超次元ゲイムネプテューヌ Re;Birth1 Origins Alternative 作:シモツキ
「おぉー!これが試作刀アルマッス…!」
「これがって今知ったばかりだよな…まあ、いいけど」
鍋パーティー終了後、ネプテューヌはシアンに渡された刀を振り回していた。どう見ても女の子らしからぬ姿だったけど当のネプテューヌは割と機嫌が良かった。
「で、これをどうすればいいのかしら?」
「とにかくこの武器を使ってその感想をフィードバックしてくれればいい」
「なーんだ、今度は意外と簡単そうだね」
「これなら、他のお仕事と一緒に出来そうです」
試作武器のモニターを頼みたい。それがシアンからの新たな依頼であり、私達は鍋パーティーがひと段落したところで依頼された。…なんか流れで決まったけどネプテューヌがモニターでいいのかな…。
「じゃあ、明日はその武器を使って別のクエスト受ける?」
「…その件なんだけど、私に貴女達を手伝わせてくれないかしら?」
「ノワールさんが、わたし達のお手伝いです?」
「なになに、ノワールも一緒に戦ってくれんの?」
ノワールが意外な申し出をする。確かに人数が多いに越した事は無いしダンジョンにいた以上全く戦えないって事は無いと思うけど…。
「えぇ、ただ貴女達と一緒にいるのも気が引けるし…それに、意外と強いのよ、私」
「え…自分でそれ言う…?」
「必要以上の謙遜はしないだけよ」
「いやぁ、まさかこんな序盤で五人目が仲間になるなんて幸先調子が良いね!」
ネプテューヌの言う通り、旅に出て数日で仲間が増えるなんて本当に幸先良かった。…最も、旅に出る時点で四人いた訳だけどね。
「じゃ、あまり遅くまでいるのも悪いしそろそろ帰りましょうか」
「はいです。シアンさん、わたし達がしっかりモニターしてくるですよ」
「ああ、より良いものにする為には実戦でのデータが必要不可欠なんだ、頼んだぞ」
シアンに見送られながらパッセを出る私達。私達の目的の為、そしてシアン達の為にも頑張らなきゃね!
--------ホテルの一室。その誰もいない部屋へ入った私はおもむろに片手サイズのケースを取り出し…
「じゃじゃーん、買っちゃったー」
…鏡の前で赤縁の眼鏡をかけていた。パッセからの帰りがけ(私はこのホテルに泊まるのは初めてだけど)に買った眼鏡をかけた自分をまじまじと見る。
別に眼鏡コレクターという訳でも無ければ視力が落ちた訳でも無い。じゃあ何故かって?それは勿論…
「これさえあれば私の正体を怪しまれる事は無い筈だわ」
変装。シアンに会った時は危うくバレそうになったんだもの、何かしらの変装をしなきゃまともに動き回れないわよね。
「これなら完璧に正体を隠せそうね。しかし今まで眼鏡なんてかけた事無かったけど…我ながら意外と似合うじゃない」
鏡に映る自分の姿がかなり様になっている事に気を良くした私は色んな表情を浮かべてみる。
笑顔、キメ顔、照れ顔…うん、流石私なだけあってどんな表情でもかっこよく決まってるわね。
「ふふっ、目にも良いって聞くしデスクワークの時はかけてみようかしら。…そうだ、ネプテューヌにも見せてあげ……って、何普通に馴染み始めてるのよ私は!」
…自分で自分に突っ込みを入れてしまった。このしょうもない行動と今さっき自分の言った言葉に呆れる。
「はぁ…今のままじゃ駄目ね。敵であるネプテューヌと慣れ合うなんて……」
「ノワール!一緒にプリン食べよー!」
「ひゃうっ!?」
いきなり開かれる扉、部屋に響く声。こんな言動をするのはネプテューヌ一人しかいない。二人や三人もいてたまるもんですか。
「あれ?もしかして驚かせちゃった?ごめんごめん」
「…もしかして、今の聞いてない?」
「今の?今のって何?」
慌てて眼鏡を隠す私に対しネプテューヌはきょとんとした顔を見せる。…ネプテューヌがしらばっくれるなんて芸当出来る訳ないわよね、今は記憶喪失でもあるんだし。
「それなら気にしないで…ちょっと恥ずかしい独り言してただけだから」
「独り言?…なんだろう、ノワールのちょっと恥ずかしい独り言って…もしかして作詞作曲自分のオリジナルソングを歌ったりとか!?」
「ば、馬鹿な事言わないで!誰がそんな痛い事するもんですか!…それよりも私に用があったんじゃないの?」
ネプテューヌが更に追求してくる前に話を変える。…確かに眼鏡の事をバレたくないってのもあるけどネプテューヌの用事が気になるってのも事実だからね?
