超次元ゲイムネプテューヌ Re;Birth1 Origins Alternative 作:シモツキ
煙の中から姿を現したマジェコンヌと大型マシン。彼女等の破壊行動そのものの登場によって会場の一部が崩壊、博覧会の続行は困難となってしまった。
「……っ!マジェコンヌ…何のつもり!?」
「なぁに、少し貴様等の手伝いをしてやろうと思ってな。こいつも倒せばその武器に一層箔が付くだろう?」
そう言って大型マシンを前進させるマジェコンヌ。確かに倒せば更に箔が付くかもしれない…が、観客も審査員も殆どが避難したこの場で倒したところでどこまで効果があるのだろうか。
「くっ…えぇと、ガチコング?…とやら!せっかくの博覧会に何てことしてくれたんだ!」
「マジェコンヌだ!ふん、私にとっては博覧会などどうでも良いのさ!」
「なっ…マジェコンヌさん!?我々はどうでも良くないのですが!?」
ステージ裏から慌てた様に姿を現すガナッシュ。彼…というかアヴニールにとっては当然博覧会は重要だったらしく、それとは180度逆の発言をしているマジェコンヌに対しあからさまに動揺していた。
「アヴニールの最大の敵が女神である以上博覧会などで人気取りするより女神を倒した方が早かろう」
「そういう問題ではないのです!そもそもこれで民意が離れたらそれこそアヴニールは…!」
「えぇい五月蝿い!何れにせよこうなっては女神を倒す事が最重要だろうが!」
マシンの後ろで論争らしき事を繰り広げるマジェコンヌとガナッシュ。どうやら仲違いの様だが…明らかに今までのアヴニール社製兵器とは違う雰囲気を纏う大型マシンを前にした状態では眺めてなどいられない。
「ちょっと相手方の状況が飲み込めないけど…今はあいつを止めるのが先決だね、皆!避難誘導は!?」
「大丈夫よ!もう全員会場から避難したわ!」
「よーし、だったらもう人目を気にする必要も無いし全員でやっちゃうよー!」
『……って、え?』
ネプテューヌの号令に呼応する様に女神化をしようとする守護四人。…しかし、次の瞬間に聞こえてきたのは女神化した四人の声ではなく、人の姿のままの四人の声だった。
「ねぷねぷ、どうして女神化しないです?」
「ベール様もどうしちゃったんですか?」
「どうしたもこうしたも…女神化出来ませんの……」
「おかしい、今までこんな事無かった筈なのに…」
「くく、やっと気付いたか女神共が…」
私達パーティーの間に広がる動揺に対し、マジェコンヌが全てを知っているかの様な声を上げる。
「……っは!まさかオバさん…賄賂!?執筆者さんに賄賂送ったの!?」
「誰が執筆者などに媚をへつらうものか!…心して聞け女神共。貴様等からコピーした力を解析し、女神化を封じるシステムを私は作り出したのさ!ハーッハッハッハ!」
「ほんとに賄賂送ってないと思う?」
「どうかしらね、あのオバさんならどんな手も使いそうだし」
「闇取引はめっ、ですよ」
「……って私の話を無視して何をまだ賄賂の話をしているんだ貴様等は!?」
一方的な優位を取れた事に気を良くし、高らかに笑っていたマジェコンヌだったが、ネプテューヌ達の相変わらずの緊張感の無さに気分を害され、一転して憤怒の表情を浮かべる。
「あーあ、何で怒らせてんのよ貴女達…」
「今は結構ピンチですのよ?」
「う…や、でも案外何とかなるんじゃない?何せわたしには主人公補正が…」
「■■■■」
『……へ?』
兵器特有の電子音が突然聞こえ、それに反応して音源の方を見るネプテューヌ達。そして、その先には…全員の方を向き、大口径のビームを今にも撃とうとしている大型マシンの姿。
「ちょ!?そ、それ喰らったら一発で塵になっちゃうんですけど!?」
