やられた。
最悪のタイミングだ。
緋乃本は今更になって、僕等が横菅で暴れた事実を持ち出し、世界に「鎮守府は世界共通の敵だ」とぶち上げた。
何より腹が立ったのは、緋乃本がオロ社と同じ手を使った事だった。
つまり、「鎮守府による虐殺の映像」を証拠として公開したのだ。
ーーーー実際には緋乃本軍によって行われた、“自国民虐殺ショー”の映像を。
映像の確認には、僕と共に横菅に赴いた天龍と龍田も呼ばれた。
島風には……ショックが強いかもしれないという配慮から、同席はさせなかった。
「……何だよ、コイツは?」
天龍は絶句の後、絞り出すように呟いた。
ブラウン管の向こうには、爆発や銃撃に倒れる無辜の市民。
あの時、僕等を歓迎した市民達が、害虫でも駆除するかの様に殺戮されていた。
「俺達がコレをやっただと!? ……舐めやがって! あの野郎、ブッ潰してやる!!」
『あの野郎』とは、志摩田司令の事だろうな。
彼の仕業とは限らないが……まぁ十中八九そうなんだろう。
ヒートアップして執務机を叩き割る天龍。
……頼むから物に当たるのは止めてくれ。
対して、龍田はあくまでポーカーフェイス。
瞬き一つなく画面を凝視していた。
映像が終わると、龍田はそっと瞼を閉じて大きく一つ、溜息を吐いた。
瞼が落ちる直前、龍田の目に凄絶なモノが見えた気がして、息を飲む。
目を開けた龍田は、もう「いつもの龍田」だった。
「……良かったですね、提督♡」
「?? 何が良かったのさ?」
「緋乃本という国が、私達が知る国ではないとーーーー私達が護る価値も無い国だと確認出来たんですから♪」
訂正。
こんなのは「いつもの龍田」じゃない。
僕は……
何も言わず、龍田の頭を胸に抱いた。
一瞬の戸惑いを置いて、嗚咽が漏れ聞こえる。
失策だ。
まさか龍田がここまでショックを受けるとは。
僕は龍田が落ち着くまで、その髪を撫で続けた。
「提督……この一件、絶対に奴等に落とし前つけさせてやろうぜ」
「そうだね。彼等は軍として超えてはいけない一線を超えてしまった。……その時が来たら二人共、よろしく頼むよ」
「おぅ! 任されたぜ」
「……彼等には、己の所業を後悔してもらいます。たぁぁぁぁぷりと、ね」
天龍と龍田が、共に決意を語る。
“キラキラ”とはまた違う戦意の高まりが、二人を燃え立たせていた。
僕は志摩田司令に同情……しかけて止めた。
さっきの龍田じゃないけど、これで緋乃本に対して手加減をする必要は無くなった。
僕は決意を新たに、計画を練り始めた。
ーーーーそう、『世界征服』のシナリオを。
なんと!
期せずしてホントにオバロっぽくなってきました(^_^;)