それに対しネプテューヌは私の手元にある物を出してくる。
「……何よ、これ」
「プリンだよ?とっても美味しいんだよ!」
「それは見れば分かるわ…これをどうしろってのよ?」
「えっとね、シアンからプリン貰ったから一緒に食べよ!」
ネプテューヌが急に来た事に少しとはいえ用心していた私はその肩透かしな誘いに拍子抜けする。…よりにもよってなんで私に…。
「嫌よ。貴女一人で食べれば良いじゃない」
「わたしはノワールと一緒に食・べ・た・い・な・?…なんちゃってー!」
「あのねぇ…私はこんな時間まで貴女に付き合ってあげる程お人好しじゃないの。私は出かけるから一人で食べなさい」
「…あれ?ノワールどっか行くの?」
「散歩よ、一人になりたいの」
そう言ってネプテューヌに背を向け、外へ向かう私。いくら能天気のネプテューヌでもこうもあしらわれたら諦めるでしょ。
「ネプテューヌ、美味しそうなお菓子買ったんだけど…って、あれ?」
ネプテューヌがいるであろう部屋に入った私を迎えてくれたのは返答ではなく、無人の部屋独特の雰囲気だった。
「おかしいなぁ…さっきネプテューヌの声聞こえたと思うんだけど…」
部屋を見回してみるもやはりネプテューヌは居ない。あれは私の聞き違いだったのかな…?
「…まあ、いないならしょうがないよね。じゃあコンパとアイエフ誘って…っと、あれは……」
部屋を出る為に向きを変えた拍子に窓の外にいた二人に目が止まる。一人はツンとした様子でどんどん歩いて行き、もう一人はちょっかいをかけながら後に続いている。
間違いなく、あれはネプテューヌとノワールだった。…でも、何であの二人が…?
「…買い物…ならノワールは一人で行きそうだしクエスト…ならこんな遅くに行く訳ないよね…」
暫く考えるも思い付かない私。そしていつの間にか二人の姿は消えていて、通りは散発的に人が通るだけになっていた。
「…考えてないで追っかければ良かったかも…チャンスは最大限に生かす、それが私の主義かもとか思ったけど違うのかな…まぁ良いや。後で聞こっと」
そう結論付け、コンパとアイエフと一緒にお菓子を食べようと私は部屋を出た。
…因みにその後私は買ったお菓子が案外高カロリーだった事にちょっとショックを受けたけど…それはまた別の話。
夜の街を二人の少女が進んでいく。一人はツンデレ疑惑のある新たなパーティーメンバー、ノワール。そしてもう一人は皆さんご存知…
「そう、このわたしネプテューヌ!」
「…どこに向かって喋ってんのよ」
ノワールが半眼で突っ込みを入れてくる。うんうん、あいちゃんの窘める様な突っ込みにもイリゼのハイテンション突っ込みにも被ってない良いチョイスだよね。
「…って言うか何で付いてくるのよ。言ったでしょ、一人になりたいって」
「いやぁ、記憶喪失のノワールが一人夜道を歩くとなると色々心配でさー。親心ってやつ?」
「誰が私の親よ!」
今度は鋭い突っ込みを入れてくれるノワール。流石だね!
