超次元ゲイムネプテューヌ Re;Birth1 Origins Alternative 作:シモツキ
汚染モンスターの侵攻が、突如苛烈となった。
言葉にすればたった一文、説明するとしても然程時間のかからない、簡単な状況変化。
--------だが、人々にとっては…特に、汚染モンスターの侵攻を食い止めていた者達からすればそれは…考え得るべき最悪の事態だった。
「第一防衛ライン、突破されました!」
「ストーム小隊被害多数、死者こそいないものの戦闘続行は不可能との事!」
「スカル小隊、敵の一群の撃破に成功!友軍の援護に回るとの事です!」
「医療班急いで!もう応急処置では間に合いません!」
次々と聞こえるオペレーターの声。その全てを出来る限りで聞き入れたわたし…イストワールは、口元に手を当てていた。……あ、流石のわたしでも地の文にまで絵文字を使ったりはしませんよ?
しかし、何故こんな軍の司令部みたいな状態になっているのか……それは簡単。ギルドも教会もそうしたかったからだ。簡単に言えば、悪ノリだった。
とはいえそのノリも案外役に立つ。戦ってくれている各チームの名前さえ覚えればだいたいは理解出来るし、なんちゃって軍隊風でも元にしてるもののおかげか効率良く情報の受信送信が出来ている。だから問題は…時間を追うごとに悪化していく戦況だった。
「……確認されている死者数は?」
「現段階ではゼロです。…ですが……」
…このままいけば、時間に比例する形で死者が出る。それがオペレーター担当である教会職員の一人が、言いかけて止めた事だった。
勿論、死者無く終わらせるのはほぼ不可能だと分かっていたし、わたし以上に郊外で戦っている人達は分かっている筈。…けど、分かっているからといって何も感じずに済む、なんて事は、無い。
そしてそれは士気の低下に直結するのであり、士気の低下は被害の増加に直結する。だから、わたしはそれを少しでも食い止めようと指示を出しかけて…遮られる。まだ幼く…しかし思いだけは姉にも負けぬ、その候補生に。
「あ、あの!こんな事言っても意味はないのかもしれませんけど…それでも、頑張って、って伝えて下さい!わ、わたしも…わたしも出ますから!」
指示としては下の下、それこそ彼女…ネプギアさんの言う通り、伝えても伝えなくても殆ど変わらない、そんな言葉。しかし、ネプギアさんがそう言った瞬間、その場の雰囲気が変わった。
その半分はネプギアさんの…女神の持つ、天性のカリスマ性に依るもの。そしてもう半分は……
「ね、ネプギアさん!?本気ですか!?」
「ネプギア様、今郊外は大変危険なんですよ!?」
「もしネプギア様に何かあったら、我々はネプテューヌ様に合わせる顔が…いやそれ以前にネプギア様に何かあった時点で大問題です!」
わたしも出る、というとんでもない言葉のせいだった。女神化こそ問題無く出来るものの、彼女はまだ戦闘に関する知識も経験も少なく、次々と汚染モンスターが迫り来る戦場に出すのは不安以外の何物でも無い。
そう思って、止めようとするわたしと職員。…が、そんなわたし達に対し、ネプギアさんはちょっと遠慮がちな表情を見せながらも、はっきりと言い返す。
「分かってます。でも…お姉ちゃん、なら…女神パープルハートなら、安全な所で眺めてるだけ、なんて事はしません。わたしは、そんなお姉ちゃんの妹で、まだ候補生だけど、お姉ちゃんと同じ女神です!だから…お願いします、わたしを信じて下さい…!」
言い切り、頭を下げるネプギアさん。シェアクリスタルの間で女神としての鱗片を見たわたしはともかく、職員の皆さんはネプギアさんのおろおろしている部分ばかりを知っていたせいか、呆気にとられる。そして数秒後、彼等はわたしに判断を任せると言うかの様な視線をわたしに向けてくる。……全く、皆さんは甘いですね…ネプテューヌさんにも、ネプギアさんにも。
はぁ、とため息を吐き…わたしは決定を下す。
「…分かりました。ネプギアさん、わたしと共に第一防衛ラインの再構築に向かいましょう」
「……!はいっ!…って、え?…いーすんさんも出るんですか…?」
「えぇ、勿論。こう見えてわたし、普通の人よりはずっと強いんですよ?(`・ω・´)」
職員にはわたしが前線で指示を出すと伝え、目を瞬かせるネプギアさんを先導する様に郊外へと向かう。
