アニポケ恋愛~こんなんだったらいいな~    作:haruko

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記念すべき第一話はミルフィ視点です。


ミルフィかわいいよーもっとセレナをあおってくれー!


25話

 

「将来サトシのお嫁さんになってくれる人はいるの?」

 

「へっ? そんなのいるわけないじゃん」

 

あっけらかんと答える男の子の奥で、かわいらしい女の子がするどいめを作ってこちらをにらんでいる。さながらそれは獲物を取ろうとする敵、いや、自分の領域を侵されることを良しとしないやせいポケモンのいかくのようだった。

 

 

……こんな感じでずっと旅をしていて、なんで気づかないのかしら? あって間もない自分はこんなに直ぐに気付けているというのに……

 

 

心の中でそう思いながら何も気づかずに少女セレナの想い人、サトシのぽかんとした横顔を眺める。

 

 

 

 

 

この一行に話しかけたのは特に深い理由があったわけではない。くいしんぼうな自分のペロリームが少しだけ気に入ったポフレがあったみたいだったからその作り手に声をかけてみただけ。

別段いがみ合いたいと思ったわけでも、戦いたいと思ったわけでもない。ただただ遊んでみようかな、と思って関わってみただけだった。

 

 

そして少し話してみると、その少女、セレナはなかなかに面白い。

 

 

こちらのポフレを気に入るサトシの表情にぐっと奥歯をかみしめたり、ほめてくれるサトシにパッと表情を明るくさせたり、心配な眼差しを向けるサトシに少しだけにやついた顔を返したり、自分を見てくれないサトシに少しショックを受けたり。

 

 

 

隠す気があるのか、と問いたくなるほどに明確な、サトシに対する好意が見て取れた。

 

 

 

そんな彼女を見ていると、女の子ながらに可愛いと思い、少しは応援したくもなる。

 

 

 

 

 

 

しかしそんなミルフィの心に突っかかっているのは、ほかでもないサトシのことだった。

 

 

 

 

 

 

セレナの想いに気付いていないことは百歩譲っていいとしよう。女の自分にはわからない、男の子だけの感性があるのかもしれない。

 

 

 

しかし女の子としてのミルフィには、セレナをそうまでさせるサトシの魅力というものが全く持って伝わらなかった。

 

 

 

初対面でお腹を鳴らし、ポフレのことも知らないで、挙句言うことも聞かずにポフレを食べて火を噴いて文句を言って。

 

 

 

はっきり言って子供そのもの。セレナが想うサトシを悪く言うつもりはないが、自分はサトシを男として見ることは全くできない。そう思った。

 

 

 

 

 

 

 

そう、思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

それはセレナとミルフィが二人で『ポフレコンテスト』の決勝へと駒を進め、その準備をしようときのみを捜し、森の中へと入ってからしばらくした時のこと……

 

 

 

 

 

 

 

「うおぉぉーーーーーーーー!!」

 

 

 

 

 

 

ネーミングセンスはともかくとして、森を荒らしまわり、きのみを奪い取り、あまつさえポケモンたちまで奪っていってしまった悪人たちが操る凶悪なマシーン、『すいすいスイーツすいこーむ』。その機械の力になすすべもなく、みんながその場で木にしがみ付き、地面に這い、こらえるだけしかできず絶望しかけたその時、

 

サトシは逆に単身、敵に向かって飛び込んでいった。

 

 

 

 

「吸えるもんなら吸ってみろぉ!」

 

 

 

 

相手の吸い込む力が強いのであれば、その吸い込む力を抑える、すなわち吸入口をふさいでしまえば機械は自然とオーバーヒートする。

 

理屈はわかる。でもそれを言われて実際に、自分で行動できる人がいったい何人いるだろうか?

 

 

しかしサトシはノータイムで突っ込んでいった。

 

 

最初は何も考えていないだけなのだと思った。シトロンに言われたことをただ実行しただけなのだろうと。

 

 

 

でも、違った。

 

 

 

 

吸入口をふさぐサトシは、必死になりながら、しがみ付きながら、絞り出すような声で確かに言った。

 

 

 

 

 

 

「みんなぁ! 必ず助けてやるからなあ!」

 

 

 

 

 

 

サトシはしっかりと、ポケモンたちのことを考えていた。

 

 

 

 

 

「サトシ!」

 

 

 

 

 

セレナが悲痛な声を上げる。当然だ。自分の想い人があんな無茶苦茶をしているのだ。

 

 

 

 

ふと横目でセレナの方を見る。まっすぐ、ただ愚直に、サトシのことだけを目にとらえ、サトシの身を祈るように案じていた。

 

 

 

 

 

その時、ミルフィは理解する。

 

 

 

 

 

 

 

 

「サトシ、あなたって……」

 

 

 

 

 

 

 

この人はいつもこうなのだと。

 

 

 

 

そしてセレナは、そんな彼が好きなのだと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ミルフィはこれからどうするの?」

 

「ポフレづくりの修行の旅をつづけるわ」

 

結局大騒動を一つはさんだ二人のポフレづくり勝負は、ノーゲームという形に終わった。

しかし少しだけいがみ合っていた二人の仲も最終的には良好な雰囲気になり、お互いに次回を見据えた会話を何気なくしているあたり、ある程度の友人にはなれたのだろう。

 

「今度会うときにはわたし、もっとうまくなってるから!」

 

「わたしも」

 

そういいながら、握手を交わす。これから二人は、友人であり、ライバルである、というようなことを認識させるような、そんな固い握手だった。

 

 

「おーい。セレナー!」

 

 

そんな二人の様子を見ていたサトシがこちらに声をかけてくる。どうやら二人のやり取りを見ながら話しかける機会をうかがっていたらしい。

 

ある程度空気も読めるんだ、と軽く感心した後、別れの挨拶をしようとセレナの方に向き直ったミルフィは、そこでうれしそうな横顔をこちらにさらした無防備な状態のセレナを見る。

 

 

 

(……これぐらい言ってやった方が、セレナのためにもなるわよね)

 

 

 

「じゃあ、また「それから」えっ?」

 

 

そんなことを考える悪い顔をしたミルフィはセレナの別れの挨拶を無理やり区切り、

 

 

 

 

 

「あなたがボーっとしていたら、サトシはわたしがもらうわよ?」

 

 

「!!!!」

 

 

 

 

 

 

意地の悪い言葉で最後を締める。

 

 

 

 

 

「覚悟しときなさい♪」

 

 

 

 






……暇つぶしがてら作ったって言いましたからね?
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