「お、おいおい今からじゃもう退避出来ねぇぞ…!?」
「くっ、あの出力を防げるだけの魔術障壁を展開する時間も無いか…!」
「■■ーー!」
「え、ちょっ…待っ……!」
完全にパニック状態となったネプテューヌ達を大型マシンが待つ理由は無い。故に、砲撃の準備を整えた大型マシンは防御も回避も、それこそ神に祈る暇すら与えられなかったネプテューヌ達へ必殺の光芒を……
「はぁぁぁぁぁぁっ!」
--------放つ直前にネプテューヌ達の輪の中から突出した一人の少女…イリゼによって攻撃を受け、体勢が崩れた事により大きく狙いを外れて誰もいない場所を灼くだけに留まる。
そして、その場にいる全員の視線が彼女へと集中する。勿論攻撃を阻止した事も理由の一端ではあったが、視線を集めた最たる理由は…彼女はマジェコンヌの言う女神化封印システムが起動している中でありながらも女神の姿を宿していたからであった。
「ば、馬鹿な…何故だ…何故貴様は女神化出来ているッ!?」
後方…ネプテューヌ達の前へと跳んで長剣を構え直す私に対し、狼狽した様子のマジェコンヌが強い口調で私に問いを投げかける。
…が、それに私は無言を返す。別に黙秘権を行使した訳じゃない。単に私自身もよく分からないからである。
「…皆、大丈夫?」
「えぇ、無事よ…。でも、何で貴女は……」
「私にも分からない、皆こそまさか出し惜しみとかじゃないよね?」
「いくら何でもこんな状況で出し惜しみなんてする訳ないでしょ」
ノワールの言う通り、出し惜しみをしていられる状態では無い。アヴニール社製の大型マシンなら一機でも大きな被害が出る事が間違いないし、更にはここにマジェコンヌがいる。全力を出す理由はあっても手を抜く理由などは無かった。
「…私が壁になるよ、だから皆は隙を突いて攻撃してくれる?」
「私が、って…一人で壁をする気…?」
「む、無茶ですよイリゼちゃん!」
「うん、でも普通の人間にあいつと力比べする方が無理でしょ?」
「…良いんですの?」
「勿論。だけどキツいのも事実だからきっちり攻撃頼むよ?」
そう言うと同時に地を蹴り大型マシンへと突撃。初見の相手に正面からぶつかるのは得策では無いけれど、皆に注意が向かない様にする為にはこうするしかない。最後に言った言葉は皆を納得させる事が主な理由だったけど…キツいというのは誇張無しの真実そのものだった。
「むむ、最近イリゼが主人公っぽい事する様になってきたなぁ…行くよ皆!」
「分かってるわよ!」
「ふふ、我々人にとってはいつも通りの戦いさ…!」
後ろからネプテューヌ達の声が聞こえる。幸い皆の士気は低くなく、物怖じしてる様子もない。決して芳しい状況とは言えないけど、取り敢えずの戦闘は可能な様でほっとする。
「■■!」
「……っとッ!」
大型マシンにぶつかる直前で踏み付ける様に床を蹴って急上昇。大型マシンの迎撃を回避しつつも真上を取る。
そしてそれと同時に左右へ走り込むネプテューヌ達。
『貰った…ッ!』
「ふん、甘いな……」
「■■■■ー!」
『……!?バリア!?』
ネプテューヌ達による左右からの挟撃をバリアで防御する大型マシン。しかもこのバリアも改良型らしく防御の穴が見当たらない。
必殺の矛である大口径照射ビームに強固な盾である全方位バリア、そしてこちらの戦力の核である女神化の封印システム。改めて私は敵の厄介さを痛感する。
「…だったら、バリアを展開する余裕を奪う!皆下がって!」
上昇しバリアが消えた瞬間に再度突撃をかける私。私一人の攻撃ならばバリアの必要は無いと判断したのか大型マシンは武器で攻撃を受け、そのまま私を振り飛ばそうとする。
それに対し身体を回転させる事で力を受け流し、同時に遠心力で加速して大型マシンの懐へと飛び込む。
