GOD EATER ~The Broker~   作:魔狼の盾

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おや…?ユウちゃんの様子が?


mission55 後輩

 -懲罰房-

 

「出ろ。ユウキ…」

 

 ユウキが懲罰房に入ってから1週間が経ち、ツバキから外に出るように指示される。久しぶりに他人の声を聞いたユウキは少し驚きながら立ち上がり外に出る。

 

「この1週間、懲罰房に入ったわけだが…少しは反省したんだろうな?」

 

「…はい…」

 

 ユウキなりに仲間に心配をかけた事は理解した。自分が逆の立場なら気が気でないだろうと考え、今後こう言った事は『できるだけ』しないようにしようと心の内に誓った。

 

「…なら良い。着いてこい。」

 

 ユウキの様子から嘘ではないと判断して、ツバキはユウキを連れて独房エリアを歩いていく。

 

「…ツバキさん、何処に行くんですか?」

 

「エントランスで新人を待たせてある。お前には彼らの教練も一部担当してもらう。」

 

「え"っ?!そんな話聞いてないんですけど…」

 

 エレベーターを待っている間にツバキから突然新人指導の仕事が入った事を伝えられたが、何の用意もしていなかったためユウキは少し焦りを見せる。

 

「当然だ。お前には今初めて言ったからな。」

 

「せめて何か一言言って欲しかったです…」

 

 エレベーターに乗り込み、動き始めたところでユウキはこのあとのスケジュールをどうするか考えなが愚痴った。

 

「何の為の懲罰房だと思っている。伝えたら教練の事を考えるだろう?」

 

「あー…まあ、それは分かりますけど…」

 

 懲罰房とは本来、自身の行いを振り返り何が悪かったのか、何を反省すべきかを考え、改善するためにある。そんな中、別の事を考えるための材料があると、反省する事から逃げてしまう。ユウキもその事は分かっているが、神気が壊れたり、適合率が下がったりと、色々と調べておきたい事もあった。

 今後の予定をどうするか考えていると、エレベーターが止まり扉が開く。その先、出撃ゲートの前には見覚えのない3人が立っていた。

 

「さて、今日から極東支部に配属になる新人3人を紹介する。」

 

「本日付でドイツ支部から転属となりました『アネット・ケーニッヒ』と申します。所属は第二部隊です。」

 

 金髪を頭の左側にまとめて非常に丈の短いスカートで青い戦闘服を纏った少女が元気よく自己紹介をする。

 

「イタリア支部から来ました『フェデリコ・カルーゾ』です!同じく本日付で第三部隊に配属になります。」

 

 黒髪にヘアバンドを巻き、緩めのパーカーを着た少年が緊張した様子でユウキに挨拶をする。

 

「ロシア支部より転属になります『ユーリ・イヴァーノヴィチ・ヴァルバロス』です。所属は第四部隊です。よろしくお願いします。」

 

 少し外に跳ねた金髪にミニジャケットを来た少年は丁寧な口調でユウキにお辞儀する。

 

「本日より神裂少尉には彼らの教練も一部担当してもらう。新型の戦い方は私よりもお前の方が詳しいだろうからな。」

 

「は、はい!」

 

 自分が直接指導する初めての後輩と言うこともあり、ユウキも少し緊張した顔立ちで返事をする。

 

(あれ?そう言えばレンは…?)

 

 ふとツバキから1週間前に襲撃から助けてくれたレンの紹介が無かった事を思い出す。一応既に個人的に顔合わせはしてあるので、改めて紹介するまでもないと判断したのだろうかと考えていると、ツバキの声で新人の紹介に意識を戻す。

 

「アリサにも教練の補佐をするように伝えてある。出来る限りでいいから面倒を見てやってくれ。」

 

「っ!…分かりました。」

 

「ではこのあとの予定だが、3人ともメディカルチェックを受けてもらう。そうだな…」

 

