北へ向かう鎮守府。
とりあえず補給は出来たので倹約令は一時発効停止。
艦娘達は久しぶりに腹を膨らませる事が出来た。
赤城や大和といった“大食艦”が「三杯目からはそっと出す」ようになったのは良い変化……かな?
そういえば、最近明石と工廠妖精が上機嫌だ。
サービスが終了して以来、無意味な建造と解体をしなくなった鎮守府。
たまに夕張と明石で怪しげな装備開発をしているようだが、やはり工廠の雰囲気は暗かった。
ここで深海棲艦の合流だ。
寮の増改築の必要性が産まれた為、工廠は一時的ではあるが活況を取り戻していた。
深海駆逐や軽巡など、ヒトとしての形になっていない者は、出撃用ドックの隣にプールを作って其処へ。
重巡以上の艦には個室を与える事になった。
のだが……
ある日のこと、僕の下へ陳情……というか苦情を訴える深海棲艦が現れた。
離島棲姫だ。
黒のゴスロリ服に身を包んだ少女は、仁王立ちで僕を睨み付けた。
「提督!アノ小ウルサイちび共ト同室ナノハ我慢ナラナイ!個室ヲ要求スル!」
「……一人寝とか、寂しくない?」
「……ばかニシテルノカ?」
あ、怒りのオーラで周囲の景色が歪んで見える。
体格が駆逐艦と変わらなかったので、てっきりメンタルも駆逐艦達と同レベルかと思ってた。
急遽、離島棲姫用の個室を増築。
かと思えば……
雨風が強かった日の翌日、僕は寝起きの際に何やら柔らかいモノに触れた。
なんだこりゃ?
フニュフニュ。
「ァ……ゥン……」
僕の頬にかかる、艶かしい吐息。
な、なんだぁ!?
飛び起きると、僕の隣には豊満な肢体の女性。
やはりというか、僕の手はその女性の胸部装甲に重ねられていた。
ぼ、防空棲姫!?
いつの間に僕のベッドに潜り込んでたんだ!?
混乱して固まる僕。
そして……
「グッモーニン提督ぅ〜!朝デ〜s……」
致命的にタイミングの悪い金剛。
僕を起こしに来た金剛は、防空棲姫に覆い被さる(様に見える)僕を見てーーーー静かに艤装を展開した。
ちょっと待て、誤解だ!
「提督の、浮気者ォォォォ!」
朝の35.6cm砲は、目覚ましにしては豪快に過ぎた。
何とか生き延びて誤解を解いたが、防空棲姫本人が言うには、「雨風ガ怖クテ一人デ寝ラレナカッタ」んだそうな。
深海棲艦の拠点では雑魚寝だったそうだし、一人寝が寂しかったのだろう。
そういえば、防空棲姫はあの大人ボディで駆逐艦なんだよな。
棲姫クラスだし口調も大人びてるし、メンタルも大人だと思ってたら、こっちはメンタルが子供ときたもんだ。
結局、防空棲姫は秋月達乙型駆逐艦に預けて、防空棲姫専用の部屋は駆逐艦達共用のレクリエーションルームへと改装された。
まさか寮の部屋割りでここまで揉めるとは……