GOD EATER ~The Broker~   作:魔狼の盾

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今回からは実戦に入ります。ついにあの人が本格的に物語に登場します。


mission4 悪鬼の尾

 ツバキが去った後、丸一日訓練して使いやすい神機の組み合わせを探した。その結果、ロング、シールド、スナイパーで運用することにした。次点でヴァリアントサイズも使いやすかったが、ポール型神機はおすすめできないとツバキが言っていたので候補から外した。

 この組み合わせの理由は、単純に使いやすい、クロスレンジでは剣形態、ミドル、ロングレンジに適した銃形態とオールレンジに対応出来ること、そして基本的に全物理属性に特化して攻撃できること。この三つである。

 訓練も終わり、次の日になるとエントランスに向かう。確か今日から早速実戦に向かうはず。ヒバリに聞いてみると、上官と一緒に行くことになっているため、神機の準備をして待機するようにとのことだった。

 少し待っていると、見たことのある顔が目に入る。そう、ユウキを神機使いにスカウトした張本人だった。こちらに気付いたのか近づいてくる。

 

ヒバリ「あ、リンドウさん。支部長が見かけたら顔を見せに来いと言ってましたよ?」

 

リンドウ「オーケー、見かけなかったことにしといてくれ。」

 

 ...それでいいのか?なんだか初めて会ったときとはまるで別人のような雰囲気だ。そうしているうちにリンドウがこっちに来た。

 

リンドウ「よう新入り。無事にゴッドイーターになれたみたいだな。俺は『雨宮リンドウ』形式上お前の上官にあたる...が、まあ面倒くさい話は省略する。とりあえず、とっとと背中を預けられるぐらいに育ってくれ。な?」

 

サクヤ「あ、もしかしてこの間言ってた新人さん?」

 

 気がつくとサクヤが話しかけてきた。

 

リンドウ「あー、今厳しい規律を叩き込んでるんだから...向こうに行ってなさいサクヤ君。」

 

サクヤ「了解です上官殿。」

 

 ...厳しい規律?そんなもの叩き込まれた覚えがない...そういえばサクヤはリンドウのことを上官と言っていたことから、リンドウはサクヤの上官でもあるらしい。上官に対して軽口を言える辺り彼らも支部長と博士のような関係だろうか?そんなこと考えているとサクヤが手を振り、去っていった。

 

リンドウ「とまあ、そうゆうワケで...だ...さっそくお前には実戦に出てもらうんだが、今回の任務には俺も行する。」

 

 一度視線をはずして時間を確認する。

 

リンドウ「...っと、時間だ。出発するぞ。」

 

 -贖罪の街-

 

リンドウ「ここも随分荒れちまったなぁ...」

 

 待機ポイントから街の様子をみていたリンドウがこちらを見る。

 

リンドウ「おい新入り。実地演習を始めるぞ。命令は3つ。」

 

 そう言って命令の内容を説明する。

 

リンドウ「死ぬな。」

 

 人差し指を立てる。

 

リンドウ「死にそうになったら逃げろ。」

 

 続いて中指を立てる。

 

リンドウ「そんで、隠れろ。」

 

 さらに薬指を立てる。

 

リンドウ「運がよければ不意をついて...ぶっ殺せ!」

 

 拳を握りながら親指を立てる。...これでは4つになるはず...

 

リンドウ「あ?これじゃ4つか?」

 

 やっぱりそうだった。

 

リンドウ「ま、とにかく生き延びろ。それさえ守ればあとは万事どうにでもなる。」

 

 正直意外ではあった。容赦するなとか、徹底的に叩き潰せとか、自分が死んでも敵を殺せとか、そんな命令を出すのかと思ったが、実際に出された命令は真逆の内容だった。『敵を倒すのは二の次にしてとにかく生き延びろ』そんな風に言ってるように聞こえた。

 

リンドウ「さーて、始めるか。」

 

 そう言ってリンドウは待機ポイントから飛び降りる。それに続いてユウキも飛び降りた。

 

リンドウ「あくまで俺はサポートだ。お前がヤバくなったら手を出すが...それまでは自分で戦え。いいな?」

 

 移動しながら作戦を伝える。作戦内容を聞きユウキは頷く。

 そう、実戦とはいえあくまで実地『演習』なのだ。新人が自分の力でやらなければならない。そうでなければ、実戦に出ることなど到底できない。ましてろくな訓練も積んでいないまま戦場に出るため、ここで実力を付けないとあっという間にあの世行きなんて事になりかねない。

 そうしていると崩れた教会の入り口付近にターゲットであるオウガテイルを見つけた。オウガテイルはまだこちらに気づいていない。奇襲をかけるため、銃形態に変形してステルスフィールドを展開する。そのままオウガテイルを横切り、近くの小屋の影から狙い撃つ。ステルスフィールドが解除され、オウガテイルにも気づかれた。剣形態に変形して空中から切り付けて攻撃する。訓練の時と違い、怯む様子もない。一端離れて構え直す。オウガテイルがこちらに向かってくるので軸をずらして切り込む。ここでようやく怯んだのでインパルスエッジを打ち込むとオウガテイルが倒れた。そこで神機に捕食させる。バーストして神機を力任せに振るとオウガテイルを大きく引き裂き、吹き飛ばした。そのまま他の建物に激突した。その隙を突くためステップを使い一瞬で近づき、一撃入れる。そしてオウガテイルが絶命した。コアと素材の回収のため捕食する。これで任務は終了した。しかしリンドウは違和感を覚えた。

 

リンドウ(ん~...ゴッドイーター並みの運動能力を持ってたからてっきりトンデモ身体能力になると思ってたんだが...なんでだ?)

