GOD EATER ~The Broker~   作:魔狼の盾

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リンドウさんが帰還してから1ヵ月、なんやかんやとあったがサクヤさんとの結婚式…の直前の話です。


mission70 門出

 -極東支部 ユウキの部屋-

 

 リンドウが帰ってきてから1ヵ月が経ち、極東支部は慌ただしく人が入り乱れていた。そんな中、ベテラン区画のユウキの部屋には元部屋の主であるリンドウがソファーに座って何やら資料を読んでいた。ただし、その服装はいつもと違い、タキシードを来ていて何処か窮屈そうだった。

 

「リンドウさーん!!居ますかぁ?」

 

 突然扉が開くと、そこにはコウタが立っていた。そして少し後ろには、ソーマも居た。

 

「ん?おうコウタ。ソーマも一緒か。どうした?」

 

「リンドウさんの準備が終わったかの確認っす。会場の設営も残りは大した作業もないし、積もる話もあるだろうから、ついでに様子見に行ってくれって皆が言うもんで。」

 

 今日はリンドウとサクヤの結婚式だ。前日から会場と披露宴の設営をしていて、予定では昼から始める事になっている。

 その準備の最中、周りからの指示もあり、コウタとソーマがリンドウの準備がどうなっているか確認しに来たのだ。

 

「ま、その様子なら問題ないみたいだな。報告に戻るぞ。」

 

「まぁまぁまぁまぁ、せっかくだから時間まで話し相手になってくれよ。こっちは退屈で死にそうなんだ。」

 

 様子を確認したソーマがすぐに部屋を出ようとしたが、リンドウはその手を掴み引き止める。

 

「いや、このあとのスケジュールとかあるだろうが。」

 

「大丈夫だって。今日の主役は俺とサクヤだ。俺たちの準備が終わらなけりゃ式もはじまらないって。」

 

 確かに主役の準備が終わっていなければ、式を始める事は出来ないがそれを大義名分に暇潰しに利用するのはどうなのだろうか?と思いながらソーマはリンドウに手を引かれて部屋に戻る。

 

「それにサクヤの準備の方がよっぽど時間がかかるだろうからな。まだしばらくは問題ないだろうさ。」

 

 そう言ってリンドウはソファーに座ると、コウタもベッドに座り、ソーマは壁に背中を預けた。

 

「結婚かぁ…この1ヵ月準備やら申請やら大変だったけど…やっとここ待で漕ぎ着けましたねぇ…真っ白なウェディングドレス姿のサクヤさん…綺麗なんだろうなぁ…」

 

「おいおい、他人の嫁さんに色目を使わないでくれよ?コウタ。」

 

「分かってますよ。そんな趣味はないですって。にしても…」

 

 流石に自分の嫁が言い寄られるのは面白くないのか、リンドウはコウタに釘を刺しておく。

 

「スーツも似合いますね。いつもは動きやすさ重視のラフな服着てるもんだから、ビシッと決めるイメージが湧かなかったんですけど、何の心配もなかったみたいですね。な、ソーマ。」

 

「スーツと言うかタキシードなんだがな。まあ、確かに変ではないな。」

 

 『もうちょい素直に誉めろよ』とコウタが言うと、ソーマが『うるせぇ…』と返した。そんな何気ないやり取りを見たリンドウは少し驚いていた。リンドウから見たソーマは、今までに素直に他人を誉めた事は無かったからだ。

 

「当ったり前だろう。俺みたいな男前は何着ても似合うんだよ。」

 

 リンドウは冗談めかした口調でドヤ顔になる。

 

「…ホントにあれから1ヵ月経っちゃったんですよね…なんか、あっという間でしたね。」

 

 コウタがリンドウが帰ってきてからの事を懐かしむ様に思い出す。

 

「まぁな…何しろ帰ってきてからここまで色々と詰め込み過ぎだったからな。一月前がえらく遠い昔の事みたいだな。」

 

「そう言えば帰って来て早々、ユウと一緒にツバキさんやサクヤさんとアリサにどやされてましたね。その上ツバキさんからの懲罰が…」

 

 -1ヵ月前 医務室-

 

 時は1ヵ月前、リンドウが帰還してから3日後まで遡る。全身を包帯で巻いているリンドウと右目以外の顔を包帯で巻いているユウキ、それからツバキとサクヤ、アリサが医務室に居たのだが…

 

「さて、お前達…何故正座させられているか分かっているだろうな?」

 

「「え…えっと…」」

 

