超次元ゲイムネプテューヌ Re;Birth1 Origins Alternative 作:シモツキ
禍々しき闇色の柱が、負のシェアの柱が崩壊、消滅していく。天界で、四大陸で、中心部付近で…ゲイムギョウ界全土で見られるそれは、どこか幻想的で…そして、激しい戦闘の終わりを告げるものだった。
「皆〜生きてる〜…?」
どさっ、という音と共にファルコムが声を上げる。スカートではないとはいえ、両足を前に大きく投げ出して座る姿は女の子としてどうなのだろう、という感想を禁じ得ないものだったが…それも仕方のない話。それは姿こそ違えど皆一様にしてぐったりとしている事からも言える事だった。
「へとへとだけど…生きてるよぉ〜」
「こんな激しい戦闘をしたのは初めて…では無いけど、かなり久しぶりだよ…」
ファルコムの言葉に対し、鉄拳とサイバーコネクトツーが真っ先に返答をし、他の面子も似た様な反応を返す。
ネプテューヌ達に道中出会い仲間となった彼女達…通称別次元組のメンバーが請け負っていたのは、ギョウカイ墓場から続々と現れる汚染モンスターの撃破…所謂最初の防衛ライン構築だった。時間が経つにつれギョウカイ墓場以外に生息するモンスターも汚染化していったが、それでも一番の発生源はここであり、即ち下界においては最も危険度の高い戦線であった。
「流石に死ぬかと思ったな。過去にメールを送り、戦局を少しでも良くするべきだったか…?」
「それが出来るならマジでやってくれにゅ。これは相当な見返りを求めてもバチが当たらないレベルだにゅ」
「あはは、ネプテューヌちゃん達四女神様は国のトップだし、報酬には期待出来るんじゃない?」
息が整ってきたのか、普段通りの雑談を始める彼女達。本丸を叩くネプテューヌ達や突破される事が即、街や一般国民の被害へと繋がる各国での戦線に比べると、責任という意味での負担は軽かった彼女達だが、戦闘自体はまともな休息も取れずに戦い続けるというとんでもなく過酷なもの。それを死者ゼロで切り抜け、戦闘終了後すぐに雑談が出来る彼女達は、ネプテューヌ達女神とは別の意味で人の域を大きく超えていた。
「ネプテューヌさん達、か…天界に行った皆は大丈夫かな?」
「きっと大丈夫だよ。女神の皆はあたし達よりも強い訳だし」
「それに、汚染モンスターの発生が止まり柱も消えつつあるのが無事に勝った事の証明だろう」
「うんうん。それじゃあ、わたし達も戻ってお出迎えの準備しなきゃだね」
「やっと戦闘が終了したばかりというのに、皆元気な事だにゅ」
「わたしとしては、一番ちっちゃいブロッコリーちゃんが疲労の面でわたし達と然程変わらないのが驚きだけどね……」
鉄拳の言葉に『あー』と同意を示すメンバー達。それに軽く憤慨の様子を見せるブロッコリー。その後彼女達は立ち、その場を後にする。
それぞれの理由で、それぞれの旅をする彼女達。ぶっ飛んだ事態も、命懸けの戦闘も彼女達にとっては日常に過ぎない。そして、今日の様に皆で仲良く帰る事もまた、彼女達の日常だった。
いーすんさんが魔法で足止めした汚染モンスターに肉薄。迎撃を受ける前に素早く刺突しそのまま一気に斬り裂く事で両断するわたし。汚染モンスターは呻き声を上げながら消滅する。そしてそれきり、戦闘の音や汚染モンスターの唸り声は聞こえてこなかった。
「…これって、もしかして……」
「はい、終わったみたいですね(・ω・`)」
ずっとわたしと近くの人の援護をしていてくれたいーすんさんが空を見上げている。それにつられて見た先には、どんどんと消えていく負のシェアの柱があった。
