オーバー艦これ   作:ウェステール

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第四次サーモン海戦2

阿武隈達が雷撃を開始しようとした、その直前。

突如、敵群に水柱が上がった。

むしろ「水壁」とでも言うべき様に、阿武隈達も呆気にとられる。

 

「第一艦隊の攻撃はまだよね?」

 

大井が阿武隈に確認する。

阿武隈の返答はYesだ。

 

「なら、提督だな。……ったく、支援出すなら出すって、先に言っておけっての」

 

木曾はニヤリと笑みを浮かべて僕に愚痴る。

そう言えば聯合艦隊発進前に支援艦隊の事を伝えてなかったか。

背中に刺さる妙高の無言のツッコミが痛い。

 

 

水柱は、別働隊として編成、発進させていた『支援艦隊』のものだった。

駆逐艦『綾波』『敷波』に先導された航空戦艦『扶桑』『山城』『伊勢』『日向』が、敵艦隊側方に回り込んでの一撃。

 

「伊勢、日向には……」

「負けられないんですよね?姉様♡」

「本人を前に言うかね?普通」

「そんな事より瑞雲の出番はないのか?」

 

いささか緊張感に欠ける会話も、キャップ未解放とはいえ限界(レベル99)まで練度を上げたが故の余裕か。

 

「では、後はお任せします」

「大丈夫だとは思うけど、姉様に手間を掛けさせたんだから、サッサと完全勝利してくるのよ!」

「じゃ、頑張ってね〜♪」

「瑞雲は要らないのか……」

 

僅かな主砲斉射で多大な損害を敵にもたらし、支援艦隊は帰投する。

 

 

支援艦隊の砲撃のドサクサに紛れて、阿武隈達は甲標的の“仕込み”を終えていた。

 

「第一艦隊の砲撃の前に、敵を撹乱します。甲標的、雷撃開始!」

 

甲標的が一斉に魚雷を発射する。

 

艦娘達が装備する魚雷は全て『酸素魚雷』だ。

燃料の酸化剤に“普通の空気”ではなく“高濃度の酸素”を用いた酸素魚雷は、燃焼によって生じる炭酸ガスが海水に溶けるため、普通の魚雷と違って白い航跡を残さない。

ましてや模型サイズの魚雷ときては、視認で避けるのは至難の技どころではない。

 

敵艦隊のそこかしこで水柱が立つ。

今度は支援艦隊の時のような“水壁”ではなく、完全にランダムな位置での発生だ。

恐らく敵は、何処から攻撃を受けているのかと混乱している最中だろう。

 

「チビ共!足を溜めとけよ!砲撃の後は吶喊だぞ!」

「うん。準備、出来てるよ」

「ハイ!雪風も頑張ります!」

 

木曾の檄に、二人の駆逐艦にも気合が入る。

 

「それ私の台詞〜!」

「別に誰が仕切ってもいいじゃん」

「北上さんが指揮すれば戦果倍増よ、きっと♡」

「え?メンドくさそう……あたしはいいや」

「もぉ〜、みんな従ってくださ〜い〜‼︎」

 

通信からでも阿武隈の苦労が偲ばれる。

頑張れ阿武隈。

無事に帰ったら褒めてやらねば。

 

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