 男2人は冷や汗を流しながら医務室の床で正座させられていた。

 

「リンドウ…?あんなに心配かけといて、まさか何も言われない何て思ってないでしょうね?」

 

「あぁ…その…まぁ…」

 

 返す言葉が思い付かず、リンドウは何とも歯切れの悪い返事をする。

 

「ユウもですよ…? 1人で無茶しないでって何度も言ったのに、何でまた1人でリンドウさんとの戦いに行ったんですか?その上こんな怪我までして…私達を悲しませて心配させて…そんな事して楽しいですか?」

 

「い、いや…そんな事は…」

 

 アリサもまたユウに対して質問攻めにしていた。ユウキはアリサの迫力に圧されてまともに返す事が出来なかった。

 そんなこんなで野郎2人を問い詰める女子2人は素敵な笑顔を見せていたが、ドス黒いオーラを纏っていて、ユウキとリンドウは完全に気圧されていた。

 

「まあ、2人が色々と言いたい事があるのは分かる。私もお前達に言いたいことは山ほどある…が、その辺りはサクヤとアリサが言ってくれるだろうから、私からはお前達への懲罰の内容だけ伝えよう。」

 

「えっ?!ちょ!!ま、待ってくれよ姉上!!2人とも帰って来たら懲罰は免除するって話なんだろ?!こうして2人共帰って来たんだし、それはちっと話が違うんじゃ…」

 

 リンドウは先に聞いた話だと、2人共に帰ってきたのだから約束通り懲罰は無いはずだと抗議するが、ツバキはリンドウを睨んで黙らせる。

 

「ほう…口答えか…?良いだろう。今回懲罰を与えるに至った経緯を説明してやろう…サクヤ、アリサ…私が懲罰を免除すると言った条件を言ってみろ。」

 

「「『2人とも無事帰還した場合のみ、懲罰を免除する』です。」」

 

 サクヤとアリサが揃って出撃前にツバキが言っていた懲罰を免除すると言った条件を伝える。

 

「リンドウは制御出来ているとは言え右腕がアラガミ化、ユウキは左目の失明…とても無事とは言えないな…」

 

 リンドウは比較的傷は無いが、長期間の極限状態による衰弱と右腕のアラガミ化は治らず終い。点滴とアラガミ化の影響の調査と療養も兼ねて医務室で治療する必要があった。

 そしてユウキは全身に大小問わずそこら中に傷を作り、頭蓋は一部砕け、左目は潰れた。そのため、頭蓋の修復と左目の摘出手術をした。

 だが施術後、次の日には2人ともすぐに動ける様になり既に通常通り任務に出られる程に回復している。ルミコが驚く程の驚異的な回復力を見せつけたが、無事とは程遠い状態なのは間違いない。

 

「…い、いや、だって…なぁ?」

 

「…ねぇ…」

 

 ユウキとリンドウはバツが悪そうに互いの顔を見合わせる。そもそも互いが互いを殺す為に戦っていた状況で、無事に帰ってくると言うことの方が無理な話だ。

 

「とにかく、罰は受けてもらう。内容は10倍式アマミヤ・ブート・キャンプだ。」 

 

「えぇ?!ま、待ってくれよ姉上!!あれはマジで勘弁してくれ!!」

 

 罰の内容を聞くと、リンドウは一気に青ざめて罰の内容を変えてもらえないかと抗議する。

 

「姉上と呼ぶな馬鹿者!!ペナルティ追加だ!!任務に出られる程回復しているようだから早速明日から始めるぞ!!…フ、フフフ…楽しみだなぁ…アーッハッハッハッハ!!」

 

 リンドウの抗議も虚しく、ツバキは明日から罰の執行をすると告げると、高笑いして医務室を出ていった。

 その一部始終を、2人に一言もの申すつもりで医務室に来ていたソーマ、コウタ、リッカが扉の外から覗いていた。そしてその3人とは別で後から来たユーリが何かを察して複雑な表情でその場を後にした。

 

 -極東支部 ユウキの部屋-

 

「あぁ…腕立て腹筋スクワット…その他諸々も1万回以上を1時間以内にやるとか…あの1週間はマジでキツかったなぁ…つか他人事だと思って笑いのネタにするんじゃねぇよ。」

 

 罰が執行されてからの1週間、ユウキとリンドウはひたすら(鬼)教官の元、ひたすら筋トレをしていた。

 結局この1週間の間に1時間以内に筋トレ1万回のノルマを達成は1度も出来なかったと言えばその過酷さは容易に想像できるだろう。

 