「じゃあ…お姉ちゃん達が勝ったって事ですよね?そうですよね!?」
「そ、そうなりますね。…初めての戦闘は、どうでしたか?(・・?)」
「それは…大変でした。でも、皆さんがいてくれたから勝てましたっ!」
いーすんさんの言葉に、素直に返すわたし。細かい事を言うと初めての戦闘ではないけど…別にいいよね。相手に気付かれる事もなく一撃で終わったアレを戦闘って呼んでいいのか微妙だし。
するといーすんさんはちょっと微笑みながら、こう言ってきた。
「ふふっ。それは、一緒に戦った皆さんに言うべきだと思いますよ(⌒▽⌒)」
そう言われたわたしは、周りを見回す。そこに居るのは、国を守ろうと、お姉ちゃんの頼みに応えようと戦ってくれた数々の人達。皆ボロボロで、中には大事な仲間を失ってしまった人がいるのかもしれない。
だけど…だからこそ、いーすんさんの言う通りだと思った。全員が大団円を迎えられる訳じゃないのかもしれないけど、女神としてわたしは、お悔やみよりも先に勝利を、笑顔を皆に見せなきゃいけないんだと思う。…お姉ちゃんは、いつもこうやって考えていたのかな。
「…え、えっと……」
「ネプギアさん、多分ここだと聞こえる人は極一部だと思いますよ?(^_^;)」
「あ…そ、そうですね…」
頬をかきながらわたしは飛翔。出来るだけ多くの人が見える様な位置に飛んでから深呼吸。何人かがわたしの姿に気付く中、わたしは再度大きく息を吸って…声を上げる。
「あ、あのっ!汚染モンスターが襲ってこなくなったのは、お姉ちゃん達が勝ったからだと思います!それで…ここでの勝利は、皆さんのおかげです!皆さんの勝利です!だから、えっと……あ、ありがとうございましたっ!」
空中で頭を下げるわたし。すると数秒後どこかから、「こっちからはお尻しか見えないよー!」と言う声が聞こえ、それで二重に恥ずかしくなったわたしは慌てて色んな方向へ頭を下げ始める。
せっかくの言葉は所々詰まっちゃったし、その後は笑いも溢れた事もあって本当に恥ずかしい思いをしたわたし。でも、疲れ切った様子の皆さんが笑顔になってくれた事は良かったし、わたしへの声の中で「やっぱり姉妹だけあってネプテューヌ様と似てますね」という声があったのは凄く嬉しかった。
お姉ちゃん、わたしも国民の皆さんも頑張ったよ。ちゃんとお姉ちゃん達の帰ってくる場所守ったよ。だから、安心して帰って来てね。
負のシェアの柱の崩壊は、喜ばしい筈だった。いや、実際かなり喜ばしい。国の危機が去った事に喜べない様じゃ女神失格だもの。
でも、私は…私達はまだ素直に喜べない。だって、私達の戦いはまだ終わってないんだから。
「ぐっ…うぅ…お二人は、まだなんですの…?」
「くそっ…速くしてくれねぇと、手が焼き切れかねねぇ…!」
額からは脂汗が垂れ、マジェコンヌとの戦闘で負った傷は身体全体への負荷で再度血を流し始め、突っ込んでいる前腕どころか二の腕のプロセッサまでもが、負のシェアとの反発作用で消滅しつつある。それでも、柱の崩壊は止まらない。女神三人がかりとはいえ、この膨大な量のシェアエナジーを外部から押さえきれるなんて端から思ってはいなかったけど、分かっていても焦る気持ちは止められなかった。
それに、問題はそれだけじゃない。
「あぁっ、もう!もう一難は一難去った後に来なさいよ!」
「モンスターさんにも空気を読んでほしいですぅ!」
