白龍皇の尻尾 ―VANISHING TAIL―   作:鍋やん!

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長くなったので分割しますが、もしかしたらまとめるかもしれません。


聖火

ダーマ神殿

 

かつてこの神殿では転職と言う、職業を自由に変えることができる儀式を行っていた。そのため、多くの人が訪れていた。剣士になりたい者、商人になりたい者、芸術家になりたい者、魔導士になりたい者。目的は様々だった。しかし、転職したからと言ってすぐに一流になれる訳ではない。職業を変えた者は、皆一から始めるのだ。それに、転職する前の職業に関する知識は、対価としてダーマの力の根源、『聖火』に捧げられていた。それでも、新たな道を望む者は、次から次へと訪れていた。

 

だが、約400年前。突然ダーマの聖火は消えてしまった。今では形式的な参拝にしか使われていない。

 

「大変です神官様!」

 

そこに町の緊急事態を伝えにヴァーリが飛び込んできた。

 

「どうしたのだ、そんなに慌てて。もしや先ほどの……?」

 

どうやら山頂に位置するこの神殿にも聞こえていたようだ。

 

「はい!変な奴らがたくさんいて、いきなり襲ってきて、町が燃えてて……!!」

 

「落ち着くのだヴァーリよ。して、其奴らはどのような格好をしておった?」

 

あまりの事に冷静さを失ってしまっているヴァーリを宥めながら襲撃者の特徴を聞いた。なんとか落ち着いたヴァーリは順を追って説明しようとした。

 

「えっと……赤紫のローブを着た人が……」

 

そこまで言ったところで神官の様子は一変した。

 

「まさか……教団が攻めて来たというのか……?ならば目的は光の河か!?」

 

これは神官の独り言だったのだが、自分に問いかけられたのだと思ったヴァーリは恐る恐る答えた。

 

「あの、よくわからないけど何人か河の方に向かってました。」

 

それを聞いて神官の推測は確信に変わった。

 

「10年は先の事と思ったが、まさかこんなに早く攻めて来るとは!」

 

教団の目的は、魔法界の歴史上最も凶悪とされる黒魔導士、ゼレフの復活だ。その為に多くの村を襲い、村人は奴隷として攫い、ある塔を建設しているという事を掴んでいた。

 

その塔の名は、楽園の塔。一度死んだ者を蘇らせるという禁忌の魔法。これを発動するには、膨大な魔力を消費するため、いつかこの地が標的にされると神官は警戒していたのだ。しかし、神官はミスを犯した。教団が襲撃して来るのは塔の完成後だと読んでいたが、その読みが外れてしまったのだ。

 

「おのれ教団め……!否、この事態は私の責任だな……。こうなってしまっては打つ手は一つしかない。ヴァーリよ、お前に託したい物がある。ついて来なさい。」

 

どこか諦めのような表情を見せながらも、ヴァーリについて来るように促す。普段は見せることはない神官の様子に何も追及できなかったヴァーリは指示に従い共に走って行った。

 

 

 

しばらく走った後、神殿の最深部と思われる部屋についた。途中いくつもの隠し扉を通っており、この部屋が地下に位置していることから、かなり重要な場所なのだろうとヴァーリは推測していた。部屋の中央を見てみると、青い炎を灯した祭壇がある事に気付いた。それと同時に神官は話し始める。

 

「これはダーマの聖火。かつて転職の儀式を行う際に使っていた物だ。ヴァーリ、祭壇の正面に跪きなさい。この中にお前に託す物がある。」

 

「え……?どういうこと?ダーマの聖火は400年前に消えたんじゃ……。」

 

「その話は嘘だ。ここに400年の間隠してきたのだ。この地に伝わるたった1つの魔法をお前に託すためにな……。まさかこのような形になるとは思わなんだが」

 

そこまで言ったところで

 

ドォォン!!!

 

と上の階から聞こえてきた。

 

「奴らめ、もうここまで来たか!!すまぬヴァーリよ、全てを語る時間はないようだ。私は外で奴らを足止めする!その間にお前は聖火より魔法を授かるのだ!!」

 

そう言い残し、神官は壁飾り用の剣を引き抜き部屋から出て行ってしまった。追及する暇も理解する暇も与えられなかったヴァーリは、おとなしく神官の言う通りに、祭壇の前で跪き静かに目を閉じた。

 

 

 

 

一方その頃

 

 

 

 

セレドット山道の麓で、ある男が燃え盛る町を見上げていた。

 

「なんだあれは?」

 

男は無意識のうちに声を漏らした。

無理もないだろう。観光地として有名な町で火事が起こっているのだから。それも普通の火事ではない。明らかに人為的に起こされた火事だった。

 

その事を悟った男は町の方へ歩きだした。




続きはすぐ投稿します。

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