超次元ゲイムネプテューヌ Re;Birth1 Origins Alternative   作:シモツキ

20 / 108
第十四話 それぞれの目的を見据えて

『第一回、今後のねぷねぷ一行の活動方針を考えよう会inのわのわの家』

 

…翌日、ラステイションの教会で起床した私が広間に行くと意味の不明な会が開かれていた。

 

「誰がのわのわよ!って言うかここは教会であって私の家じゃないし妙な会を開かないでくれない!?」

「朝から突っ込み絶好調だねノワール…で、これは何?」

「見ての通りだけど?」

「見た限りじゃネプテューヌが手の込んだボケやってる様にしか見えないんだけど…」

「えー…じゃ、こほん…人は常に前を向いて歩くべきなのよ!」

「いやだからって碧陽学園の三十二代目会長さんっぽい事されても困るから!むしろ余計分かり辛いよっ!」

 

私の突っ込みも朝から絶好調だった。私とノワールにとってネプテューヌは元気の源なんじゃないのかな、悪い意味で…。

 

「むー、同じ女神同士通じると思ったんだけどなー」

「無茶言うんじゃないわよ…って言うかコンパとアイエフは?」

「ケイにここ使わせて貰う事伝えに行ってるよ」

「じゃあネプテューヌは許可取る前に始めちゃってる事にならない…?」

「その通りね、まあ許可貰ったから大丈夫なんだけど」

 

丁度良いタイミングでコンパとアイエフが戻ってくる…けど、謎のタイトルの書かれた板については知らなかったらしく『え?』って顔をしていた。…ネプテューヌ一人であれ用意したんだ…。

 

「じゃ、早速始めようか諸君」

「ねぷねぷ議長さんみたいですね」

「台詞だけは、ね。まあ文面はアレだけど意味は分かるでしょ?」

「ええ、でもこれ私も必要なの?」

「当たり前じゃん、ノワちゃんもねぷねぷ一行のメンバーでしょ?」

「だから変な呼び方するんじゃないわよ!…悪いけど、私は行けないわ」

 

私達の活躍とケイさんの潜入活動の甲斐あって教会は取り戻す事が出来たけど、まだアヴニールがラステイションでの最大の力を持ってる事には変わりなく、街や工場の修繕も数日じゃ終わらない。それが今の現状であり問題だとノワールは語った。そう言われちゃ連れ出す訳には行かないよね。

 

「せっかくノワールと友達になれたと思ったんだけどなぁ…」

「ねぷねぷ、我が儘言っちゃ駄目ですよ?それにまだ鍵の欠片も見つかってませんし、また来れば良いだけです」

「そうね、他の大陸に行った後にまた来ましょ」

「その時は喜んで歓迎するわ」

 

それでもネプテューヌはちょっと残念そうだったけど、ノワールがラステイションが落ち着いたら合流すると言うと納得した様で話は次へ進む。

 

「それじゃ、次の問題は次はどこへ行くかだけど…一度プラネテューヌに戻った方が良いと思うわ?」

「それは別に構わないけど…どうして?」

「私はともかく貴女達は長期の旅の用意なんてしてないでしょ?」

『あー…』

 

元々旅人だったアイエフとラステイションに残るノワールを除くと、このパーティーの面子は記憶喪失二人に看護学生一人、まあどう考えてもこの三人は準備不足感が否めなかった(って言うかその内一人が私なんだけどね)。

 

「わたしもそれで良いです、ねぷねぷも良いですか?」

「うん、と言うかわたしはプラネテューヌの女神らしいからね、ここは堂々と凱旋しよっかなー」

「凱旋って…戻るのは良いけどネプテューヌは女神である事は暫く隠した方が良いと思うわ、ラステイション程じゃないにしてもどの国も問題抱えてるらしいし」

「第一記憶喪失の女神が戻っても混乱するだけでしょうね」

「…私は?」

「イリゼは…多分女神だって言っても信じてもらえないんじゃない?女神である私ですら知らなかった訳だし」

 

なんとなくそれはそれで悲しい気がするけど…まあ嘘付き呼ばわりされたり夢見がちな子だと思われたりするよりは普通にマシなので私も隠す事を決めた。

 

「なら行く場所も決定です。あいちゃん、まだ話す事はあるですか?」

「そうね…あ、ノワールとイリゼについて一つあったわ」

『私?』

 

私とノワールとで顔を見合わせる。ネプテューヌ含めた三人ならともかく私とノワール二人についてってどういう事だろう…。

 

