GOD EATER ~The Broker~   作:魔狼の盾

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キャァァァァシャベッタァァァァ!!!!!!!!!!!

今回微グロ描写ありです。最初と最後に※印を着けておきます。


mission72 喪失

 -贖罪の街-

 

 第一部隊がキャンプから帰ってきて3日後、旧市街地に白い神機を担いだ青年が居た。

 

「クソッ…!!ここにもいないか…」

 

 ソーマだ。ただし、今までの様に仲間と一緒ではなく単独で作戦領域に来ていた。

 

(早く見つけねぇと…)

 

 ソーマは心の内で呟くと、旧市街地を周り、調査を始める。何故そんな事になったのか…それはキャンプから帰ってきた時まで遡る。

 

 -3日前、ラボラトリ-

 

「ふむ…なるほどね…」

 

 第一部隊の報告を受けたペイラーが、顎に手を添えて考え込むような姿勢になる。

 

「アルダ・ノーヴァと同じ顔の未確認種…君たちも何となくは分かっていると思うけど、おそらくその正体はノヴァの残滓から発生した新種のアラガミだろうね。」

 

「「「「…」」」」

 

「なるほど…どうりで何かヤバい感じがすると思った…」

 

 ペイラーの仮説を聞いたリンドウは、今回会ったアラガミの全容についてある程度察しがついたのか、1人納得したような感想を漏らした。

 

「これも予測でしかないんだけど、エイジスにはアルダ・ノーヴァのプロトタイプも保管されている。そのプロトタイプをノヴァの残滓が取り込んで新たに誕生したものが、君たちの見た新種のアラガミってことになるだろうね。」

 

「え?でも、待って下さい。ノヴァの残滓から派生したって事は、もしかして…」

 

 アルダ・ノーヴァと同じ顔…ここから新種のアラガミについて考察すると、まず、アルダ・ノーヴァを捕食したのは間違いないだろう。ここからプロトタイプが保管されているエイジスで発生したものと推測し、さらに極東の人外3人集が揃って何かしら反応を見せた事から、特別なコア、あるいはオラクル細胞を持っていると考えられる。そうなると、ノヴァの残滓が別個体のアラガミを形成したと考えた方が色々と筋が通っている様に思えた。

 そしてここまでのペイラーの仮説を聞いたサクヤはある可能性に気が付いた。

 

「ああ、サクヤ君の言う通り、ここまでの推測が全て当たっているのなら、あれは普通のアラガミサイズではあるがノヴァそのものだ。これまでに残滓の影響を受けて誕生したアラガミとはまったくの別物…さしずめ、『第二のノヴァ』とも言えるね。今はまだ未完成でも、時間が経てば完成して、終末捕食を引き起こすだろうね。」

 

「ウソ…だろ?」

 

「そんな…」

 

 ペイラー曰く、ツクヨミの様にノヴァの残滓の影響を受け、外部のオラクル細胞が新たにコアを精製したものではなく、ノヴァの残滓が直接コアを精製し、身体を作り上げた可能性があると言うのだ。それは要約すればシオが防いだはずの終末捕食に足が生えて歩いている様なものだった。放置すれば世界は滅ぶ。その可能性が高い事を告げられると、コウタとアリサは目に見えて動揺する。

 

「なら、そうなる前に倒せば良いんでしょう?」

 

 第一部隊に動揺が広まりつつある中、ユウキはシンプルな答えを導き出す。

 

「…そうだね。確かにノヴァとして完成する前なら、倒してしまえばそれで終わりだ。ただ、今回の敵は今までにない強敵だ。一筋縄にはいかないよ?」

 

「例え敵がどれだけ強大でも、やらなきゃ滅ぶって言うのならやるしかない。それをやるのが俺達ゴッドイーターだろ。」

 

「… そうだな。」

 

 殺らなきゃ殺られる…ならば殺るだけだと言ったユウキの言葉をリンドウが肯定する。すると皆が頷き、新たな戦いに決意を固める。

 

「クソッ…」

 

 だがそんな中、ソーマは悔しそうに小さく悪態をついていた。

 

 -贖罪の街-

 

