超次元ゲイムネプテューヌ Re;Birth1 Origins Alternative   作:シモツキ

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第九十七話 全ての心を込めて

戦闘で一体何が一番大切なのか。個々の質、全体としての物量、組織としての連携、入念周到な準備、適切且つ柔軟な戦術、戦うに足るだけの大義……大切なものは数多くあるし、どれが一番重要か、なんて決まってはいない。強いて言えば、それぞれが一番大切だと思ったものが一番重要なんだと思う。

でも、私は…だからこそ、私は--------心が一番大切だと思う。別に精神論や根性論を支持する訳ではないし、強い思いが力になる…と言いたい訳でもない。…女神として、後者の存在は否定しないけど。

心は、戦いの中で人を人たらしめる。心の無い人は、人と同じ構成で、人と同じ様に動き、人と同じ様に死ぬだけの、人の様に見える『物』でしかない。人によっては心が無くとも人は人、と言うのかもしれないし、あくまで私の持論なのだから、誰かがそう思うのは何も間違っていない。…けど、心の無い人は、自分自身を人だと思うのだろうか。心があるからこそ戦いに意思が、利益が、善悪が生まれるのではないだろうか。

これは難しい話じゃない。だって、皆心があって、心があるから何かを思って、何かを思うから何かをするんだから。戦闘だけじゃなく、森羅万象全てで心は必要になる。

だから……心と心のぶつかり合いは、戦いそのものだ。

 

 

 

 

「いつまでも翻弄されるばかりの私達では…無いッ!」

 

マジェコンヌの翼が織り成す、四方八方からのビームの網を掻い潜る私達。指の先、足の先、自身の翼の羽根一枚一枚に至るまで意識を集中させる事によってビームを紙一重で避け、僅かに開いた隙間を縫ってマジェコンヌへと突き進む。

私達は段々と、マジェコンヌの放つ弾幕に対応出来る様になってきていた。…否、それだけではない。現に私達はもう何度もマジェコンヌへと追い縋り、接近戦を仕掛けていた。

私達とマジェコンヌとの差は幾つかあるけど、その中に『情報』というものがあった。マジェコンヌは今の私の姿を知っているけど、私達はそうじゃない。私達は今のマジェコンヌの戦術パターンを知らないけど、マジェコンヌはそうじゃない。相手の事を知っていれば相手に適した戦い方を選べるし、相手の限界が分かっていれば精神的な余裕が生まれる。早い話が相手より多く情報を持っていれば、それこそ某月の聖杯戦争位有利になる訳だ。

だが、情報は戦闘の中でも集める事が出来る。そして一方だけ情報を有している場合、情報が集まれば集まる程アドバンテージは薄くなる。未だ私達は押されているけど、それでもある程度今のマジェコンヌの情報を得た事によって、一方的な戦いから劣勢ながらもまともな戦いにまで引き戻す事が出来ていた。

 

「…とはいえ劣勢は劣勢。もう一つか二つ戦力差を埋めるだけの要素が欲しいわね…!」

「最終決戦の場ですら地の文を読んでくるとは…初志貫徹だねネプテューヌ…!」

 

ビームの網を潜り抜ける中、距離の縮まった私とネプテューヌは言葉を交わす。些か内容はしょうもなかったけど…問題はそこじゃない。ここまで本作に付き合ってきてくれた人達なら分かる通り、突っ込む事はあっても今更メタ発言に対して細かく問い詰めたりはしない。

視線を混じらせ、タイミングを合わせた私は前進。当然網に自ら突っ込む形になるし、私を狙える位置にいる羽根は私の退路を塞ごうとビームの追撃をかけてくる。一瞬にして網から檻へと変貌する、闇色の光芒の束。

それを確認した私は……長剣を振るう。

 

「『天舞壱式・桜』ッ!」

 

素早く、鋭く長剣による乱舞を周囲へ放つ私。剣線に捕らえられたビームは次々と斬り払われ、弾かれ拡散した光芒が幻想的な吹雪の様に私の周囲を彩る。そして次の瞬間、私と入れ替わる様に躍り出たのはネプテューヌ。彼女は私の一瞬前まで居た場所…つまり、ビームの網の破けた場所で『32式エクスブレイド』を発動し、マジェコンヌへ向けて射出する。

私が邪魔となるビームを処理し、開けた空間を使ってネプテューヌが仕掛ける。これは先にベールとブランが行なった連携を参考に、遠隔攻撃からの近接格闘という手順を逆にした応用技だった。

