欧州。
アニシナと呼ばれる国は、僕の世界でいうベルギーに当たる。
国際連盟の議場はこの国の首都にある。
僕の世界ではスイスだったか。
僕の世界での国際連盟に、アメリカは参加しなかった。
が、こちらの国際連盟にはベイ帝が参加していた。
というより、鎮守府が現れたせいで参加せざるを得なくなった、というべきか。
今や、国際連盟に加盟していない国は皆無。
世界を一つに纏めたのは、僕等という“異質極まる化け物”の存在だった。
そして今夜、国連の安全保障会議で会合が開かれる。
財前さんからの情報だ。
僕等は、この会議に乗り込むことにした。
まず下準備として、佐世保鎮守府は緋乃本近海に待機させた。
緋乃本に所在を明かしておく為だ。
これで奴等は僕達が議場に向かっているとは思うまい。
そして艦隊出撃。
メンバーは潜水空母達だ。
そして
四人は内火艇を装備、中に多数の艦娘を配置する。
内火艇に乗る事で、出撃枠から外れた艦娘は艤装を装備出来ず、海にも浮けなくなる。
まぁ必要なのは火力じゃないし、火力を担当するのは他の隊でいい。
夜陰に乗じて出撃。
密かに上陸して内火艇を解放。
内部の艦娘達を解き放つと、再び内火艇を収納して合流ポイントに向かう。
「じゃ、運河で待ってるね♪」
上機嫌なのはシオイだ。
憧れていた『運河』に侵攻出来るとあって、今日のシオイは朝から元気が良い。
上陸後は財前さんが手配して海岸近くに停めておいた車に乗り込み、議場へ。
とりあえず、ここまでは問題なし。
ハンドルを握る手に、思わず力が入る。
さて、事態は僕が描いた通りに進むかな?
国際連盟本部ーーーー
議場正面玄関を護る衛兵に、一人の女性が近付いた。
紫紺のジャケットに黒のタイトスカート、白いタイツの黒髪の美女は、衛兵を油断させるに十分な魅力をたたえていた。
重巡洋艦『足柄』だ。
彼女を突入役に選んだのは、一つは妙高型の制服が洋装で違和感が少ない事。
もう一つは、英国の観艦式に出た事もある彼女は、実は金剛に並ぶ(と言うと大抵の人間は残念そうな顔をするが)英語能力の持ち主である事だ。
……いや、金剛だって普段はああだけど、ちゃんとした英語も話せるんだよ?
ともかく、足柄は満面の笑みで衛兵に歩み寄る。
丸腰の女性とあって、衛兵も気安く足柄の接近を許した。
「はぁい♡」
足柄のウィンクに戸惑う衛兵。
僕が言うのも何だが、女性に免疫が無さそうな面構えをしている。
「ねぇ、ここで国連の安全保障会議ってのが行われてるの?」
「あぁ、だから関係者以外立ち入り禁止だ」
「そうーーーーなら入っても問題無さそうね。私、
足柄の一言に不吉な匂いを感じたのか、衛兵が小銃を構えーーーーるより早く、足柄の中段突きが衛兵の鳩尾を捉えた。
呻き声もなく昏倒する衛兵。
艦娘は、軍人が搭乗していたせいか非常に戦闘能力が高い。
特に柔道/剣道/空手などは、駆逐艦でも高段位クラスがゴロゴロ居る。
砲雷撃戦や空戦だけが艦娘の得意分野ではないのだ。
「殺したの?」
「一応、手加減はしたわよ」
まぁ、死んだら事故死だな。
僕は即座に衛兵への興味を失くすと、各艦に行動開始を宣言した。