わたしとネプギアさんが参戦しても…もし仮に、ネプテューヌさんが参戦したとしても、すぐに戦況が変わる程楽な戦いではない。…だけど、わたしとネプギアさんの…特に、ネプギアさんの参戦はわたし達にとって良い影響となる。そんな気がする、わたしでした。
(ネプテューヌさん、皆さん。そちらも頑張って下さい。こちらは、わたしと皆さん…そして、ネプギアさんに任せてくれて大丈夫ですから(⌒▽⌒))
そしてそんな中、空に小さな闇色の輝きが現れたのだった。
最悪の事態となった時、諦めてしまう者は一定数いる。しかし、その者達は愚かな訳でも弱い訳でもない。ただ、無理だと思ってしまった、その思いが思考を寡占してしまったというだけであり、それは全ての者に起き得る事態なのだから。
だが、どんな事態でも誰かしらは諦めてしまうのと同様に…どんな事態においても、誰かしらは…諦めずに、戦っている。
「キリが無いな…とにかく街中に入れさえしなければ良い、間違っても捨て駒になろうとはするな!」
牙を剥き出しにして飛びかかってくる汚染モンスターを突き、地面へと叩きつけながら教祖である僕は指示を飛ばす。本来ならもう少し的確な指示を出すべきなのかもしれないけど…即席の防衛部隊な以上、具体的な動きは個々人や各隊に任せた方が良いだろうね。
そんな中、有志の一人の悲鳴が聞こえてくる。
「ぐあぁぁっ…!…だ、誰か……」
「グギャアァァァァッ!」
「……っ!しまっ……」
助けよう、と思った時にはもう遅い。ノワール達女神の様に動けるならともかく、人の域を超えてはいない僕に離れた所にいる、襲われかけの人間を守るだけの力は無い。
……そう、女神ではない、僕には。
「…大丈夫、アタシの射程圏内にいる人は…誰一人死なせたりはしないわ!」
インカムから聞こえてくるのはユニの…女神化した彼女の声。その声の示す通り、ユニは長距離狙撃によって敵を散らし、味方を援護し、確実に汚染モンスターを撃ち抜いていた。彼女のおかげで僕達はどれだけ心に余裕が生まれた事か…。
……が、僕はそこで「とはいえ…」と考える。ユニはこちら側の要になってくれる位活躍しているし、有志も教会職員もそれぞれの形で奮戦してくれている。だが、それでもこちら側が押され始めているのは事実であり、ユニも戦域全てを『同時に』援護出来る訳ではない。故に、このままでは戦線が瓦解すると僕が判断し、防衛ラインの後退を指示しようとした。
……そんな時だった。聞き慣れない駆動音が聞こえ、人の数倍以上もある人型の機動兵器が姿を現したのは。
「…あれは……?」
巨大な剣と機関砲でもって、正面から汚染モンスターと激突する複数の機動兵器に、つい二度見してしまう僕。皆も僕と同じ感想を抱いたのか、インカムからも周りからも驚きの声が聞こえてくる。
そして、その困惑に答えを出してくれたのも…インカムの先だった。
「ケイ!あの機動兵器はシアンさんの開発した物らしいわ!」
「シアン…?…博覧会でノワールといた彼女の事かい?」
「わたし達の、です!親父が設計し、サンジュが無人機で得た技術を組み込んで、わたし達技術者が合同で開発した、わたし達の…いいや、ラステイションの技術者魂が形になった機体…それが、エミカルです!」
「そ、そうなのか…何はともあれ、心強い味方だよ」
興奮気味に説明するシアンの声を聞きながら、僕は戦況を見つめ直す。彼女の言う機体、エミカルはそれ自体の戦闘能力もさる事ながら、全体の士気を大きく上げる事に貢献している。早い話が、巨大人型ロボットという存在が人々を『燃え』させているのである。
だから、僕は出そうとしていた指示を改める。
「全部隊、エミカルを主軸に戦線を立て直してくれ!心配は要らない、僕達には力強い仲間と…女神様が、ついている!」
そして片手剣を握り直し、先陣を切る形で僕は走る。最前線に指揮官が出るのは本来なら下策なのかもしれない。けど、真の指導者である女神はこうして誰よりも雄々しく戦うのであり…僕は、その女神を一番側で支え、協力する教祖なのだから。
(ノワール、君の妹も国民も君の期待以上に頑張り、力を尽くして国を守っているんだ。だから…君には、ブラックハートには世界を任せたよ)
そしてそんな中、小さな闇色の輝きは少しずつ大きくなるのだった。
どんな最悪の事態だったとしても、諦めずに戦う者はいる。それは無茶なのかもしれない。無謀なのかもしれない。だが、間違ってもそれは『無駄』になったりはしない。諦めずに戦う者の姿はいつしか勇姿となり、勇姿は人に戦う気力を与えてくれる。
