提督夫妻が鎮守府に着任しました。   作:珈琲と紅茶

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遅くなりました_(..)_



14 雪風の秘書艦初日 ~昼前 

提督室

 

朝食を食べ終わった夫妻と秘書艦の雪風は未だ食事中の加賀を放置し、執務をしに提督室へと戻った。

「しれぇ、雪風は何をお手伝いしましょうか?」

「ん~食休みしておいていいよ。なんなら佳夜もそうしたら?」

そう言いつつも悠はさっき取ってきた資料とにらめっこしていた。

 

「…悠が言うのは変じゃないかしら。赤城盛りの半分とはいえ私達と同じペースで食べ終えているのよ。寧ろ貴方がそうすべきよ」

確かにその通りである。

彼女達は二十分程で食べ終わったのだ。

けして早い訳ではないが悠に関しては少々…いやかなり可笑しい。

 

「そしたら今日何もしないよ~良いのかな?」

書類から目を離し、からかうような口調を真面目な顔で言う。

「…やっぱり休ませて。」

「お言葉に甘えさせてもらいます。しれぇ!」

…大人しくソファで休むことにした

 

食堂

 

一方、置いて行かれた加賀は後から来た金剛姉妹に捕まっていた。

「…加賀さん、昨夜はお楽しみだったようですね~」

「…何の事でしょうか」

「とぼけても無駄です。榛名、知ってるんですよ」

「…済みません加賀さん。…私の計算に狂いがあったようです。」

「比叡、気合!入れて!!止めようとしたのですが…」

「榛名、cool down。そんなに迫ッテしまっては加賀も答えられマセーン」

他にも食べている娘達が居るが、全員聞き耳を立てている。

 

…加賀としては内緒にしておきたかった事だが、何処から漏れたのだろう。

(…青葉かアノ娘達ですね。一応は気を付けていた筈ですが)

「…詳しくは貴女が秘書艦をやってみてから…ではいけないかしら」

納得できた他の娘達は話し始めた。

「…榛名は…大丈夫です。」

顔こそいつも通りだが、やはり気になるようである。

「そう。…なら食事を続けましょう」

未だ半分残った味噌汁と御櫃の山はその後三十分で消え去ったという。

 

 

提督室

 

やる事が無い佳夜と雪風は朝食の時の話の続きをすることにした。

「ねぇ雪風、今ならどうかしら?」

「?…そうですね。では九人の話をしましょう。」

「順番は任せるわ」

「なら、龍田さんですね。」

ガタッ

「…あら~何か聞こえると思ったら。雪風ちゃん…解ってるわよね~」

突然ノックも無しに入ってくる龍田。

…後で盗聴器を探してみようかしら。

 

「…龍田、急に入ってくるなんて変よ。何か用?」

「佳夜さん、突然で申し訳ないけどぉその話はしょうがないのぉ~。…諦めてくれないかしら」

表情はいつも通り。

でも説明されるのだけはイヤみたいで最後辺りは僅かだけど間を置いた感じがする。

「…分かりました。では他の人に関しても…ダメかしら?」

(こちらとしても気になったら直ぐにでも解決しておきたいのよね…)

龍田は少し考えるそぶりをした後

「ん~…触りだけよ。それ以降は…ね」

それだけ言ってから部屋を後にした。

 

『…ふ~。』

「釘を刺されてしまいました。」

「そうね。…悠は?」

相変わらず集中して終わらせていた。

…お茶でも用意して労いでもしましょうか。

 

 

艦娘寮 

 

あれから加賀は食堂から全く動けない為に誰かを呼ぼうとしたが、二人の瑞鶴がそれを見かねて肩を貸してくれたのだ。

で、今は部屋に入っていて二人に引いてもらった布団で横になっている。

…当然ながら二人は未だ部屋に居るわけで

「感謝します二人共。お陰で部屋まで来れました。」

装「あまり気にしないで。練習の時はいつも助けてもらってばかりだし…たまにはね」

正「そうね、甘えさせてもらうからこそのもあるから。今日ぐらいは…手伝うわよ」

(何故二人が赤面しているのか解りかねますが…)

「…では、赤城さんが来るまで頼みます。」

結局二人は赤城が部屋に来るまで色々と加賀の事を世話してくれたのこと。

 

 

廊下

 

龍田は考えていた。

(まだ二日目なのよ。そうそう何でも話を簡単に話してしまえば良いものではないわぁ)

 

元々は此の鎮守府も普通であり、時々妙なことが起きる位で設備や立地も他と大差なかった。

変わったのは加賀が入ってきてからだ。

 

当初この鎮守府は護衛任務や広域索敵任務を主に担当する所であり、駆逐艦や軽巡、重巡は揃っていたのだが、空母だけは揃いも揃って集まらず航空艦隊の配備が急務であった此所では他の鎮守府に募っていた。

 

丁度その頃、変わり者の空母が居るのだが扱いに困ったので受け入れを頼まれた。

それが加賀だった。

最初、加賀は本当に何を考えているのか分からず此方は距離を測りかねていた。

 

他の鎮守府の加賀だとあまり話しはしなかったが少なくとも表現は豊かであり、そこまで話しづらいとはされていなかった。

だが、此処のは居なくなったと思ったら実は背後に立っていたり、部屋を見に行けば大抵釣りに出ていて置き手紙があったり、そして帰ってくると必ず大物を間宮さんに渡し黙って釣りに戻ったり。

 

食料としては有り難かったが他の事をあまりしない彼女は他の娘達との繋がりはほぼ無かった。

 

しかし、任務は待ってくれずに言い渡された。

結果としては本来必要な空母三隻分を一人でやり切った。

 

とても素晴らしいことであり私達は認識を改めることになったわけだが、当の加賀は全く変わらずに生活した。

仕方がないので建造を再開することになり、直ぐに赤城が入ってきた。

本来なら加賀と仲が良い筈だったのだが、一週間も経たずに転属届けを出しに来た。そのときの理由が

「…何故か合わないので」だった。

 

そして、暫く空母は加賀だけであり話し相手は増えるようになったが生活は変わらず。

それが三ヶ月程過ぎた頃建造から瑞鶴が出てきた。

それからは徐々に増えていき、遂には戦艦も入ってくるようになった。

 

今となっては此処は移籍組が半分以上であり、戦闘面は第一線を張れるようになった。

 

だが、提督が逃亡するようになったのだ。

人間でいう執着というものが私達の一部の娘達に生まれ、それが度を越えていたかららしい。

それから私達はあまり表に出し過ぎないように注意してはいたが、どうしても我慢し切れない部分が出てきてしまいこの始末なのだ。

 

(少しずつ話せるようになったら良いわねぇ~)

そうして龍田は自分の部屋に戻っていった。

 




内容としては龍田の振り返りが殆どですが、それほど書くのには苦労しなかったり…。
寧ろ日常は大変。
俄にも劣る知識を想像で補いながら続けるのは悩みますね。
他の方はどうやって此を維持しているのでしょうか…
勿論、戦闘も含めて。

次も気長にお待ちください。

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