先の二度の戦闘と柱の崩壊は余程影響力があったのか、断続的にモンスターが襲ってくる様になってしまった。対応は柱で手一杯な私達に変わってコンパとアイエフがやってくれているけど…私達が三方に分かれてしまったせいで二人は走り回らなくてはならなくなり、実質モンスター退治とシャトルランを同時にやっている様な形になってしまっていた。訳ありとはいえ、三人の女神が二人の人間に守られるというのは情けなくてしょうがない。
「迷惑、かけるわね……!」
「ノワールさん達も頑張っているんだから、これ位当然ですっ!」
「それより、柱の崩壊を少しでも遅らせて頂戴!」
「えぇ、分かってるわ…ベール、ブラン、まだバテてないでしょうね?」
「はっ、聞くまでもねぇよ。例えこの腕がぺっきり折れようとも、二人がマジェコンヌを連れて戻ってくるまで耐えてやるぜ!」
「ここでわたくし達が止めてしまっては、戻ってくると言った二人の言葉が嘘になってしまいますわ。だから、二人の為にもまだ諦めませんわ…!」
唯一幸いである事を挙げるとすれば、それは全員の思いが一つになっている事だった。ネプテューヌは心が繋がる事自体が力になる、と言っていたけどそれは本当にその通りで、どんなにギリギリの状態だったとしても私達は持ち堪える事が出来ていた。
けど、それがいつまでも続く訳ではない。私達も二人も体力が無限にある訳じゃないし、私達が出来るのはあくまで崩壊を遅らせるだけだから、いつかは完全に崩壊して消滅してしまう。奇跡が起きれば話は別で、シェアは奇跡の力ではあるけれど…奇跡を自在に操れる程の技量はまだ誰も持っていないから、それをアテにする事も出来ない。
(だから…さっさと戻って来なさいよ…!)
段々と痺れる様な感覚になっていく手に力を込める。満身創痍の身体にはキツい負荷だけど、この負荷を感じられている間はまだタイムリミットではないという事。故にネプテューヌ達が戻ってくる前にこの感覚が無くなる事が一番怖かった。
でも、不安ではあったけど…同時に、大丈夫だとも思えた。これもきっと…いや、これこそが心の繋がりの、真の力なのだろう。私は皆を信じてるから。皆も私を信じてくれているから。この思いがある限り、きっと大丈夫。
そして、遂にその時が来る。待ち焦がれていた瞬間が。信じていた瞬間が。ネプテューヌが、イリゼと共にマジェコンヌを連れて帰ってくる瞬間が--------
『…………え?』
その瞬間、私は……ネプテューヌに、激突された。
右手でイリゼ、左手でマジェコンヌを抱えながら快適とは程遠い道のりを切り抜けるのは、相当な疲労をするものだった。
だからこそ、柱の中から脱出した時…皆のいる場所に戻れた時は、本当に本当に嬉しかった。
「……っ…何とか、帰ってこれ----」
「ねぷねぷっ!」
「ねぷ子っ!」
「きゃあっ!?」
外へ出られた事に安堵し、二人を降ろした瞬間にこんぱとあいちゃんに抱き付かれる。気が抜けていた事とくたくただった事が噛み合ってつい、わたしは悲鳴を上げてしまった。
一瞬の空白の後、「随分と可愛い声が……」みたいな顔をするこんぱとあいちゃん。途端にわたしは恥ずかしくなった。
「う、うぅ……」
「ねぷねぷ顔赤くなってるですぅ」
「女神化しててもたまにねぷ子は可愛らしくなるわよね」
「も、もう!二人共止めて頂戴!」
ちょっと離れて両側からわたしの頬をつついてくる二人。ぜ、前話では格好良い主人公的登場をしたのに次の話でこの扱いなんてあんまりよ!っていうかわたし女神よ!?