「ええ、身元を隠してた今まではともかく今はノワールが女神様だって分かった訳でしょ?だから…」

「あぁ…変に敬ったり様付けしたりとかはしないで頂戴。今まで通りの方が私も嬉しいわ」

「ちょっと緊張しますが、分かったです」

「じゃあイリゼは?まだ色々不明とはいえ恐らく女神様らしいし、どうする?」

「私も今まで通りで良いよ。そもそも現状記憶喪失だから女神様、って言われても違和感しかないし」

 

今まで対等の友達として接してきた相手に急に敬語を使われたり変に距離を取られたりはされたくない。ノワールもきっと同じ気持ちだから断ったんだよね。

 

「…あれ?わたしは?わたしも女神様だよ?」

「女神様も何もねぷ子は女神様らしさゼロじゃない」

「ねぷねぷはねぷねぷです」

「えぇー…まあ親しみ易いって捉えようかな…」

「それで良いんじゃない?…さて、話す事はそんなものかしらね」

「お馬鹿なタイトルの割にはまともな会だったわね」

 

ノワールの言う通り、私達パーティーでは珍しくまともに話が進んだ。…まともに話が進むのが珍しいのはちょっとどうかと思うけど…。

 

「いやーこうなるとそろそろこの章も終わりかぁ…」

「相変わらずメタ発言するねネプテューヌ…」

「だってそれがわたしだしさ。…あ、良い事思い付いた!」

「何を思い付いたんです?」

「ノワール、女神である事を隠す方が良いって言ったけど場合によっては明かしても良いでしょ?」

「そりゃまあ明かした方が良い場合があればね」

 

急なネプテューヌの発言に私は首を傾げる。ネプテューヌの言ってる内容からは何処となく真面目な物を感じるけど…まさかネプテューヌが真面目な話を…?

 

「じゃあさじゃあさ、悪代官や越後屋を追い詰めた後に、余の顔を忘れたかーって台詞と一緒にバラすのはいいよね?」

「じゃあわたしは紋所を持って『控えおろー』ってやるです」

「あ、それ良いよこんぱ!でもって『この御方を誰と心得る』ってあいちゃんかイリゼが続けたら完璧だね」

「…二人はこれからも苦労しそうね」

「大丈夫よ、問題無いわ…って言いたいところだけど…」

「正直、こっちの身が持つか不安だよね…」

 

戦闘終了後ならともかく、相手がまだ戦える状態にある時にそれやられるのは勘弁かなぁ…って思う私だった。

 

 

 

 

「ラステイションもこれで見納めかぁ…最初はプラネテューヌとのギャップに驚いたけど慣れた今となってはプラネテューヌとは違う魅力を感じるよね」

「あ、イリゼもこの良さが分かる様になったのね」

「わたしはやっぱりプラネテューヌの方が良いですね、勿論ラステイションが嫌いって訳じゃないですけど」

 

今後の方針が決まった私達はラステイションを出る前に少し散策する事にした。昨日の事件で大きな被害を受けた所もあるけど…早速復旧に取り掛かってる辺りは凄いよね。

 

「他の大陸はどんな感じなのかな…アイエフは知ってるんだっけ?」

「それなりには、ね。残りの二つの大陸は…まあプラネテューヌやラステイションとは違う方向性の国って感じよ」

「そうなんだ…ところでこれってただの散歩なの?」

「ううん、ホテルに置いてきた荷物を取りに行く目的もあるわよ」

「置いてっちゃうと困る物もあるですもんね」

 

そういえばそうだった。私は元々私物が殆ど無かったからあまり気にしてなかったけど、二人はそれなりに荷物あったもんね。

…と、私達が角を曲がった時、見覚えのある少女と遭遇する。

 

「お、お前ら丁度良い所に…」

「シアンさんです。シアンさんはもう工場大丈夫なんですか?」

「あまり芳しくはないかな…結構色々な所が壊されたし」

「そうなんだ…これからはどうするの?」

「普段の仕事をするにも博覧会に向けての武器改良をするにも工場が動かせなきゃ駄目だからな。当分は工場の修繕をしようと思ってる」

 

自分にとっての生命線である工場を破壊された事でシアンは大分参ってるみたいだったけど、心は折れてない様だった。それはきっと、もう街に今回の事件の収束に女神様が尽力したって話が流れてるからだと思う。

 