ビームを斬り裂きながらマジェコンヌへと爆進するエクスブレイド。今度こそ…という願いをかけた私達の連携だったけど…マジェコンヌへと届く直前、彼女が杖から放った、羽根よりも数倍の出力と口径を持ったビームにより相殺され、失敗に終わってしまう。

それを見て歯噛みをする私達。その瞬間、ノワールが声を上げた。

 

「もう一度よ!ネプテューヌ、もう一度放ちなさいッ!」

「もう一度!?でも、普通に撃ったところで…」

「ノワールに策有りだよ、ネプテューヌ!」

 

再度前進し、数秒前と同じ様に壱式でもって周囲のビームを弾く私。ノワールがどんな意図を持っているのかは分からなかったけど…この状況において迷うのは得策ではない。そして攻撃担当だったネプテューヌと違い、取り敢えず攻撃を阻むビームを処理するという自分の役目は果たせていた私の方が、彼女よりも意識の切り替えが素早く済んでいた。

 

「何を考えているかは知らんが…させるものかッ!」

「いいや…」

「させてもらいますわッ!」

 

私とネプテューヌへと火力が集中したのを見たベールとブラン。二人は大きく旋回する事で網の外へと脱出し、必要最低限の動きだけで手にした槍と戦斧をマジェコンヌへと投擲する。

勿論渾身の一撃ならともかく出の速さ重視で行った攻撃が成功する筈もなく、槍と戦斧はマジェコンヌが杖から出力した刃で簡単に弾き返されてしまう。けど、ネプテューヌが意識を切り替え、その上でブレイドを撃つには十分な余裕だった。

一度目を再現する様に飛ぶブレイド。マジェコンヌも一度目同様相殺をしようと杖を掲げるが……それよりも前に、黒の流星が駆け抜ける。

 

『な……ッ!?』

「……っ…『トルネードソード』ッ!」

 

少し前のブランの様に、ブレイドの通った後へ滑り込むノワール。紋章から柄が伸び続ける『シレットスピアー』と違い、ビームが入り込めない時間が少ないにも関わらずブレイドの後を無理矢理追った事で数条のビームがノワールの身体を撃つものの、ノワールは止まる事無く飛び続け、ブレイドとマジェコンヌが衝突する寸前にブレイドへと追い付き…触れる。

そして激突するエクスブレイドとマジェコンヌの光芒。先程と同じ様に、高エネルギー同士の激突により爆発が生まれ…次の瞬間、煙を突っ切る様に現れたエクスブレイドがマジェコンヌへと襲いかかる。

ギリギリで反応するマジェコンヌ。そのおかげで胴体が真っ二つになる事こそ無かったものの、同時に回避もしきれず脇腹を裂かれる。そしてそれは、今まで無傷だったマジェコンヌへ通った、初のダメージでもあった。

 

「ぐぅぅ…相殺、しきれなかっただと…?……貴様の仕業か、ノワール…」

「えぇ、勿論。さしずめ、擬似リアクティブアーマーってところかしら?」

 

傷口から滴れる血をまるで気にする事無く笑みを浮かべるノワール。そう、彼女はブレイドに触れた時に、自身のシェアエナジーをブレイドの刀身に纏わせていた。

恐らくは本来自分の大剣に纏わせる技であろう『トルネードソード』。それをブレイドに纏わせ、更にビームと激突する瞬間に『自ら』爆発させる事でビームを相殺し返し、内側のブレイドを守っていたのだった。

気付けば空中を舞っていた羽根も翼へと戻っている。途絶えた弾幕に傷を負ったマジェコンヌ。それ即ち、私達にとっての好機だった。

 

「さぁ、いくわよ皆…!」

 

今度は自身の大剣にシェアエナジーを纏わせ突撃するノワール。対するマジェコンヌは飛ぶ事で回避し、追撃は許さないとばかりに杖と空に展開した紋章からビームを叩き込む。するとそのタイミングでブランが両者の間に割って入って手を掲げ…ビームを『打ち消す』。

 

「な…に……ッ!?」

「はっ…魔法の国の女神を、舐めるんじゃねぇッ!」

 