 

 リンドウの思惑ではゴッドイーターを凌駕する身体能力を手に入れると思っていたが、実際には普通のゴッドイーターと大して変わらなかった。ただバースト時の能力向上は他のゴッドイーターより上だった。どう言うことか考えているとユウキが戻ってきた。

 

リンドウ「おう!お疲れ。訓練と比べるとタフだったろ?実戦なんてそんなもんさ。油断しないようにな。」

 

 ユウキは頷いて返事をする。

 

リンドウ「よし。今日のミッションはこれで終了だ。帰投するぞ。」

 

 そう言って待機ポイントに戻るリンドウに着いて行った。

 

 -極東支部-

 

 極東支部に戻った後、ヒバリから報酬を口座に振り込んだという報告と一緒にペイラーのラボで新人向けの講義があると聞いたので、リンドウと別れてラボに向かう。ラボに着いたらもうコウタが来ていた。

 

ペイラー「来たね。」

 

 どうやらユウキが来るのを待っていたようだ。ユウキが座るとペイラーが咳払いをして講義が始まる。

 

ペイラー「さて、いきなりだけど...君はアラガミってどんな存在だと思う?」

 

 質問の意図がわからずユウキは首をかしげる。

 

ペイラー「『人類の天敵』『絶対の捕食者』『世界を破壊するもの』...まぁ、こんな所かな?これらは認識としては間違っていない。むしろ、目の前にある事象を素直に捉えられていると言えるだろうね。じゃあ、なぜ、どうやってアラガミは現れたのか?って考えたことあるかい?」

 

 そこまで話すとペイラーは室内を彷徨きながら講義を続ける。

 

ペイラー「君たちも知っての通りアラガミはある日突然現れて爆発的に増殖した。そう、まるで進化の過程をすっ飛ばしたようにね。」

 

コウタ「ふぁぁぁ...」

 

 講義がつまらないのだろうかコウタはあくびをしてこちらに話しかける。

 

コウタ「なあなあ...この講義必要?アラガミの存在意義なんて知る意味あんのかな?」

 

ペイラー「そうかね?」

 

コウタ「うげっ!!!」

 

 一端離れたはずのペイラーがいつの間にかコウタの横にたっており、コウタの頭を小突きながら講義を再開する。

 

ペイラー「アラガミには脳がない、心臓も、脊髄すらありはしない。私たち人間は頭や胸を吹き飛ばせば死んじゃうけど、アラガミはそんなことでは倒れない。アラガミは考え、捕食を行う一個の単細胞生物、『オラクル細胞』の集まり...そう、アラガミは群体であってそれ自体が数万、数十万の生物の集まりなのさ。そしてその強固でしなやかな細胞結合は既存の通常兵器では全く破壊できないんだ。じゃあ君たちは、アラガミとどう戦えばいいんだろうね?」

 

コウタ「えーと、それは...神機でとにかく斬ったり撃ったり...」

 

 突然振られたため、つまりながらもコウタが答える。

 

ペイラー「そう、結論から言えば同じオラクル細胞が埋め込まれた生体武器『神機』を使って、アラガミのオラクル細胞結合を断ち切るしかない。だがそれによって霧散した細胞群もやがては再集合して、新たな個体を形成するだろう。彼らの行動を司る指令細胞群...『コア』を摘出するのが最善だけど、これがなかなか困難な作業なんだ。神機をもってしても、我々には決定打がない。いつの間にか人々は、この絶対の存在をここ極東地域に伝わる八百万の神に喩えて『アラガミ』と呼ぶようになったのさ。さて、今日の講義はここまでとしよう。アラガミについては、ターミナルにあるノルンのデータベースを参照しておくこと。いいね?」

 

 講義が終わったため、部屋に戻ろうと思いエレベータに向かうが...