一人の勇姿によって一人、また一人と戦う者が増えていく。それこそが…人なのだろう。
「ふっ、全くもって劣勢だな弟よ」
「そうだね兄さん。元ネタの機体が欲しいところだよ」
などとあまり明るくない冗談を言い合うのはお姉様に釣られる形で(釣ったというか、勝手に食いついてきただけらしいけど)リーンボックスへとやって来た兄弟。普段はアタクシにとって疎ましい限りの二人だけど…中々どうして、これが強い。少なくとも、普通の人間レベルではなかった。
「全隊、フォーメーションをBからDに移行!こんな状況になってしまっては攻勢に出るデメリットがデカ過ぎるわ!」
自分の元へと来る情報を頭に入れ、その場その場で最適な指示を出しつつ、自身も戦闘に参加(勿論アタクシの戦闘スタイルはお姉様直伝よ)するという事は、まだまだ教祖としては新米であるアタクシにとって予想以上の負担だった。
それでも、教祖としての責任感、他国の教祖と並び立ちたいという気持ち、そしてお姉様愛で何とか持ち堪えていたアタクシだけど…裏を返せばそれで手一杯だったのであり、手一杯だったが故に…高速で飛ぶ一体の汚染モンスターに、防衛線を突破されてしまう。
「あのモンスター…速い……ッ!」
「不味い…今指揮所の直掩に回れる人は!?」
半ば訊く様な形の指示をしてしまうアタクシ。しかもタイミングの悪い事に、たった今陣形を組み替えていた最中だった為に即応出来る者がおらず、汚染モンスターと指揮所の間は完全な空白となってしまっている。
……いや、違う。たった一人、その空白を埋めるものが現れる。
「そろそろ引退の時かと思っておったが…まだまだ退く訳にはいかんという事ですな」
すっ、と汚染モンスターの進路上に立つのは元教祖代行であるイヴォワール。…が、それを見た多くのものは安心ではなくむしろ不安を拡大させる。それもその筈、イヴォワールは誰から見ても老人であり、実際時折腰が痛い等の身体の不調を訴えていたのだから。
だからこそ、次の瞬間彼等は驚愕する。
「キィィィィィィッ!」
「……ふんッ!」
繰り出される肘鉄、地面へと激突する汚染モンスター。更に起き上がろうとする汚染モンスターに対し、彼は鋭い膝蹴りで持って汚染モンスターを沈める。
一撃で汚染モンスターを止め、続く一撃で汚染モンスターを撃破。ご老体と思っていた存在がこんな力を秘めていたとは、一体誰が予想出来ただろうか。実際、彼とは親戚関係に当たるアタクシでもここまで動けるとは予想していなかった。…ほんとにまだまだ現役としていけるじゃないのよ……。
「…焦りは禁物ですぞ、教祖殿」
「分かってるわよ…後普通に呼んでくれていいから」
「む、そうか。…本当に分かっておるのか?チカよ」
「……仕方ないでしょ、こんな状況じゃ焦るっての…」
見た目に合わない軽快な動きでアタクシの元へやってくるイヴォワール。彼は更に一体の汚染モンスターを倒すと髭を撫で…諭すかの様な声音でアタクシに告げる。
「…グリーンハート様なら、どうしておったかの」
「……ーーっ!」
アドバイスとしてはあまりに漠然とした、その言葉。でも、アタクシには分かる。ずっとお姉様を側で見てきた、アタクシには。
こういう時、お姉様はいつも余裕を持った笑みを浮かべる。余裕が無い状態でも、お姉様はその笑みを浮かべる。それは何故か。…そんなのは簡単、
「…上に立つ者が余裕を見せれば皆は安心し、逆に狼狽えれば皆は不安に駆られる。……そうですわよね、お姉様」
大きく深呼吸をし、手に馴染んだ槍を握り直す。勿論、それだけでお姉様と同じ余裕を見せられる訳ではないけれど、自分の中のスイッチを切り替える位の役目は果たしてくれる。それに、深呼吸のおかげで少し頭が冷静になり、共に戦っているのが誰なのか、という事を思い出す。
「…ここはお姉様…グリーンハート様が帰る場所、そして貴方達は同じ者を信仰する同志。ならば…グリーンハート様の為に、大切な国の為に戦うまでよ!皆、違うかしら?」
アタクシの指示…というか演説に返ってきたのは戦う者達の猛々しい声。その声を聞いてアタクシは味方の頼り強さと、お姉様が如何に凄い存在なのかという事を改めて知る。
(…こちらは何も心配要りませんわ、お姉様。だって、皆お姉様の信者なのですから。…だから、世界は頼みましたわ、お姉様)