「それだけ心配かけたって事だ。甘んじて受け止めろ。」

 

「ったくよぉ…いつの間にかソーマもコウタも小生意気になりやがって。」

 

「だが、そんな小言を聞けるのも、こうして生きて帰って来たからだろ?」

 

「…そうだな。」

 

 ソーマの言葉を聞いたリンドウは帰って来たんだなと再度実感する。

 

「命懸けで救いだしてくれたユウと、文字通り俺の右腕となって生きている相棒…それから俺の事を探して回ってくれたお前達のお陰だ。本当に感謝する。」

 

「よせ…体が痒くなる。」

 

「あっ!!さてはお前風呂に入ってないな?」

 

 リンドウが助けてくれた皆に礼を言うと、気恥ずかしさから礼の言葉を拒否する。それを見たコウタが悪のりしてさらにソーマを茶化して、ソーマとコウタが騒ぎ始める。

 

「なっ?!はぁ?!何でそうなる!!大体昨日俺がシャワー浴びたのお前も見てるだろうが!!」

 

「プッ!!アッハハハッ!!ソーマがそこまで必死になるたぁ、レアなもんが見れたわ!!」

 

 いつまでもこんな『普通の日常』が続けば良いのに…この場にいる誰もがそう思いながら笑っていた。

 

 -極東支部 会議室-

 

 時はコウタ達がリンドウを訪ねてから少し後、役員区画の会議室を控え室として利用して、サクヤがヒバリに手伝ってもらいながら着付けをしていた。

 

「サクヤさん?今大丈夫ですか?」

 

「アリサ?ええ、どうぞ。」

 

 サクヤから入室の許可を貰うと、アリサは控え室に入ると、ウェディングドレスを着て、メイク(ほぼ終わり)中のサクヤが目に映る。女子であれば恐らく誰もが憧れるであろうその美しい姿を見て、アリサは思わず息を呑んだ。

 

「わぁ…サクヤさん…綺麗…」

 

「フフッありがとう。でも着付けがまだ終わってないから、ちょっと恥ずかしいわ。」

 

「それでも十分に綺麗ですよ。リンドウさん、こんなに綺麗な奥さんと結婚出来て幸せ者ですね。」

 

「ホントですよね。器量よし、料理もできる、家事スキルも網羅していてその上美人なんですから。非の打ち所が無いですね。」

 

「もう、煽てても何も出ないわよ?」

 

 アリサとヒバリが素直にサクヤの事を誉めると、サクヤは照れ隠しをする。

 

「失礼しまーす!!」

 

「あら?アネット…だけじゃないみたいね。」

 

 しばらく談笑していると、扉をノックする音が聞こえ、入室の意思を示す声が聞こえた。声の主はアネットだったが、その後ろにも続いて他にも部屋に入ってくる者がいた。

 

「すいません。どうしても一目見たくて…」

 

「あはは…待ちきれずに来ちゃいました。」

 

「ごめんなさい。大勢押し掛けるのも悪いかと思ったけど…やっぱり花嫁を一足先に見てみたくなってね。」

 

「そんな事気にしないで。賑やかな方が良いじゃない。」

 

 アネットに続いてカノン、リッカ、それからジーナも続々と部屋に入ってくる。花嫁姿のサクヤを見るなり、アネットは感激して『サクヤさん綺麗…』と呟き、サクヤが『ありがとう』と返す。

 それを皮切りに、皆が次々と『綺麗』や『羨ましい』と言った感想を話していく。

 

「良いなあ…いつか私も素敵な旦那さんと結婚したいなぁ…」

 

 花嫁姿のサクヤを見て、恋に恋する少女アネットにも結婚願望が芽生え始める。

 

「アネット可愛いから、きっとすぐに相手が見つかるわよ。」

 

「ちなみにアナグラの中で選ぶとしたらどんな人が良いですか?」

 

 サクヤがアネットならすぐに結婚相手が見つかると返す中、ヒバリが極東支部内の人間でなら誰が良いを聞いてみると、アネットは一瞬考え込んでから答える。

 

「そうですね…やっぱり先輩みたいな人がいいですね。」

 

「「絶対ダメ(です)っ!!」」

 

「えぇっ?!何でですか?!」

 

 アリサとリッカが揃ってアネットを止める。しかしアネットは何故止められるのか分からずに困惑する。

 

「あらあらぁ?何でダメなのかしらぁ?」

 