 残滓回収量が少ない事によって起こり得る事象を検討すべきだったと考えながら辺りに第二のノヴァが居ないか探索している途中、コンゴウ堕天種の群れと遭遇してしまい、現在ソーマは単独で戦闘する事になった。

 早く第二のノヴァを処理しなければならない、そんな状況であるにも関わらず、コンゴウの相手をしなければいけない事にソーマは苛立ちを感じながら戦っていた。

 

「チィッ!!」

 

 舌打ちをしながら殴りかかってくるコンゴウ堕天種の拳をジャンプで避け、イーブルワンをコンゴウ堕天種の頭に叩き落とす。

 

「失せろっ!!」

 

 そのまま神機の刀身を軸にしてソーマは上下反転する。その状態で神機を振り抜くと、コンゴウ堕天種の頭を下から引き裂き、その反動で前に出る。

 そして倒したものとは別のコンゴウ堕天種の目の前に着地すると、すぐに左に跳ぶ。するとソーマの後ろから転がってきたコンゴウがコンゴウ堕天種とぶつかって両方が体勢を崩す。

 

「邪魔だ!!」

 

 その隙にソーマは全力で神機を横に振り抜き、コンゴウとコンゴウ堕天種の2体を両断する。

 しかし、全力の振りは多少なりとも隙が出来るものだ。その間にソーマの左右からコンゴウ堕天種が飛びかかる。

 『チッ!!面倒だな…』と思いながらソーマは後ろに跳ぶ為、両足に力を込める。だが、この瞬間コンゴウ堕天種が2体とも銃弾の雨に撃ち落とされ、ソーマはコアを破壊されていく様を後ろに跳びながら見ていた。何事かと思って後ろを向くと、そこには見知った顔があった。

 

「ったく…突然一人で捜索任務に出るから準備を前倒ししなきゃいけなくなったじゃんか。」

 

「本当ですよ。お陰で携行品の数が不十分ですよ。」

 

「お前ら…」

 

 そこにはアリサとコウタが居た。2人は互いにソーマの背中を守るように立ち、神機を構える。そして今度はソーマの正面からコンゴウが走ってくる。迎撃しようと神機を構えた瞬間、黒い影が上から降りてきてコンゴウを一撃で縦に両断する。

 

「愚痴るのは後だ。先にコイツらを片付ける。」

 

 影の正体は火刀・極を装備したユウキだった。ユウキも全員の元に1度下がって、第一部隊が全員背中合わせになる様に陣を組む。その状態でざっと見たところ10体ちょっとのコンゴウとその堕天種がユウキ達を取り囲んでいる。このメンバーなら何の問題もない。各自が四方に分散してコンゴウの殲滅を開始した直後、ユウキの端末に連絡が入る。

 

『ユウキさん聞こえますか?』

 

「ヒバリさん?何かあったんですか?」

 

『実は…旧地下鉄で、ユーリさんから救難信号が出ているんです。サーチしてみると、ヴァジュラと交戦中の様なんですが、反応パターンが少し違うんです。少し気がかりになってユウキさん達に声をかけたんですけど…すぐに向かえますか?』

 

 通信を入れてきたのはヒバリだった。戦闘しながら聞いた内容によると、どうやらユーリの部隊が旧地下鉄で救援待ちの状態らしい。だが、ここ最近で一気に力を付けてきたユーリが助けを求めていると言う状況がどうにも気がかりだった。

 冷静な状況判断と周囲への支援、そして個人の実力も相まって、小隊の隊長として派遣するのも問題ないレベルになったユーリがそこらのアラガミに苦戦するとは考えにくい。何か嫌な予感がしたが、救難信号を出しているならば、行かない訳にも行かなかった。

 

「…了解、今の任務を1分以内に終わらせて向かいます。」

 

 何かが頭に引っ掛かって即答はしなかったが、コンゴウ共を一瞬のうちに片付けて救援に行くことを伝えると、第一部隊は本当に1分足らずでコンゴウの群れを倒して、旧地下鉄に向かった。それが彼らの運命を狂わせるきっかけとなるとも知らずに…否、運命はとうに狂っていた。ただ、それが確実になり、早まっただけのことだ…