 言い終わるとツバキは腕時計を確認する。ペイラーの支部長代理としての仕事を一区切りつけ、その後にメディカルチェックの準備をする時間を計算していく。

 

「恐らく準備に1時間程かかる。それまで支部を見て周るなり、自由に過ごすと良い。」

 

「「「はい!!」」」

 

 ツバキは今後の予定を伝えると、新人をユウキに任せて一旦その場を後にする。ツバキがその場を立ち去ったところで、自身の自己紹介をしていなかった事を思い出した。

 

「それじゃあ改めまして…俺は神裂ユウキです。よろしく。一応3人の先輩だけど歳も近いみたいだから、あまり畏まらないでね。」

 

 なるべく警戒心や恐怖心を抱かせない様に、穏やかな口調と朗らかな笑顔で自己紹介をしていく。だが、新人3人はテンションが振り切れた様に目を輝かせてユウキに話しかける。

 

「そんな訳にはいきませんよ!!先輩は入隊から数ヶ月と言う異例の早さで部隊長に昇格したエースの中のエースなんですから!」

 

「そうです!先輩の活躍は極東だけでなく各支部でも話題になってて、俺達の様な新型使いの新人にとっては憧れの存在なんです!」

 

「ロシアでも先輩の活躍は何度も話題になってましたよ。短期間での隊長就任の時や、数々の大型種を倒した事や、実質禁忌種の単独討伐した事…他にも話題になった事は色々ありますが、大きな話題はこんな所でしょうか?」

 

(な、なんか色々と尾ひれが付いてるような気が…)

 

 今言われた事は確かにやったことがあるにはあるが少しばかり誇張されている様にも感じてユウキは笑顔のまま背中から冷や汗を流していた。

 

「ユウ!!」

 

 突然ユウキの後ろから聞き慣れた声が聞こえ、振り向くとアリサが下階から上がってきていた。

 

「アリサ?どしたの?」

 

「どうしたの?じゃありません!!今日から動ける様になったって聞いて探して…いたんですよ?」

 

 プリプリと怒りながらユウキに詰め寄るが新人3人を見るとその怒りも急激に冷めて言ったようだった。

 

「動ける様になった?」

 

「ああいや!何でもない…そうだ!紹介するよ今日から「もしかして新人さんですか?!」…です。」

 

 アリサの発言にアネットが不思議そうな顔をする。するとユウキは慌てて3人を紹介しようとするも、目を輝かせたアリサがその言葉を遮り、アネットとフェデリコが自ら名乗り、一旦アリサが自己紹介する。

 

「私は第一部隊所属のアリサ・イリーニチナ・アミエーラです。分からない事があったら何でも聞いて下さい!!」

 

 自信ありげにアリサが自己紹介をする。アリサにとっても初めての後輩と言うこともあり、何処か舞い上がっているようだった。

 

「ア、アリサさん!?本物ですか?!」

 

「は、はい…そうですよ?」

 

 アリサの名を聞いた途端、ユーリが興奮してアリサに詰め寄る。その剣幕にアリサも引いている。

 

「じ、自分はユーリ・イヴァーノヴィチ・ヴァルバロスと言います!!アラガミの巣窟と言われる極東…その第一線で活躍する貴女はロシア支部の誇りです!!貴女に会えたこと、光栄に思います!!」

 

「え?!あ…よ、よろしくお願いします…?」

 

 ユーリは目を輝かせながらアリサの手を取る。落ち着いていて大人しい第一印象から、あまりにかけ離れた豹変ぶりにアリサを含めて皆唖然としていた。

 

(なんかアイドルと追っかけみたいだな…)

 

 同じロシア出身で他を寄せ付けない活躍している人物を前にして舞い上がるのは分かるが、あまりの豹変振りに引きながらユウキはその様子を見ていた。

 

(…何か…変な感じだなあ…)

 

 だがその様子を見ていくうちにモヤモヤとした不快感を感じ、2人の意識を逸らすため、ユウキは今後の動きの相談を持ちかける。

 

