GOD EATER ~The Broker~   作:魔狼の盾

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「上から来るぞ!!気を付けろ!!」


mission62 捜索再開

 -鎮魂の廃寺-

 

 レンからアラガミ化した神機使いの処理方法を聞いた後、出撃時間になるまでレンに言われた事を考えていたユウキは、結局まともな準備をする時間もなく、神機だけ持って旧寺院に向かい、リンドウの捜索開始した。

 

「どうだ?そっちに何か手がかりはあったか?」

 

「いえ、こっちには居ませんでした…」

 

「こっちもだ…それらしい痕跡は見つからない。」

 

 だが捜索を開始してから1時間近く経ったが、未だに手がかりらしきものは見つからない。1度中庭に集合をかけたタツミが全員の状況確認をするが、手がかりなしだった。

 

「…いや、必ず…必ず何かの手がかりはあるはずだ。どうにかして探し出さないと。」

 

(…気のせいか?)

 

 ユウキの雰囲気がいつもと違うように感じたが、きっと気のせいだと思い、タツミは捜索範囲を広げるかを考える。

 

 『グルラアオオオ!!』

 

 だが、突然不気味な雄叫びと共にスサノオが中庭に現れた。

 

「ス、スサノオ?!捜索1発目から禁忌種が乱入かよ?!」

 

「くっ!!迎撃するぞ!!」

 

「は、はい!!」

 

 タツミ達が不意を突かれつつも迎撃体勢を整える。

 

「邪魔だ!!」

 

 しかしユウキはその間に、体勢を整えるよりも先にスサノオに突っ込む事を優先した。その結果、誰よりも早くスサノオの懐に飛び込み、スサノオの胴体を下から斬り上げる。

 

  『ブンッ!!』

 

 しかし、振り上げた神機は標的を捉える事はなく空を斬る。スサノオがその巨体からは想像出来ないような素早いバックステップで後ろに下がり、ユウキの一撃を躱したのだ。

 さらにスサノオはステップ移動で浮いている最中に、4本ある足の内右の後ろ足で地面を蹴って一気にユウキとの距離を詰める。それと同時にユウキに狙いを定めて右手の捕食口を伸ばし喰い殺そうとする。

 

「させん!!」

 

 攻撃を受けそうなユウキの前にブレンダンが来ると、重量の乗った一撃を勢いよく振り下ろす。

 すると捕食口は閉じられ、そのまま地面に叩き付けられる。攻撃が来ることがなくなった瞬間、ユウキはブレンダンの左側から飛び出して、スサノオに飛びかかる。

 

「おりゃあ!!」

 

 そして反対側からはタツミが飛び出して神機を振り下ろす。だが、スサノオは再び後ろに跳んでユウキとタツミの攻撃を避けると、今度は両腕の捕食口をそれぞれユウキとタツミに向ける。

 

「そら!!」

 

 スサノオがユウキとタツミに気を取られている間に、カノンが遠距離から爆破弾を射ち、ブレンダンがその後ろに続く。

 

  『バァン!!』

 

 カノンが放った爆破弾が直撃してスサノオが怯む。さらには爆破で少しだが目眩ましにもなり、その隙にブレンダンがスサノオに斬りかかる。

 

「でぁあ!!」

 

 ブレンダンの一撃がスサノオに直撃する。しかし今度は怯む事なくブレンダンに尻尾の剣を突き立てて立ち向かう。

 だがタツミが装甲を展開しながらブレンダンの間に入り、スサノオの剣を防御するその隙にユウキが追撃してスサノオの胴体に傷を着けながら大きく後ろへ後退させる。

 

「カムラン神属と聞いていたが…思ったより攻撃が通るな。」

 

「スサノオはボルグ・カムランみたく堅くはない!!ガンガン攻めるぞ!!」

 

 ユウキの声と共にタツミ、ブレンダンは前に出て、カノンはさらに後ろに下がる。

 

「ヤツの捕食口には注意して下さい!!遠距離攻撃が飛んできます!!」

 

「「「了解!!」」」

 

 まずはカノンの援護射撃でスサノオを射つ。しかし、神機を盾の様に構えてそれをガードする。

 その間にユウキ、タツミ、ブレンダンがスサノオを取り囲む様な配置で一斉に攻撃する。

 ダメージを覚悟していたのか、スサノオは全ての攻撃を受けきった瞬間に姿勢を落とし、尻尾を振り上げる。

 

「来るぞ!!」

 

 ブレンダンの声に合わせてユウキ、ブレンダンは装甲を展開する。しかしタツミは装甲を展開せずにカノンの元に走る。

 

「カノン!!掴まってろよ!!」

 

「は、はい!!」

 

