オーバー艦これ   作:ウェステール

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スクープです!

 

「“艦娘”と称する奴等は、我々の世界の常識から外れた化け物であり、人類共通の敵です! あの卑劣非道な鬼畜共は、我々が手に手を取って駆除しなくてはならないのです!」

 

会議はクライマックスのようだった。

演説の主は、なんと志摩田司令だ。

抑揚を付けて語尾を力強く張り上げる、扇動家にありがちな話法で会場を焚き付ける。

だが…………。

 

「異議あり!」

 

僕は議場の扉を勢いよく開けると、志摩田に負けない大声で叫んだ。

某裁判ゲームの弁護士気分だ。

僕の顔を確認した志摩田が、『鳩が豆鉄砲を食ったよう』を体現した顔をする。

 

「き! ききききき貴様! 何故ここに!?」

「いや、この会議が全世界に中継されていると聞いてね。無実の罪の釈明に来たのさ」

「え、衛兵! 衛兵は何をしている!?」

「彼等はちゃ〜んと仕事はしてたよ。僕等が邪魔しなければ、最後まで勤め上げてただろうね。だから、彼等が起きても叱らないであげてよ」

 

本部施設に詰める衛兵は全て、艦娘達の手で昏倒させている。

僕は悠々と歩いて演説台の志摩田に向かう。

その横にいるのは通訳を務める金剛と、この演説の主役となる重巡洋艦『青葉』だった。

 

 

「ふ、ふん! 釈明だと? 今更どう足掻いたところで、貴様等が『世界の敵』である事に変わりはないわ!」

 

志摩田が吠える。

『弱い犬ほどよく吠える』というが、まさに「弱犬の駄鳴き」だ。

僕等三人は等しく冷瞥をくれてやると、一言

 

「黙ってろ」

 

で沈黙させた。

 

「放送を切れ! 放送中止だ!」

 

一部の大使が喚いていたが、放送席には既に川内が張り付いている。

不穏な動きは不可能だし、そもそも予想外の展開に燃えている記者連中だ、殺されでもしない限り中継は止めないだろう。

 

 

 

 

「どぅも、青葉です〜♪」

 

場に不似合いなまでに明るい青葉の挨拶で、釈明会見は始まった。

釈明、といっても……。

 

「ベイ帝さんと武力衝突があった事も、ベイ帝さんの大軍をほぼ全滅させちゃったのも、事実なんですよね〜」

 

ペロリと舌を出す青葉。

呆気に取られる議場の人々。

ブーイングが飛び出す直前に、青葉は語を継いだ。

 

「ただし、青葉達は領海を侵犯してきたベイ帝から緋乃本を護っただけですけどね」

 

金剛が持参した装備を取り出す。

夕張特製のプロジェクターだ。

演説台の後ろに展開したホワイトスクリーンに、偵察機が撮影した写真を投影する。

ベイ帝艦隊と周囲の島を撮影した物だ。

青葉は島を指差しながら名前を言い、ベイ帝艦隊が緋乃本領内に入り込んでいた事実を証明する。

 

「軍艦を無断で他国領に、しかも大量に侵入させたら、そりゃ撃退されても仕方ないですよねぇ?」

 

ベイ帝の大使は無言だ。

志摩田辺りが「許可なら出した」と強弁するかと思ったが、大人しいもんだな。

 

「それよりも! 青葉達が許せないのはオロ社と緋乃本です!」

 

おお、扇動モードだ。

金剛の英語を介さないと台詞の意味も理解出来ない各国の大使が、迫力に押される。

 

「これはとある記者さんから貰った、報道用の資料映像です」

 

青葉はあのニュース映像をプロジェクターで流した。

爆弾で吹き飛ばされ、銃で撃たれるオロ社の人々の無惨な姿。

 

「ここです!」

 

青葉は唐突に映像を止め、その一点を指差した。

 

「青葉、見ちゃいました。ここのショーウィンドウ。ここに、銃を持った兵士の姿が映り込んでます!」

 

会場がざわめいた。

確かに、不鮮明だが軍帽を被った兵士が銃を構える姿が見える。

 

「艦娘は“娘”というだけあって、鎮守府にいる男は提督だけです。体格を見ても提督とはえらい違いなので、コレが提督である可能性は皆無。これは何処ぞの軍の兵士の仕業なのです!」

 

青葉はフィルムを入れ換える。

 

「こちらは緋乃本の映像です。ここ!」

 

青葉が映像を止めると、画面の端に見切れた形で銃剣が映っている。

議場のざわめきは、どよめきに変わった。

 

「まぁ、虐殺される側が資料映像なんて撮れるワケがないんで、映像がオロ社や緋乃本にある時点で犯人なんかお察しなんですけどね〜♪」

 

ドヤ顔の青葉に、オロ社の大使も志摩田も声もない。

てっきり「捏造だ!」とか騒ぐかと思ったが、ぐうの音も出ないのかな?

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