と、そこに偶然シアンが通りかかる。
「相変わらず仲良いなお前等…でももう夜なんだしあまり騒ぎ過ぎるなよ?」
「う…ネプテューヌのせいで怒られちゃったじゃない!」
「あははー。ごめんねシアン、うちのノワールが騒いじゃって」
「誰がうちのノワールよ誰が!」
「…ほんと仲良いな」
苦笑しながらわたし達を見るシアン。対するノワールはわたしに今にも怒ってきそう。全くノワールは冗談が通じないなぁ…。
「ところでシアンはどうしてこんな所にいるの?」
「知り合いとの会合に行く途中さ。展覧会までに少しでも情報交換はしておきたいし、中小企業でもアヴニールにない技術を持っている所は多いからな」
「へぇ…流石工業都市だね」
「ああ、潰れた工場も協力してくれるみたいだからやれる事は全部やっておきたいんだ。お前等にも期待してるからな」
「うん、任せてよ!」
会合に行く為にわたし達と別れるシアン。こうも期待されてるんじゃ頑張らない訳にはいかないよね。
「…………」
「……?どったのノワール、急に黙っちゃって…もしかして電池切れ?」
「そんな訳ないでしょうが…帰るわよ、ネプテューヌ」
「え?お散歩はもう良いの?」
「ええ、それより明日はアヴニールの調査と武器のモニターっていう役目があるんだから遅くまで出歩いてる場合じゃないでしょ」
「それはそうだけど…」
急に様子が変わったノワールに付いていけないわたし。うーん…ノワールもシアン達の為に頑張ろうって思ったのかな?
「…ってちょっと待ってよ!置いてかないでってばー!」
「うー…ん。やっぱそう都合良くアヴニールの出展物が分かる筈無いかー」
「ま、そんなに順調に物事が進む訳無いわよね。幸い依頼がモンスターの討伐な訳だし、シアンの武器のテスト位はして帰りましょ」
翌日、私達はアヴニールのガナッシュさんとサンジュさんからプラント施設建設の為に邪魔なモンスターを視察に回ってる間に討伐して欲しい、と言うクエストを受けダンジョンに来ていた(何故かノワールは眼鏡をかけていた。確かに似合ってはいたけど…イメチェンなのかな?)。
「しかし大企業の依頼者って言うから見るからに偉い人感のある人が来るかと思ったらそれはサンジュさんだけだったよね」
「そうね、ガナッシュって方は秘書とか補佐とかなんじゃないかしら?」
「そっか、やっぱ二枚目重役が出てくるのは画面や本の中だけだよね」
「二枚目って…何?イリゼはああいうタイプが好みなの?」
「へ?…ち、違うよ!?私は客観的な評価をしただけであってそういう意味じゃないからね!?」
アイエフの突然の言葉に動揺する私。その私の反応が逆効果だったのか皆が揃ってニマニマとし始める。うぅ…とんだやぶ蛇だよ…。
「惚れるのは貴女の勝手だけどアヴニールに味方したりはしないでよ?」
「だから違うって!男の人に飢えてたりはしません!」
「じゃあ、女の子には?」
「いや何でそうなるの!?」
反論は無駄だと感じた私は走って皆と距離を開ける。流石に皆も私の気持ちを汲んでくれたのか、追いつく頃にはニマニマ顔はしていなかった。…何だかモンスターと出会う前に大分疲労した気がする…。
そして私達が改めて進み始めた所でとある問題に気付く。
「そう言えばどんなモンスターを倒せば良いんだっけ?」
「大型のモンスターみたいよ」
「他に何か特徴は?」
「無いわ、さっき貰った書類にはそれしか書いてなかったわ」
「貴女を責めるつもりは無いのだけど、この情報だけじゃ分からないわね…」
当然ながらモンスターは個体ごと大きさが違う。だからと言って大型のモンスターを片っ端から狩っていたらそれこそ日が暮れちゃうよね。
