サブタイトルを少し変更
既に幾人かのマスターは召喚を終えていたが、アイリスフィールもまた先程召喚を終えたところであった。
聖剣の鞘を触媒に呼ばれた騎士王――
無垢なる騎士王、いや騎士王と呼ばれる以前の姿である。勿論カムランの丘での記憶もあるが、しかしそれをしてなお騎士王となる以前の性質を多く備えていると言えるであろう。
正直なところユーブスタクハイトの八代目ですら女性が召喚されることは予想していなかった。尤も、アイリスフィールの性質によりエクスカリバーではなくカリバーンを持った姿で出現したことには少々の落胆もあったのだが。
「セイバー、準備はいい?必ずやこの戦いを勝利するわよ」
「ええマスター、必ずやこの戦い勝ち抜きましょう」
*
そこには今まさに絶命した直後の雨生龍之介が倒れていた。
弾丸を発射したことを示す煙が銃口から立ち上り、その所有者はスーツを着たややくたびれた男であった。
妙な魔力を感じて駆けつけた衛宮切嗣はそこで殺人を行っていた男を撃ち殺したが、しかし魔力はその男が描いた魔法陣から未だ発せられている。
重要なのはそこではなく、彼がいわゆる『聖杯戦争』に参加するためにここ冬木の地へと赴いていたことだ。そしてこの魔法陣はまさにサーヴァントを召喚する寸前であった。実際に既に六体のサーヴァントが召喚されていたことを鑑みれば切嗣にとってはここで龍之介が召喚を行っている最中であったことは僥倖だったと言えるであろう。
事前に詠唱は確認してあったが、切嗣にも不安はいくらかあった。
まずこの魔方陣である。先の魔力をほぼ感じさせない殺人鬼――言うなれば魔術士でない者が起動できるような代物であるということだ。
すなわち
そう、そこで問題になるのがこの起動しかけの魔方陣なのだ。今から切嗣が別の場所で魔方陣を作ったとして、その前に誰かにサーヴァントを召喚されかねない。つまりこの殺人鬼が人の血で作り上げた魔方陣を使って召喚を行うことが時間に対しては最善であるが、しかし中途半端に起動しかかっているという点である。ここから正しい詠唱をしたところで何が呼ばれるのか分からないのだ。
「――舞弥、どう思う?」
『判断しかねますが、必ずしも切嗣に近い英霊が呼ばれるとは限りません』
インカム越しの応答だが、概ね久宇舞弥の考えは切嗣の考えに近いものであった。
すなわち殺人鬼の呼び出そうとしたものが呼び出される可能性である。
短い逡巡の後に切嗣が下した決断はこの魔方陣を使うというものだった。誰かに先を越されるならばこの場で召喚をする方がよいということ、そして令呪を使えば恐らくどんなものが来ようが従えられると踏んだからである。
「――告げる。
汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。
聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ。
誓いを此処に。
我は常世総ての善と成る者、
我は常世総ての悪を敷く者。
汝三大の言霊を纏う七天、
抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ――!」
瞬間、手の甲の痛みと魔力の奔流が切嗣を駆け抜けた。
*
七体目のサーヴァントが召喚されたことを霊基盤が示す。
本来では有り得なかった
ここに第四次聖杯戦争が始まる。
*
「貴方が私のマスター、でよいのですね」
現れたのはしなやかな女性であった。紫と表現するべきか、根元は深い色であるが先端は金髪という異様な髪であり、白と黒のワンピースのようなものを纏った姿。切嗣は少々の安堵と少々の落胆を感じた。
まず意思の疎通が図れそうなこと、そして敵対的ではないということ。つまり切嗣の性質により引き寄せられたサーヴァントである可能性が高いということだ。そしてその出で立ちや言動から三騎士やライダーではないだろうが恐らくキャスター――三騎士に対魔力があるため局面を有利に進めにくいサーヴァントであるということであった。
直ぐにステータスを確認するが、果たしてそれはまさにキャスターであった。
「ああ、そうだ。俺のサーヴァントということでいいんだな」
「結構です。が、この惨状は一体どういうことでしょう」
狭くはないが広いとは言えない一室に死体が3つ、そして縛られた少年がいるのだから無理もない。
「なに、そこの殺人鬼が少年の両親を殺して儀式を行おうとしたから止めたまでだよ」
「誠に愚かで、自分勝手であるッ!」
キャスターの声に驚いた切嗣であったが、確かに
考える。考える。考える。
どう答えるべきかの考えを逡巡している間にキャスターはこう続けた。
「ですがこの少年の命を救ったことに免じてこの場は収めましょう」
――尤も切嗣は目撃者たるこの少年も必要とあらば殺す気ではいたのだが。
殺すという選択肢が排除されるならば暗示をかけ警察に向かわせるという手段を取るのが恐らく最善である選択肢だろう。正義の味方だが魔術士としては痕跡を残すのは賢くはない。しかしキャスターを敵に回すのは得策ではない。
「ああ。ところで君の真名を教えてもらえないか」
「できれば貴方から名乗って欲しかったのですがいいでしょう。聖白蓮と申します。」
東洋、とりわけ日本の英霊は召喚できない筈だが。
だがもし先の殺人鬼の途中までの詠唱により術式に狂いが生じていたとしたら。
有り得ないことではない、と考える。
「俺は衛宮切嗣だ」
「何と呼べばよろしいでしょうか」
「好きに呼んでくれて構わない、が馴れ合うつもりはな「喝!」」
キャスターの澄んだ声が場を支配した。
「では切嗣殿とお呼びしますが、貴方は個人を尊重するという考えは持ち合わせていないのですか」
いない。集団と集団がぶつかればより多い方を選ぶ。善悪やイデオロギーは彼にとっては関係ない。
「――無言は肯定と受け取らせていただきましょう。では貴方が聖杯に望むものは何ですか」
恒久的な平和?
絶対的な安寧?
「僕は…「僕は平和を望んでいるなどと言うならばそれこそ愚かッ!」」
「なっ」
「――しかし私の願いも似たようなものです。ここはお互いを理解するところから始めませんか」
*
【クラス】キャスター
【マスター】衛宮 切嗣
【真名】聖 白蓮
【性別】女性
【身長・体重】162cm・■■kg ※あくまで筆者のイメージですので悪しからず
【属性】秩序・善
【ステータス】
筋力D 耐久D+ 敏捷D+ 魔力A 幸運C+ 宝具EX
【クラス別スキル】
陣地作成A
道具作成EX
【保有スキル】
カリスマB
【宝具】
『???』
ランクEX 種別:対人 レンジ:使用者 最大補足:1人
切嗣の歪んではいるが平等と平和を求める性質に応じて参戦。僧侶であるが死への恐れから不老不死を得ることに成功した。力を得るために人間ではないもの――妖怪を狩っていたが、妖怪がいなくなるのを恐れ妖怪と人間の共存を掲げ、その後に真に共存できる世界を目指すようになる。しかし人間から良く思われず最終的に魔界に封印された。彼女を慕う妖怪は多い。
というわけで構想を暖めていた小説を投稿させていただきました
・アベンジャーが召喚されていない
・ユグドミレニアが大聖杯を奪いにきていない
・アインツベルンは過去と同じようにホムンクルスと聖杯を別々に作成している
・イリヤスフィールはアイリスフィールと切嗣の娘ではない(ただし純粋なホムンクルスとしてのイリヤスフィールは設定上は存在しています)
召喚の順番としては
アサシン→4機→ランサー→キャスター(話の開始地点)です