と、言おうとしたわたしを遮ったのはベールとブランだった。
「ネプテューヌはほんとにいつも元気ですわね…」
「わたし達に少し分けてほしい位だぜ…」
「ベール、ブラン…どうしたのよ、その格好は…」
「誰の為にこうなったと思ってやがる…」
「というか、それは貴女もではなくて?」
そう言われて自分の身体を見るわたし。…半裸だった。具体的に言うと、プロセッサが7〜8割消えていた。コスチュームブレイク状態だった。……男の人がパーティーメンバーにいなくて本当に良かった…。
努めて気にしない様にしながら、皆にも首から下はあまり見ない様にしてもらいながら、突入してからの話を聞くわたし。
「そうだったの…皆ありがとう。皆が居なかったらわたし達は帰って来られなかったわ」
「ねぷねぷ達の為ならお安い御用です」
「だな、それにネプテューヌ達が帰って来ないよりはずっとマシだ」
「そう言ってくれるとありがたいわ。…ところで、ノワールは…?」
先程から気になっていた事を口にするわたし。話の中ではノワールも出てきたし、何よりわたしが脱出した瞬間、わたしはノワールの姿を目にしていた。なのにノワールの姿が無いってのはどういう事かしら…。
と、思ったその時、
「いい加減…気付きなさいよ馬鹿ぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
真下から怒鳴り声が聞こえた。まさかと思って下を見たら…ノワールが居た。
「あ、ノワール…もしやセルフで三作目やアニメ版のネタを披露してくれたの?」
「な訳ないでしょうが!なんで私がここにいるか分かってるの!?」
「なんでノワールがわたしの下にいるか…?……まさかローアングルから肌色成分が増えたわたしを眺めたかったの!?」
「ぶっとばすわよ!?」
突入前が突入前なせいでちょっと気恥ずかしかった事と連続で弄られていた事があって、ついボケをかましてしまうわたし。…さっきからついが多いわね、わたし。
とはいえこのままボケているとほんとにぶっとばされ兼ねないのでノワールから離れ…ると見せかけて、軽く踏んでつついてみたりするわたし。ノワールがキレるギリギリを見計ろうとしていると……
「ふっ…はははははっ!お前達は正しく世界を救った勇者だというのに…その風格は全くないな。…だが、楽しそうで何よりだ」
「…マジェコンヌ……」
わたしの隣でずっと黙っていたマジェコンヌが、もう耐えられないと言わんばかりに笑い始めた(それに驚いている間にわたしは無理矢理ノワールに降ろされた)。初めはそれに呆気にとられるわたし達だったけど…彼女につられる様にわたし達も笑みを溢した。
その時、ノワール達が崩壊を抑えていた柱が中程から大きく折れ、あっという間に消えていった。あれだけ巨体を誇った柱にしてはえらく呆気ない終わり方だったけど…それまでノワール達が強引に柱の原型を留めさせていたのだと考えれば、それも無理の無い話だった。
「…まさか、本当にマジェコンヌまでも救って戻ってくるとは…脱帽ですわ」
「それは私もだ。改めて感謝を言おう、ネプテューヌ」
「わたしはイリゼの後を追っただけよ。だからそれはイリゼに言ってあげて」
「っとそうだ、イリゼよイリゼ。どうしたのよイリゼは」
あいちゃんがそう言ってイリゼを…ついさっきまでノワールが倒れてた隣で横になっているイリゼの方を見る。わたしやマジェコンヌと違い、一言も喋らないイリゼ。その様子を皆が心配するのは目に見えていたので、わたしは先んじて説明を行う。
「大丈夫、イリゼは寝てるだけよ。柱の中で、さっきの戦闘にも負けず劣らずの事してたみたいだから」
「あぁ、彼女は…いや、詳しい事はイリゼが起きてから直接本人に訊いてほしい。彼女にまつわる事を、私がべらべらと喋る訳にはいかないからな」
