GOD EATER ~The Broker~   作:魔狼の盾

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今回は第三部隊との任務です。それから次のリンドウさん誘き寄せ作戦の最後のメンバーは誰が良いですか?アンケートを設置しますので是非答えてください。(固定出撃メンバー:ユウキ、コウタ、アリサ)


mission63 傷痕

 -極東支部-

 

 夜が明ける少し前、皆がまだ寝静まった頃にユウキは極東支部に一時帰投した。しかし、毎度毎度、居なくなった事がばれない様に1度戻らないといけないのは少しばかり都合が悪い。今後は外泊許可でも取ってから捜索をしようと考えながら、ユウキは自室に戻る。

 

(今日は帰って来なかったな…食料もそんなにないし…今後はどうするか…)

 

 何にしても張り込みは残りの食料から見てあと1日だろう。これからは夜こっそりと抜け出して捜索する方法が主となりそうだと考えながら、次の捜索任務の準備を進めた。

 

 -エイジス 居住区予定地-

 

 誰が言い出したのか分からないが、以前ブレンダンがエイジスに迷い混んだ様に、リンドウもエイジスに迷い混んだ可能性はないかと言う話が出たので、かつてエイジスの関連施設を警護していた第三部隊はユウキを連れてエイジスに来ていた。

 

「居ねぇもんだな…ホントに居るのか?」

 

「さあな、あくまで居るかも…ってだけだからな。」

 

「居るかもって…分かってねぇのにこんな所に来たのか?!」

 

 どうやらシュンはエイジスに来た理由を『リンドウが見つかった』からだと勘違いしていたらしく、捜索の現状を知ると騒ぎ始める。

 

「…騒がないの。アラガミに気付かれるわ。」

 

「そうですね。ここで見つかると、恐らく辺りのアラガミが群がってくる上に囲まれます。可能な限り音を出さない様にしましょう。」

 

 しかし、ここはアラガミの巣窟となったエイジスだ。騒ぐとそれを聞き付けたアラガミに囲まれる可能性がある。ジーナとユウキは騒ぐシュンを嗜める。

 

「チッ!!わあったよ…」

 

 ジーナとユウキから静かにするように言われて、シュンは特に反論する事なく、大人しくなった。

 

(あら…随分と大人しく従うのね…)

 

 特に反論する事もなく、ユウキの指示に従うシュンの変化に、ジーナは内心驚いていた。

 

「なぁ、高いところからなら何か見えるんじゃね?」

 

 しばらく歩いていると、シュンがエイジスの中心にある管制塔を指差して捜索方法を提案する。

 

「この地形だぞ?見えるわけないだろ。少しは頭を使え。」

 

「あぁ?!俺様のアイデアバカにするんならお前も何か探し方考えてみろよ!!」

 

「騒がない。」

 

 自分の考えた捜索方法を否定され、シュンはカレルに突っ掛かる。再び騒ぎ出したシュンをジーナが嗜める中、ユウキは顎に手を添えてシュンの提案の事を考えていた。

 

「いや、案外いい方法かもしれない。あそこならアラガミを気にする必要もないし、目視での広域捜索も出来る。それにあそこに居る可能性もある。1度調べてみよう。」

 

 実際、捜索の宛はない。シュンの様に捜索の指針を提案することは有効な手であると思える。居住区を含め、エイジスには建物が密集しているので、遠目から見る事は難しいが、何か見つかるかもしれないし、もしかしたらリンドウがその場に居るかも知れない。

 そう考えてユウキは管制塔に向かうと指示して、全員が歩き出す。

 

(あの管制塔…何かと縁があるな…)

 

 アーク計画の阻止、ブレンダンの捜索と何かとエイジスに来るとこの管制塔に向かっている気がする。そんな事を考えながら、ユウキは皆の後に着いていった。

 

 -エイジス 管制塔-

 

 管制塔の頂上に登り、それなりの高さからエイジス島を見渡す。しかし、複雑な地形と乱立する建造物で地上を監視するのはかなり難しかった。

 

「何だよ!!ちゃんと見えねぇじゃん!!」

 

「こんな複雑な地形をこの高さから見る事自体に無理があるんだよ。」

 

