ISビーストブラスト   作:汰灘 勇一

13 / 24
第十二話「悲しい雨」

 一年前

 

鈴SIDE

 

「あっ、春二!」

 

 あたしは一夏を探しにクラスに戻ってみたら春二がいた。

 

「あれ、鈴ちゃんどうしたの」

 

「う、うん実はね……あたし、転校するんだ」

 

「えっ?」

 

「それで、中国に帰る前に一夏に告白しようと思って……」

 

 あたしの言葉に春二は目を丸くしていた。

 

「そ、そうなんだ」

 

「で、一夏がどこにいるか知らない?」

 

「ええとたぶん、篠ノ之神社にいると思うよ……」

 

「そう、ありがとう」

 

「……告白しない方がいいと思うけど」

 

 あたしはお礼を言って教室を出た。……何か言ってたけど、何かな。

 

 

 篠ノ之神社

 

「あっ一夏!」

 

「うん? 鈴?」

 

 あたしがきたとき、一夏は何かを隠した。何だろう?

 

 一夏はあたしに気がつくと、剣道の道具を担いでこっちにきた。一夏はこの神社の剣道場で剣道を教えている。

 

「どうしんたんだ鈴」

 

「あ、あのね。一夏に伝えたいことがあって……」

 

 あたしは少し間を置いて告白した。

 

「あたし、一夏のことが好き! 一夏、あたしと付き合って」

 

 言えた! あたし、一夏に告白できたんだ。

 

 恥ずかしくて目をつむっていると、一夏は抱きしめてくれた。な、何するの!?

 

「いちか……?」

 

「悪い、鈴、俺、好きな人いるんだ」

 

「っ!」

 

 嘘……い、一夏に好きな人?

 

「だ、誰? 蘭?」

 

「……何で蘭の名前が出て来るんだ? あいつは友達の妹ただそれだけだよ」

 

 蘭じゃない? じゃあ、誰?

 

「……前、話したことがあるだろ。離ればなれになった幼なじみがいるって」

 

「確か、この神社の人よね。確か名前は……篠ノ之箒」

 

「ああ、俺は箒のことが好きなんだ。今もその思いは変わらない」

 

「で、でも、その子が生きてるか分からないし、もう、誰かと付き合ってたら?」

 

 あたしがそういうと、一夏は……笑っていた。

 

「それなら会えただけでもいいよ。俺はあいつが幸せならそれでいいんだ」

 

 っ……そこまでその子のことが好きなんだ。叶わないな……。

 

「そう……なら、がんばりなさいよ。絶対、その子を見つけて自分の気持ちに区切りを付けなさいよ」

 

「ああ」

 

「じゃあ、あたし、行くから」

 

 あたしは一夏に背を向けて走り出した。泣いてるあたしのみっともない顔を見て欲しくないからだ。

 

春二SIDE

 

「ふう、まさか雨が降ってくるなんて……うん?」

 

 傘を差して歩いていると雨の中、公園のブランコをこいでる鈴ちゃんの姿が。

 

「どうしたの鈴ちゃん。風邪引くよ」

 

「春二……」

 

 僕が声をかけると鈴ちゃんは顔を上げた。

 

「実はね、一夏に降られたんだ」

 

「そうなんだ……」

 

「知らなかったな。一夏に好きな人がいたなんて。しかも、その愛が深い。あたしじゃ勝てる気がしないよ」

 

 そう言って鈴ちゃんは悲しそうに笑った。……やっぱりあのとき止めればよかったかな。

 

「羨ましいよ。あんなに一夏に思われてるなんて」

 

 鈴ちゃんは立ち上がり、僕の胸に抱きついてきた。

 

「鈴ちゃん?」

 

「ごめん、しばらくこうさせて」

 

 しばらくの間、鈴ちゃんは泣いていた。空から降る雨のように。

 

 

 

「まあ、こういうことがあったんだよ」

 

「そうなんですか……」

 

 ぼくはセシリアさんに何があったか説明していた。

 

「そこまで箒さんを愛していた一夏さん……鈴さんがかわいそうですわ」

 

「そうだね……」

 

 これから僕たちはどうなるんだろう。それが気がかりだった。

 

 




今回は過去の話を書きました。

一夏に降られた鈴。これからどうするんでしょうか?

次回は何を書こう?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。