そしてそんな中、闇色の輝きは何かに影響を受けたかの様に僅かに揺らいだ。
人が一人で成せる事など高が知れている。女神であっても、女神の根底であり同時に真価である奇跡の力を自在に操れないのであれば、やはり人と同様に限界にぶつかってしまう。
だが、人と人とが力を合わせたのであればその限りではない。協力し、助け合い、同じ目標に向かって手を取り合う。それが人を、女神をも前へと進ませてきたのであり…それこそが、人と女神の大きな力なのかもしれない。
「やぁぁぁぁ……!」
「えぇぇぇぇいっ!」
空を疾駆する二人の少女。一見すれば幼い子供そのものである二人も、女神化をするとその雰囲気は変わる。女神化前と同じく天真爛漫な…それでいて、どこか大人の風貌を見せる彼女達は、幼いながらも女神としての素養をその身で表していた。
だが、だからといって彼女等が最前線で飛び回るのをただ眺める事など出来ないのが保護者であり…わたしミナの頭を悩ませる要因だった。
「あ、あのミナ様。やはり、お二人には後退を…せめて援護を付けてあげた方が…」
「分かってます、わたしも同意見です。…ですが、それを許してくれないのが今の状況です」
心配そうに二人…ロム様とラム様を見つめるフィナンシェさんに首を振るわたし。彼女の言う事は全くもって間違っていないし、そもそもロム様もラム様も前衛ではなく後衛が本来のポジションなのだから、戦術的にも間違っている。
しかし、現在二人は前衛状態でありながらもかなりの活躍をしており、更にはその勇姿が共に戦う者達を大きく勇気付けている。現状で被害を最小限に食い止められているのは紛れもなく二人の大盤振る舞いのおかげである以上、不用意に下げる訳にはいかず、二人へ回せる人材もいない…というか二人だけで戦えているからこその戦線である事は、火を見るよりも明らかだった。
「だったら、せめてわたしが…」
「貴女が行ってどうなるんです?貴女が全く戦えないとは言いませんが…お二人は今、『自由に』戦っているんですよ?」
「…分かってます、分かってますけど……」
二人はまだ陣形やら作戦やら火力支援やらを理解出来る程の知識を持っている訳ではない。その上やんちゃ盛りな時期(女神に時期も何もない気はしますけどね)である事も相まって、指示をしたところでその通りに動いてくれる見込みは薄い。それどころか、援護に来た人を置いてけぼりにしてしまう可能性すらあり得る。
つまり、二人を援護出来るのはそれなり以上の戦闘能力と状況判断力を持ち、尚且つ手の空いている者に限られてしまう。そしてそんな人と言えば……
「…ミナ様は、行けないのですか?」
「……ここにだって、防衛網を抜けた汚染モンスターが来るんですよ?」
そう言いつつもわたしは手を振り、今まさに接近してくる汚染モンスターの一体を魔法による光弾で迎撃する。
詰まる所、打つ手がないのだ。勿論ここを放棄すれば援護は出来るけど…そんな事をしてしまっては指揮がまともに出来なくなる。そうなれば、戦況の大幅悪化は免れない。
我ながら、酷な立場だと思う。女神の様な力が無いにも関わらず、女神に準じる任をこなさなければならないのだから。それでも、今取るべき判断を、指揮をしようと心を鬼にしたわたしは……
「…それでは、ホワイトハート様に怒られてしまいますよ?」
後ろから聞こえたその言葉に、出す筈だった指示を遮られた。そして次の瞬間、後方から伸びた光芒が複数の汚染モンスターをまとめて焼き払う。
声に、光芒に驚いたわたしとフィナンシェさん、それにわたし達の周囲にいた職員が振り向くと…そこには、ジャケットを脱ぎ袖を捲り、腕に油汚れを付けたガナッシュさんが元アヴニール製と思われる機体と共に立っていた。
「な……っ!?そ、それは…」
「少しでも戦力になればと、先の大規模戦闘の後教会で回収していた機体をレストアしたのです。全く、技術屋が少な過ぎたせいで私まで作業に参加する羽目になりましたよ」
「そ、それは…安全なんですか…?」
「えぇ、そもそもマシンに危険も安全もありません。それを決定付けるのは使い手ですからね」
そう言って更に機体へ命令を送るガナッシュさん。その機体はルウィーに住む者にとっては決して良い思い出の無い物ではあるけれど…ここにおいては、貴重な戦力に違いなかった。
ガナッシュさんは、更に続ける。
「行って下さいミナ様。貴女はロム様ラム様の実質的な保護者でしょう?」