 防御が出来ない上に回避も苦手なカノンに攻撃が届くと直感したタツミはカノンを抱えて大きくジャンプする。その瞬間、スサノオは巨体を回転させて尻尾の剣で辺りを凪ぎ払う。

 

「チィッ!!」

 

「グッ!!」

 

 ユウキとブレンダンは呻き声をあげながらスサノオの剣を受け、タツミとカノンは縄跳びの要領で剣を回避する。

 

「カノン!!突破口を開け!!一気に決める!!タツミさんは前に!!」

 

「はい!!」

 

「了解!!」

 

 ユウキの指示でタツミはその場にカノンを残してスサノオに向かい、カノンはスサノオの顔面を狙い爆破弾を射つ。

 しかし、その弾はスサノオが右腕の捕食口を振り上げると同時に弾かれ、スサノオの本体に当たる事はなかった。

 そして上を向いた捕食口から上に何度かオラクル弾が発射される。その直後に全員に向けて上空からレーザーサイトの様な光が当てられる。

 

「上から来るぞ!!気を付けろ!!」

 

 ユウキが叫んだ後、同時に上空から太いレーザーが連続で降ってくる。

 

「クッ!!」

 

「チィ!!」

 

 ユウキとタツミはなるべくその場を大きく動かない様に避け…

 

「クソッ!!何だこれは?!」

 

 他の者よりも執拗に狙われたブレンダンは後ろへ大きく下がりつつ避ける。

 

「あぁあもう!!鬱陶しいんだよ!!」

 

 魔王と化したカノンは悪態をつきながらひたすらスサノオを目指して走りながらレーザーを回避する。

 レーザーが振り終わる直前、ユウキは一気にスサノオとの距離を縮めるために飛び出す。しかしスサノオは右腕の神機をユウキに向けて、ショットガンの様に小さなオラクル弾をばら蒔き、行く手を阻む。

 

「そんなもので…」

 

 ユウキは装甲を展開して前に構える。

 

「止まるかよぉお!!」

 

 展開した装甲を壁にしてユウキは走り出す。しかし1発1発の威力は低くいとしても、無数の弾丸を装甲の『面』で全て受け止めるようとするとかなりの衝撃になる。

 その結果、ユウキは前に出る事は出来たが、衝撃ですぐに体勢を崩してしまう。

 

(クソッ…だったら…)

 

 丁度スサノオのオラクル弾の攻撃が1度止まる中、心の内で体勢を崩した事に悪態をつきながらユウキは崩した体勢を立て直す事なくさらに崩し、姿勢を一気に落とす。

 そしてしゃがみ込む様に可能な限り姿勢を低くした瞬間、スサノオの捕食口から再びオラクル弾がばら蒔かれた。

 

(ここだ!!)

 

 オラクル弾が発射された瞬間。ユウキは再度距離を詰めに行く。持ち前の身体能力もあり、発射されたオラクル弾が拡散するよりも先にユウキはスサノオの右側から懐に飛び込んだ。

 

「タツミさん!!」

 

「あいよぉ!!待ってました!!」

 

 スサノオがほんの数秒、ユウキに気を取られている間にタツミもスサノオの左側から懐に入っており、カノンも既に目と鼻の先程の距離になるまで接近していた。

 ユウキがオラクル弾を完全に抜けるとと左腕に、タツミは左側から右腕に向かってそれぞれ飛び込む。

 

「ぜあ!!」

 

「だあ!!」

 

 2人の位置が入れ替わり、ユウキはジャンプしてより近づいた位置から左腕の捕食口を斬り落とし、タツミは地上でスサノオの懐から離脱しつつ右腕の捕食口を斬り落とす。

 

「吹っ飛べぇ!!」

 

「グッ!!」

 

 カノンの怒号と共に彼女の神機が文字通り火を吹く。発射された放射バレットはユウキ諸ともスサノオの顔面を破壊する。

 

  『グラルルオオオ!?』

 

 顔面の破壊と共にスサノオの 口が結合崩壊を起こして怯んだ。そしてその間に戻ってきたブレンダンの神機が巨体なオラクル刃を形成していた。

 

「だあぁぁぁあ!!」

 

 ブレンダンが雄叫びと共にチャージクラッシュを破壊した顔面に叩き込む。すると鈍い音と辺りを轟音が辺りに鳴り響き、スサノオは真っ二つに分かれて絶命した。

 

「やっと…終わったぜ…」

 

「よ、良かった…」

 

「ふう…どうなるものだな…」

 

 タツミ達は強敵である第一種接触禁忌種であるスサノオを倒すことが出来たと安堵しながらコアを回収している。

 

「障害は排除…捜索を再開します。」

 

「あ、おい!独りで何処にでも行くなよ!」

 