「こ……のぉッ!」
「■■!?」
勢いのままに胸部装甲へ思い切り長剣を叩きつける私。無論装甲を一撃で破壊出来る筈もなく、私の攻撃そのものは失敗に終わる。…けど、私の狙いはダメージを与える事ではない。
ここぞとばかりに武器を振り上げる大型マシン。その後方には…並んで立つアイエフとMAGES.の姿。
「背中ががら空きだよッ!」
「『魔界粧・轟炎』ッ!」
「『烈火の戦塵』ッ!」
「■■■■ーー!?」
敢えて私が叫んだ事により反応し、一瞬動きが悪くなる大型マシン。だが、気付いた時にはもう遅い。
二人の放った炎の魔法が空気を焦がしながら大型マシンへ飛来。文字通りの業火が大型マシンを灼く。
……がここで一つ誤算が生じる。
「ここでもう一げ…--------」
「ーーーー!」
「がぁ……ッ!?」
装甲の隙間へ長剣を差し込もうと長剣を引く私へ、まるで体当たりをするかの様に突っ込んでくる大型マシン。二人の魔法の威力を完全に測り違えていた私は飛んできた大型マシンとモロにぶつかり数メートル程飛ばされる。
かなりしょうもないミスで一撃を喰らう私。だが、このミスはシャレにもネタにもならない。むしろ痛恨のミスだった。
「……っ…!?」
「■■!!」
「きゃああぁぁぁぁぁっ!?」
背部の装甲が焼け爛れ、内部機構を露出させながらも依然戦闘機動を取る大型マシン。その大型マシンが起き上がろうとする私に肉薄し武器を一閃。直撃を受けた私は壁へと吹き飛ばされる。
「ーーッ!イリゼッ!」
「ふははははっ!これがハードブレイカーの力だっ!」
「ち……ッ!イリゼの心配してる余裕はないわよネプテューヌ…!」
「■■ー!」
強烈な一撃を受けた事でハードブレイカーと呼ばれた大型マシンのAIが危険だと判断したのか、今までよりも苛烈な攻撃を仕掛けてくる。巨体故にその分隙が大きくなりはしたが、アヴニール社製機体の苛烈な攻撃を回避しながら攻撃出来る程の人間はまずいない。結果、防戦一方となり後退を余儀無くされるネプテューヌ達。
「これは…不味いわね……」
「まさかこの人数差で劣勢とは…敵ながら流石ですわね…!」
「褒めてる場合じゃないですよベール様!?」
「わわっ!?またビーム砲が動いてるですぅ!」
歪む視界を頭を振る事で無理矢理正し、壁を押して立ち上がる私。聞こえた声から砲撃を止めなきゃと翼に力を込めるが…そこでハードブレイカーの標的が私である事に気付く。そして同時に既に回避が間に合う様な状態では無い事を悟る。
「な……っ!?」
「■ーーーー!」
「イリゼっ!」
「……ッ!?」
悪足掻きにもならない事は分かっていながらも長剣を盾にしようとする私。そんな私の前にいつの間にか下がっていたネプテューヌが踊り出る。……私を、身を挺して庇う為に。
女神状態ですらないネプテューヌがビームの一撃を受けて無事でいられる筈はないし、ネプテューヌもそれが分からないとは思えない。それでも私を庇おうとしてくれたネプテューヌに私は戦闘中でありながらも心の中に複雑な気持ちを渦巻かせ、一瞬状況を忘れてしまう。
だが、ネプテューヌの行動も状況を変える要素になる事などは無く、照射されたビームが二人まとめて灰塵に……
「■ー■ー……?……」
『……え…?』
ビームを放つ直前の体勢を崩さぬまま、急に今まで聞こえていた電子音が途絶え、硬直するハードブレイカー。何が起きているのか全く分からない私達。言える事は、私もネプテューヌも無事だという事だけだった。
「………どういう、事?」
「さ、さぁ…もしやフェイズシフトダウンからの自爆シークエンス!?」
「あいつがTP装甲ならあり得るかもね…ってそうじゃなくて!」