「さて、それじゃあメディカルチェックまで時間があるな…取り敢えず支部内を見て周ろうか?」

 

「あ、あの!それなら神裂先輩の戦い方を見せてくれませんか?!」

 

「あ!俺も見たいです!」

 

「え?俺の?」

 

 思わぬ提案にユウキはキョトンとする。

 

「はい!!神裂先輩の戦い方を生で見てみたいんです!!」

 

「お、俺も見たいです!見せてくれませんか?!」

 

 アネットとフェデリコが目を輝かせてユウキを見ている。そんな中『神機の調子を確認するのに丁度いいか』などと能天気な事を考えていた。

 

「分かった。それじゃあ行こうか。」

 

 どのみち神機の確認はするつもりだった。新人の希望が叶い、自分の目的も果たせるなら迷う必要もないとして5人は訓練室に向かった。

 

 -訓練室-

 

 現在、アリサ、アネット、フェデリコ、ユーリの4人が管制室から、ユウキが模擬戦している訓練室を見下ろしていた。

 対してユウキは壊れたティア・ストーンの代わりに、以前使っていた汎用シールドを装備した神機を携え、オウガテイル2体、ザイゴート3体、コクーンメイデン2体、それからヴァジュラ3体の計10体のアラガミに囲まれていた。訓練を初めてから30分…通常よりも脆いとは言え、既に50体を越えるアラガミを倒していた。

 後ろからヴァジュラが電気を纏いユウキに突っ込んでくる。それを前に跳んで躱し、前方のオウガテイルに迫る。対して前方のオウガテイルは尻尾を振り回して迎撃しようとするも、ユウキが神機を振り下ろして オウガテイルの背中を斬る。ただし、完全に両断せずに半分まで神機の刀身を食い込ませた状態で止めてある。その状態から神機を軸にして、体を捻りながら倒立する。するとユウキの後ろからザイゴートが飛ばしたであろう毒ガスが飛んでくるが、体を捻った事で回避する。そのまま背中に食い込ませた神機を振り抜き、オウガテイルを両断すると、銃形態に変形してザイゴートを撃ち抜く。

 その一連の動作の最中にヴァジュラが前足で切り裂いて来たが、これも大きく後ろに跳んで回避する。その間に後ろのコクーンメイデンのレーザーがユウキの頭目掛けて飛んできたが、それを体を右側に傾けて躱しつつ、銃形態の神機を抜刀術の構えの様に持って後ろのコクーンメイデンを撃ち抜く。

 そして着地の瞬間に剣形態に変形して一気に前に出る。するとヴァジュラはさっきとは逆の前足で切り裂いて来たので、それに逆らう軌道で神機を振り抜く。その結果、ヴァジュラの前足は切り落とされ、体勢を崩したところをインパルス・エッジで顔面ごと破壊し、ユウキは別のヴァジュラに向かって行く。

 

「な、何だか後ろにも目があるみたいです…」

 

「うん…視界に入ってないものにも反応しているし…なんか…もう…」

 

「凄いとしか言えないな…」

 

 管制室に居る新人達は各々感想を漏らすが、何処か呆けた様子だった。

 

「ユウは視覚以外にも触覚、嗅覚、聴覚なんかを使って視界外の敵や攻撃を察知しているんです。特に聴覚での策敵が得意ですね。私も何度も助けてもらいました。」

 

 アリサがユウキが策敵のために視覚以外の感覚を研ぎ澄ませている事を教えると、アネットが信じられないと言いたげな表情になる。

 

「へ、へぇ…凄い人は何と言いますか…色々と…違いますね…」

 

「さ、そろそろメディカルチェックの時間ですよ。行きましょう。」

 

 時間を確認すると、アリサは管制室のマイクのスイッチを入れる。

 

「ユウ。そろそろメディカルチェックの時間なので、私は3人をラボに連れて行きますね。」

 

『分かった。悪いけど任せるよ。』

 

 スピーカー越しにユウキの声が聞こえ、コクーンメイデンとザイゴートを斬り倒しながら返事をする。その時のユウキの表情は苛ついているような険しさが現れていた。

 

(何だろうな…さっきから違和感を感じる。これが適合率が下がったって事か…?)