少しだけ節目になるマジェコンヌ。それがどの様な意味を含んでいるのかはよく分からなかったけど…マジェコンヌの言う事はその通りだし、わたし達自身まったりゆったり出来る程身体的にも精神的にも余裕は無かった。…わたしの場合は見た目的にも。
「じゃ、まずは下界に帰ろうぜ。国の事も気になるしな」
「そうですね。ここじゃ皆さんのお手当てもまともに出来ないです」
「イリゼもここじゃなくてちゃんとした所に寝かせてあげたいものね。それじゃ下界に……あ、あれ…?」
「ネプテューヌ?どうしたんです…あ、あら…?」
ぱたり、とその場に倒れてしまうわたし。それを心配したベールも、ノワールもブランも次々と倒れ、最後にはマジェコンヌも倒れてしまう。それと同時に女神化も解け、それに動揺するわたし達。
「え、え?どういう事よこれって…まさか負のシェアが何かを…?」
「いいや、違うだろうな。これは単に……」
「大怪我だからでしょ!あんだけ戦って、あんなに無茶したら倒れるに決まってるわよ!コンパ、ここで出来る限りの手当てしないと下界に帰れないわよこれは」
「そ、そうですね…皆さん傷が見える様に横になって下さいです」
「そう言われても…疲れもあって動く事もままならないわ…」
「なら仕方ない…転がしますからちょっと我慢して下さいね」
イリゼとマジェコンヌ含め、総勢六人が転がされる。女神と一連の戦いの黒幕が(一応)普通の人間二人に転がされるというのはとんでもなくシュールで、皆でそろって苦笑いをしてしまった。そして、わたし達が下界へと帰る事が出来たのは、それから数時間経ってからの事だった。……凱旋の時まで締まりがないわたし達って、一体何なのかしら…。
白とも黄色ともつかない、広い広い光の空間。いつの間にか、私は一人でそこにいた。…いや、違う。私一人ではない。
「…よく頑張ってくれた、
朧げだった目の前の人影が、その声と共にはっきりと見える様になる。女神化した時の私と瓜二つの…でも、どこか違う様な雰囲気を纏う女性。その姿を、その声を見紛う筈がない。彼女は……
「…久しぶり、ですね。
原初の女神・イリゼ。複製体の私ではない、本物の私。同時に私の産みの親でもある…数少ない、私が目覚める前からの私の関係者。その彼女が、今は私の目の前にいた。
「…前も思ったが、不思議な事をするものだな、君は」
「不思議な事…ですか?」
「その敬語だ。君も私も同じ存在。自分自身に敬語というのも変ではないだろうか?」
「そう言われると確かに…じゃあ、敬語じゃない方が良いかな?」
「するかしないかは君の自由だが、敬語でない方が自然ではあると思うな」
そう言いつつも、もう一人の私はまるで親の様な微笑みを私に投げかけていた。その表情を見るだけで私はもう一人の私との繋がりを感じられて嬉しかったけど…自分自身に親の様な顔するのも不自然なんじゃないのかな、という疑問が頭から離れなかった。
それと同時に私は一つの事を思い出す。私は確か、柱の中でネプテューヌの姿を見た後、気が抜けてそのまま気を失ってしまった筈。なのに周りにはネプテューヌもマジェコンヌもおらず、代わりにもう一人の私と自分の知らない場所にいる。…って、あれ?じゃあまさか……
「私死んだの!?やっぱ結局死んだの!?」
「落ち着けもう一人の私。確かに君は気を失ってはいるが、まだ死んではいない。それは私が保障しよう」
「そ、そうなんだ…良かった、これで死んでたら更にショック死する所だったよ……」
ほっとして胸を撫で下ろす私。だとすれば、今私は夢の世界かそれに近い世界にいるのかな?だとすればもう一人の私が居るのも納得出来るけど。
「…やはり、君に託して正解だった。私は未来を信じて、良かった…」
「…私一人の力では無いよ。それに…私はもう、女神の力は失っちゃったから」
「それでも、君は自分の大切なものを守る事が出来た。それに、負のシェアに…負の思いに希望を見せる事が出来た。…私はそんな君を、誇りに思うよ」