「となると私達も暫くはシアンから依頼は受けられないわね」

「出来る限り早めに元通りにするから博覧会が近くなったらまた頼むよ。…で、一応アルマッスを返してもらいたいんだが…ネプテューヌとノワールはどうしたんだ?」

「あの二人はどっか出掛けちゃったんだよね…後で返しに行くって事で良い?」

「そっか、ならわたしは戻るとするよ」

 

パッセへと戻るシアンを見送った後泊まっていたホテルへと向かう私達。

…しかし…またネプテューヌとノワールは二人で出かけて今度は何だろう…。

 

 

 

 

「わぁ…良い眺め……」

「でしょ?前にネプテューヌには夜空が綺麗に見える場所教えて貰ったからそのお返しよ」

 

ノワールに連れられたわたしは景色の良い高台に来ていた。ラステイションは観光の地って感じはしないけど…こうやって見ると眺めも悪くないよね。

 

「別にお返し何ていいのに。わたしはあの時ノワールと一緒にプリン食べられただけで満足だよ?」

「そういう所だけは謙虚よね…まあここに連れ出したのはお返しだけが目的じゃないわ」

「そうなの?…あ、まさか…わたしに告白を…?」

「な、なんでそうなるのよ!?前にも言ったけど貴女にそんな感情抱いてないんだからね!?」

 

顔を真っ赤にして怒るノワールは同じ女の子のわたしから見ても可愛かった。うんうん、やっぱりノワールのツンデレ具合は絶妙だよねー。

 

「もう、ノワールは素直じゃないなぁ。わたし達は昨日最終話でのスカル4とアンタレス1並みに息の合ったコンビネーション見せたじゃん」

「あの二人は別にそんな関係じゃないでしょうが…はぁ…ほんとネプテューヌと話してると調子が狂うわ…」

「そう言いつつもちょっと楽しそうに見えるよ?」

「…うっさい……」

 

わたしがノワールをいじるのは勿論ノワールの反応が良いから…ってのもあるけど、それ抜きでもノワールとのお喋りは楽しいからなんだよね。そこら辺ノワールはどうなのかな…。

 

「で、お返し以外の目的って何なの?」

「…ネプテューヌ、前に私とプリン食べた時にした質問覚えてる?」

「えっと…巻きますか?巻きませんか?って奴?」

「…………」

「ごめんなさい嘘です覚えてます」

 

ノワールがハイライトの消えた目をしながら片手剣を手に持ったのを見たわたしは即座に謝る。…ボケって引き際間違えると危ないよね…。

 

「大陸と守護女神戦争(ハード戦争)のどっちを取る、だっけ?」

「覚えてるなら最初からそれ言いなさいよ…今私がもう一度同じ質問をしたら、自分が女神だって分かった今もう一度質問されたら…貴女は、どう答える?」

 

正直わたしはシリアス展開や真面目な話は苦手だけど…流石に真剣な様子のノワールを茶化してまでそういう流れを潰そうだなんて思わない。だからわたしも真剣に…今のわたしの答えを口にする。

 

「…ちょっとだけ、前とは違う答えになるかな」

「え…それって、まさか…」

「ううん、守護女神戦争(ハード戦争)を取るなんて言わないよ?前も今も国…って言うかわたしを必要としてくれる人の方が大事って考えは変わらないし、これから先も同じだよ」

「じゃあ…違う答えって…?」

「前は守護女神戦争(ハード戦争)が駄目になっても良いって思ってたけど今はそんな事思ってないよ。だって…女神としての戦いを捨てちゃったら他の女神の皆と分かり合えるかもしれない機会が減っちゃうもん」

 

結果論かもしれないけど、今わたしとノワールがこうしていられるのも最初に戦ってたのが関係してると思う。熱血主人公になるつもりはないけど、時には戦う事も必要なんじゃないかな。

 

「……ふふっ」

「え?何で笑うのさノワール」

「だって、ちょっと予想外だったけどやっぱりネプテューヌらしい答えだったんだもの」

「そうかなぁ、わたしなりに考えて言ったんだよ?」

「分かってるわよ、でも貴女らしい事には変わりないわ」

 

わたしとしてはちょっと納得いかない返しだったけど…ノワールの満足そうな顔を見たらまあいいかな、って気持ちになった。うん、別にわたしらしいって言われて不愉快だった訳でもないもんね。

 

「…でも、覚えておきなさいネプテューヌ。女神はただの変身出来る人間じゃない、一国の長よ。女神には義務も責任もつきまとう…いくらネプテューヌでもそれ位は分かるでしょ?」

「流石にわたしでもそれ位は、ね。…でも、それを理由に困ってる人を見捨てたり自分の想いを諦めたりはしたくないかな」

「そうね、私も同感よ。…その、ありがとねネプテューヌ…」

 

急にお礼をしてくるノワールにわたしはきょとんとする。わたしお礼される様な事したっけ?

