超次元ゲイムネプテューヌ Re;Birth1 Origins Alternative   作:シモツキ

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第四十話 それでも一応の安心を迎えて

知能は全く無いが力だけはある、というタイプは敵にしても味方にしても厄介らしい。知能が無い、という事は即ち行動がまるで読めないという事であり、どんな天才でも相手がどんな事をするかがそもそも予測不能であれば対処が出来ない、或いは対処出来ても予測出来る場合に比べて無駄が増えてしまうからである。

…まあ、だからと言って「じゃあほっといて喫茶店でも行こっか、ふっふ〜ん」とか言って喫茶店に行ったりする訳にはいかない。

 

「…って訳でいくよ皆!」

「おー!…っていやいや、流石に全力で暴走してるマシンに無策で突っ込むのは無理だって」

「だよね…」

 

改めて士気を上げる事が重要だと思った私は取り敢えず音頭を取ってみたがあえなく失敗。…いや、まあ最初の地の文は口にしてないし実際無策だったから仕方ないんだけどさ…女神化するとちょっとアホになるの私?違うよね?

 

「まあでも暴走してる分作戦を考える時間位はありそうね、ベール様達はまだ女神化出来ませんか?」

「えぇ、女神化についてはどうしようもありませんわ」

「今取れる手段を取るしかないわ。ガナッシュ、あいつを止める方法は無いの?」

「生憎、ホワイトハート様の偽物を語る輩と話す口は持ちあわせていない」

「だからわたしが本物だって言ってんだろ!この大変な時にふざけてんじゃねぇよ!」

 

取り合う気ゼロ&ブランを偽物扱い、のダブルアタックに一発でキレるブラン。まあ流石に今回の場合はキレる気持ちも十分に分かるので気が済むまで怒らせてあげたくはあるけど…その余裕は無い事を全員が理解している為話は進む。

 

「ガナッシュ、強制終了させる事は出来ないの?」

「先程から何度か試していますが外部からの信号を受け付けてくれません」

「ならば他の兵器で抑え込むのはどうだ?」

「他の兵器は先日貴方達に破壊されて殆ど残っていません」

「なんでわたし以外とは普通に喋ってんだよゴラァ!」

「熱心な信者さんも考えものですねぇ…」

 

なんと、身を守る為に敵を殲滅した結果その後の戦いで自分達の首を絞める事となった!…ほんと洒落にならない。更に言えばガナッシュさんがブランの怒りに次々と燃料投下するのも洒落にならない。…このままブランまで手がつけられなくなったらガナッシュさんに何とかしてもらおうかな。

 

「せめてわたくし達が女神化出来れば抑え込む事は出来ると思いますが…」

「なら、その装置を止めるか壊せば良いわ。お願い、ガナッシュ。協力して」

「……はぁ、分かりました…。けど、ハードブレイカーの頭部パーツに組み込まれているジャミング装置をどうやって止めるのですか?」

『……はぁ!?』

 

逆転の鍵を握る女神化封印システムはハードブレイカーの頭部パーツ内にあるらしかった。それを聞いて私はハードブレイカーの方へ視線を移す。そこにいたのは規則性も合理性も一切合切が無い暴走したマシンの姿。…これでどうしろと?

 

「何でそんな所に付いてんのよ!?貴方馬鹿なんじゃないの!?」

「下手にハードブレイカーと別々にするより組み込んでしまう方が逆に見つかり辛く破壊され辛いという逆転の発想ですが?」

「その結果がこの窮地でしょうが!」

 

 

確かにガナッシュさん(というかアヴニール?)の発想は実際に私達を困らせているのだから的を得ている。アヴニールまで困らせている点に関しては元も子もないけど。

 

「しかしとなるとどう破壊するか、ですわね…YF-19(エクスカリバー)のテストパイロットでも呼んでみます?」

「それかVB-06(ケーニッヒ・モンスター)のパイロットかしら…」

「うん、どっちも頭部を破壊した実績のある人だけど他作品ですよねぇ…?」

 

状況が分かっている筈にも関わらずボケをかますベールとブラン。女神は定期的にボケをしないといけないルールでもあるのだろうか、と私が思案を始めた時、ボケキャラの筆頭であるネプテューヌが真面目に意見を出した。

 

「頭を壊さなくてもさっきのマジェッチみたいに叩けば壊れてくれないかな?でもって暴走もピタッと止まるとわたし的には嬉しいかな」

「流石にそんな虫の良い話がある筈…」

「可能性としては十分あり得ます」

「ってあるのかいっ!」

 