「そんな時は誰かに聞いてみるです」
「流石にそんなに都合よく誰かいる訳…」
「…ほぅ、まさかこんな所で見知った顔に出会うとはな」
「……都合よく人がいたね…」
私達に声をかけてきたのは魔法使いの様な服装と泣き黒子が特徴の青髪の少女だった。何かこの人からは独特な雰囲気を感じる…。
「…貴女、誰?」
「私の名か?…そうだな、ここでもMAGES.とでも名乗っておくとするか」
「MAGES?」
「MAGES.だ。それでは最後の.が抜けている」
「うー…ん、あまり発音上関係ない気がするけど…MAGES.だね、おっけーい!」
「何でネプテューヌは発音上変わらないのに言い分けられてるの…?」
私の疑問系突っ込みはなんのその、会話はどんどんと進展していく。
「ふっ、お前はあの時もそう言っていたな」
「ねぷ?もしかしてわたしを知っている人?」
「良かったですね、ねぷねぷ。やっと知り合いに会えたですよ」
「…その言い方だとまるでネプテューヌが記憶喪失の様だな」
「そのとーり!よく分かったね」
「私にかかればこの程度容易い事だ。しかし残念ながら私はお前達の力にはなれそうにない」
「…どういう事?」
「私はここではない世界から次元を超えて来たのだ。故に私の知っているネプテューヌはそこのネプテューヌではない」
「えっと、つまり…どういう事です?」
次元を超える…?俄かには信じがたい話だけど、MAGES.は冗談を言っている様には見えない。
「…MAGES.はここではない世界から来た、そういう事でしょ?」
「流石がアイエフだ。理解が早くて助かる」
「やっぱりね…じゃ、代わりに教えて欲しい事があるの。この付近にいる大型モンスターについて知らない?」
「モンスター、か…交換条件でなら教えてやろう」
交換条件。つまりMAGES.も何かこちらに要求をしてくるという事だ。一体何だろう…?
「何、簡単な事だ。ドュクプェの売っている場所を知りたい」
「え、ドクぺ?」
「違う、ドュクプェだ」
『……?』
顔を見合わせる私達。そんな私達の反応を見たMAGES.は驚いた様子で聞き直してくる。
「まさか…選ばれし者の知的飲料、デュクテュアープエッパーを知らないというのか!?」
「うん」
「……!もしもし私だ。どうやらこちらの世界のドュクプェも機関に抹消されたらしい」
急に謎の電話を始めるMAGES.。そんな彼女に私達は唖然とする。
そして数十秒後…
「くっ…こちらの世界にもドュクプェが存在しないとは…」
「…誰との電話かは知らないけど次はこっちの質問に答えてくれるかしら?」
「…あぁ…確か大型モンスターだったな。そいつならちょうどこの前で見かけたぞ。この辺りのモンスターとなら明らかに見た目が違う奴がな」
「本当です!?」
「ありがとう、助かったわ」
「気にするな、では私も急ぐのでな。失礼する」
そう言ってMAGES.は去っていく。…本当に何だったんだろう、あの人…。
「いやー…びっくりしたね」
「うん、まさかあんな人がいるなんて…」
「ドュクプェなんて初めて聞いたよ」
『そっち!?』
ネプテューヌの着眼点はとても特殊だった…。
今回のパロディ解説
・チャンスは最大限に生かす、それが私の主義
機動戦士ガンダムでのライバルキャラ、シャア・アズナブルの台詞のパロディ。ガンダム界では割と知られた台詞ですがガンダム界以外ではどれ位の知名度なのでしょうか。
・ドクぺ
炭酸飲料、ドクターペッパーの略称。一応ここに載せましたが…パロディとして扱うのであれば『ドュクプェ』の方かもしれません。実際どうなのでしょう?