 

「貴女がいなければ私は今も一人でアヴニールに抵抗を…ううん、アヴニールに屈していたかもしれないわ。勿論私を助けてくれたのは貴女だけじゃないけど…きっかけはネプテューヌよ」

「や、やだなぁノワール、ノワールらしくないよそんな台詞…」

「たまには良いじゃない…それに貴女は女神として本当に大事な事を私に思い出させてくれたわ。ネプテューヌには感謝してもしきれない、だから…」

 

ノワールがわたしに近付いてくる。ノワールの言葉と雰囲気に飲まれたわたしは話を逸らしたり動いたりする事が出来ず、どんどん近付いてくるノワールの顔を見ていられなくてきゅっと目を瞑って……

 

 

「…なーんてね、貴女も可愛い顔するじゃない」

 

わたしのおでこに走る痛み。それはまごう事なき…デコピンだった。

 

「へ……?」

「何驚いた顔してるのよ、まさかキスされるとでも思った?」

「え、な…な訳ないじゃん!まっさかぁ、このネプテューヌがそんな罠に引っかかる訳…」

「…ネプテューヌ……」

「ねぷうぅぅぅぅうぅっ!?」

「あははははっ!やっぱり勘違いしてたんじゃない貴女!」

 

わたしの頬に手を添えてきたノワールに思わず飛び退いてしまった。うぅ…ノワールに手玉に取られるなんて…。

 

「止めてよねノワール!普段ツンツンのノワールがそういう事するとギャップ半端ないからね!?」

「はいはい…でも、もしもピンチになったり助けが必要になった時は私を頼って頂戴。たとえ何があろうと、ネプテューヌが戦ってる相手が誰であろうと私は誰よりも速く貴女を助けに行くわ」

「…じゃあ、もしまたノワールとプリン食べたいって言った時は?」

「そしたら…そうね、私お手製のプリンをご馳走してあげるわ」

「そっか…うん、じゃあ期待してるね」

 

わたしは変身…じゃなくて女神化だっけ?…したノワールと共闘した時、ノワールを大事な友達だと思った。その時は確信出来たのはわたしの気持ちだけだったけど…今は違う。ノワールも同じ気持ちなんだよね、きっと。

 

「あ…そろそろ予定の時間なんじゃない?」

「予定?」

「プラネテューヌと大陸が繋がる時間に間に合う様にラステイションを出るんでしょ?このままゆっくりしてたら置いてけぼりになるわよ?」

「あ…そうだった!じゃあ帰ろうノワール!」

「ちょ、急に引っ張るんじゃないわよ!」

 

ノワールの手をとって走り出すわたし。ノワールはちょっと文句を言ってきたけど…わたしが振り返った時は今まで見た中でも一番の笑顔を浮かべていた。

 

「また、一緒にプリン食べようね」

「ええ、約束よ」

 




今回のパロディ解説

・「〜〜人は常に前を向いて歩くべきなのよ!」、碧陽学園の三十二代目会長さん
生徒会の三振 碧陽学園生徒会議事録3での会長&会長の台詞の事。ネプテューヌと会長(桜野くりむ)は何処となくキャラクターが似ている気がするのは私だけでしょうか?

・悪代官、越後屋屋、余の顔を忘れたか、紋所、控えおろー、この御方を誰と心得る
長寿時代劇、水戸黄門シリーズの定番シーンの要素。細かい事を言うとネプテューヌは水戸光圀公ではなく江戸の徳川(将軍)家の立場ですが…まあパロディですしね。

・最終話でのスカル4とアンタレス1
マクロスF(TV版)の主人公早乙女アルトとライバルブレラ・スターン及び彼等のコールサインの事。作者はアルト×ブレラなんて欠片も思ってません、断定します。

・巻きますか?巻きませんか?
ローゼンメイデンシリーズの有名な台詞(と言うより文面?)。もし巻いたネプテューヌと巻かなかったネプテューヌがいたとしたら…どっちも同じでしょうね。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。