コンゴウを討伐し、ユウキとコウタは極東支部に帰投帰投した。神機を保管庫に預けるために、コウタが作業中のリッカに話しかける。
コウタ「ただいまリッカさん!神機の整備お願いします。」
リッカ「あ!お帰り!無事帰ってきたね。神裂君もお帰り。」
ユウキ「た…だい…ま…」
リッカが間をおいてへ?と間抜けな声をあげた。そしてユウキの手を取り、作業をほったらかしてエントランスに走った。行き先はヒバリがいるカウンターだ。
リッカ「ヒ、ヒバリィィィィィ!!!」
ヒバリ「きゃぁ!ど、どうしたんですかリッカさん!」
リッカ「か、神裂君が…しゃべったの!!」
ヒバリ「へ?」
やはり間抜けな声が出る。普通に考えればそんなことで?と思うだろう。だが今しゃべったと言われたのは入隊してから1ヶ月、一切声を発することが無かった少年なのだ。本当なのか?ヒバリは疑いの視線をユウキに向ける。
ユウキ「ただい…ま…」
表情はぎこちないが微笑んでいる。
ヒバリ「ほ、ほんとに話せるようになったんですね!」
まるで自分の事のように喜んでいる。そんな雰囲気をぶち壊すようで悪いがユウキも本題に入る。…が
ヒバリ「あ…すいません。はしゃいじゃって…榊博士がラボに来るように言ってました。」
ここでコウタも追い付く。講義でもあるのだろう。先にコウタとラボに行くことにした。
ユウキ「あ…リッカ…さん…あと…で聞きたい…事…あります…」
リッカ「オッケ!整備室にいると思うから、用事が終わったらおいでよ。」
こうして2人はラボに向かった。
-ラボラトリ-
ラボに来るとペイラーとヨハネスがいた。こちらに気付いて話しかける。
ヨハネス「ああ、君たちか。初の中型種討伐任務、ご苦労だった。」
ヨハネスは少し考え込んだあと話を続ける。
ヨハネス「本当は支部長室で報告しようと思っていたのだが…時間がない。この場で報告させてもらう。」
そう言うとヨハネスは2人に向き合う。
ヨハネス「おめでとう。今日の任務完了をもって、2人共昇格だ。」
コウタ「マ、マジっすか!?」
ヨハネス「本当だ。神裂君は上等兵、藤木君は偵察兵だ。2人共、一層の活躍を期待するよ。」
コウタ「はい!」
ユウキ「わ…かり…ました…」
ヨハネス、ペイラー驚いた顔をしている。
ヨハネス「どうやら、話せるようになったようだね。君にとって良い変化になるだろう。それでは失礼するよ。」
そう言ってヨハネスは出ていった。ユウキとコウタはそのまま席に着き、ペイラーによる講義が始まる。
ペイラー「君たちはアーコロジーと言う言葉を知っているかい?アーコロジーとは、『それ単体で生産、消費活動が自己完結している建物』を指す言葉でね。」
そこでモニターの映像が切り替わる。極東支部が写し出されている。
ペイラー「実はアナグラを中心としたフェンリル支部は、一種のアーコロジーだと言えるんだ。これって極端な話、ある支部を除いた全てのフェンリル組織が滅んでも、残った支部は単独で生産、消費活動を行い、今まで通り生き残ることが可能ってことなんだよ。」
コウタが眠そうに目を細めている。そして再びモニターが切り替わり、アナグラ内の施設の説明用の画像が写し出される。
ペイラー「アナグラは地下に向かって食糧や神機、各種物資の生産プラントがあり、外周部には対アラガミ装甲壁や、君たち優秀な神機使いをはじめとした、強固な防衛能力もある。それがフェンリルの支部であり、人類を守るために最適化されたアーコロジーなんだよ。
コウタが眠気と戦いながら欠伸をする。
ペイラー「ただ、そこにも問題はあって、それは収納可能な人口に限りがある事なんだ。」
そこでコウタが真剣な目付きになる。しかしペイラーの説明を聞いているうち不安そうな表情になる。
ペイラー「君たちも知っている通り、この極東支部の周囲には広大な外部居住区が形成されている。しかし彼ら全てを収容するだけの規模は、まだこの支部にもない。外周部に対アラガミ装甲壁を張り巡らせることが、今できる最大限の対処策なんだ。」