 しかしユウキはスサノオに興味を見せることなく、独りでさっさとリンドウ捜索を再開した。

 

 -1時間後-

 

「うーん、見つかんねぇなぁ…」

 

「手がかりもありませんね…」

 

 スサノオを倒してから捜索範囲を広げて探したが、リンドウを見つけるどころか手がかりすらない。

 

「だなぁ…おーい、ブレンダーン!!そっちに何かあったかー?」

 

「ダメだ!!それらしいものは見つからない。」

 

 タツミがブレンダンに声を掛けるがやはり手がかりははなかった。

 

「そっかぁ…あれ?」

 

 そんな中タツミはあることに気が付いた。

 

「ユウキは何処だ?」

 

 少し前まで近くに居たユウキが何処にもいなかったのだ。

 

 -寂れた民家-

 

(…これは…)

 

 ユウキは感応現象でリンドウの記憶を体験した時の事を思い出し、リンドウが潜伏していた場所に向かった。

 民家に入るとすぐに、ユウキの目には辺りに散りばめられた黒い羽が目に入った。

 

(そうだよな…ここで休んでたならここに痕跡があるものだよな…)

 

 『何で気付かなかったんだよバカ野郎…』と心の内で悪態をつく。それも当然だ。リンドウが潜伏している場所は感応現象で分かっていたのだ。ならばそこには必ず痕跡が残っているはずだ。リンドウを『探す』と言うことに躍起になっていたせいか、こんな単純な事にした気が付かなかったと自分でと呆れる程の間抜けぶりだった。

 

(…ここにはもう戻ってないのか?しばらく使われた形跡が無いけど…)

 

 ユウキが辺りを見回すと、足跡等人が確かにそこに居た形跡は残っているようだが、それも新たに埃を被りはじめていた。何にしてもここにはリンドウが何処に向かったかと言った情報はなさそうだ。

 

(…戻るか…)

 

 しかしリンドウか再びここに戻ってくる可能性も捨てきれない。『2、3日張り込みでもしようか?』と考えながら歩いていると、いつの間にか作戦領域に戻ってきていた。

 

「あ、いたいた!何処行ってたんだよ?探したぞ!!」

 

「すいません。ちょっと周囲を探してました。」

 

「なら一言言ってくれよ。何処に居るのか分からなかったから本気で捜索隊を出す所だったぞ。」

 

「ごめんなさい…」

 

 どうやらいつの間にか居なくなったユウキを行方不明になったと思い、捜索隊を出すか検討していたようだ。勝手に居なくなるなとタツミがユウキを叱ると、ユウキはしょんぼりした。

 

「…で?どうだった?手がかりはあったか?」

 

「…いえ、それらしいものはありませんでした。」

 

 ユウキはあえてリンドウが居たと痕跡を皆に伝えなかった。信じたくはないが万が一にでもリンドウが完全にアラガミ化してしまったら殺さなければならない。

 だからこそ早く見つけなければいけないのだが、その時アラガミ化していたらリンドウを殺すと全員に伝えて良いのか分からず、真相を伝える事が出来なかった。

 

「そっか…うーん、どうするかな…一端戻るか?」

 

「そうだな…そろそろ日も沈む頃だ。1度戻って体勢を整えた方が良いだろう。」

 

「よし!今回は撤退しよう。明日はさらに捜索範囲を広げるぞ!!」

 

「「「了解。」」」

 

 タツミの提案に全員が賛成し、1度極東支部に戻るかため、ユウキ達はヘリに乗り込んだ。

 

 -ヘリ内部-

 

 空が赤くなり出した頃、極東支部に向かう途中でユウキとタツミ、ブレンダンとカノンの組み合わせでヘリの側面から下を見てリンドウを探していた。

 

「上からなら…って思ったけど…なかなか見つからないもんだなぁ…」

 

「そうですね。徒歩で移動しているはずなので、そう遠くには行ってないと思ったんですけど…」

 

 上からリンドウを探す傍ら、タツミがユウキに話しかける。

 

「…」

 

「…」

 

 しかし2人はすぐに沈黙する。その後、タツミが意を決したような表情になる。

 

「なあ…お前、何か焦ってないか?」

 

「え?」

 

 タツミから脈絡の無いことを聞かれてユウキはキョトンとした顔になる。

 

「リンドウさんのアラガミ化が進んでいるかも知れないってので、早く見つけなきゃって思うのは分かるんだけどさ、もうちょい俺達の事信用して色々話してくれてもいいんじゃないか?」

 

 タツミが自分達を信用しろと言ってきた。端から見ると今のユウキは仲間を信用していない様にも見えるのか、言われたユウキからしてみれば何故突然そんな事を言い出すのか分からなかった。

 

