「魔王様、劣勢です、いかが致しましょう」
そう伝えに来たのは魔王親衛隊隊長のレインだ。
おれは劣勢の我が魔王軍に作戦を伝えた。
「ゴーレムを召喚し奴らをここ、本陣へ向かい入れ、岩を落とし奴らの戦力を根こそぎ削れ!」
ゴーレムを召喚した後、前衛を退却させ奴らを本陣へと引き寄せ、岩を持たせたゴーレム達が一斉放火、そして違う道より敵本陣へと向かわせた別働隊に戦力を削いだ後の本陣を狙い撃ち、一斉攻撃をする、これがおれの作戦だ。
上手くいくかはさておき、今の状況を打開するにはこの作戦しかないだろう。
「魔王様、ゴーレムの召喚を終えました!」
「ああ、わかった…レイン!前衛に退却命令を出せ、作戦の実行だ」
レインに退却命令である発煙弾を撃たせ、腰に添えた魔剣を引き抜く…。
魔剣レーヴァテイン・ゼロ、全てを焼き尽くす黒き炎を纏う魔剣である。
今のおれの魔力では本来の力は発揮出来はしない…だが今はそんな事など重要ではない。
今は目の前にいる反逆者共に躾をし力の差を見せてやらなければならない。
そして今前衛部隊の退却が終了し、戦場の先には能無し反逆者共が深追いをしている、作戦実行の時だ。
「放て!!!」
おれの合図と共にゴーレムの持つ大岩が反逆者に向けて放たれた。
深追いしている事もあり、避ける暇もなく、大岩の下敷きとなった、それを確認した後おれは次の合図を出した。
「武器を取れ!!奴らの本陣へ強襲を掛ける、我について来い!!」
本陣へ向け手下を引き連れ向かっていく。
先ほど向かわせた別働隊が本陣の戦力を削っているはずだ、そこにおれらが向かう…チェックメイトだ。
本陣へ到着した後、思いもよらないものを目にした。
別働隊の全滅とその亡骸の近くにいる人物。
「グロウス…ッ!貴様ッ!」
それは、神の裁きを喰らう前、最も信頼していた仲間だった。
そう、裏切り者は信頼しきっていたグロウスだった。
「レン…か、力を失って尚も魔王の座を引き継げると思ったら大間違いだ、おれは貴様のやり方が気に食わん、だからこそ、今この場で魔王の座を放棄し、ここでその命を終えるがいい……レン…ッ!」
グロウスは愛用している大斧を持ち、おれに斬りかかってくる。
今の魔力と力ではコイツには勝つことなど不可能だ、どうする…
打開策を模索しながら痛む体でグロウスの斧を避けていく。
「逃げてばかりでは勝てんぞ…レン!!!」
「ぐっ………がはっ……」
グロウスの攻撃が当たり吹き飛ばされる、傷がさらに痛む…吐血、出血、骨折、眩暈…体がズキズキと軋み、体が限界だった。
こんな所で死ぬのか、俺は……。
その時、体の中で何かが跳ねたような気がした。
そしておれは体の痛みを忘れ、吹き飛ばされ手放した魔剣に手をかけた。