 

 

 -楝獄の地下街-

 

 第一部隊が旧地下鉄に着いて、待機ポイントから降りたところですぐにユーリは見つかった。ヒバリからの報告通り、相手はヴァジュラだった。見た目では特別変わったところは見受けられないが、ユーリが救援要請する相手となると油断は出来ない。

 

「ユーリ!!」

 

「せ、先ぱ…」

 

 ユウキが救援に来たと伝える意味も込めてユーリを呼ぶ。するとユーリは救援が来た事に安心したのか、戦闘中にも関わらずユウキ達を探そうと振り向いてしまった。そして…

 

  『ブジュッ!!』

 

「いっぎゃあぁぁぁぁあ!!」

 

「「「ユーリッ!!」」」

 

「クソッたれ!!」

 

 一瞬の隙が出来た間にヴァジュラが目にも止まらない速さで前足でユーリの両足を切り落とす。当然ユーリは悲鳴を上げて失った両足辺りを押さえながらのたうち回る。

 第一部隊が前に出て救助の体勢に入る。だが、コウタはその直前にあることに気が付いて動きを止める。

 

「ユウ!!他の神機使い達、皆コイツに殺られてる!!」

 

 

 

 

 

 

 コウタの目には腸切り裂かれ、あらゆる臓器が飛び出し、四肢を落とされ、もはや誰なのかさえ分からない程に電撃で焼かれて爛れた顔の死体があちこちに転がっているのが目に映る。

 

 

 

 

 

 

 今までのアラガミとは違い、捕食ではなく遺体や切り落とした部位を至るところに放置し、こちらの動きに制限をかける事に利用している。捕食ではなく、死体を障害物として利用する様な殺し方は今までのアラガミとはまるで違う、戦い方をしているようだった。

 

「クソッ全員前に出ろ!!ユーリの救出を最優先だ!!」

 

 前に出ていたユウキが真っ先にヴァジュラに取り付いて、ユーリを救出するための隙を作るため顔面に斬りかかる。あわよくばこの一撃で倒せれば…そう考えて、ユウキは最大まで鍛えた火刀・極を装備した神機を全力で振り下ろす。

 

  『ギィン!!』

 

「なっ?!」

 

 しかし予想を裏切り、ユウキの一撃は甲高い音と共に防がれた。否、防がれたと言うよりはまったく効いていないと言った方が正しいだろう。何故ならヴァジュラは避ける事も防ぐ事もせず、ただ佇んでいただけだったのだから。

 そしてヴァジュラは攻撃を受けた頭を勢いよく上げ、ユウキを跳ね上げる。

 

「ガァアッ?!」

 

「「ユウ!!」」

 

 天井に激突したユウキが呻き声を上げ、その間のフォローにコウタとアリサは銃を連射し、ソーマはヴァジュラの頭に神機を振り下ろす。

 しかしどの攻撃も効いている様子はなく、ヴァジュラは余裕そうな雰囲気で頭を振り回し、ソーマを後ろに弾き飛ばすと、雷球を作って天井に叩きつけたユウキに投げつける。ユウキは天井を蹴って下に降りて雷球を躱す。

 

「クソッ!!顔面を斬りつけたのに何て硬さだ!!異常種か?!」

 

 ユーリが救助を要請した理由がようやく分かった。悪態をつきながらユウキはヴァジュラから距離を取って体勢を立て直しながら次の手を考えていく。

 

「コウタ!!グレネードだ!!」

 

「了解!!」

 

 動けないユーリにも聞こえるようにユウキが大きな声でコウタに指示を出す。それを聞いたコウタはスタングレネードを準備する。

 

「いくよ!!」

 

 コウタが合図をするとヴァジュラに向かってスタングレネードを投げる。それと同時に全員が目を閉じる。

 

  『バンッ!!』

 

 炸裂音と共に辺りが一瞬閃光に包まれる。

 

「よし!!俺とソーマで陽動!!コウタが救助、アリサはサポーどぅあ?!」

 

「うわっ!!」

 

「キャアッ?!」

 

「チィッ!!」 

 