 提案してみたはいいが、結果としてあまり意味のない行動になった事でシュンがぶつくさ言っていると、カレルが予測できた事だと苦言を呈す。

 それに腹を立てたシュンが食い付き、結果として捜索そっちのけで口喧嘩を始めた。

 

「それらしい人影も見えないわね。もう1度降りて地上から探してみる?」

 

「…西の方にアラガミが多く集まっているみたいです。リンドウさんに群がってる可能性も考えられるので、下りたときにあの辺りを探して見ましょう。」

 

 2人の喧嘩を余所に、ジーナはユウキの提案に『そうね。』と簡単に返す。

 

「貴方達、ちゃんと探しなさい。」

 

「チッ!!分かって…る…」

 

 ジーナの叱責を受けて、悪態は着いたが大人しく捜索を再開する。だが、その口調は歯切れか悪かった。

 

「お、おぉぉぉお?!何だありゃあ!?」

 

 次の瞬間、シュンの驚いた様な叫び声が響く。

 

「で、デッケェアラガミがよじ登って来やがる!!」

 

「何?!」

 

 カレルも気になり、シュンの横から下を見下ろすと、あまりの大きさに思わず言葉を失った。

 

「ジーナさん!!カレルさん!!迎撃します!!」

 

 シュンの声を聞いたユウキは、迎撃の指示を出しつつ急いでシュン達の近くまで行き下を見る。

 そこには赤い体で小振りな山を思わせる大きさ、さらにはウロヴォロスの頭にあたる部分に女性の上半身が埋め込まれたアラガミが居た。

 

「あいつ…確かアマテラス!!第一接触禁忌種だ!!」

 

「何だと?!」

 

 ユウキは目で見たアラガミの特長とノルンのデータベースで見た情報を照らし合わせて相手を禁忌種と判断する。そして空かさず銃形態に変型して、アマテラスに狙撃弾を撃ち込んでいく。

 

「ジーナさん!!カレルさん!!奴を叩き落とす!!ありったけの銃弾を撃ち込め!!」

 

 ユウキの合図と共に2人が銃撃に加わる。最初こそ怯んだりして少しずつずり落ちていたが、すぐに体勢を建て直し、ダメージを覚悟して一気に登ってきた。

 その圧倒的な物量が迫ってきた事もあり、全員がその迫力に一瞬怯む。すぐに攻撃を再開するが、アマテラスはその攻撃を飛び越え、空中で体勢を直して管制塔を揺らしながら轟音と共に着地した。

 

「あ、あのデカさで飛びやがった?!」

 

「チッ!!仕方ない、この場で倒す!!」

 

 そう言うとユウキは真っ先に飛び出し、こちらに向き直ったアマテラスの前触手に斬りかかる。傷こそ付ける事は出来たが、ウロヴォロスの時と同様、前触手が太すぎてかすり傷程度にしかならなかった。

 

  『キエラアアァァァア!!』

 

 奇怪で甲高い叫び声をあげ、ながらアマテラスは前触手で右ストレートを放つ。

 

「っ!!カレルさんは左、ジーナさんは右へ!!シュンさんは後ろに廻って!!取り囲め!!」

 

 第三部隊がユウキの指示でそれぞれの配置に着くため移動する。その間、ユウキがアマテラスの 足止めをする。

 

「当たれ!!」

 

 ユウキは銃形態に変形し、アマテラスを真正面から撃ち抜き、女神像にダメージを与える。

 

「チッ!!相手がでかすぎる!!大したダメージにはならないか!!」

 

 しかし、ウロヴォロスの時と同様、でかすぎる体に小さな傷をつけた程度ではダメージとなっているかも分からない。

 すると、アマテラスは両前触手を上に掲げると、両前触手の間に巨大な火球を作り出す。

 

「クッ!!間に合うか?!」

 

 アマテラスが巨大な火球をユウキに向けて投げ飛ばそうとする。対してユウキは防御のため、剣形態に変形する。

 そして剣形態に変形した瞬間、アマテラスは火球を投げつける体勢に入る。

 

「貫け!!」

 

「行け!!」

 

 しかし、投げる瞬間カレルとジーナの銃撃がアマテラスの肩に当たり、爆発する。その衝撃でアマテラスは火球の狙いが逸れる。

 