コウタ「...本当にそれで大丈夫なのかな?現に、アラガミは頻繁に外部居住区にしてる筈じゃ...」
ペイラー「だからそのためにゴッドイーターの防衛班も配備されている...いやすまない...コウタ君のご家族は外部居住区にいるんだったね...軽率な物言いを許してくれ...」
先ほどまでユウキとコウタに向き合っていたペイラーが横を向く。当然、視線も逸れる。装甲が突破されれば、防衛班がいても外部居住区に住んでいる家族が危険にさらされるのだ。不安になるのは当然の事だ。ペイラーはその事を失念していたのだ。
コウタ「いえ…俺はただ…」
ユウキ「コウ…タ…」
ペイラー「本当はアナグラを地下に向けて拡大して内部居住区を増やす計画もあったんだけどね…」
コウタ「でもその計画をより安全で完璧にしたのがエイジス計画なんだよね!」
コウタが先ほどとは違い、弾んだ口調になる。エイジス計画に大きな期待を持っている事は容易に想像できる。
ペイラー「そうだね。現状、極東支部の地下プラントの多くの資源リソースはエイジス建設に割り当てられている。その話はまた今度にしようか。」
ここで講義が終了した。少し遅くなったが2人で昼食に向かう。食堂についた後も、コンゴウ戦の時の事が忘れられないのか、色々話してくる。
コウタ「いや、あの時の俺とユウキの連携!息ピッタリだったよな?ってか最強コンビだろ!こりゃあ、家帰ってノゾミに自慢できるぜ。地球の平和は俺が守る!ってさぁ!」
ノゾミとは先ほど言っていたコウタの家族の事だろう。その後も家族の事やコウタが好きなアニメ『バガラリー』の話をした。...どちらもよくわからないので、ユウキには全くついていけなかった。
-エントランス-
その後、リッカとの約束のため整備室に向かう途中でエントランスで何やら騒ぎになっている事に気がつく。
エリナ「ねぇ!エリックはもう会ってくれないの!?どうして!?今度来たら、お洋服買ってくれるって約束したのにっ!エリナにお洋服くれるのがイヤになったの!?」
エリナがヒバリに問い詰めている。しかし、裕福そうな紳士がそれを嗜め、そのまま去っていく。
裕福そうな紳士「あのバカ息子が…先に逝きおって…」
帰り際にそう呟いているように聞こえた。
ユウキ「ヒ…バリ…さん?何…が?」
ヒバリ「あ…神裂さん…今のは…エリックさんのご家族です。エリックさんの訃報を聞いて来たんです。届いた後、エリナさんがショックで体調を崩してしまって…今も…受け入れられないようで…その…何て声をかけたら良いか…」
体調を崩したせいですぐに来られなかったのだろう。そう考えているとソーマが遠目にこちらを見ていることに気がついた。
ユウキ「ソー…マ…さん…は…どうし…たら…よか…ったと思う…?」
ソーマ「馴れ馴れしいガキだ前にも言ったが、ここでは人が死ぬなんて日常茶飯事だ。早く慣れろ…それしかねえだろ…」
ソーマは俯き、目を逸らして言うと去っていった。ユウキはこのとき失言だったと後悔したと同時に、ソーマが噂で聞いたような死神ではない。何となくだがそんな気がした。
その後、リッカのもとに行くため、整備室に向かった。ちょうどリッカはユウキの神機の整備をしていた。
ユウキ「リッカ…さん?」
リッカ「あ、神裂君!聞きたいことってなに?」
そう言うとリッカはユウキと向き合う。
ユウキ「この間…の任務で…見たこ…とない…捕…食…形態…が一…瞬で発現…し…たんです。でも…その後…発現…しなく…なり…ました。」
リッカ「え?それってどんなやつだった?見た目とか、扱い方の特徴とか詳しく教えて。」
実はリッカにはその現象の正体は予測はできていた。そのため、その現象が発現することはあり得ないと知っていたので、その確証を掴もうとしていた。