「うっ!!それは…その…」

 

「ねぇ…」

 

 サクヤがニヤニヤしながら何故ユウキを選んではダメなのか聞くと、アリサとリッカは目を合わせて言葉を詰まらせる。

 

「ユウの事取られると思って焦っちゃった?」

 

「そ、そう言う訳じゃ…え、あれ?今の会話前にもあった気が…」

 

「え…?ああ、そう言えばユウがリンドウと戦う前にこんな感じの話をしたわね。」

 

 アリサは今の会話にデジャヴを感じていると、サクヤがユウキと喧嘩したときにもした会話だと伝える。するとアリサはあからさまに動揺した態度を見せる。

 

「え…?あれ?も、もしかして…」

 

「ええ、皆あれよりももっと前から気づいていたわ。」

 

 今までの会話とサクヤの態度でユウキの事をどう思っているか、ある程度は知られてしまったとアリサは思っていたが『似たような会話でサクヤが同じ反応をしたと言う事は…?』と考える。

 サクヤからその時には既に知られていたと伝えられると、アリサは顔どころか耳まで真っ赤になった。

 

「うぁぁぁぁ…」

 

 羞恥からうなり声をあげながら、部屋の隅で頭を抱えていた。

 

(アリサ…同情するよ…)

 

 部屋の隅で身悶えしているアリサを見て苦笑しながら見つめていたリッカだったが、サクヤの一言で一変する事になる。

 

「あら、リッカ?貴女、自分は関係ないと思っているのかしら?」

 

「え?!ウソ?!!?」

 

 まさかと思い、リッカは勢いよくサクヤの方に振り返る。

 

「バッチリバレてるわ。」

 

「リッカさんもこの1ヶ月、あんなに態度に出てたのに、気付かれてないと思ってたんですか?」

 

「うぅぁぁぁ…」

 

 サクヤとヒバリの二連撃を受け、リッカもまたアリサの隣で同じように真っ赤になって頭を抱える事となった。

 

(あんなにあからさまに態度に出てるのに…何で2人は周りにバレてないって思ってたんですかね…?)

 

(無自覚…でしょうか?多分気付いてないのユウキさん位じゃないですか?最終的にはユーリさんもアリサさんの気持ちに気が付いちゃって…)

 

(あの子、この間ダメ元で告白したらしいんだけど、案の定フラれて落ち込んじゃったわ…)

 

(((罪な女(です)ね…アリサ(さん)…)))

 

 カノン、ヒバリ、ジーナがヒソヒソとこの1ヵ月、アリサとリッカの変化が分かりやすくなったと話している。主にアリサもリッカも何かとユウキの様子を気にして過保護になっていた。ある日突然いつも以上に構う様になれば、何かしら相手に思う所があるのだろうと周りに勘繰られても不思議はない。

 そんな1ヵ月の変化を話している中、ヒソヒソ話を聞いたアネットが爆心地に更に爆弾を投下する様な発言をする。

 

「あっ!!そっか!!先輩を結婚相手に選んじゃダメだって言ったのは、アリサさんとリッカさんは先輩の事が…」

 

「「わぁぁぁぁあ!!ストォォォップ!!」」

 

 既に知られているとは言え、皆の前でハッキリと言葉にされるのは恥ずかしいものがあり、アリサとリッカが慌ててアネットの口を塞ぐ。

 しかし、普通の女子の神機使いよりも腕力があるアネットにはそれも通用せず、2人の手をどうにか払い除ける。だが、またアリサかリッカのどちらかがアネットを取り押さえようとして、3人はもみくちゃになっていた。

 その様子を見ていたサクヤは小さく笑い、この1ヵ月の出来事を思い出していた。

 

「1ヵ月か…本当に色々とあったわ…」

 

「そうですね…ユウキさんとリンドウさんを叱ったり、リンドウさんの戦線復帰の手続きや式の準備…」

 

「それから、リンドウと一緒に暮らし始めた事…本当…この1ヵ月で色々と変わったわ…」

 

「本当に、色んな事が詰め込まれた1ヵ月でしたね。」

 

 リンドウの帰還の後、リンドウの部屋はユウキが使っているためリンドウとサクヤの同棲する事になり、しばらくして式の準備をしながらリンドウとユウキへの懲罰と、1ヵ月の間に起こった出来事としては色々と詰め込み過ぎな毎日だった事を皆で思い出しす。

 

「ええ…でもなぁ、リンドウと暮らし始めてから…分かってはいたけど、もう少ししっかりして欲しいなぁ…」

 