 

 さっきから何度も神機の力を引き出そうとしているが、その度に腕の感覚がボヤける。いつもと同じやり方で神機の力を引き出そうとするが、神機から脈を打つ様な感覚が一切無い。ペイラーが言っていた適合率が下がったせいなのだろうかと考えながら道中のオウガテイルを葬りながらヴァジュラに突っ込んだ。

 

 -翌日、贖罪の街-

 

 メディカルチェックが終わった翌日、新人達の訓練内容を考えようとツバキに相談を持ちかけたところ、取り合えず各々の支部で基礎的なカリキュラムを終わらせてあるとの事だった。そこで実地演習に行って新人達がどんな動きをするのか見てみようとユウキと新人3人は旧市街地に向かい、現在アラガミとの戦闘の真っ最中だった。

 

「せ、先輩!!」

 

「なに?」

 

 『フェデリコ、受けきったら反撃しないと。』とユウキがミサイルを汎用シールドで防御しつつ続ける。対してフェデリコは焦りを見せながらユウキに話しかけ、オウガテイルの尻尾を装甲で防いだ。しかし、その後もずっと展開を続けていたため、今度はオウガテイルが追撃する隙を与えてしまい、展開したままの装甲でオウガテイルの針を受け止める。

 

「今日の討伐対象ってオウガテイルでしたよね?!」

 

「うん。そうだったね。」

 

 アリサと色違いの神機、『クレメンサー』シリーズを装備したユーリの叫びも虚しくユウキが呆気からんと答える。その際フェデリコが防いだ攻撃の後にアネットが代わりに反撃する。しかし、唯でさえ重たいハンマータイプのバスターブレードを装備しているせいか、アネットの動きは鈍重なものだった。

 オウガテイルがアネットの攻撃を後ろに躱すと、アネットは動きの鈍くなった足でどうにかオウガテイルに張り付いて追撃する。

 その様子を横目で見ながら『アネットは前に出過ぎ。ユーリが援護出来ないよ。』と、ユウキはどうにかビッタリと敵に張り付くアネットにアドバイスしつつ銃形態に変形して、飛んできたトマホークを撃ち抜いて破壊した。

 

「じゃあ…なんで…」

 

 半泣きのアネットと共に必死な形相のフェデリコとユーリが一斉にユウキを見ると…

 

「「「なんで俺(私)達、禁忌種のすぐ横で戦ってるんですかああぁぁぁぁあ?!?!!!!」」」

 

 3人の絶叫が辺りに響き渡る。それもそのはず。今回の任務はオウガテイル1体の討伐だった。かつてユウキもやったように、新人達に任せて、危なくなったら助けに入る予定だったが、突如オウガテイルの横にテスカトリポカが地面から湧いて来たので、新人達がオウガテイル、ユウキがテスカトリポカの相手をしている状態だ。

 

「乱入されちゃったからね。仕方ないね。」

 

 『ユーリ、状況判断に時間をかけすぎ。思い切りも大事。』とユウキがアドバイスしつつ、テスカトリポカの開いている前面装甲に斬り込む。対してアネットがオウガテイルにハンマーの強烈な一撃を叩き込んだ事でぶっ飛ぶ。

 

「何で先輩は平然と戦ってるんですか?!禁忌種が横に居るとかメッチャ怖いんですけど!!」

 

「そんな事言ったって戦況は常に変わるものだし、アラガミは待ってはくれない…死にたくなければ戦って倒すしかない。」

 

「それはそうですけど!!いきなり禁忌種を相手にするなんて無理ですよ!!」

 

 ユーリが跳ばされたオウガテイルをサイレントクライで撃ち抜きながらも泣き言をいう。それに対して、閉じ始めた前面装甲をプレデタースタイル『疾風』で捕食してバーストしつつ正論で答える。

