互いの偵察機が艦隊を捕捉する段階から、僕等の『第四次サーモン海戦』は始まった。
敵艦隊が艦載機を出して来る。
数え切れない程の大量の機影を前に、レ級が吼えた。
オオオオオオォォォォォォン!
空を震わせる程の咆哮。
と同時に、レ級の身体が真っ赤なオーラに包まれる。
コイツ、
尻尾の口が限界まで開くと、中から大量の人魂が飛び出し、艦載機へと姿を変える。
関連サイトで『飛び魚艦爆』と呼ばれていたソレは爆弾を内部に収納すると、編隊を組んで敵方の艦載機を迎え撃った。
飛び魚艦爆は名前こそ“艦爆”ーーーー艦上爆撃機だが、その空戦性能は僕等の鎮守府が使う最新鋭戦闘機『烈風』にすら匹敵する。
そして、レ級が繰り出す艦載機の数は……百八十機!
レ級の艦載機達は、次々と敵方の艦載機を撃ち落としていく。
だが、そんなレ級の艦載機よりもなお凄まじかったのは、実は飛鷹と隼鷹の艦載機だった。
飛び魚艦爆以上の機動力と運動性で、瞬く間に撃墜数を上げていく。
「さっすが提督秘蔵の一品ね」
「いつも使わせてくれりゃいいのに、心配性にも程があるよなぁ」
そう、今回の戦いにあたって飛鷹隼鷹に預けたのは、『烈風改』と『震電改』なのだ。
烈風改とは、文字通り烈風の改修強化版だ。イベントクリアの報酬で配られた限定品で、装備開発で作る事が出来ない限定品だ。
震電改は元々は陸軍機である『震電』を「もし海軍用に改修したら」という発想で生まれた“if兵器”だ。
『艦これ』でもごく初期の月間戦績ランカー報酬で、あまりにも強力なため直ぐに配布が中止された、言うなれば「選ばれし勇者に与えられた至宝」だ。
「オォ〜♪」
震電の「機体後端にプロペラが付いた独特なデザイン」に、レ級も感嘆の声を上げる。
「制空権、奪取しました」
妙高の報告に、僕は無言で頷く。
敵の艦載機の数には正直ビビったが、この陣容で負ける訳には行かない。
敵機を粗方撃ち落とした烈風改と震電改は帰投、入れ替わりに飛び立った飛鷹隼鷹の攻撃機と、飛び魚艦爆が今度は敵艦撃破に向かった。
空戦でこそ飛鷹隼鷹の艦載機に遅れを取ったものの、飛び魚艦爆の真価は爆撃にある。
しかも純粋な戦闘機である烈風改や震電改は対艦攻撃には参加出来ないが、飛び魚艦爆は対空戦闘後にそのまま爆撃に移れる。
ゲームでは体感出来なかったイニシアチブだ。
「ガゥッ!」
レ級の号令と共に敢行される連続急降下爆撃は、まるで絨毯爆撃だった。
大量の敵駆逐艦が爆発し、炎の回廊を作り上げる。
レ級の艦載機が作った回廊を縁取るかの様に、今度は飛鷹隼鷹の攻撃機が攻撃を開始した。
飛鷹の艦上攻撃機『天山一ニ型』には友永隊、隼鷹の艦上爆撃機『彗星』には江草隊という“妖精さん”の中でも選りすぐりのエースパイロット集団が乗り込んでいる。
数ではレ級の艦載機に劣るものの、こちらはエースパイロットの技量でもって撃沈数を稼いでいく。
艦載機の航跡を辿るように
「いや〜相変わらず航空攻撃は派手だね〜」
北上が遥か前方に立ち上がる炎を眺めて呟く。
「こっちも負けてられません!『甲標的』発進!……って、もう出してる⁉︎」
第二艦隊旗艦を務める軽巡洋艦『阿武隈』が号令を発するが、北上、大井、木曾の三人は既に甲標的を発進させていた。
甲標的とは「推進機構を備えた魚雷発射装置」とでも言うべきもので、本体である艦船から発進された後に所定の位置に着き、本体とは全く違う位置から雷撃を行うという言わば「海中のオールレンジ攻撃」を行うオプションだ。
阿武隈、北上、大井、木曾が放った甲標的は、来るべき攻撃の瞬間を待ってその牙を研ぎ澄ます。