予想外の展開が多過ぎて余裕を完全に失っていたのか漫才みたいな突っ込みをしだすノワール。ただ、今は逆転の一手が浮上した為そこはスルーして会議を進める。

 

「えぇ、あの装置はまだ試作の物を無理矢理頭部に組み込んでいますし、先程の戦闘で多少なりとも内部にダメージが入っていると思うので、もう一度強い衝撃を与えられれば…」

「暴走の方は?」

「そちらは未知数ですが、今の不安定な状態から見て可能性はゼロではないと思います」

 

「それなら、わたしに任せて!」

 

ガナッシュさんがもう一つの可能性を示唆した瞬間、後方から声が響く。そして、その声に反応して後ろを向くよりも早く私達の前へと現れる、腰に二本の小太刀を刺したオレンジ色の髪(とアホ毛)の少女。

 

「……ッ!?誰!?」

「……まさか…」

「説明は後々!MAGES.とそこの女神化してるお姉さん、協力して!」

「き、協力!?」

「うん!何でも良いからとにかく強い攻撃して!」

 

颯爽と現れた少女は私とMAGES.にざっくりとした指示だけ出してハードブレイカーへと突っ込む。勿論全く理解の出来ない指示ではあったけど…女神の本能か、或いは今までの経験からか理解しようと思考を巡らすよりも前に私の身体は動き出す。それはMAGES.も同じらしく、既に杖を前に掲げていた。

 

「……ッ!やぁぁぁぁぁぁ!」

「ふっ…魔術の衝撃、受けてみるが良い!」

「■■!!ーー?!」

 

飛翔し少女とは別ルートで突っ込む私と魔法陣を展開するMAGES.。そのまま私達は同時に攻撃を放つも、ハードブレイカーは暴走状態でも自己防衛システムは生きていたのかバリアを展開し、二方向からの攻撃を防ぐ。

その瞬間に跳躍し、ハードブレイカーのすぐ側まで接近する少女。

 

「ここまでくれば…」

「■■■!■??!」

「な……ッ!?危ない!」

 

少女が腰の二本とは別の小太刀を抜刀した瞬間に振るわれるハードブレイカーの武器。私は咄嗟に声を上げたがそれが間に合う筈もない。

武器の一閃により真っ二つになる少女の姿。私達がその事に愕然となりそうになった時…全員が目を見開く。空中からあえなく落下したのは少女の身体ではなく……丸太だった。

 

「忍法、変わり身の術!…ってね、てやーっ!」

「!?■■?!」

 

次の瞬間にはハードブレイカーの後ろに姿を現し、小太刀でハードブレイカーの頭部パーツをしたたかに斬りつける少女。その一撃も鋭さと正確さを持っており、ハードブレイカーの頭部パーツは一瞬で半壊していた。

 

「変わり身の、術…?」

「マベちゃん参上!」

「ここでまさかの助っ人キター!」

 

私と共に軽快な動きでハードブレイカーの側から離れる少女。私とMAGES.の協力ありきではあったとはいえ僅かな時間でハードブレイカーの頭部パーツを破壊した少女にパーティーメンバー全員が沸き立つ。

 

「ねぷちゃん、大丈夫だった?」

「あれ?もしかしてわたしのお知り合い?」

「んー…。わたしが一方的に知ってるだけだからちょっと違うかな。わたしはマーベラスAQL、マベちゃんって呼んでね」

「マベちゃんだね、宜しく!」

 

髪と同じくオレンジ色の瞳を持つマーベラスAQL、通称マベちゃんはMAGES.や鉄拳ちゃんと同様に別次元から来た存在らしかった。

彼女の活躍により半壊状態となったハードブレイカーの頭部パーツ。当然この事についてガナッシュさんに意見が求められる。

 

「ガナッシュさん、これでねぷねぷ達は女神化出来るですか?」

「どうでしょう、私としては封印システムは破壊出来たと思いますが…この場合は私よりれっきとした技術者であるシアンさんの方が正しく判断出来るのでは?」

「わ、わたしか?…うーん、女神様達の力を封印する程のシステムが単純な作りとは思えないし、あれだけ壊れていれば機能不全になっていてもおかしくないと思うぞ」

「なら私達も女神化出来るって判断して良いのね」

「でもまだ暴走状態は止まってないみたいよ」

 