 だが、これでユーリが何を言いたいのかユウキも理解した。

 

「ああ、大事だよ。テスカ本体も攻撃もそっちには行かないから。それに、そっちが終わるよりも先に終わらせる。3人はオウガテイルに集中して。」

 

 『それと、今は俺の動きなんて見ている暇はないよ。』と3人に言いつつ、反撃に体当たりしてくるテスカトリポカを左手で抑え込み、バーストした状態での全身の力で辛うじて後ろに押し返す。

 

(バースト時の身体能力は前よりも上がっているな…アラガミ化のせいか?)

 

 自身の変化に疑問を持ちつつも、ユウキは距離を開けたテスカトリポカに接近して前面装甲の中心、つまり装甲同士の隙間を狙い、神機を振り下ろす。すると制御ユニット『ソルジャー』が起動している事もあり、大きな抵抗もなく護人刀が装甲の隙間に入り込んで、刃の厚みで装甲を無理矢理抉じ開ける。

 装甲に大きな隙間が出来たところでバーストが解除される。そこに剣形態のまま銃身を捩じ込むと、インパルス・エッジでテスカトリポカを内部から爆破する。

 すると装甲が剥がれ、肉を抉り出してコアが剥き出しになる。その瞬間、再び疾風を展開して、テスカトリポカが動き出す前にコアを捕食した。

 

(さて、こっちは終わったけど…向こうはどうなったかな?)

 

 ユウキはテスカトリポカを倒すと少し離れて戦っている新人3人の戦闘が見える位置まで移動する。念のため銃形態に変形して援護の準備をする。だが、満身創痍のオウガテイルを見る辺り、どうやら討伐任務も終わりに近づいているようだ。

 フェデリコがオウガテイルの噛みつきを装甲で受け止めると、その隙にユーリがクイック捕食『弍式』でオウガテイルを捕食する。ユーリがバーストすると銃形態に変形してアネットをバーストさせ、その後フェデリコがオウガテイルを押し返す。体勢を崩した隙にアネットが神機を握り締める。

 

「やぁあ!!」

 

 アネットの掛け声と共にハンマーを振り下ろすと、体勢を崩したオウガテイルが上から潰させる。

 今回はコアごと潰してしまったため、コアの回収は出来なかった。だが、新人が自分達の力でアラガミを倒し、無事生き残っただけでも十分だろう。

 

「倒した…」

 

「で、出来た…」

 

「や、やった…出来た!やったぁ!!」

 

「!!?!???!」

 

 初めての出撃でテスカトリポカか乱入するアクシデントもあったが、そんな状況でもこうして生き残る事が出来た。それを実感するとフェデリコとユーリは緊張の糸が切れたのか、ようやく肩の力が抜けて安心したようだった。

 アネットは人類の脅威であるアラガミを初めて倒した事に感激したのか、はしゃぎながらユウキに抱きついた。

 

「あ、アネット…放してやりなよ。先輩真っ赤になってフリーズしてる。」

 

「え?あ!!すいません!!」

 

 フェデリコに声をかけられた事で、ようやくアネットはユウキがフリーズしていると気が付いて慌てて離れる。

 

「あはは…先輩、女の子に慣れてないんですね。」

 

「わ、悪いかよ…」

 

「いえ、なんだか…随分と可愛い一面があるんだなってだけです。」

 

 クスクスと笑うユーリを見てヘソを曲げたのか、ユウキは真っ赤なままむくれてしまった。

 

「あの、今回の動き…どうでしたか?正直、何が良くて何が悪いのか、まだ全然検討がつかなくて。どうやったら先輩のように戦えるんですか?」

 

 どうにかユウキがヘソを曲げた事から意識を逸らせるように、フェデリコは今回の任務の反省点と言う少し頭を使う話題を提供する。

 