そのままマジェコンヌへと飛びかかるブラン。戦斧は未回収だった為にリーチの問題で軽くあしらわれてしまったものの、ビームの打ち消しは彼女を明らかに狼狽させていた。然程魔法には長けていない…というか、魔法の学習をしていない私には一体どういう原理で魔法が起こるのかはよく分からなかったけど(ルウィー出身じゃないコンパやアイエフも一応魔法が使えるから、学習云々じゃないのかもしれない)、魔法を防御するだとか相殺するだとかの力比べではなく、魔法そのものを打ち消すのがどれだけ高難度なのかという事はよく分かる。マジェコンヌはきっと私以上に魔法を知り、打ち消しの高度さが分かっているからこそ、あからさまに狼狽したのだろう。

そして、その様子を見た私とネプテューヌは同時に突っ込む。ネプテューヌとノワールが女神として初めて共闘した時の様なシザースを描きながら肉薄し…これまたあの時の様に左右に分かれる。

ただ一つ、あの時と違うとすれば……

 

「後ろが…ガラ空きですわッ!」

 

実際に攻撃を行うのが、私達ではなく後ろから迫っていたベールだという事。狼狽した所にさも大仰な攻撃を仕掛ける…と見せかけた陽動を行い、背後への注意を怠らせる。それは遠隔操作端末があるとはいえ、結局は一人であるマジェコンヌには出来ない、複数の思考を織り交ぜた連携だった。

ベールの攻撃も通った事を確認した私達はマジェコンヌから距離を取る。出来るならばマジェコンヌに体勢を立て直す隙を与えず仕掛け続けたいところだったけど…それは出来ない。何故なら……

 

「あー…不味い、ちょっと血が流れ過ぎたかも…」

「大丈夫よノワール、わたしもさっきから足に違和感あるもの」

「それのどこが大丈夫何ですの…?」

 

動き回り、攻撃し続けられる程の余裕が私達には無くなっていたからだった。オールレンジ攻撃は勿論、本体からの攻撃も中々強力で、致命傷こそないものの私達はかなりの怪我を負っていた。かくいう私も……

 

「…なぁイリゼ、ちょっと確認良いか?」

「…確認?」

「あ、それならわたしも…というか皆思ってるんじゃないかしら?」

 

皆が私へと視線を集めてくる。マジェコンヌが仕掛けてこないのは、多分私達にとって一番厄介な羽根のチャージに集中する為。私達も私達で息を整えられるし、これは互いに利のある状況になっていた。

 

「…何でも答えるよ、何が聞きたいの?」

「さっき言ってた事よ。このまま戦えば、勝つにしろ負けるにしろ、もっと怪我を負う事になるわ。……イリゼはそれで、後悔しない?」

 

私は戦闘前、皆に言っていた。皆が死ぬのも、傷付くのも嫌だと。あの時は皆の思いに…ネプテューヌの『お願い』に応える為、マジェコンヌと戦うと宣言したけど…別に私自身が意見を曲げた訳ではない。そして、死ぬのはともかく傷付くのはどう戦っても避けられない事は、私もよく分かっていた。

私はゆっくりと息を吐き、今の私の気持ちを…口にする。

 

「後悔はするよ。もっと良い手があったんじゃないかって終わってから考えもすると思う。…けど、今は…後悔をしてでも、皆と戦いたい、皆とゲイムギョウ界を守りたいと思ってる。これは、断じて妥協した訳じゃないよ」

「そう…なら、良かったわ」

「うん。だからまぁ…怪我に関しては、マリンフォード頂上決戦における白ひげ位ならOK!」

『…それ致死量の怪我じゃ……?』

 

威勢の良い事を言おうとしたつもりが、四女神全員に突っ込まれてしまった。というかこんなクライマックスも良いところの戦闘でパロってしまった。……これが私本人の責任ではなく、長らくこのパーティーにいたせいだと思いたい。

自爆とはいえ話の腰を折られた私はこほん、と咳払いをして続ける。

 

「怪我については…うん、致死量にさえならなければ良いよ。…でも、死ぬのは許さないから。もし命を犠牲にでもしようものなら、それが絶好のチャンスでも私は止める。殴ってでも止めるから。それは、誰が何と言おうと譲らない」

「名誉の戦死を許さないとは…優しいを超えてただの我が儘ですわね」

「守護女神として、自分の命を最優先にするのはどうなんだろうな」

「…でもまぁ、良いんじゃない?ぶっちゃけた話私は…というか皆、死にたくはないでしょうし」

「なら、イリゼの我が儘に付き合わない理由は無いわね。…それに、わたしの願う最高のハッピーエンドも、イリゼの我が儘と大差無いし」

 