  『ガアアァァァァンッ!!』

 

 狙いが逸れた火球は海に落ちると、火球の周囲の海水が蒸発して着弾した場所の海底がグズグズに溶けて、焦土と化した。

 

「マ、マジかよ…」

 

「あら…とんでもない威力ね…」

 

「あぶね…防御してたらあの世に行ってたな…」

 

 すぐに海水が被ってきたので見えなくなったが、海底を焦土とする火球の威力を見たカレル、ジーナ、ユウキは驚きを感じた。ユウキもあれを防御していたら一発で蒸発していただろうと恐怖した。

 その隙にアマテラスは地面に前触手を突き刺す。

 

「全員動けっ!!燃やされるぞ!!」

 

 ユウキの声を聞くと全員がその場から動く。すると、下から火柱が上がる。

 

  『キエラァ?!』

 

 突然アマテラスの動きが止まる。

 

「やりぃ!!」

 

 どうやらシュンが後ろからホールドトラップを仕掛けていた様だ。アマテラスがホールド状態になって動きが止まる。

 

「今だ!!総攻撃!!」

 

 ジーナ、カレルが銃口を向け、シュンは後ろ、ユウキは証明から突っ込む。

 

  『キエラァァァア!!』

 

 しかし一瞬のうちにホールドが解除される。そしてアマテラスの女神像に光が集まる。そしてユウキは反射的に装甲を展開する。

 その瞬間、アマテラスから炎のレーザーが照射され、装甲で受け止める。

 

「あっつ!!」

 

 しかし炎によって神機本体が熱を持ち、神機を握るユウキの右手が軽く火傷する。そしてその間に第三部隊は攻撃を加えていく。

 アマテラスが炎のレーザーの照射を終えると、今度は周辺に小さな火球を無数に展開して、周囲にばら蒔いていく。

 

「うわぁっ!!」

 

「くそっ!!」

 

「くっ!!」

 

 第三部隊が降り注ぐ火球をどうにかか躱して行くが、完全に防戦一方となってしまった。

 

「このぉ!!」

 

 しかし、火球を掻い潜り、ユウキがアマテラスの真下から大きくジャンプして斬りかかる。すると、女神像周辺の角を切り落としながら、女神像にも傷を付ける。

 しかしアマテラスがこれを好機としたのか、ユウキに頭突きを繰り出す。

 

「グハァ!!」

 

 ユウキは勢い良く背中から床に叩き付けられて、肺の 空気を吐き出す。その間にアマテラスは右の前触手を振り上げる。

 

「このぉ!!」

 

 ユウキが攻撃を受ける前にどうにかしようと、シュンがトラップを投げつける。

 

(やべっ!!あれホールドトラップじゃなくてヴェノムトラップじゃねえか!!)

 

 しかし、投げたトラップが本来投げつけようとしたものではなく、別のトラップだった。やってしまったと思いつつもトラップがアマテラスに当たると、ヴェノムトラップが発動する。

 すると、アマテラスは突然力をなくした様にぐったりする。

 

「ヴェノムが効いてる?」

 

「今のうちよ。」

 

「貫けっ!!」

 

 アマテラスが弱体化した瞬間、カレルとジーナが前触手の付け根を爆破していく。少しづつ表面を削り取っり、アマテラスの前触手を本体から落とす。

 

「落ちろぉ!!」

 

 それでも体勢を保とうと踏ん張っているアマテラスの後ろ足をシュンが切り落とす 。

 

  『キエラァァァ…』

 

 アマテラスが自らの体を支える手足を失い力なく倒れる。動けないアマテラスに立ち上がったユウキが巨大な捕食口であるミヅチを展開する。

 

「食い尽くせぇ!!」

 

 巨大な捕食口がアマテラスを捉えると、アマテラスの体半分を喰い尽くしてコアごと捕食することになった。

 

「ぜぇ…ぜぇ…た、倒した…」

 

「くっそ…冗談じゃねぇ…あんな化け物相手にしてたら…命がいくつあっても足りねぇ…」

 

「相手が大きいからかしら…綺麗な花が沢山咲いたわ…」

 