 誰もがヴァジュラの視界を奪ったと思い、ユーリ救出に向かうところだった。しかしヴァジュラは複数の雷球を作ると、第一部隊全員に向かって正確な位置に雷球を飛ばしてくる。予想外な対応に反応が遅れたが何とか全員雷球を躱す。

 

「ウッソだろ?!まったく効いてないじゃんか!!」

 

 コウタの言った通り、スタングレネードを投げた直後に正確にこちらを攻撃してくるところを見ると、効いている様子はまったくなかった。

 驚いている間にヴァジュラは目の前のソーマに前足で引っ掻いてきた。それをソーマは後ろに跳んで躱すが、そのタイミングでヴァジュラは再び雷球を辺りに飛ばしてきた。

 

「クッ!!コウタ!!アリサ!!ホールドトラップとホールド弾は?!」

 

「勿論トラップは持ってるよ!!ホールド弾も威力低いけど一応ある!!」

 

「私もです!!」

 

 雷球を避けながらスタングレネードが駄目ならホールド状態にすると考え、ユウキはコウタとアリサにトラップを持っているか確認する。

 

「ソーマ単独で陽動!!俺とコウタでホールド弾を撃ち込む!!その隙にアリサはトラップを設置してユーリの救助!!」

 

「「「了解!!」」」

 

 ユウキの指示でソーマとアリサが前に出て、ユウキは銃形態に変形してコウタとホールド弾を撃ち込んでいく。

 

「せん…ぱい…助けて…」

 

「待ってろ!!すぐに助ける!!」

 

 ユーリが消え入りそうな声でユウキに助けてくれと懇願する。当然見捨てる気などない。しかしユーリを救出するにしてもヴァジュラの足元に居る以上、近づかなければならない。だが、近づくための隙を作ることが出来ない。ソーマが前から攻撃しているが異様に硬い上にほとんどその場から動かずにソーマを前足で引っ掻いて牽制しつつ、ホールド弾を撃っているユウキとコウタに雷球を飛ばし、さらにユーリ救出のため別で動いているアリサにも雷球を放ち自由を奪ってくる。

 

「ソーマ!!アリサが近づく隙を作る!!チャージクラッシュを叩き込め!!」

 

 どうにか雷球を避けつつ、ホールド弾を撃ち込みながらヴァジュラに隙を作る方法を思案する。結果、倒すことは出来ないだろうが、衝撃でアリサが近づく隙くらいは作れるはずだと考え、威力の高いチャージクラッシュを叩き込むようにソーマに指示する。

 

「ユーリに当てるなよ?!」

 

「無茶な要求しやがるっ!!」

 

 現在ヴァジュラの足元にはユーリが居る。下手に外すとユーリを巻き込みかねない状況であるため、ソーマに配慮するように伝える。だが、口では無茶苦茶言うなと言っているが、熟練の神機使いであるソーマが神機の制御でミスをする事もなく、狙い目を決めてチャージクラッシュの準備を始める。

 チャージ中は数秒の隙が出来る。その間ソーマに撃ち込まれていく雷球は神機を剣形態に変形したユウキが装甲で受け止める。

 数発受けるとチャージクラッシュの準備が終わり、ユウキが銃形態に変形しながら後ろに下がるとソーマが神機を振り下ろす。

 

「くたばれぇっ!」

 

 ヴァジュラの背中を狙ってソーマが神機を振り下ろすとそれを阻止する様にさらに多くの雷球をソーマに向かって撃ってきた。咄嗟に爆破弾を雷球に撃ち込み、何とか防ぎきる。しかしヴァジュラは何故か素早く前足を出す。

 

「え…?うわっ!!」

 

「グッ?!」

 

 出した前足でユーリを自身の顎の下に移動させる。このまま背中にチャージクラッシュを叩き込むと衝撃で倒れたヴァジュラに相よってユーリが圧死させられる。咄嗟にチャージクラッシュの到達位置をヴァジュラの後ろに逸らせる。

 チャージクラッシュがヴァジュラに当たると轟音と共に埃等が舞い上がる。数秒視界が遮られた後、視界が晴れてくるとそこには何事もなかった様にヴァジュラが佇んでいた。

 