にぃ、と子供っぽい笑顔を浮かべる皆。皆が行き過ぎた自己犠牲の精神を持ち合わせていなかった事に、私は心から安心する。

…でも、本当は、この言葉は皆に向けていた訳じゃない。半分は確かに皆に向けていたけど…もう半分は、自分自身に向けてだった。

少しずつ、長剣が…身体が重くなっていく様な感覚がある。最初これは怪我のせいだと思ってたけど…違う。何故分かるのか…までは説明出来ないけど、これは例のシェア配給の問題だと気付いていた。だからこそ、皆に今一度死んじゃ駄目だと伝える事で、戦闘中に女神化を切らせる様な下手を打たない様、暗に自分にも言い聞かせていた。私もノワールの言う通り死にたくはないし…皆に、私の犠牲の上での世界なんていう重荷は、絶対に背負わせたくないから。

 

 

 

 

「はぁ…はぁ……っ…!」

 

息を切らし、汗を落とし、それでも尚全力でもってぶつかる。何度も何度も激突し、その度互いに血を流し合った私達の戦いは…佳境へと、移っていた。

 

「くっ…どういう事だ…どうなっているのだ、貴様等は……」

 

軌道を読まれ始めた事と、疲労により動きに精細さが欠けた事とが重なって三分の一程数の減った羽根を自分の周りに展開したマジェコンヌは言う。悪意のシェアの化身とも言える存在になったせいか、全体的に感情が希薄になった様な印象のあった彼女だったけど…今は、余裕を失った様子が表情にありありと出ていた。

でも、それは私達も同じ。少しでも油断すれば、僅かにでも勝ちを…思いを諦めようものなら簡単にやられてしまう。最早この場に優勢も劣勢もない。マジェコンヌも含め私達は、互いにギリギリの所で踏み止まっている状況だった。

だからこそ、ここから最後の攻防が始まる。

 

「どうもこうも…私達も倒れる訳にはいかないって事だよ…!」

「だとしてもだ!貴様等がシェアの本質を…奇跡の力を自在に操れるなら分かる、だが貴様等はその段階にまで到達してはいないだろう!そんな貴様等が…ただの女神でしかない貴様等が、何故…!」

「そんなの……繋がる心が、わたし達の力だからよッ!」

 

地面を踏み締め、翼を大きく広げてネプテューヌが飛ぶ。マジェコンヌも杖を掲げ、刃を出力して正面から迎え撃つ。

 

「繋がる心?ふん、それが答えになるものか…!例えそうだとしても、ただシェアの量が増えるだけ……」

「シェアも信仰も関係ない!繋がる事自体が…思いを通わせ、力を合わせる事自体が力に、強さになるのよ!その力があるからわたし達は戦える、戦い続けられる!」

 

斬り結ぶネプテューヌとマジェコンヌ。一瞬のせめぎ合いの後、淡い紫色の光を帯びたネプテューヌの大太刀は刃もろとも杖を両断する。ネプテューヌの言う通りだ。女神の力の元はシェアだとか、思われれば思われる程シェアエナジーの量は増えるだとか、そういう問題ではない。一緒に居たい、共に頑張りたい、その人の様になりたい、守りたい、笑い合いたい、愛したい…未来を、共に描きたい。そういう気持ちが、私達の…人の原動力になる。どんなに辛い時でも、どんな逆境でも、諦めない勇気になる。思いと思いは混ざり合い、他の人へと繋がり、それが新たな思いに、絆になる。そしてそれが…私達に、力をくれる。

 

「何が…何が思いだ!人は何かを恐れ、見下し、軽蔑し、憎む!それが人だ!それが世界の理だ!」

「えぇ、悪意の感情が人にないとは言いませんわ。ですが…それに負けないだけの善意の感情が、善意そのものも同時に持ち合わせているのも人なのですわッ!」

 

羽根の一斉掃射をネプテューヌに敢行しようとするマジェコンヌ。しかし羽根を操作するよりも先にベールが紋章を展開。そこから現れた巨大な槍は緑の粒子となり、無数の槍へと姿を変えて次々と羽根を刺し貫く。

力のままにマジェコンヌを押し飛ばすネプテューヌ。マジェコンヌも負けじと空中で姿勢を立て直し、両翼から二条の闇色の光芒を放つ。

 