 分かっていた事だが、同棲を始めてからと言うもの、リンドウのだらしない私生活にやや拍車がかかり、どうにかならないかとサクヤは苦笑する。

 

「休みは基本ゴロゴロしてるし、飲み終わったビールの缶はそのままにするし、何か黒い羽を撒き散らすし…掃除の手間が増えて大変よ。」

 

「でも、それで良かったんですよね?」

 

 いつの間にか騒動が終わり、大人しくなっていたアリサが穏やかな口調でサクヤに聞く。

 

「ええ…こんな大した事じゃない日常が帰って来た事が何よりも幸せよ。ホントにあの子には感謝の言葉しかないわ。」

 

 リンドウが帰ってきた…その陰には文字通り1人命懸けでリンドウを救う為に戦ってくれた少年の活躍があっての事だった。

 本当に感謝の言葉しかない。そんな事を考えていると、『入るぞ』と凛とした声が聞こえてきて部屋の扉が開いた。

 

「こんな所に居たのか。もうそろそろお前達も準備をするといい。男共の様に、着替えて髪をセットして終わりと言う訳にはいかんだろう?」

 

 声の主はツバキだった。彼女によるとどうやら会場の準備は終わったらしい。ツバキに促されて、花嫁を見に着た女性陣は、今度は自分達の準備を始める為に部屋を出ようとする。

 

「あ、じゃあついでで良いから、ユウを呼んでくれるかしら?式の前に改めてお礼を言いたいんだけど…」

 

 皆がサクヤに一旦部屋を出る旨を伝えると、サクヤは何処かでユウキに会ったら呼んで欲しいと頼む。

 

「先輩なら今披露宴の準備かと…」

 

「え?!こっちにはずっと居なかったよ?式場の準備だったんじゃ?」

 

「厨房にも居なかったですよ?」

 

「そうよね?なら、あの子何処に居たのかしら?」

 

「もしかして、ずっと居なかった…とか?」

 

 式場の準備をしていたアネット、披露宴の設営をしていたリッカ、それらに出す料理を作る手伝いのため厨房にいたカノンとジーナ、そして司会のため、進行やスピーチの確認をしながらサクヤの準備を手伝っていたヒバリ…彼女達が口々に朝からユウキの姿を見ていないと言う。

 

「もうっ!!今日はリンドウさんとサクヤさんの結婚式なのに…どこに行っちゃったんですかっ?!」

 

 腰に手を当ててアリサは『プンスカ』と言う擬音語でも聞こえてきそうな可愛らしい怒り方で怒っていた。(本人は本気で怒っていたが…)

 アリサもユウキを朝から見ていないので、本当に何処に行ったのかとその場に居た全員が首を捻る事となった。

 

 -???-

 

 外部居住区から離れた荒野、そこには背中にフェンリルのエンブレムが刻まれた黒いスーツのような制服を来た少年が神機を携えて佇んでいた。

 

「…今日は俺の恩人達の大事な日なんだ。悪いけど、お呼びじゃないお客さんは帰ってくれないか?」

 

  『グォォオアアッ!!』

 

 そこにはアラガミの群れがいた。ヴァジュラにハンニバル、さらにはウロヴォロス…その他大型種や中型種、小型種も大量にいた。そんな烏合の衆に優しい口調で語りかけるが、アラガミ達は戦闘体勢に入る時の咆哮で返事をする。

 

「リア充は爆破するってか?…なら、仕方ない…」

 

 そう言うと、少年…神裂ユウキは左目に走る傷跡と黒い眼帯を付けた顔をあげる。

 

「来な…俺が代わりに遊んでやるよ。」

 

 ユウキはゆっくりと神機を肩に担ぐと、アラガミの群れを見据えて戦闘体勢に入った。

 

To be continued




後書き
 リンドウさんとサクヤさんの結婚式直前の話でこのリンドウ救出編は終わりとなります。残りは後日談を1話挟んで8、9割オリジナルなリザレクション編を開始します。(予定ですがちょっと世界観にそぐわない設定上ガチートな敵が現れるやも知れません。注意してください。)
 原作の世界観だとこんなご馳走を用意したり披露宴をしたりと言った豪勢な式は出来ないんでしょうね…実際、バースト編のED絵を見た限りはもう少し質素な感じでした。しかし、ここではやや華やかになってます。(何故それができたかは次の話で…)
 まあ何にしても





   末長く爆発しろ。
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