 シュンとカレルが肩で息をする中、ジーナは相手がタフだった事もあって沢山撃てて満足した様だった。

 

「うっし!!リンドウさんの捜索、再開すっか!!」

 

 少し休憩した後、スタミナを取り戻したシュンがリンドウを探しに行こうとする。

 

「いえ、一旦帰投しましょう。」

 

「はぁ?!何で?!」

 

 捜索再開と意気込んだ所をユウキの撤退指令で出鼻を挫かれ、シュンは思わず声を荒らげる。

 

「アマテラスとの戦闘で俺達全員はもちろん、神機も疲弊してるし携行品も消耗した。相手が分かっているなら1度戻って体勢を 立て直す方がより安全な捜索活動が行える。リンドウさんを探す俺達が不十分な装備で出ていってあの世行きにでもなったら、笑い話にもならないですよ。」

 

「ま、妥当な判断だろうな。ここから連戦は流石に無理だ。」

 

「チッ!!わあったよ…」

 

 実際、これだけの戦闘の後では、剣形態で 戦えるユウキとシュンは戦闘を継続できるが、銃形態でしか戦えないカレルとジーナにはかなりキツイ状況だ。弾丸用のオラクル細胞をほぼ使いきり、回復錠やトラップと言った携行品も消耗している。

 ユウキとシュンの神機から弾丸用オラクル細胞を受け取る事は出来るが、自力でリロードする術を持たない旧型銃身神機使いにとって、戦闘継続は難しい状況と判断したため、ユウキは撤退を指示したのだ。

 その事を理解しているかしていないのかは定かではないが、シュンは大人しくユウキの指示に従い、カレルと共に撤退する。

 

「手間のかかる子達なのに、あっさり手懐けたわね。」

 

「はい?」

 

 シュンとカレルが撤退する 様子を眺めていたユウキにジーナが話しかける。

 

「2人共あの防衛戦以降随分と大人しくなったわ。何かしたの?」

 

「いや、特に何も…」

 

 ジーナは以前の外部居住区防衛戦の後から、今までユウキの指示を聞こうともしなかったシュンとカレルが素直に指示に従う様になっていたので不思議に思っていた。

 しかしユウキは何かしたわけでもないと言うので、ジーナは表情には出ていないが内心驚いていた。

 

「あらそう?てっきりあの子達の弱みでも握ったのかと思ったけど…」

 

「ジーナさんの中で俺はどんな人間になってるんですか?」

 

 弱みを握って揺すったとでも考えているのだろうか?ジーナの頭の中では神裂ユウキとはどんな人物なのか気になっていた。

 

「そうね…大人しくて可愛い顔してるけど…裏では人を恐怖に陥れて服従させる様なこわーい子…かしら?」

 

「とんだ畜生じゃないですか!!」

 

 予想を遥かに越えたクズ野郎だと思われていた事に、ユウキは声を荒らげて反論する。

 

「ふふっ…冗談よ。」

 

「ジーナさんの冗談は分かりにくいです…」

 

「あらそう?分かりやすいと思ったけど?」

 

 『ジーナさんって冗談言うイメージないんだけどな…』と心の内でぼやく。

 

「気難しくなったあの子達が大人しくなるなんて、それくらいしか思い付かなかくてね…」

 

「ん…?気難しくなった?」

 

「ちょっと昔色々とあってね。」

 

 気になるワードを聞いたユウキが思わず聞き返す。対してジーナは返事をしながら歩き出したので、ユウキもその後に着いていく。

 

「シュンは小さい頃、剣術の道場に通っててね…そこでガキ大将みたいな事してて、年下の子の面倒もそれなりに見ていたのよ。」

 

 『今のあの子からは想像出来ないでしょ?』とジーナは最後に付け加えた。以前も感じたが、確かに今のシュンからは想像出来ない対応だ。戦闘に関しても太刀筋は、何処を攻撃しようか等と言う迷いがなく、その上素早い。その事を考えれば過去に誰かから剣術を教わっていたと言うのも頷ける。

 毎回鋭い一撃を当てていくが、有効な場所に当てる事が出来ていない。そのためいつも苦戦しているようにも思える。そんな事を考えていると、ジーナが話を進めたので意識をそちらに戻す。