「そんな?!」

 

「ウソ?!」

 

「無傷…だと…?」

 

 咄嗟に軌道を変えて威力が落ちていたとは言え、チャージクラッシュを受けて無傷と言う事態に全員が驚愕する。

 

「ガッ!!」

 

「クッ!!アリサ!!」

 

「これで!!」

 

 チャージクラッシュ後、予想外の事態に思わず呆けてしまったソーマにヴァジュラが前足で引っ掻いてきた。ギリギリのタイミングで神機の刀身を盾にした事で直撃こそしなかったが、ソーマは後ろに大きく飛ばされる。

 しかし、ここまでソーマに気を取られていた事もあり、後ろからアリサが近付いてヴァジュラの足元にホールドトラップを仕掛けて強制起動させる。

 

「ユーリさん!!今…キャアッ!!」

 

「アリサ!!」

 

 ホールドトラップは確実に起動した。こうなればヴァジュラが動きを止めるはずだった。その隙にユーリを救出する算段だったが、予想に反してヴァジュラはまったく動きを止める事なくユーリの元に向かうアリサを虫を払う様な動作で弾き飛ばす。

 

「冗談じゃないよ…スタングレネードもホールドも効かない上、異様な硬さって…どうやって止めれば良いんだよ?」

 

「最悪撤退も視野に入れる…けどその前にユーリは必ず助ける!!」

 

 今までと比べてあまりにも完璧な防御性能の相手に太刀打ち出来ない事にコウタは軽く絶望を覚える。

 今の自分達では勝てない可能性が高い。そう考えた瞬間、普通の任務なら時間稼ぎの即席トラップを準備した後に撤退するが、今回は救助対象が敵の下に居る以上、どうにかしてユーリから引き離して救出してから撤退しなければならない。

 しかしヴァジュラがどんな攻撃を受けても微動だにしないため、それが非常に難しくなっている。どうやって救出するかを考えながらユウキは剣形態に変形すると、ヴァジュラが前足を大きく上げて振り下ろす。

 

「うわあぁぁあ!!」

 

「クソッ!!」

 

 ヴァジュラが前足を振り下ろす先に居るユーリは叫び声を上げる。ユウキは思わず飛び出すが、ヴァジュラの前足はうつ伏せに倒れているユーリの頭の横に落ち、それと同時にヴァジュラが姿勢を落とす。

 

「ガァア!!」

 

 ユーリの救出に焦り、ユウキは無策のままヴァジュラの正面から突っ込む。するとヴァジュラはユウキが攻撃に入る前に頭を弧を描く軌道で振り上げ、ユウキをはね飛ばして再度天井に叩きつける。

 

「せ、先輩!!助けて!!」

 

「ユーリ!!」

 

 ユウキは再びヴァジュラに向かい、ソーマも正面から突っ込む。そしてコウタとアリサも後ろから弾幕を張る。普通の相手であれば四方からの攻撃で何かしらの隙が出来る。しかし今相手にしているヴァジュラには通用しなかった。通常種と違い、ノーモーションで放電して接近するユウキとソーマに電撃を浴びせる。

 

「ガァァァア!!」

 

「グァァア!!」

 

「ギャアアアア!!」

 

「うわっ!!」

 

「キャアッ!!」

 

 当然ヴァジュラの足元にいたユーリにも電撃は届き、一緒に感電する。さらには放電した際にコウタとアリサにも電撃を飛ばし、体勢を崩させる。そして眼前で電撃を受けたソーマには頭突きを繰り出し、空中で電撃を受けたユウキには前足で払い落とす様な動作で地面に叩きつける。

 

「グッ!!クソッ…!!」

 

 叩きつけられた衝撃で一瞬意識が飛ぶ。さらには電撃を受けたせいで身体が痺れた。ふらふらと立ち上がるが今までの様に動くには数秒かかる。このままではまずい。危機感を感じていると、ヴァジュラはゆっくりとユーリの首元に前足を乗せて少しずつ体重をかけていく。自身の体からメキメキと嫌な音を発て、何をされるか理解したユーリが泣きながら手を伸ばして必死の形相でユウキに助けを求める。

