える位置に移動し、爆破レーザーを射ち込む。

 ヴァジュラの視力が回復したと思われる頃合いに後ろに下がり、高台から中央の塔の横にある柱に飛び移る。ここは普段、アラガミが移動する獣道となっているので、ここを通らないことを祈る。

 ヴァジュラがそのま獣道の下を走り抜ける。その直後、ユウキは獣道から飛び降りて尻尾を切り落とす。大きなダメージが入り、ヴァジュラが仰け反る。その隙にコンボ捕食『弐式』で即座に捕食、バーストする。最後にヴァジュラがユウキの方に振り向くが、バーストした全力の一撃でヴァジュラの顔面を2つに割った。その余波でコアも破壊して、第1戦は終了した。

 ステルスフィールドと高低差、物影さらには獣道も利用してどうにか見つかることなく訓練を終えて、続けて第2戦を開始する。

 

 -2日後-

 

 ゲンとの特訓が終わり、翌日には捜索任務に出る。

 ちなみにいつかの約束の事もあり、カノンを始め、第二部隊を捜索隊に加えて任務に行った。

 その後はツバキもゲンもユウキの面倒が観れないため、自分で乱戦を想定した訓練をした。今回はうまい立ち回りができずにボコボコにされた。

 さらにその翌日、短いが午前も午後も時間があるので、ツバキに前日に行った乱戦を想定した訓練を観てもらう。

 訓練の内容はヴァジュラ3体の同時討伐となっている。マップは贖罪の街、待機ポイントからのスタートになる。

 しばらくして、西の広場にてヴァジュラ2体との乱戦になる。ゲンとの訓練で、動きやすい場所で戦闘している。

 だが、戦闘中に前後をヴァジュラに挟まれた。眼前のヴァジュラが前足を降り下ろす。ユウキは即座に反応し、降り下ろしてきた方向に逆らうように神機を振り抜きながら後ろに跳ぶ。

 すると後方のヴァジュラが噛みついてきたので、バック宙で真上に跳ぶ。体の正面が下になったところで、ヴァジュラの頭上からインパルスエッジを叩き込む。爆発のダメージでヴァジュラの頭が砕け、さらにその衝撃でユウキはヴァジュラの後ろまで移動した。

 一度距離を取るために、ステップで後退する。それと同時にスタングレネードを準備する。あとはヴァジュラ2体がこちらを向けば、グレネードを叩きつけて捕食し、総攻撃をかける予定だった。

 後退した先にビル内部に通じる大穴があり、そこから3体目のヴァジュラが飛び出してきた。

 

ユウキ「ガァッ!」

 

 まともにタックルを受けて大きく吹き飛ばされて3回バウンドして転がっていった。

 

ツバキ「何をしている!視覚だけに頼るな!聴覚、嗅覚、触覚…動きながらもあらゆる感覚を研ぎ澄ませて敵の位置や行動を察知しろ!」

 

 ツバキから叱責が飛んでくる。感覚を研ぎ澄ませて周囲を探る。動く必要がなく、集中できる状況であれば不可能ではないが、戦闘中、さらには乱戦の最中となると、他に意識を割いてしまうため中々難しい。

 

ユウキ(くそ…壁の向こうにいたのか…!)

 

 内心悪態をつきながら、転がりつつも体勢を建て直し、なんとかスムーズに立ち上がる。倒れる事がなかったので即座にグレネードを叩きつけて破裂させる。3体のヴァジュラがユウキに向かっていたので3体とも目を眩ませる。

 動きが止まりその隙にチャージ捕食でバーストする。捕食したヴァジュラに全力で神機を振るい、足と胴体を切り離す。動けなくなったヴァジュラをすれ違い様にコアごと切り裂き、次のヴァジュラまで一瞬で近づく。砕けた頭を狙い、神機を水平に振り、今度は胴体を真っ二つにする。最後のヴァジュラにも一瞬で近づき、上から下へと神機を振り下ろし、一撃で倒した。

 訓練が終了し、次の訓練に入る前にツバキの言っていたことで気になっていることを聞いてみる。

 

ユウキ「ツバキさん。あらゆる感覚を使って敵の動きや居場所を察知するって…実際にできるんですか?」

 

ツバキ「信じられないか?いいだろう、見せてやる。そこで待っていろ。」

 

 そう言うとツバキは管制室から出て行き、数分後に、ホログラムマップ内にやって来た。手にはハンドガンが握られている。

 ユウキの横を通りすぎ、少し前に出た所で手頃な石ころを拾い、ユウキに投げ渡す。

 

ツバキ「そいつ好きな所に落とせ。落ちた瞬間に射ち抜いてやる。射たれたくなければ自分の近くには落とさないことだな。」

 

 そう言ってツバキはユウキに背を向けて離れて行った。ある程度離れると目隠しをして、右手に銃を握る。

 半信半疑だったが、取り合えず投げる場所を考える。特に理由は無いがツバキの右後ろに5m程離れた場所に投げた。

 石ころは放物線を描き、地面に向かって落ちていく。

 

  『カツン!』

 

 石ころが地面に当たった瞬間、ツバキが動く。

 

  『バン!!』

 

 短い発砲音がなる。石ころが地面に当たったのと同時だった。しかもツバキは振り返る事もなく、右手を後ろに伸ばして正確に石ころを射ち抜いた。

 まるで後ろにも目があるのではないかと思わせる動きだった。

 

ツバキ「感覚を研ぎ澄ませばこのような事もできる。これを実戦の動きの中でやるんだ。」

 

ユウキ(…俺にできるのか…?)