 

「でもそこの先生や弟分達がアラガミの襲撃で酷い怪我をしてしまったのよ。治療にお金が必要になったけど、そんなお金は自分じゃ用意出来ない。そこであの子は何をしたと思う?」

 

「…さあ…」

 

 少し考えてはみたが、お金を稼ぐ方法が神機使いになる以外に思い付かずにユウキは歯切れの悪い返事をした。

 

「問題ばかり起こして破門された挙げ句、悪い人に商才を買われて闇市を仕切る事になった兄弟子に頼ったのよ。」

 

 『ちゃんと契約書も書かせてね…』とジーナは最後に付け足す。当時のシュンは恐らく契約書の意味を理解していなかった可能性が高い。そこに漬け込まれたのかも知れない。

 

「その兄弟子の弟も先生の所に居たんだけど、シュンがお金から目を離した隙に盗まれちゃってね。」

 

(…酷い事をする…いや、神機使いになる前の俺もそう変わらないか…)

 

 『ちなみに弟はそのまま蒸発したそうよ。』とジーナは締め括る。恩師や弟分を助けるために必死になって借りたお金も持ち逃げされ、結局借金だけが残った。ユウキはこのお金を盗んで雲隠れしたと言う、兄弟子の弟に怒りを覚えた。しかしかつて自身も同じように盗みを働いていたため、自分も同じような ものだと一気に怒りが冷めてしまった。

 

「お陰で入院は出来てもろくな治療も受けられずに1週間も経たずに皆亡くなったわ。あの子も借金を背負う事になって未だに返済中…それから他人…特に年下にはきつく当たる様になってね。貴方の時もそうだったでしょ?」

 

「ええ、まぁ…」

 

 そう言いながらシュンと初めて会った頃の事を思い出す。ユウキを始め、コウタやアリサに嫌味や陰口を言っていた。そう思うと今のシュンはあの頃からだいぶ変わったと内心驚いていた。

 

「次はカレル…あの子には姉が居たの。もう病気で亡くなったけどね。」

 

 ジーナの話によると、カレルもまた大切にしている人を亡くしている様だ。

 

「決して治らない病気ではなかった。治療法も一応はあるわ。ただ、莫大な手術費がかかるの。」

 

 ジーナは相変わらず歩きながらカレルの姉の事を話していく。

 

「その準備として、入院までは漕ぎ着けたけど…子供を雇ってくれる様な所なんて無くて、結局手術を受けるためのお金を用意出来なかった。」

 

 その経緯を聞きながら、カレルが何故お金に執着するのか、ユウキにも何となく理由が分かった。そしてカレルの姉の末路ももう察しが着いた。

 

「元々身体が弱かった事もあって、しばらくして亡くなったわ。」

 

 『やっぱり…』とユウキは心の内で思っていた。手術に必要な資金を用意出来なかった…これだけどうなったかは予想出来たが、出来れば外れて欲しかった。

 

「お金がない…ただそれだけであの子は姉を喪ったのよ。以来ひねくれてお金に執着するようになったのよ。」

 

 シュンもカレルも、最初に会った頃は単に嫌なやつだと思っていたが、こうして過去を知ると『2人とも辛い人生を送って来たのだな…』と思い、今までの様な嫌なやつと言う印象から少し変わっていた。

 カレルの件はもう姉は故人なので どうしようも無いが、シュンの件は何とか力になれないかとユウキは考えていたが、プライドの高いシュンはそれを許さないだろう。しかも契約書がある以上、下手に第三者が介入すれば更に厄介な事態になりかねない。

 ならば報酬の良い任務を紹介する事でシュンの力になるのが一番手っ取り早いだろうと考え、今度からそんな任務も探してみようと決めた。

 しかし、ここまで2人の過去を聞いて、ふとあることが気になった。

 

「…随分と詳しいですね。あの2人がそんな過去を語るとは思えないのですが…」

 

 ユウキの言う通り、シュンとカレルは『超』が付くほどにプライドが高い。そんな2人が姉想い、弟分想いだったと知られたら絶対に否定するだろう。どう考えても自ら語るとは思えない。

 

「ああ、こう見えても昔看護師だったのよ。」

 

「…えぇ?!」

 