「そりゃあ、少し前の俺達は色々あってガタガタで信用出来なかっただろうけど、ブレンダンもカノンも…アンタに相談して色々と吹っ切れたみたいでさ、普段の任務はもちろんリンドウさんの捜索も気合い入ってるみたいなんだ。それにな…」

 

 ブレンダンとカノンの変化に、タツミ自身も周りにプラスになると考えているようだ。

 

「ブレンダンやカノンの迷いやら悩みを自分の事のように考えて一緒に答えを出してくれた。そしたらアイツら、今度はお前が迷ったり悩んだりしたら自分達が助ける番だって言ってた。だから心配事とか悩み事とかあるんなら、独りで抱えてないで信用して俺達にも話してくれよ?」

 

「そう…ですね、確かに早く見つけなきゃって焦っていたんでしょうね…けど、悩みとかじゃないですから。心配しないでください。」

 

「そっか。分かった。」

 

 取り合えず悩みや迷いではないと言うので、タツミはそれ以上追及はせず、リンドウを探す方に意識を戻した。

 

 『リンドウさんの足跡を追って、運良く彼を見つける事ができたとしましょう…その時、彼がアラガミとなって立っていたら、貴方は…そのアラガミを殺せますか?』

 

(そうだ…悩む事なんてない。アラガミ化してしまう前に、リンドウさんを見つければいいんだ…!!)

 

 しかしユウキはレンから聞いたアラガミ化した神機使いの処理方法の事を思い出していた。アラガミ化したリンドウを殺せるのか…きっと自分には出来ないだろう。ならばその前にリンドウを見つけてペイラーに治して貰う他ない。やることは1つ…ユウキは必ずリンドウを探し出すと迷いを見せる事なく決意を固めた。

 

 -極東支部-

 

 エントランスには待機を命令された第一部隊が集まり、今回の捜索の成果を今か今かと待っていた。しばらく待っていると出撃ゲートが開いて第二部隊が帰ってきた。

 

「あ、タツミさん!!おかえり!!」

 

「ああ!ただいま!」

 

 コウタが帰ってきたタツミ達に声をかける。

 

「…どうやら見つからなかったみたいだな。」

 

「ああ…すまない。あれだけ意気込んでおきながら…」

 

「まだ捜索が再開されて1日も経ってないもの、そんなすぐに見つからないのも仕方ないわ。」

 

「で、でも!!絶対すぐに見つけてみせます!!」

 

 ブレンダン、カノン共に決意を新たにして、リンドウ捜索に意欲を見せる。

 

「お願いします…あの、それはそうとユウは?」

 

 しかし帰還してきた第二部隊のメンバーにユウキが居ない事に気が付いたアリサは、ユウキの行方を聞いてみた。

 

「え?何か別の任務があるからってまた出ていったけど…何も聞いてないのか?」

 

「はい…何も…」

 

 誰にも詳細を告げずに別の任務に向かった…その事が何処かアリサを不安にさせた。

 

「まあ、あの子の事だから大丈夫だとは思うけど…」

 

(ユウ…)

 

 サクヤは大丈夫と言うが、やはりアリサは不安だった。恐らくサクヤは何処かで殺られる事はないだろうと言う意味だろうが、アリサは何故か分からない別の理由で嫌な予感がしていた。

 

 -寂れた民家-

 

 その夜、ユウキは食料等を持ってリンドウが潜伏していた民家に来ていた。

 

(持って2日って所か…)

 

 自室から持ってきた食料を広げてどのくらいまで民家に居られるかを考えていた。それなりの量があるにも関わらず、自分の食事量を考えると、そう長くは居られない。この時ばかりは自分の燃費の悪さを本気で恨んだ。

 

(何としても…すぐにリンドウさんを探し出さないと…)

 

 現状では特に何もする事がないので、その場で座り込んでリンドウが帰るって来るのを待つ事にした。

 しかし、こんなやることの無い時間があると、レンの言っていたアラガミ化した神機使いの処理方法の事を考えてしまう。

 

(リンドウさんを殺すなんて…そんな事あってたまるかよ…!!)

 

 リンドウを殺すなんて出来るはずない。そんな事になる前にリンドウを見つけてみせる。そんな決意を胸に、ユウキはリンドウの帰りを待ち続けた。

 

To be continued




後書き
 リンドウの捜索開始!まずは第二部隊とです。しばらくは禁忌種狩りが続きます。(ようやく他の部隊でも本格的に禁忌種と戦える様に…)
 そしてレンから突き付けられた可能性を話すことも出来ない状況で、独りそんな未来を回避しようと動くユウキ…しかし現実はうまく行かないもので…仲間との間に亀裂ができたりできなかったりします。
 凄く自然な流れで「上から来るぞ!」が使えた事にちょっと感動しましたw
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