相変わらず無茶苦茶な動きを続けるハードブレイカー。その暴走は頭部パーツ半壊により収まるどころかむしろ激しさを増している様にも見えた。

だが、今までよりも今は格段に勝機がある。何故なら…

 

「だったら力尽くで止めれば良いだけよ、行くわよ皆!」

 

掛け声を上げるノワール。女神化するネプテューヌ達守護女神。封印システムが機能しなくなった事により女神化出来た四人と私達、そしてハードブレイカーによる最終ラウンドが始まる。

 

 

 

 

五方向から流星の様に次々と攻撃を仕掛ける私達女神。対するハードブレイカーは暴走状態にあるおかげで通常時よりも行動が雑になっておりダメージが入り易く、暴走状態にあるせいで部位破壊に成功してもイマイチ動きが衰えなかった。

 

「ちっ、どんだけタフなんだよこいつは…!」

「タフって言ってもダメージは入ってる筈だしこのままいけば倒せる筈よ!」

「先の長い話ですわ…ねッ!」

 

獲物の性質上一直線の突進が得意なベールが突出。ハードブレイカーの迎撃が入る前に肉薄し叩き込んだ一撃は装甲の一部を跳ね飛ばし内部を露出させる。それを見た私は側面から追撃をかけようと接近するが…まるで先読みをしていたかの様なハードブレイカーの横薙ぎに阻まれる。

 

「……っ…また…!」

「ほんっと厄介ねあいつ、たまに先読みみたいな攻撃してくるしそうかと思えば明後日の方向は攻撃するし!あーもう!」

「暴走してる機械にキレたってしょうがないわよノワール…」

 

その後も暫く攻防が続く私達とハードブレイカー。状況が状況とはいえ女神五人がかりで時間のかかるレベルの性能を有している事には敵ながら感服する。これだけの技術のある大企業ならばノワールが迂闊に潰せない、と言うのもよく分かる話だった。

 

「いい加減…壊れろってんだよッ!」

「■ーーーー!」

「若干動きが鈍くなってきたんじゃない…?…はぁ、はぁ……」

「…イリゼ、大丈夫?」

「大丈夫…だけどベストパフォーマンスとは言えないかも…」

 

パンツァー戦からの実質的な連戦、そして私以外が女神化出来なかった事によるハードワークと途中のダメージが遂に祟ったのか息が上がる私。戦闘不能のレベルでは無いけど、皆に遅れてしまう感覚は確かにあった。

 

「イリゼは勿論だけどわたし達も少なからず消耗してるし、ここまできたら一気に決める方が良さそうね」

「何か手はあるんですの?」

「手なんて上等なものは無いわ、単純明快に一気に叩くだけよ。…皆、協力してくれるかしら?」

「確かにそれは単純明快だな…良いぜ、協力してやる」

 

アイコンタクトで意思疎通を図り、ネプテューヌが最高の攻撃を放てる様同時に突っ込むノワール、ベール、ブラン。ネプテューヌはそれを信じてその場へ着地、中段の構えを取りつつ深呼吸を行う。

 

「そろそろ…お終いの時間ですわッ!」

「ここまでご苦労なこったぜ…さっさと沈みやがれッ!」

「私達がわざわざ露払いしたんだから決めなさいよネプテューヌ!」

「勿論よッ!」

 

ベールとブランがハードブレイカーの両腕を武器ごと弾き、ノワールが胴体へ大剣を叩きつける事で隙を作る。そこへ地を蹴り突貫するネプテューヌ。ハードブレイカーは偶然か否か大出力ビーム砲を展開するが、もう遅い。

紫の矢となったネプテューヌは駆け抜ける様に一閃。更に高速で方向転換し再び一閃。横薙ぎ、袈裟懸け、刺突、幹竹割り……--------次々と放たれる強烈な斬撃にハードブレイカーは対応しきれず、瞬く間に深い傷が全身を覆う。

そして、ハードブレイカーの真上へと舞い上がるネプテューヌ。

 

「これで終わりよッ!『ネプテューンブレイク』!」

 

持てる全ての力を乗せて真下へと放たれた一撃はハードブレイカーを文字通り両断し、大太刀の刃を床へと沈める。

一瞬の沈黙の後、断末魔の様に電子音を鳴らしながら崩れるハードブレイカー。そう、私達の勝利--------

 

 

「ハーッハッハッハ!油断したな女神共が!」

 