ユウキ「捕食…口の…形状が…い…つもと…違い…ました。後ろ…に…砲塔…のよう…な…角…が…生え…て、オラ…クルを…ジェ…ット噴射…のよう…に吹き出…して、高…速…で…移動…で…きま…した。」
ここまで聞いてリッカは確信した。やはり本来あり得ない事が起きていた。
リッカ「…それはプレデタースタイル『シュトルム』が発現したんだよ。でも本来それはあり得ない。新兵が使う神機はその機能が封印されているからね。」
ここまで言われてようやく理解した。ユウキは本来解けない封印を解いてしまったのだ。それによって起こる自分や神機の不調を気にしている。
リッカ「神機や神裂君に対する不都合は無いはずだよ。プレデタースタイルは神機に元々搭載されている機能だから。なんで封印されているのかはツバキさんに聞いた方がいいかな?私から教えられることはこのくらいかな?」
そう言うとリッカは作業に戻り、ユウキはツバキを探しにいった。
-エントランス-
エントランスに行ってみると、運良くツバキに会えた。リンドウとサクヤも一緒にいた。
ツバキ「ん?神裂か...どうした?」
ユウキ「聞…きたい…ことが…ありま…す…」
ユウキしゃべったことに3人とも驚く。
サクヤ「ユウキ…あなた、話せるようになったのね!」
リンドウ「表情も豊かになってるな。良い傾向だ。」
ツバキ「ふっ…で何が聞きたい?」
ユウキ「プレ…デター…スタイ…ル…に…ついて…です…」
この単語を聞いたことで、再び3人が驚いた。そのままユウキはコンゴウ戦の時にプレデタースタイルの封印が解けた事を話した。
ユウキ「どう…し…て…封…印されて…いたん…ですか?」
ユウキはツバキにずっと気になっていた事を聞いてみた。
ツバキ「ああ…簡単に言うと新人に不相応の力を与えないためだ。」
ユウキは頭に疑問符を浮かべる。
リンドウ「なら、お前がゴッドイーターになった直後にアラガミどもを一撃で薙ぎ払える力を持っていたらどうする?」
ユウキ「使い…ます…」
生き抜くためにも力があれば使う。ユウキにとって至極当然の答えだった。
ツバキ「正確には力を得る手助けをする力なんだが…始めから強大な力を持っていると、それを自分の力と錯覚する。それが過信に繋がり、隙を作る。だから新人の神機はあえて機能を制限している。」
リンドウ「ま、経験や実力にそぐわない力は危険って事だ。実戦で生き残ってりゃ神機のリミッターも少しずつ解除されていくさ。」
サクヤ「神機も始めはリミッターが設定されてなかったんだけど、プレデタースタイルが確立してから、増長する神機使いが増えてちゃって。結果的に戦死者が増えちゃったの。」
ツバキ「まあ、そう言うことだ。今回の解放はかなり異例だったが、実力が認められればプレデタースタイルも解放されるだろう。」
そう言うとツバキは去っていった。するとサクヤが目の前に現れた。
サクヤ「ふふ!表情が少し出てきたからかしら?雰囲気が明るくなったわね!」
ユウキ「そう…ですか?」
サクヤ「ええ!かわいい顔してるんだからもっと笑わないともったいないわよ?ほら、にぃーって。」
そう言ってサクヤはユウキの口角を人差し指で上げていく。しばらくの間サクヤにおもちゃにされた。
To be continued
本小説ではプレデタースタイルの大半が初めから搭載されており、リミッターが設定されている設定にしました。
そして、自論ですが、経験に裏打ちされない力は宝の持ち腐れだと思ってます。例えば、ハサミで鉄を切ろうとしているような感じでしょうか?(よくわからん)力の使い時がわからないままその力を持っている事になると思います。
プレデタースタイルが封印されている理由をゴッドイーターの世界観で説明するなら
バースト状態つえーw→プレデタースタイルで簡単に喰えるw→ちょっと無茶な捕食も行けるw→あ、調子に乗って死ぬ
はい、自分がこんな感じです。自分は実機ではバースト無しではろくに戦えないんですよね(´・ω・`)