 

 先の人間離れした技を見て呆然としていた。そろそろツバキが人間を辞めているのではないかと思い始めていた。

 

ツバキ「とは言え、私も1年以上のブランクがあるからな…もう実戦の動きをしながらは無理だろうな…」

 

ユウキ(現役時代はもっとすごかったのか…?)

 

 『やっぱり人間離れしてる…』と考えているとツバキの表情が険しくなる。

 

ツバキ「なにか失礼な事を考えていないか?」

 

ユウキ「い、いえ!そんなことはありません!」

 

 両手と首をブンブンと振って否定する。...その行動が答えを言っているようなものだが。

 

ツバキ「ふぅ…まあいい。私が上に戻ったら再開するぞ。今のように視覚以外の感覚を使って見えない角度の敵を倒してみろ。」

 

 そう言ってツバキは上に戻り、ユウキの特訓が再開された。

 

 -翌日-

 

 贖罪の街のホログラムマップにて、ヴァジュラ2体の討伐訓練を行っている。現在、西の広場で1体に見つかり戦闘中である。

 ちなみに他のヴァジュラにはまだ見つかっていない。

 

ユウキ(そう言えばここって高低差や遮蔽物が少ないな…地形の利用は難しいか…?)

 

 以前であればそんなことを考える余裕さえ無かったが、何度も乱戦の特訓をし、戦闘中も先の展開を読むように努めたため、今では何か利用できるものはないか考える程度ならできるようになった。

 そうして試行錯誤していくうちに、利用できそうなものを思い付く。

 

ユウキ(いや、狭い空間ならヴァジュラの機動力を殺せるはず。なら…)

 

 思い立ったら即行動。戦場では迷っている時間はない。その一瞬の判断が生死を別けることさえあるのだから尚更だ。

 

ユウキ(っと!その前に…)

 

 西の広場から大穴を通り、ビルの内部に入るつもりだったが、入った先に別のヴァジュラが居ると乱戦になる。まだ他のヴァジュラに見つかっていないので、各個撃破を狙いたい。

 そこで、ビルの方面から足音等の物音がしないことを確認する。今回はそこような音を聞き取れなかったので、ビルの内部に走る。人間にとってはそれなりに広い空間でも、大型アラガミにとってはかなり動きを制限される空間となっている。

 ヴァジュラがタックルしてきたので、それを横に跳んで回避する。狭い空間で勢いよくタックルしたため、止まりきれずに壁に激突した。その隙に捕食しようと、一気に近づく。しかし、ヴァジュラが帯電したことに気がついて即後ろに跳ぶ。

 動きにくくても行動の切り替えは早いままのようだ。次の行動で隙ができるか瞬時に判断して動く必要がある。

 帰り際に、ビルの奥の壊れた壁のさらに奥にある小道がふと目に入る。

 

ユウキ(あ、そうだ!)

 

 何か思い付いたらしく、最後のヴァジュラを探しに教会の中に行くが、その間にバースト状態が解除された。

 運良く教会内でヴァジュラを発見した。ヴァジュラはこちらを探しているように見えるが、未だユウキを発見できずにいた。今のうちに先程思い付いた作戦のためにヴァジュラを誘き出す方法を考える。

 

ユウキ(ヴァジュラは視覚で敵を捕捉していた…なら直接攻撃して誘き出すか。)

 

 ヴァジュラは特別聴覚が優れている訳でも、気配を察知する能力に長けている訳でもない。ならば、奇襲で先制攻撃を仕掛けて大ダメージを狙いつつ、注意をこちらに向けるのが得策と考えた。

 銃身に変形し、ヴァジュラを射つ。こちらに気付いたので、最初に戦った場所に戻る。途中広場でヴァジュラに追い付かれたが、振り向きつつ、顔面に全力攻撃を叩き込み、無理矢理距離を取る。追い回されてから、離れ過ぎないように注意して、ビル内部に侵入する。

 そしてビルの奥にある小道に向かう。そこは大型アラガミが通るとことができる程度の幅となっている。ヴァジュラが向かってきているのを確認して、ホールドトラップを設置する。

 ヴァジュラは細い小道を通り、ユウキに飛び掛かる。が、そこにはホールドトラップが仕掛けてある。ヴァジュラはそのトラップを踏み、動けなくなる。そこを捕食し、バーストした腕力でヴァジュラを切り捨てた。

 その後、休憩に入った。ゲンが下まで降りてきてユウキに缶ジュースを渡した。

 