「如何に善意があろうと、悪意が消える事など無い!現に私が、ギョウカイ墓場が、負のシェアが存在する!貴様等が自らの考えを正しいと言うのなら、これを否定してみろ!」

「否定なんかするかよ、善意も悪意もあるのが人間だ。だからこそ、世が荒れる事もあるし人自身が生み出した悪意で傷付く事もある…だが、それを正し平和にするのもやっぱり人なんだよ!わたし達が守る、世界なんだよッ!」

 

一条の、されどマジェコンヌのものより数倍強い輝きを持つ白の光芒が闇色の光芒と激突する。その主であるブランが、両手で持つ戦斧に力を込めた瞬間白の光芒は更に勢いを増し、闇色の光芒を文字通り塗り潰す。

 

「ならば、何故貴様等が戦う!世を荒らすのも正すのも人だと言うなら、貴様等は何なのだ!貴様等は人では無かろうに!所詮は思いという曖昧なものから生まれただけの存在だろうに!」

「だから何だってのよ!思いから生まれたからこそ、皆に思われているからこそ私達は戦うのよ!今あんたと戦ってるのは私達だけじゃない、私達を思う人全てとよ!」

 

マジェコンヌの翼が可変し、そこから次々と光弾が放たれる。それまでマジェコンヌが一度も見せなかった、謂わば隠し技。だが、ノワールはその光弾の雨の中を猛進する。黒の軌跡を残す姿はまさに縦横無尽、華麗とも言える程の動きで突破し、マジェコンヌの両翼を根元から斬り落とす。

 

「黙れ…黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れッ!貴様等が何と言おうと、私の野望は…願いの果てにこの身が闇へと染まったあの日からの思いは、紛れもなく真実だ!貴様等の言うものとは対極の、悪意そのものだッ!自分達の思いを貫くと言うのならば…私を倒してみせろッ!」

「……そのつもりだよ、マジェコンヌ」

 

私はマジェコンヌを見据える。マジェコンヌは両手を広げ、闇色の柱から負のシェアを己が身へと収束させる。

マジェコンヌの言葉は、どこか彼女の奥から響く叫びの様にも聞こえた。彼女は、きっとこの一連の出来事の…何年も前から続く出来事の、一番最初の被害者なのかもしれない。だからと言ってマジェコンヌの悪行が許される訳ではないし、マジェコンヌのしてきた事が何か変わる訳でもない。…それでも、被害者なのかもしれないという事もまた、何があろうと変わらない。

だから、私はマジェコンヌを討つ。私の思いも、皆の思いも、マジェコンヌの思いも込めて、マジェコンヌを討つ。

 

「これが、私達の…私達が今まで出会ってきた人の、触れ合ってきた人の、未来を望む全ての人の…思いの一撃だッ!」

 

私はそれまでずっと溜め続けていた、全身と周囲に充填し続けていたシェアエナジーを全て解放する。既にシェア配給がギリギリの状態であるにも関わらず、引っ張り出せるだけのシェアエナジー全てを引き出して操ろうなんて真似は、もしこの力を大事だと思っているならするべきではないという事は分かっている。イストワールさんがいたならば、きっとすぐにでも止めにくると思う。でも、こうしなければいけないと思った。皆の思いに応えたいならば、応えようと思うならば、未熟な私はこれ位の事をしなきゃ…全身全霊、全ての力を一撃に込める位の事をしなければならないと、そう感じた。もう、覚悟は出来ている。

解放されたシェアが私の身体を包み、光の翼と帯となる。その光の衣を纏い、私は駆ける。

 

「ーーーーっ!『フルティミックハーツ』ッ!」

 

一閃。振り抜かれた長剣はマジェコンヌを断ち斬り、私の纏う善意のシェアがマジェコンヌの纏う悪意のシェアを吹き飛ばし--------戦いは、決着した。




今回のパロディ解説

・マリンフォード頂上決戦、白ひげ
ONE PIECEにおける出来事の名前とキャラの事。白ひげの死因は致死量の怪我+元々身体が弱ってたから、ですが…弱ってなくてもあれだけ怪我すれば普通死にますよね。

・「〜〜繋がる心が、わたし達の力だからよッ!」
キングダムハーツシリーズの主人公の一人、ソラとヴェントゥスの名台詞の一つのパロディ。女神はほんとに繋がる心が力になる訳ですから、ある意味ぴったりですね。
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