「やはり元帥の帰り際を狙われたか……」
「提督は堂豪元帥が狙われる事を予期されてたんですね」
大淀が感嘆を込めて言う。
念のため、程度の予測だったが、こうも的中するとは……
「軍のトップが単独行するなら、そこを狙う輩がいるんじゃないかと思っただけさ」
とだけ応え、僕は考える。
元帥の行動が筒抜けだった事からも、緋乃本の軍内部に情報をリークする個人なり集団なりが居るのは間違いない。
で、問題はどこが狙ったのか?だ。
ベイ帝か、オロ社か?
もしかしたら緋乃本の内部抗争かも知れない。
捕虜の一人も捕まえて来れば、進展もあったのかも知れないが……
那珂は「忘れちゃった♡」ってテヘペロするし、神通さんは元より「見敵必殺!」って感じだし……
“完全勝利”も考えものだ。
『
二水戦、四水戦はそのまま堂豪元帥の護衛に付け、緋乃本に送り届け次第帰投するように指示を出し、鎮守府の守りも編成する。
全出撃枠を開放しているといっても、ゲームの仕様上四個艦隊しか出撃出来ない。
これは厄介な縛りだ。
ないとは思うが、今現在二個艦隊で対処出来ない敵が現れたら……
止めよう。
嫌な予感ほど現実になりがちなんだ。
余計な事は考えず、今やるべき事をやろう。
僕は哨戒艦隊を編成すると、就寝するべく寝室へ向かった。
さて眠ろうかとベッドを見る。
……いかにも不自然な盛り上がりが。
しかもモゾモゾ蠢いている。
僕は痛む頭を抑えつつ、掛け布団を捲った。
「ぅ〜ん提督ぅ〜♡そこはまだ早いデ〜ス♡」
布団の上では案の定というか、金剛がクネクネと身悶えていた。
英国で建造された日本艦の金剛は、提督たる僕に積極的にアピールしてくる艦娘の一人だ。
ちょっとやり過ぎの感はあるが、好意を示してくれるのは素直に嬉しいところでもある。
時と場合によるが。
「金剛、何やってんの?」
「ハッ⁉︎ お、オ〜ゥ提督ぅ〜♪お布団を温めておいたデ〜ス♡」
ジト目と沈黙。
「ぅ……わ、私には一日一回の“提督成分”の摂取が不可欠なのデ〜ス!最近の提督は大淀ばっかり秘書艦にして依怙贔屓デ〜ス!もっと他の艦も秘書艦にするべきデ〜ス!私とか私とか私とか!」
「……分かった。前向きに検討する」
「その言い方は『検討しない』っていう意味デ〜ス!」
ジタバタ暴れる金剛。
子供か。
「誰から聞いたんだ?そんな知識」
「霧島デ〜ス♪」
「あんにゃろう……」
霧島を問い詰めるのは明日だ。
金剛には明日から秘書艦を頼むと伝えて引き下がってもらい、ようやく寝床に……
……………………?
なんだ?この違和感は?
枕カバーを剥ぐと、そこには……
夕雲型駆逐艦の一番艦『夕雲』がうずくまっていた。
「あら?提督、御機嫌よう♪」
「御機嫌ようじゃなくて……」
「ささ、どうぞお休みくださいな♡」
「くださいな♡じゃなくて!何やってんのさ」
「さる筋から『提督は幼女を枕にすると疲労がポンと消える』と、伺いまして……」
「不穏当な発言は控えてね?誰だよ、そんなデマ流したのは」
「なんでも発信源は雷さんだとか」
「微妙に説得力のある名前来た」
「提督はそういう趣味の持ち主ではありませんの?」
「んなワケないでしょ!」
「あぁ良かった♪私の体形がお気に召さないとかじゃありませんのね♡」
「……もう帰ってくれ」
最後の最後にドッと疲れたお陰か、寝付きは早く、眠りは深かった。