「うーん…3人は新型神機を使うから、まずは俺よりもアリサの戦い方を見た方が良いと思う。アリサは『新型』らしく状況に応じて遠近を使い分けてるし、新型ならではのサポーターとしての立ち回りの基盤がしっかりしている。アリサの動きを見れば新型の特製を生かして、幅広い場面で動ける様になるよ。」

 

「じゃあ神裂先輩の動きはアリサ先輩とどう違うのでしょうか?」

 

「そうだな…俺の立ち回りは剣形態を軸として前線に斬り込むタイプで、アリサは銃形態での支援と隙を見ての剣形態での近接戦闘、そして新型だけの捕食によるリンクバーストを使ったチーム全体の能力を底上げする支援タイプだ。」

 

 ユウキは銃形態のまま神機を肩に担ぐと、少し考え込み新人達がまず身に付けるべきだと思われる戦い方を話していく。

 作戦行動はチームで動く事が多い。新型の特長に遠近に対応出来る遊撃性の高さと、それに付随する周りをバーストさせるリンクバーストがある。必然的に他の神機には無い広範囲なサポート能力を活かした戦い方が新型神機の真骨頂だとユウキは考えていた。

 

「極端な言い方だけど、俺の立ち回りは旧型でも出来るからね。新型を使うのなら、先にアリサの様な新型にしか出来ない立ち回りを覚えてから自分の動きを見つけた方が良い。実際俺はリンクバーストとかのチームへの支援は素人に毛が生えた程度だからね。」

 

 チームの中で周囲をバーストさせる等のサポートが出来るのは新型神機にしか出来ない。周囲を強化できれば部隊の生存率も上がる。サポート能力がここまで高い新型神機で周囲をサポートしないのは勿体ないと言うのがユウキの考えだった。

 『さて、ここからは今回の反省会だ。』と、待機ポイントまで移動しようとするも、焦りを見せるアネットによって制止される。

 

「せ、先輩!!後ろ!!」

 

 突如ディアウス・ピターがユウキの後ろから飛びかかる。だが、肩に担いだ神機を少し傾きを緩くするとそのまま銃身から狙撃弾が放たれる。

 狙撃弾はディアウス・ピターの右目に直撃する。それによって右目は潰れ、攻撃を受けたディアウス・ピターは体勢を崩しながらユウキ達を飛び越えて ユウキの前に立ちはだかる。

 

「…反省会はお預けだな。3人共下がってて…」

 

 ユウキは3人を下がらせたら、神機を構えつつ剣形態に変形すると、鋭くなった目付きでディアウス・ピターを睨む。

 

「ここから先、お前たちは見学だ…」

 

 その瞬間、ユウキはディアウス・ピターとの距離を一気に詰める。ディアウス・ピターもまた迎撃のため飛びかかる。

 ユウキは飛び上がったディアウス・ピターの股下をスライディングで潜り、プレデタースタイル『鮫牙』を展開する。そのまま股下からディアウス・ピターの腹を喰い千切りバーストする。

 その直後、ユウキは両足でブレーキをかけて地面を蹴り、真後ろに急反転する。バーストしたことで神機の能力が上がり、さらには制御ユニットで攻撃能力も上がった一撃を叩き込むが、ディアウス・ピターも空中で体を捻り、前足が地面に着くと同時に後ろに跳んで躱す。しかし、護人刀の切っ先が前足を掠り、ディアウス・ピターの前足が結合崩壊する。

 

(チッ…やっぱり前の様には行かないか…)

 

 以前であればバースト時の身体能力と神機の能力上昇、そして適合率による補正、この状態での神機の能力を引き出す事による能力アップの重ねがけ、最後には制御ユニットによる攻撃力上昇…これらの要因により、今までならば掠っただけでも前足を切り落とせたが、適合率が下がり、神機の能力を引き出せない現状に内心舌打ちをする。

 

(けれど、制御ユニットのお陰か…大きな問題もなく戦える!!)

