白龍皇の尻尾 ―VANISHING TAIL―   作:鍋やん!

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まだまだ拙い部分が多いですが、頑張って続けてみます。


原作前:翼を持つ少年
光溢れる町


妖精の尻尾(フェアリーテイル)の白龍皇と呼ばれる魔導士、ヴァーリ・ルシファー。彼のことを知るには、少し時を遡らなければならない。

 

10年前

 

X774年。フィオーレ王国の南部にセレドット山という山岳地帯がある。山とは言ってもなだらかな物で、かつては気軽に訪れる者も多かった。山岳地帯と聞いて火山を連想する者が多いが、この山は活火山ではない。代わりに黄金色の光が噴き出している。この地に住む人々は、これを光の河と呼んだ。

 

頂上には、ダーマ神殿があり、それを守るかの様に山腹部にセレドの町がある。ダーマ神殿に行くにはこの町を通らなければならない。

 

この町を見てみると、特殊な環境なのだとすぐにわかる。町の真ん中を光の河が通っているのだから。また、この光が人体に悪影響を及ぼすこともわかるだろう。

 

構造は比較的シンプルな方だろう。光の河を挟み、東側が商業地域、鎧や武器屋、魔法屋をはじめとして、食品売り場、酒場、宿などが立ち並んでいる。西側はほとんどが住宅である。それに加え施療院が一軒ある程度だ。

 

町の構造自体はよくあるものだ。水は命の源であるから、その周辺に人が集まり、町を造るのは、必然と言える。ただし、この町の場合は水の代わりに光が流れている。たったそれだけの違いで町の景色は神秘的なものへと変わっていた。

 

だが、神秘的なのは、景色だけではなかった。病が治るのだ。万病に効くわけではなかったが、大抵の病は治ってしまった。その中には、魔導士にとって致命的とも言える病もあった。魔力欠乏症である。これは、体内の魔力を大量に消費することで、全身の筋力が低下するというものである。軽度のものであれば運動機能に制限が出るだけで済むが、重度のものは、身体が全く動かせなくなったり、発熱などの症状が出たり、最悪の場合死に至るというケースもあった。それさえも、光の河の効果で完治してしまったのだ。

 

この光の正体はなんなのか?

 

それは、高濃度のエーテルナノである。地底深くから噴き出し、セレドット山を潤しているのだ。だからこの地に住む者は病を患うことはない。因みに、東洋ではこれを龍脈呼んでいる。

 

この事実を知る者は少ないが、効き目は確かなため、一種のパワースポットとして、観光客に人気だった。ただし、なぜかダーマ神殿だけは、いかなる理由があろうとも、町の住人以外の立ち入りを禁じていた。

 

光の河を目的に足を運ぶ者が多いが、この町に来た者はもう1つ珍しいものを見ることができる。背中から白い翼角を伸ばし、青いガラスのような羽を広げ飛び回る少年の姿を。

 

この少年、ヴァーリ・ルシファー。8歳。光の河の効果でセレドット山の領域内では無制限に翼を使えるため、町内限定で配達の仕事をしている。基本は手紙だが、大きな荷物や料理の出前にも積極的に取り組む、元気溢れる普通の少年である。

 

「おーい!ヴァーリー!遊ぼーぜー!」

 

いつものように配達の仕事を終え、帰路に就こうとしたところに、子供達が集まって来た。みんなヴァーリの遊び仲間だ。その中のリーダー格の少年が誘って来た。いつも鬼ごっこかかくれんぼが多いから、今回もそのどちらかだろう。いつもは誘いに乗るのだが、今回は断った。

 

「ごめん!今日調合の勉強があるんだ!」

 

「そうかぁ……。わかった!じゃあまた今度な!」

 

不定期ではあるが、ヴァーリはよく町の大人達から、調合、鍛冶、建築など、あらゆる職人の技を教わっている。将来必要になるからと勧められ、彼はそれを快く承諾した日から数年経過していた。

 

彼は翼を出現させ、子供達に手を振りながらセレド唯一の調合師の下へ飛んで行った。

 

「バイバーイ!」

 

子供達もヴァーリに手を振り返し、彼の飛ぶ後ろ姿を見続けていた。

 

「いいなーヴァーリにいちゃん……。ぼくもおそらとびたーい!」

 

子供達の中で最年少の男の子が空を飛ぶヴァーリを羨ましそうに見てそう呟いた。他の子達も同じような視線を向けている。言葉にしていないだけで、みんな同じ気持ちのようだ。だが、最年長のリーダー格の少年はすぐに気をとりなおし

 

「大丈夫!みんなすぐに使えるようになるさ!それより早く始めようぜ!」

 

そう言ってみんなの気を遊びの方に向けさせた。

 

この町では不可解な事が1つある。住人は魔法を使えないのだ。それは子供に限らず、大人であってもだ。現在だけではない彼らの先祖全員が魔法を使う事が出来なかった。エーテルナノが豊富な土地で育っているにも関わらず。だが、ヴァーリだけは魔法を使う事が出来た。

 

その答えと向き合う時が迫っている事を、この時のヴァーリは知る由もなかった。




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