 

「い、嫌だ!!死にたくないっ!!!!先輩っ!!!!助げべっ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

  『ブチンッ!!』

 

 ヴァジュラが力を少し入れると、ユーリの首は呆気なく飛んだ。そして飛ばされた首は数回バウンドするとゴロゴロとユウキの元へ転がり、助けてくれと懇願した時の必死の形相のままユウキを睨み付ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

「そんな…」

 

「ユーリ…さん…」

 

「…ッ!!」

 

「て…め"え"え"え"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!!」

 

 コウタとアリサはユーリを助けられなかった事に絶望や無力感等がごちゃ混ぜになった言い様のない後悔に襲われ、ソーマも同じ感覚を覚えて苦虫を潰した様な表情になる。

 そして激昂したユウキが咆哮と共に動きが鈍くなった体に鞭打って一気に飛び出す。しかし今回の攻撃でヴァジュラは攻撃を受け止める事はせずに、右前に飛び出してユウキの袈裟斬りを躱す。その後、壁を蹴ってソーマの後ろに回り込むついでに辺りに雷球をばら蒔く。結果的に全員に雷球を投げつける事となり、第一部隊は前後左右に動いて避ける。

 そしてユウキとソーマは向かってくる雷球を掻い潜り、ヴァジュラの元に走る。

 

「セヤッ!!」

 

「ぜりゃぁああ!!」

 

 ユウキが左側、ソーマが右側からクロスするように神機を振り下ろす。しかしヴァジュラが左側に跳び、振り切る前のソーマの神機を踏み台にしてユウキとソーマの後ろに飛び越える。

 その間コウタとアリサが空中に居るヴァジュラに爆破弾を撃ち込んでいくが、今まで通り効いている気配はなかった。

 そしてヴァジュラは反撃にコウタとアリサの居た場所に飛びかかる。2人は左右に跳んでそれを躱すと、今度は後ろからユウキが飛びかかる。

 それを前足で地を蹴った反動と後ろ足で体を支えて急反転したヴァジュラが前足を下から掬い上げる様な軌道で向かってくる神機の刀身にぶつける。

 

  『ボキッ!!』

 

 振り下ろした火刀・極は衝撃で真ん中からあっさりと折れ、上に弾かれる。ユウキはその折れた先を左手で掴み、自身の手が切れる事も気に止めずに『メキメキ』と音を発てながら握り潰して無理矢理持ち手を作る。

 

「くたばれぇ"ぇ"ぁ"ぁ"あ"!!!!」

 

 咆哮と共に左手に握った火刀の切っ先をヴァジュラの右目に突き刺す。圧倒的な防御力を持ったヴァジュラでも粘膜に相当する部分は多少は弱いようだ。

 ヴァジュラは痛みで思わず仰け反り、それに合わせてユウキも左手の火刀を引き抜いてヴァジュラの頭から飛び降りて離れる。

 そして仰け反った後、体勢を立て直している途中のヴァジュラを見て、全員が総攻撃の体勢になるが…

 

「ヤ…メ…ロ…」

 

「「「「…は?」」」」

 

 ヴァジュラが言葉を話した事に驚き、全員がその場で呆ける事となった。

 

To be continued




後書き
 キャァァァァシャベッタァァァァ!!!!!!!!!!!しかしその前にユーリが戦死してしまいましたが…元々はここで戦死するのはコウタの予定だったのですが、やっぱり原作キャラは死なせたくないと思った事と原作一の死亡フラグクラッシャーであるコウタにはここでもフラグをへし折る方が彼らしいと思い、モブキャラ部隊を全滅させる方向で話を作る事にしました。
 が、ただのモブ部隊が全滅しても主人公であるユウキは(無関心とは言いませんが)心にダメージが入らないのでは?と思い、バースト編の少し前にユウキが直接指導する後輩としてユーリを出す事を思い付きました。
 そう言う意味ではユーリは役割を(半分)果たしてはくれましたが…それなりにクローズアップして書いたキャラを戦死させるのは何だか複雑な気分になりましたね。
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