 

 以前と比べると弱体化はしているようだが、それでも制御ユニットのお陰で戦闘には支障はない。このままユウキは後ろに跳んだディアウス・ピターとの距離を再び詰める。

 だがディアウス・ピターは空中で体勢を整えながら、牽制に雷槍を飛ばしてくる。ユウキは急ブレーキをかけ、装甲を展開して防御する事に成功するが、強化を殆どしていない汎用シールドでは一発でボロボロになってしまった。

 

(強化してない装甲じゃこんなものか…帰ったらリッカに補修と強化を頼むか。)

 

 戦闘中に呑気な事を考えながら、正面から飛びかかるディアウス・ピターを左前に跳んで躱すと、すれ違い様に神機を縦に振り下ろす。だがディアウス・ピターも反射的に体を捻り、避けようとするも避けきれずに、腹を切り裂かれてしまった。

 

  『グルァァァア!!』

 

 ディアウス・ピターが吠えながら翼を生やす。翼に赤い電撃を纏いながらユウキに接近して切り裂く。

 ユウキはそれを軽く前に出ながらジャンプで飛び越えると、ディアウス・ピターの頭上で神機の銃口を敵に向けると、爆破音と共にディアウス・ピターの頭部が結合崩壊を起こした。

 その勢いでユウキは後ろに跳び、銃形態に変形してディアウス・ピターの後ろから狙撃弾を放つ。しかしディアウス・ピターは急反転しつつ狙撃弾を左の翼で切り捨てる、

 だが、この一瞬のうちにユウキはディアウス・ピターとの距離を詰め、とどめを仕掛ける。ディアウス・ピターも迎撃とどめに右側の翼を横凪ぎに振る。

 それをジャンプしつつ迫ってきた翼を、刃の横から左手で殴って飛び上がりつつ翼を地面に叩き付ける。

 ユウキはがら空きのになった正面から、掬い上げる様に神機を振り上げ、ディアウス・ピターの顔面を切り上げる。その勢いを殺し切れずにディアウス・ピターはのけ反って後ろ足で立ち上がる。

 

「そこ…だぁ!!」

 

 掛け声と共に下半身を捻った力を利用して車輪の様に回転させて、ディアウス・ピターの腹に付いている裂傷をなぞる様に切り上げると、ディアウス・ピターは真っ二つにして倒した。

 

 

「す、すごい…」

 

「禁忌種を相手にしてここまで圧倒するなんて…」

 

「…」

 

 目の前で危なげ無く禁忌種を倒したユウキを見て、新人達は呆けながら各々感想を漏らす。あるいは言葉を失っていた。

 

「ほら、ボサッとしない。コアを回収して帰るよ。」

 

 そんな新人達を他所にユウキはディアウス・ピターのコアを回収して帰還を促した。

 

To be continued




後書き
 なんか結局制御ユニットのお陰で弱体化してねえ…今後は見直す必要がありそうです…
 そして後輩ズが登場。リザレクションからアネットがドストレートに(先輩として)好意を伝えてきて可愛くなってましたね。フェデリコも色々と耐性があったりコーヒー入れるのが上手かったりと空気じゃなくなってました。(個人的には空気だとしてもフェデリコはわりと好きです。)
 そしてオリキャラの『ユーリ』も後輩として登場です。アリサと御近づきになろうと躍起になる彼を見てユウちゃんはなにやらモヤモヤしている様子…以後、どうなるかお楽しみに!
 新作のゼルダ(WiiU)楽しいです(^q^)

ユーリ・イヴァーノヴィチ・ヴァルバロス
 ロシア支部出身。少し跳ねた金髪と青い目をした男性の新型ゴッドイーター。アリサとは色違いの神機『クレメンサー』『サイレントクライ』そして『ティアストーン』を使用している。
 基本的に落ち着いた大人しい人物だが、アリサの前では興奮したように話すのでギャップが凄い。
 ロシア支部ではアラガミの巣窟で活躍して英雄扱いのアリサに憧れて極東支部への転属を志願する。異性としても好いているので色々とアプローチをしているもののあまり効果はないようだ。
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