ゲン「ほれ。」

 

ユウキ「あ、ありがとうございます。」

 

 ユウキはジュースを受け取り、一息つく。その時、ふと先の訓練の評価が気になり聞いてみた。

 

ユウキ「ゲンさん。最後の細道に敵を誘ってトラップに嵌めるのはどうでしたか?結構良い作戦だったと思うのですが...」

 

ゲン「敵が空を飛ばない、近距離攻撃をメインに使うのならば有効だな。空を飛ぶ、遠距離攻撃メインなら、まずトラップに近づく必要がない。」

 

 『なるほど、確かにその通りだ』とユウキも納得する。トラップの起動には敵がトラップを踏む必要があるため、飛行しているのならそもそも踏むことはない。

 さらに、小道での戦闘は逃げ場が無くなるため、退路の確認と確保か必要となる。今回は小道の先が西の広場に繋がっているため、退路はあるが、そこから侵入さられたら逃げ道かなくなり挟み撃ちになる。

 『ヴァジュラがもう1体小道に侵入したら』そう考えるとゾッとする。そうならないように敵の数や位置関係を把握しておく必要がある。

 その事を踏まえた上で、訓練を再開する。

 

 -翌日-

 

 ツバキの指導の下、前日と同様に贖罪の街でヴァジュラ2体との戦闘をしてる。そして、教会入り口でヴァジュラ1体と戦闘中である。

 ユウキは高台に登り、銃形態で攻撃する。対してヴァジュラは雷球を飛ばしたり、地面から電撃を射つことで対抗している。が、動き回るヴァジュラに狙いをつけるというのは中々難しく、結局有効打を与える事なくオラクルを射ち尽くしてしまった。

 ヴァジュラがユウキの方を向いた瞬間、剣形態に変形しながら高台から飛び降りて顔面に一撃入れる。するとヴァジュラが噛みついてきたので、後ろに下がる。それと同時にスタングレネードのを握った所であることに気がつく。

 

ユウキ(!いるな…)

 

 『ズシン…ズシン…』と重厚感のある足音が近くで聞こえる。今ここでグレネードを破裂させると恐らく気づかれるだろう。実戦なら安全をとって離れるところだろうが、これは訓練だ。出来ることと出来ないことを試すのも訓練であるはずだ。そこまでを一瞬で考えて、グレネードを叩きつける。ヴァジュラの目が眩み、動きが止まる。

 『ズシン!ズシン!』と足音が早くなる。気付かれたのは間違いないないだろう。そう考えながら神機で一撃入れ、コンボ捕食を成功させる。今回試したかったのは自身の聴覚での策敵範囲と、捕食を開始してから倒すまでの時間だった。前者はグレネードが破裂してからユウキの前に現れる時間でおおよその距離は特定できる。後者はバーストした時に敵を倒すまでの時間を知ることで、複数体討伐時の判断基準にするデータを取るためだ。ただし、敵によっては固いものもいるだろうから過信はできない。

 捕食が成功したことでバーストし、即座に神機を振って倒す。捕食を開始してから倒すまでに約5秒かかった。『まだ遅い』とは思うが、もう一体が迫っているため、今は深く考えない。

 教会の陰から出てきたヴァジュラを銃身で射ち抜き、標的がこちらに気づいて振り向く前に接近しつつ剣形態に変化して、ヴァジュラを真っ二つに切り捨てた。その間約1秒弱。ギリギリ変形が間に合ったと言ったところだ。

 ホログラムが解除されてツバキから通信が入る。

 

ツバキ「ふむ、聴覚での索敵は妥協点と言ったところか。まだ他の感覚を使うのは難しいようだな。」

 

ユウキ(あれでも妥協点か…)

 

 ユウキはそんなことを考えながら項垂れてた。すると今ツバキが使っている通信機とは別の端末からコール音が聞こえる。

 

ツバキ「すまないが予定が入った。私はこれで失礼する。」

 

 そう言ってツバキは管制室から出ていった。と思ったが、すぐに戻り再び通信を入れる。

 

ツバキ「今日最後のアドバイスだ。お前の最大の特長は神機との適合率だ。その適合率で神機の能力を引き出せば、普段からバースト状態のように一撃でアラガミを倒せるだろう。自分と神機が一体になる感覚を早く掴むことだ。」

 

 それだけ言うと今度こそツバキは管制室から出ていった。

 

To be continued




 今回は訓練回リターンでした。戦術や戦い方など自分の独自解釈がかなり入ってるので、『普通こんなことしねぇよ』みたいな事を書いているかも知れません。
 一応最初だけは書いたのですが、主人公は飯や休憩の度にアリサの様子を見に行っていますが、全て面会謝絶で会えないでいます。
 ここら辺で一気に強くならないと後々色々と困る展開が多くなってくるですよね。なので、無理矢理ですが主人公の修行回を挟むことにしました。
 ...正直自分で書いてて主人公がピエロと言うか物語に振り回されているように見えてくるのですが読者様からはどう映っているのでしょうか?
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