翌日、帰投した二水戦四水戦を労うと、鎮守府は南方へと舵を切った。
物資を補給するにあたり、どちら方面へ向かうかを艦娘全員に聞いたところ、圧倒的多数が南方を希望したためだ。
「南の海でリフレッシュするデ〜ス♪」
とは、今日の秘書艦の弁だ。
ここ最近出撃も遠征も無いのにリフレッシュか?とは聞かないことにする。
僕の世界でのソロモン諸島、艦これ世界ではサーモン諸島と呼ばれていた場所は、こちらの世界では『バイモン諸島』と言うらしい。
緋乃本の基地に接舷した瞬間、金剛から半舷休暇の号令が下りた。
僕が出してない指示を出すなよ。
いや、出すつもりだったけどさ。
給糧艦の『間宮』『伊良湖』、潜水母艦『大鯨』、補給艦『速水』、軽空母『鳳翔』といった面々(誰が呼び始めたのか、『オ艦隊』の通称が鎮守府中に知れ渡っている)が補給に立ち会う中、僕はというと金剛の手に引かれてビーチに来ていた。
「あ、提督〜♪私の水着、どうですか〜♡」
「え⁉︎て、提督!執務室にいらっしゃるんじゃ……」
ビーチに出て真っ先に出会ったのは、重巡洋艦『高雄』と『愛宕』の姉妹だ。
二人揃って挑発的なビキニを着用していて、目のやり場に困る。
艦隊でもトップクラスのボリュームの肢体を、愛宕は積極的に見せびらかし、高雄は慌ててタオルで隠す。
「なに隠してるのよ、高雄♪ほ〜らパンパカパーン♡」
愛宕がいつものファンファーレと共に、高雄のタオルを剥ぐ。
と、勢い余って水着が……
「きゃあああぁぁぁぁぁ!」
咄嗟の高雄のビンタは、僕の顎にクリーンヒットした。
暗転ーーーー
ハッ!
気がつくと……気がつくと?
よかった、まだ生きてる。
改めて状況を確認すると、後頭部に何やら柔らかい感触が……
目の前には、丸い庇が二つ……
「気がついたか?提督」
庇の上から僕を覗き込んだ褐色の艦娘は、大和型二番艦『武蔵』だ。
庇の様に見えたのは胸か、どうやら膝枕をされていたようだ。
「提督ぅ〜All Rightデスか?」
脇から金剛も顔を出す。
半ベソをかいているという事は……やはり危険だったのか?
「膝枕とか、するなら金剛だと思ってたよ」
「そのつもりだったデ〜ス!武蔵とスイカ割り対決して負けたデ〜ス」
「まぁ、提督には世話になってるからな。これくらいの恩返しはしてもバチは当たらんだろう」
イベント海域以外では演習くらいにしか起用しなかったのに、レベル99まで育てた事を恩義に感じてくれるとは、いい娘だなぁ。
その後、艦娘同士のビーチバレーに巻き込まれて武蔵渾身のスパイクを顔面に受けたり、赤城の昼食に付き合わされて見てるだけで胸焼けになったり、駆逐艦『卯月』に“ドイツ艦娘達が掘った穴”を利用した落とし穴に落とされたり、散々な目に遭ったが、まぁ概ね平穏な一日が過ぎた。