オーバー艦これ   作:ウェステール

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第四次サーモン海戦3

 

 

第二艦隊の先制雷撃の間に、第一艦隊では旗艦の大和の下で素早く打ち合わせが成される。

 

「正面に第二艦隊の花道を作ります。遠距離は私、中距離は長門さん、近距離はレ級ちゃんと鈴谷さん。合図は私の砲撃で。以上、異論はありますか?」

「了解した!」

「???」

「鈴谷達は、近くの敵を攻撃すんの。解る?」

 

若干まくし立て気味の大和の台詞に混乱していたレ級だが、鈴谷のフォローに納得したのかブンブンと首を縦に振った。

 

「では、散開!」

 

大和の号令一下、各艦娘が相互距離を取る。

大和や長門クラスの艦ともなると、あまり距離が近いと砲撃の衝撃波が他者に干渉してしまうのだ。

充分な距離を確保すると、ちょうど第一艦隊の前方で第二艦隊の放った甲標的の水柱が確認される。

 

「行きます!全主砲、薙ぎ払え‼︎」

 

大和の主砲、艦これ世界最大の艦砲と呼ばれた『51センチ三連装砲』が次々と炎を吐いた。

衝撃波が海面を丸く抉る。

 

「あぁ……航空機を気にせず砲撃に専念出来るなんて、素敵♡」

 

何やら浸ってる大和。

航空爆撃は艦娘になる前、実機の頃からのトラウマだからなぁ。

今は好きにさせておこう。

 

「全砲門、斉射!()ぇぇっ!」

「ナギハラエ♪ナギハラエ♪」

「ちょっとこれは……鈴谷の砲撃も霞んじゃうね、ハハ……」

 

大和の砲撃を合図に、長門やレ級、鈴谷も砲撃を開始した。

艦娘達には当然、零式水上観測機を装備させている。

敵機無き空を舞う観測機は、それでなくても容易な「実物大艦艇への攻撃」を更に確実なものにする。

瞬く間に敵の艦列の数箇所に穴が開き、それが拡大して線になり、更には太くなり、敵陣形を削り取っていく。

 

大和を始めとして、長門もレ級も鈴谷も、面白いように当たる砲撃戦に酔いしれていた。

レ級などは自らの尻尾に跨り、先端の艤装を楽しそうに平手で叩きながら、よほど気に入ったのか大和の台詞を真似してはしゃいでいる。

 

……後で補給する弾薬の量が心配になってきた。

 

お手柔らかに頼むよ、みんな。

 

 

 

 

「今です!突撃開始!」

 

敵陣の中央にスペースが空いたのを見た阿武隈が、素早く指示を出す。

進軍ラッパでも鳴りそうな勇壮さで、水雷戦隊が水面を駆ける。

単縦陣で一直線。

矢の様に、弾の様に。

第二艦隊は敵陣のド真ん中、挟み撃ちされる形に入った。

当然、敵の大反攻を受ける。

 

「あ痛っ!」

「北上姉、油断してっと沈むぜ。戦後生き残り組だからって油断するなよ!」

「分かってるよぅ」

 

僕の世界の大戦では、艦娘の基となった艦艇は殆どが轟沈している。

その中で、北上や雪風、長門などは沈む事もなく戦後まで生き残った数少ない艦なのだ。

 

軽口を叩き合う北上と木曾を他所に、黒いオーラを吹き上げる艦娘が一人……

 

「よくも……よくも私の(ヽヽ)北上さんを傷モノにしてくれたわね!十倍……いえ、百倍にして返してやるわよ‼︎」

 

大井がヒートアップしていた。

挟撃されているという事は、水雷戦隊にとってはピンチであると同時にチャンスでもある。

 

「これは、外しようが無いね」

 

時雨が声を漏らすほど、艦隊の左右には敵艦が入り乱れている。

 

「各艦、砲雷撃戦開始!」

 

阿武隈が声を上げるまでもなく、各艦娘は左右の敵に撃ちまくる。

 

第二艦隊が敵陣を駆け抜けた後は、第一艦隊が切り拓いた道の太さは倍になっていた。

 

 

 

さて、ここでゲームなら夜戦になるのだが……

そんな風に時間が飛ぶワケもなし。

戦闘は明るいままに終了もせず続けられている。

そりゃ、そうか。

 

敵陣を二つに割り裂いた第二艦隊は敵陣裏で時計回りに反転、敵左翼を後方から追い立てる。

慌てた敵は回頭しようとするが、密集陣形が災いして上手く回れない。

っていうか、敵の目の前で回頭とか、無謀もいいトコだ。

予想通り、こちらに腹を向けた敵艦は更に的を大きくする結果となり、第二艦隊の砲撃の好餌と成り下がる。

 

ーーーー敵左翼は、完全に瓦解した。

 

敵右翼は第一艦隊の砲撃に、為す術なく削られてゆく。

何と言っても射程が段違いなのだ。

密集陣形で駆逐艦の利点を捨てた敵に、大戦艦三人の砲撃に対抗する術などあるものか。

 

 

結局、夜を待たずに敵艦隊は壊滅。

僅かな生き残りが這々の体で脱出するのを見逃してやり、僕の艦隊はA勝利を挙げた。

 

……第二艦隊に川内を入れずにおいて良かった。

 

長居は無用。

僕は艦隊を即時帰投させると、サーモン……もとい、バイモン海域を後にした。

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