 『当時15、6だったけどね。』と最後に付け足す。しかしかなり予想外な答えが飛んで来たので、最後の一言を聞いている余裕はなかった。

 その後もジーナ曰く、襲撃された居住区を歩いてたら看護のボランティアと間違われ、教わった通りに怪我人を手当てしていたら筋か良いと気に入られ、いつの間にか病院で勤務することになっていたとか話していた。しかし、元看護師と聞いた驚きの方が大きく、あまり話が頭に入ってこなかった。

 

「経緯も見てたし、短い間だったけどさっき話した人と話しをしたこともあるわ。」

 

「へ、へぇ…」

 

 やはり話が頭に入って来ない。ジーナが話しかけてくるが、ユウキは間の抜けた返事をした。

 

「懐かしいわ…人手が足りないからって執刀補佐とかもやったわねぇ。手術中に出た血が真っ赤な花に見えて綺麗だって思ったわ。思えばあの頃から生き死にの世界に魅了されていたのかも知れないわね…」

 

(…まさかジーナさんってかなりサイコな趣味を持っているんじゃ…)

 

 ユウキは手術中に出てきた血を赤い花のようで綺麗だったと言うジーナに少し恐怖した。

 ジーナの言う自分とターゲットとの殺し合い…ジーナの言葉で言うと命の交流をしている時が自分が生きていると言う実感を感じると言うのも、ユウキにとって理解は出来るが共感はしにくい。ジーナのこの感覚を理解するには少し時間がかかるだろうと考えていると、ジーナは1度止まって振り向いた。ユウキもそれに倣って立ち止まる。

 

「ま、何にしても…あの子達の面倒、大変だと思うけど、懲りずに見てやってね。言う事聞かないようなら、私も手を貸すから。」

 

 そう言ってジーナは再び歩き出す。

 

「さ、帰りましょ?」

 

 ジーナに続き、ユウキもまた帰投した。

 

 -極東支部-

 

「…だぁぁあ!!やっぱりただ待ってるだけなんて出来ねー!!俺たちも探しに行こうぜ!!」

 

 ユウキ達が帰投しているのと同じ頃、じっと待っていた第一部隊だったが、ついにコウタがついにしびれを切らして自分達も探しに行こうと騒ぎ始める。

 

「気持ちは分かりますけど…」

 

「でも、私達はあくまで今まで通りのゲリラ戦を命じられているわ。それが解除される可能性は低いと思う。」

 

「命令が解除されない限り、そう簡単に捜索任務に加われるとは思えんが…」

 

 アリサ、サクヤ、ソーマの3人もまた探しに行きたいのは山々だが、第一部隊にはゲリラ戦のついでに短時間の捜索をするように指示か出されている。命令を無視して、勝手に広域捜索をすれば全部隊に多大な混乱をもたらすのは必至だろう。

 

「そこなんだよ!!俺達に広域捜索は許されていない。だったらリンドウさんの方からこっちに来てもらう作戦を展開するのさ!!その作戦名は…」

 

 自信ありげにコウタはビシッ!!と指を指しながら、作戦名を大々的に発表する。

 

「『リンドウさん誘き寄せ作戦!!』」

 

 ネーミングのセンスにも引いたが、作戦内容を聞いた後で3人…特に女性陣からは白い目で見られたコウタだった。

 

To be continued




後書き
 今回は第三部隊との任務です。アマテラスとの戦闘ついでにシュンとカレルの過去を書いてみました。彼らの過去は2RBの防衛班の帰還でカレル編とシュン編の最後から思い付きました。
 カレルは副業で庶民向けに病院を経営してたり、シュンはアラガミの襲撃を受けた所の子供の安否を心配したりと言ったところから、元々はお人好しで何かあってひねくれた正確になった様に感じたのであんな感じになりました。ジーナさんの過去は完全にイメージです。何か医療関係の仕事してそうってだけで考えました。
 次はリンドウさん誘き寄せ作戦です。任務に出るメンバーの最後の一人を誰にするか決めかねているのでアンケートを設置してみました。1週間ほどで結果を反映して小説を書いていきますので、是非解答の願い致します。
 ※次の更新はリアルの事情で恐らく遅くなります。
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