一見機能停止しているとは言え、確証が無い以上油断する訳にはいかない。なので仕切り直す為にもネプテューヌと共に皆の元へ行き、何故止まっているのか一応聞こうとした時、止まっている理由はパーティーメンバーではなく敵サイドから聞こえてきた。
「な、何故急に止まるのだ!」
「だから言ったでは無いですか、まだテストもしていないと」
「テスト前だからといって止まるなど許されると思っているのか!せっかく奴等を葬るチャンスなのだぞ!?」
「そんな事を言われましても…それに先程の魔法で内部回路に異常をきたしたせい、という可能性もありますし現状では再起動は無理ですね」
…つまり、まだ万全の状態ではないハードブレイカーを強引に稼働させた結果、原因もはっきりしないままただ停止したという事実だけが明らかになっている、という事の様だった。準備やテストはきちんとやっておく事の重要性を身を以て感じられた瞬間だった。
「…ギリギリ助かったっぽい?」
「全く、ヒヤヒヤさせてくれたものですわね」
「流石わたし!タイミング的にも主人公補正バリバリだね!」
「ええぃ!動け!ハードブレイカー何故動かん!」
窮地を脱したと思って安堵の溜息を漏らす私達。それとは対照的にハードブレイカーを八つ当たりの様に叩くマジェコンヌ。それを皆で揃って半眼で眺めていた時、あろう事かハードブレイカーが再び電子音を響かせ始める。
『ええぇぇっ!?』
「さ、再起動した!?そんな無茶苦茶な…!」
「はーっはっはっは!所詮機械など叩けばどうとでもなるのだよ!」
「こらー!機械もゲーム機も乱暴に扱っちゃ駄目なんだぞー!」
「そんな事私が知った事か!」
うまく映らなくなったTVを直す様な感覚でハードブレイカーを再起動させたマジェコンヌとそれに慄然とする私達。ネプテューヌは何かズレた指摘をしていたけど…状況は全く好転などしていない。それでも逃げる訳にはいかない私達は各々の武器を握りしめ、ハードブレイカーに立ち向かおうとしたが…当のハードブレイカーは私達ではなく何故か壁を攻撃し始める。
「ど、どうしたのだ!まだ命令は出してないぞ!?それに攻撃するのは壁ではなくこいつ等だ!」
「■■■■!?!」
「これって、もしかして……」
「壊れて暴走している様ね」
武器を振り回し、どこからも攻撃されていないのにちょくちょくバリアを展開し、時折思い出したかの様にビームを放つ。暴走している事は火を見るよりも明らかだった。
「…これは今までとは違う意味で危険ですわね」
「えぇ、何とかしてあいつを止めないと」
「え、止めるの?取り敢えずわたし達を狙ってくる様子は無いし一旦アイテム補充とセーブの為にここ離脱しても…」
『いい訳(ないでしょ・ないです・ありませんわ・ないだろう)!』
「……はい、分かってます…」
一難去ってまた一難…というか難が新たな難に変貌し、今度はそれの対処に追われる事となる私達。大波乱の博覧会はまだ終息には遠いのだと改めて悟った私だった。
今回のパロディ解説
・「〜〜フェイズシフトダウンからの自爆シークエンス!?」
機動戦士ガンダムSEEDに登場するMS、イージスの最後の戦闘のワンシーン。必殺のビームを撃つ直前に止まる、という点をかけたパロディなのですがお分かりでしょうか?
・TP装甲
前述と同じく機動戦士ガンダムSEEDに登場する特殊装甲の一つ。ハードブレイカーの装甲の色が変わらないのは勿論TP装甲だからではなく通常装甲だからです。
・「〜〜動け!ハードブレイカー何故動かん!」
機動戦士ガンダムZの敵メインキャラ、パプテマス・シロッコの台詞のパロディ。原作では正確な理由は不明のままでしたが…まあこの場合は本文通り二択ですね。