「…ここを、任せても宜しいのですか?」
「宜しいからそう言っているのです。貴女が信じるホワイトハート様を信じる私を信じて下さい。それに、ここにいるのは私だけではありませんよ?」
「そう…でしたね。…では、皆さん…ここを頼みます」
頷いてくれる皆に頭を下げ、わたしは邪魔となる汚染モンスターを蹴散らしながら二人の元へと向かう。
自分が先程まで考えていた判断が間違っているとは思わない。だが、自分は味方の数というものを計り間違えていた様だった。そして、戦闘は未だ優勢とは言えないものの…希望が潰えてなどは決して無い、という事もしっかりと実感出来た。
(大丈夫ですブラン様、ルウィーはわたし達がきっちりと守り抜きますから。…ですからブラン様も、負けたりなんてしないで下さいね)
そしてそんな中、揺らぎを見せた闇色の輝きは…ゆっくりと拡散し、消えていった。
射線上の全てを灼き、無に帰さんとする闇色の光芒。だが、それは防がれた。…否、その表現は正しくない。闇色の光芒は僅かに影響を受け、一部が拡散したに過ぎないのだから。…それでも、私達には分かった。それが下界へと届く前に、どんなものかも分からない境界に寄って阻まれたという事を。マジェコンヌの唖然とする顔が、それの裏付けにもなっていた。
そして、その光芒へと影響を与えたのは……
「わたし達にだって、やれる事はあるんです…だから、わたし達はやれる事を全力でやるんです!」
「女神の力もあんたの力も元は私達人間の思いなんでしょ?だったら、人を舐めるんじゃないわよ!」
コンパとアイエフの…ここまで私達に着いてきてくれた、二人の切り札によるものだった。二人が叩き込んだ光芒と斬撃の束は負のシェアの光芒に正面から激突し…下界へと降る筈だった死の光から下界と人々を守ったのだった。
その二人の様子を見たマジェコンヌは、驚きの後に素直に賞賛するかの様な表情を浮かべた。実際、その行為とその結果については評価していたのだろう。そして、彼女は二人に襲いかかった。必殺の技を邪魔され、失敗へと追い込まれたのだからそれは当然の事。
だが、それは成功しない。……私達が、それを許す訳がない。
「ちぃ…次から次へと、滅びの運命を受け入れられない者が邪魔立てするとは……」
「もう、こんな無茶するなんて…でも、二人共凄いわ。やっぱり二人に着いてきてもらって正解ね」
「やるじゃない二人共。貴女達はモンスターより、マジェコンヌより凄いわ。私が保証してあげる」
「あいちゃんもコンパさんも流石ですわ。友としても、女神としてもわたくしは誇りに思いますわ」
「危険だって分かってて、無茶だって分かっててもやるとはな…女神ながら、二人を見習いたいぜ」
「最高の援護だよ、ありがとう二人共。…二人の頑張りの為にも、私達は絶対勝つって約束するよ」
五人でマジェコンヌを追い払い、二人の前に並び立つ私達。
私達は私達だけで戦っている訳じゃない。コンパもアイエフも、異次元組の皆も、妹さん達の皆も、各教会の皆も、各国の皆も……皆が戦ってくれている。それぞれの場所で、それぞれの戦いを繰り広げている。だからこそ、私達は負ける訳にはいかないし…私達は、私達だけなんかじゃ、絶対に無い。
「…今一度言うよ、マジェコンヌ。…私達は、貴女を……倒すッ!」
そう、まだ戦いは終わっていない。
今回のパロディ解説
・スカル小隊
マクロスシリーズに登場する、伝統的な部隊名の事。勿論本作のスカル小隊は偶然、或いは名前を借りているだけであってバルキリーを運用していたりはしません。
・「〜〜ラステイションの技術者魂が、形になった〜〜」
機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORYに登場するライバルキャラ、アナベル・ガトーの名台詞の一つのパロディ。別にシアン達はMAを作った訳ではありませんよ?
・元ネタの機体
機動戦士ガンダムXに登場する、シャギア・フロストとオルバ・フロストの乗る各機体の事。これは兄弟自体元ネタがあるので、兄弟はパロディそのものと言えますね。
・「〜〜貴女が信じるホワイトハート様を信じる私を信じて下さい〜〜」
天元突破グレンラガンに登場する主人公の兄貴分、カミナの名台詞の一つのパロディ。○○が信じる云々は色々パターンがあるので、どれが元かは皆様のご想像次第です。