「
優しい人だ、と思った。まだもう一人の私とは数度しか話した事はないけれど、彼女が優しい事は確信出来た。いっそ狂っているとも思える程、優しい人。それがきっと、本物のオリジンハートなんだと思う。そして、私こそもう一人の私がそんな人である事を、誇りに思う。
「……君はまだ女神だ。例え今は女神化は出来ずとも、君は女神だ」
「……どういう、事?」
「言葉通りの意味だ。…さて、そろそろ私は行くとしよう」
そう言うと同時に、光の空間が少しずつ消え始める。きっと、この空間が完全に消えた時、私は目が醒めるのだと思う。それは別に嫌じゃなかったけど…一つだけ、どうしても訊きたい事があったから、一歩近付いて声をかける。
「待って。…もし、私が…貴女と一緒に行きたい、って言ったらどうする?」
「……勿論、喜んで受け入れるさ。君は私自身であり、同時に私の大切な家族だ。君が来てくれるのなら、私も嬉しい。…だが、君には帰る場所があるのだろう?」
「……うん。皆の居る場所、そこが私の帰る場所だから」
安心した様に私が笑みを浮かべると、もう一人の私も同じ様な笑みを浮かべた。
私へと近付き、優しく私を抱き締めてくれるもう一人の私。
「…私はいつでも君を見守っている。もし私に会いたくなれば、その時はまたあの場所に来ると良い」
「分かった。これからも頑張るよ、期待しててね」
「あぁ。では、また…ばいばい
「うん。またね、
最後に女神化を解き、私に笑顔を見せて消えるもう一人のイリゼ。その顔に笑顔を返した後、私もその空間と共に消える。消えて、そして帰る。--------皆の待つ、私の居場所へ。
--------声が聞こえる。言葉の内容はよく分からないが、自分に対してかけられている言葉だという事は分かる。
--------揺れを感じる。どの様な形でなのかはよく分からないが、自分を動かし、移動させているのだという事は分かる。
----------------では、自分とは……誰?
----------------いつか、そう思った事があった。でも、今は違う。たくさんの事を知り、多くのものを得た今の私は、自信を持って言える。--------私は、イリゼだ。
うっすらと開いた目に移ったのは、皆の姿。私の大切な、私の大好きな、皆の姿。
私はきっと、これからもこの皆と…そして、いつか出会う新たな友と、共に歩むのだと思う。時には大変な事も、辛い事もあるだろう。でも、私は確信している。私の未来には……絶対に、皆と笑い合う姿があると。
はっきりと私に聞こえる声で、私が起きた事に気付いた一人が言った。それに続く様に、皆が私にそう言った。だから、私は言葉を返す。帰って来た居場所で言うべき、最初の言葉を。
そして、私は……もう一人の原初の女神は、原初の女神が産み出した可能性は、歩み続ける。
--------お帰り。
--------ただいま。
今回のパロディ解説
・「〜〜過去にメールを送り〜〜」
シュタインズゲートに登場するガジェットの一つの機能であり、重要な要素の事。さて、どこの段階で何を伝えるのが、一番未来をよく出来るのでしょうね。
・「〜〜例えこの腕がぺっきり折れようとも〜〜」
デュエルマスターズシリーズの二代目主人公、切札勝太の名台詞の一つのパロディ。別に柱から切り札を引き出せる訳ではありません。当然柱はデッキではないですよ。
・コスチュームブレイク
原作のスピンオフの一つ、超次元アクション ネプテューヌUにおける要素の一つ。挿絵があれば、女神全員が肌色成分増し増しのシーンだったでしょう。…見たいなぁ。
・三作目、アニメ版
原作シリーズ及びそのアニメ版であるV、Re:Berth3、THE ANIMATIONの事。えぇはい、ノワールがネプテューヌに潰されるのはお約束ですね。やれて良かったです。