 

コウタ「ユウキ!」

 

 コウタに止められた。

 

コウタ「この後時間ある?暇ならちょっと早いけど晩飯に行こうぜ!」

 

 どうやら夕飯に誘われているようだ。コウタに言われるままついていくといつの間にか食堂に着いていた。コウタはコーンスープとかき揚げ丼の食券を買った。

 

コウタ「食堂の飯もウマいんけど...ちょっと高いよなぁ...まだ訓練しかしてない俺にはちょっと辛いな...ユウキは何にした...の...?」

 

 そこにはコーンスープ(大盛り)の食券3枚にジャイアント焼きトウモロコシの食券2枚を買ったユウキがいた。

 

コウタ「こ、これが実戦に出た奴とそうでない奴の違いなのか...」

 

 がっくりとうなだれるコウタを放置して食券をカウンターに出しに行く。

 注文した料理を受け取り、テーブルに着く。気がついたら復活したコウタも前に座っていた。

 

コウタ「なぁ、実戦にでるってどんな感じだった?やっぱり怖いとかってあった?」

 

 コウタはどうやら実戦の空気というか雰囲気が気になるようだ。下手をすると死ぬかもしれないため、当然と言えば当然だが。ユウキは紙ナプキンに文字を書いて上官と一緒だったから特に怖いとかはなかったことなどを話した。そうやって話ながらスープ3杯とトウモロコシ1本を食べきり、残りの1本も半分まで食べた所で、不意に声をかけられる。

 

神機使い1「おやおや噂の新型様じゃないですかぁ。入隊早々こんなに腹一杯に食事するなんていいご身分ですねぇ」

 

 いかにも嫌味たっぷりな話方で話しかけられた。

 

コウタ「なにあんた。嫌味言いに来ただけなら早くどっか行きなよ。もう十分だろ?」

 

 コウタの口調も強くなる。

 

神機使い2「いやなに、噂の新型がどんな奴か気になったもんでな。チョイと見にきただけさ。それじゃあな。」

 

 振り返るついでに皿に置いておいたトウモロコシをはたき落とす。そしてもう一人がまだ残っている部分を踏みつけて去っていく。

 

コウタ「テメェ!!!」

 

 コウタは踏みつける瞬間、二人がニヤつきながら踏んでいくのをみていた。新型ということで特別扱いされているのを妬んでのことだろう。しかし、コウタは新型だから厚待遇なんてことは無く、むしろ訓練を積まずに実戦に出されるような状態だと聞いている。何よりユウキがちゃんと実戦に出て稼いだ金で購入したものだと知っていた。コウタ自身、ユウキが不当な手段で金を手に入れている訳ではないと知っていたため、尚更許せなかった。しかし...

 

神機使い1 「あ?」

 

コウタ「ユウキ?」

 

 ユウキは立ち上がると踏まれて飛び散ったトウモロコシをすべて集め、席に着くと食べ始めた。

 

コウタ「なっ!おいやめろよ!腹壊すぞ!」

 

 コウタが止めるがユウキはトウモロコシを完食した。食べ終わる頃には神機使い達は気色悪いと言いながら去っていった。そして再び紙ナプキンに文字を書き始めた。

 

『今日は誘ってくれてありがとう。誰かと夕飯食べるのって楽しいね』

 

コウタ「あ、ああ...俺で良かったらまた一緒に食べようぜ。」

 

『ありがとう。また誘ってね。』

 

 その書き置きを残すとユウキは自室に戻って行った。表情は相変わらず無表情のままだった。

 

 -極東支部帰投後-

 

時は遡り、極東支部にリンドウとユウキが帰投し、二人が別れた後。リンドウがカウンターでミッション終了の手続きをして、ヒバリから報告用の書類を受け取る。その後エレベータに乗って支部長室に向かおうとしていた。そこにツバキも一緒にエレベータに乗り込んだ。

 

リンドウ「おや、姉上も支部長室に?」

 

ツバキ「リンドウ...ここで姉上と呼ぶなと何度言えばわかる。」

 

リンドウ「はは、失礼しました。」

 

ツバキ「全く...で、どうだ?神裂の様子は?」

 

 ツバキはずっと気になっていたことをリンドウに聞いてみた。

 

リンドウ「訓練を積んでないんで、戦術に粗があるのは仕方ないんですが...それを無視できるほどの動きのよさはありますね。ただ...」

 

 リンドウが珍しく言いづらそうにしている。

 

ツバキ「ただ...なんだ?」

 

リンドウ「俺の予想ではもっとこう…トンデモゴッドイーター?になると思たんですよ。けど、運動能力にあまり変化が見られないんですよね、バースト時の能力上昇は異常なほど高いんですけど...」

 

ツバキ「気にはなるが、調べる余裕はないだろう。上層部は早くデータを寄越せとの一点張りだ。支部長の反対も押しきられてしまったしな。」

 

リンドウ「ん~...どうすっかなぁ...」

 

 頭を掻いているリンドウにツバキが話しかける。

 

ツバキ「リンドウ、あいつのこと...気にかけてやってくれ。上の都合で死なせたくはない。」

 

リンドウ「了解しました。上官殿」

 

 会話が終わるとちょうどエレベータが支部長室のフロアに到着した。

 

To be continued




 今回は初ミッションということで、リンドウさんに登場していただきました。戦闘描写が難しい...オウガテイルでどうやって上手いこと書けばいいのか...
 主人公の初期の扱いですが原作でも新型というだけで色々言われてたりしてたのでこんな感じで周囲からのイジメ的なことも結構されてきたと思います。コウタのキャラが崩壊しているような気がします。こんなキャラだったっけ?
 そして主人公の設定考えてたらぼくがかんがえたさいきょうのじんきつかい状態になってしまった...どうしよう
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