俺に優しくないこの世界で   作:藤道

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今回はカイリ達がデスゲームに何を思うのか、そしてソードアート・オンラインの世界にどのように関わっていくのか、それを書きました。では、第5話をどうぞ。


それぞれの道

俺は、呆然と立ち尽くしていた。

ゲームのヒーローなら、ここにいる皆に気の利いたことばを投げかけたり、また誰かを導こうとすることが出来ただろう。が、生憎俺にそんな度胸や器があるはずもなくーーー

 

手を、引かれた。

 

「おいカイリ、ちょっと来い!」

 

声の元をたどると、そこにはキリトとバンダナをした(年齢は20歳は超えていると思われる)男が立っていた。

 

「行くって、どこに行くっていうんだ」

 

「その説明もする、取り敢えず人の少ないところに移動するぞ」

 

キリトは焦っているようにも見えたが、同時に、その瞳の奥には確かな使命感の様なものが見えている様な気がした。

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

キリト達と少し走ると、薄暗い路地裏に入った。ここは次のフィールドに続く裏道だろうか。

 

「カイリ、クライン、気づいているだろうが俺はベータテスターだ」

 

キリトは俺とクラインと呼ばれた男を真剣に見つめている。

 

「ここ、始まりの街周辺のフィールドのモンスターは、あと少しもしないうちに狩り尽くされるだろう。俺はベータテスター時代の情報を頭に詰め込んでいるから、他のプレイヤーよりも安全に次の街に出進むことができる……カイリ、クライン、俺と来ないか?」

 

クラインは口を開いた。

 

「すまねぇキリト、俺には、まだあそこに残っている仲間がいるんだ……一応これでも前のゲームではギルマスをしていたしな」

 

「そうか、カイリは……」

 

 

ーー俺は、どうしたいのか

 

 

元々、俺は戦える様な人間じゃない。このゲームを買ったのは単にゲームが好きだったからだ。今まで選んだ職といえば、ガンナーにメイジと後方職がほとんど。そんな俺に、このデスゲームと化した世界で本当に戦える勇気があるのか。

 

「俺は、怖い………」

 

「カイリ……」

 

一言、そう俺の名前を読んだキリトだったが、また口をつぐんで俺の話を聞こうとしている。隣にいるクラインも、それに習った。

 

「俺は今まで逃げてきた人間だから……….確かにゲームは楽しかった、槍を使い体を動かして戦ったこのゲームは。もちろん、キリトに出会ってレクチャーしてもらった事もとても良い思い出になったと思う」

 

俺は拳を握りしめた。

 

「だけど、それは、これがゲームだった時の話だ。ただのゲームではなく、死と隣り合わせのデスゲームとなれば話は別なんだよ」

 

----俺は

 

「俺は……」

 

----怖いから、勇気がないから

 

「この、始まりの街に残ろうと思う」

 

 

しばしの静寂、キリトがゆっくりと口を開く。

 

「わかった……カイリがそう言うなら、俺は止めはしない。だけどな………俺はもっとカイリと冒険したかったと思う」

 

「ごめん、キリト……」

 

これ以上、どんな言葉を返せば良いのかわからなかった。

 

すると、

 

「な、なぁ…こんなしんみりしててもなにも変わらないし、決めたことは仕方がねえだろ」

 

パンッ とクラインが手を叩いた。

 

「クライン、お前いい奴だな」

 

「んだよカイリ、俺はただしんみりしたのが苦手なだけだぜ」

 

ニカッ と笑うクラインの顔は、初対面ながらもとても親近感を覚えた……様な気がした。

 

「わかった、カイリとクラインが自分で決めた事なら、俺にはなにも言う資格はないな」

 

そう言って、キリトは身を翻して走り去ろうとした。どうやらキリトはも気まずかったらしい、もしかして、俺と似ている所があるのだろうか。

 

「キリトぉ、俺、おまえの顔は割と好みだったぜ!」

 

クラインは少し大きな声で叫んだ、まるで決別の言葉の様に。

 

「あぁ、おまえも、その野武士面の方が100倍似合ってるぜ!」

 

キリトもそれに返し……俺の方をチラリと見た。

 

「あ………」

 

何か、俺も何か言わなければと思ったが、とっさに言葉など出てくるはずもなくただ声が詰まるだけだった。

 

キリトは何も言わず、また向こうを向いて走り去って行った。走り去る直前に、キリトの顔に悲しさが過ぎったのは俺の気のせいだろうか。

 

言わなければ、何か言わなければ

 

「キリトっ!俺は弱い、それに勇気もないっ……だけど、この世界で始めに助けてくれたのはおまえだった。だから何かあったら、その時はっ」

 

キリトは振り向きこそしなかったが片手を上げた。

 

『わかった』

 

俺は、走り去っていくキリトの背中がそう言っている様な、そんな気がした。

 

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

 

「行っちまったなぁ」

 

クラインが少し寂しそうな声で言った。

 

「俺ももう行くとするか……」

 

「な、なぁカイリよお……俺とフレンドになってくれないか?」

 

クラインが右手でメインメニューを操作しながら話しかけてきた。

 

「さっきカイリは、怖いと言ったよな。だけど、そうやって自分でその気持ちを言う事ができるのは凄いと思う。その行動はある意味勇気と呼べると思うし、その力はいつか俺たちを助けてくれる、とも思うぞ」

 

俺の前に、フレンド申請覧が表示された。俺は、少し考えるそぶりを見せた後、

 

「わかったよ……クラインの言葉で少し救われた気がする………やっぱりお前、いい奴だよ」

 

そう言ってOKを選択した。

 

 

「……それじゃあ俺はもう行くよ、元気でな、クライン」

 

「あぁ、カイリこそ元気にやっていけよっ」

 

クラインとのやりとりを交わし、そして俺はキリトと反対の方向に走って行った。

 

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

 

「はぁ、あいつら行っちまったなぁ……」

 

 

「ぉお〜い、クラインっ」

 

「ん?」

 

クラインが声のした方を向くと、3人の男が走っている姿を見つけた。

 

「はぁはぁ、やっと見つけたぜクライン」

 

「おぉ、お前ら無事だったか」

 

彼らは、クラインの言っていた仲間だった。

 

「クライン、どうしたんだ、そんな悲しそうな顔して」

 

「おぅ、何でもねぇから気にすんな………てめぇら、この世界で生き残るために俺は戦うぞ………ついて来てくれるか?」

 

「あぁもちろんだ、一緒にこのゲームではをクリアしようぜ」

 

「あぁそうだぜ」

 

「お、俺も……」

 

 

----のちに、彼等は風林火山というギルドを創り、攻略組として最前線を支えることとなる。

 

 

カイリは1人停滞した。キリトも一人、クラインは仲間と合流し、仲間と共に上を目指すしていくこととなる。




歯切れの悪い終わり方で申し訳ありませんでした。難しいですね、掛け合いを書くのは。これが難しいと感じているうちは、まだまだということでしょうね。次回はカイリの始まりの街の生活を書くと思いますが、自分で地図書いたりしてがんばります笑。
文章へのご指摘お待ちしております。
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