「これは一体どういう事だ!志摩田くん!」
各国の大使は、志摩田に詰め寄った。
志摩田から「鎮守府は緋乃本近海に留まっているので、艦娘の乱入は有り得ない」と太鼓判を押されたから会議を開いたのであって、まさか実際に艦娘の力を目の当たりにするとは思っていなかったのだ。
欠席裁判で鎮守府をボロクソに叩く事で溜飲を下げるつもりだった各国大使としては、面白い筈がない。
しかもオロ社と緋乃本は青葉の暴露のお陰で面目丸潰れだ。
「バカな……緋乃本からここまで、どれだけ距離があると思ってるんだ……二万キロ以上だぞ!いくら艦娘が規格外だからって、無補給で緋乃本からアニシナまで来れるワケが……」
放心状態でブツブツ呟く志摩田。
その答えは、アニシナの武官がもたらした。
「沖合に巨大な構造物!?全長……千五百メートルだと!?」
今まで存在していなかった物が、存在しているという事は、移動して来たという事だ。
つまりーーーー
「まさか……別の……『鎮守府』……なのか?」
志摩田の顔色は、紙から土気色に変わっていた。
アニシナ沿岸に到着した移動要塞『
潜水空母達は佐世保鎮守府ではなく、アニシナに探知されない程度に離れた沖合の単冠湾泊地から発進、上陸したのだ。
運河から帰って来た潜水空母達を回収すると、周辺で後日の観艦式を控えていた各国の軍艦が続々と集まって来る。
舳先に仁王立ちするは北方棲姫。
お気に入りの烈風を抱えて、各国連合軍を睨み付ける。
北方棲姫も出撃枠に入っているため、第一艦隊は五人編成となる。
しかし、その面子たるや……
戦艦『武蔵』
南方棲戦姫
戦艦『レ級』
重巡『鈴谷』
装甲空母『大鳳』
問答無用のマジ編成だ。
慈悲は無い。
「帰レ!」
北方棲姫が叫ぶ。
その声は拡声器もないのに、戦場全体はおろか国連本部にまで轟いた。
同時に、北方棲姫の周りに浮かんだ人魂が、球形の飛行物体に変化する。
微妙に形状の異なる三種類の飛行物体は、それぞれ
『猫艦戦』
『地獄艦爆』
『復讐艦攻』
という。
いずれもレ級の『飛び魚艦爆』に匹敵する超高性能艦載機だ。
「イッパイ……沈ンジャエ!」
北方棲姫に呼応して各艦載機は発進、レ級の『飛び魚艦爆』、大鳳の『烈風』『流星改』『彗星一二甲』も飛び立つ。
泊地側の艦載機は、アニシナの地上基地から離陸した増援機も丸ごと平らげ、いとも簡単に制空権を奪取。
敵艦隊を火の海に包んだ。
航空攻撃を生き延びた艦艇に与えられる褒美。
それはーーーー
情け容赦無い艦砲射撃だ。
「お前とは初めて組む気がしないな。なんとなくだが……馴染む」
「私モダ……デハ、征クゾ!」
例によって、散開。
そして……
「撃ち方、始めっ!」
「全主砲、薙ギ払エ!」
「ナギハラエ〜♪」
「……もう鈴谷、レ級ちゃんの着弾観測だけでいいかな?」
51cm三連装砲と16inch三連装砲の夢の……もとい、悪夢の共演だ。
国連本部まで届く砲声は、各国大使を震え上がらせるに十分だった。
結局、雷撃戦の機会も無いまま連合軍は全滅。
残念ながら鈴谷の出番は無かった。
「鈴谷はレ級ちゃんのお守りだからね、わきまえてますよ〜だ」