マジェコンヌが、ノワールの女神の力をコピーした。

 

 

 

 

「あのガラクタもポンコツかと思ったが、女神を油断させる位には役に立った様だな。おかげでまた一人、女神の力をコピーする事が出来た」

 

勝ち誇った笑みを浮かべるマジェコンヌ。力をコピーされた瞬間の衝撃で膝を付くノワール。

マジェコンヌはこれを狙っていたのだった。ハードブレイカーが暴走して以降参戦しないばかりか声すら漏らさなかったのは、勝利直後という最も油断し易い瞬間を狙うためだったのだ。

 

「ノワール!大丈夫!?」

「え、えぇ…でも、私の力が……」

「卑怯だぞてめぇッ!」

「卑怯?笑わせるな、目的の為に最善の手を打つ事のどこが卑怯だというのだ」

 

悪意に満ちた笑みのマジェコンヌに対し、ノワールへ駆け寄ったネプテューヌを除く私達全員が武器を向ける。消耗した状態である事は否めなかったけど、マジェコンヌがそれを考慮してくれる筈がない。

 

「ノワールの力を奪った事…博覧会を滅茶苦茶にした事、タダで済むとは思わないでよね!」

「ふん、貴様等に温情をかけてもらうつもりは無い。…だがまあせっかく奪えて良い気分なのだ、ここは引いてやろうじゃないか」

「何を偉そうに…!」

「ネプテューヌ、貴様の力をすぐに奪ってやる。……それと貴様、イリゼと言ったな?」

 

マジェコンヌはネプテューヌを一瞥した後、私へと視線を向ける。てっきり私は「貴様の力も奪ってやろう」と言われると思った為、彼女が考えの読めない表情をしていた事に一瞬反応が遅れる。

 

「……何か?」

「…貴様は……誰だ?」

「……ーーッ!?」

 

私の核心へと迫る言葉を告げた後、前回同様消えるマジェコンヌ。皆が取り逃がした事に歯噛みをする中…私だけは、呆然としていた。

 

 

 

 

「……ゼ…イ…ゼ…イリゼってば!」

「……へ?」

 

私を呼ぶアイエフの声に意識を引き戻される私。幸い私が呆然としていたのは数分足らずだったらしく、皆はまだその場にいた。

 

「あんな奴の言葉なんか気にしなくて良いわよ」

「そ、そうだね…」

「戦いは終わったけど…会場が滅茶苦茶ですぅ…」

「博覧会を続けるのも難しそうだね…」

 

コンパとマベちゃんの言う通り、敵は何とか出来たけど博覧会はもうどう考えても継続不能だった。皆がそれに対し落ち込む中…ある意味意外な人物が声を上げる。

 

「なーに落ち込んでるのよ。怪我人を出さずに済んだんだからその位安いものよ」

「ノワール…」

「それに、私の力は奪われちゃったけど、まだ貴女とイリゼの力は無事なんだからそれを守れば良いわ」

 

今回の事で一番落ち込んでると思われたノワールが発したのは誰よりも前向きな言葉だった。彼女の女神としての心の強さ、そしてまだ絶望する様な状況ではないという事実が私達を明るくさせる。

 

「そう…ですわね。過ぎた事をいつまでも悔やんでいるより、次の事を考えませんと」

「イストワールさえ先に解放すればマジェコンヌを止める事が出来る筈だしな」

「けど、その前にこのイベントをどうにかしなくちゃ」

 

残念ながら私達…特に守護女神の皆は戦いの事だけ考えていれば良い訳ではない。政治の事、経済の事、軍事の事…その他様々な事まで気を使わなければならないのだった。

 

「博覧会の後処理にアヴニールの責任問題、そして今後の方針…はぁ、疲れてるのにやる事いっぱいで最悪……」

 

ため息をつくノワールは本当に大変そうだったが、同時にやっと戦いが終わった事に安心している様にも見えた。見回せば、パーティーメンバー全員が同じ様な顔をしている。

ノワールの力が奪われた事、そして私の事…終わり良ければすべて良し、と言える様な状況では無かったけど……皆の顔を見ているうちに取り敢えずは終わった事を喜ぼうかな、と思えた私だった。




今回のパロディ解説

YF-19(エクスカリバー)のテストパイロット
マクロスプラスの主人公、イサム・アルヴァ・ダイソンの事。単騎で超時空要塞の弾幕を突破して頭部(艦橋)を破壊したのだからとんでもないパイロットですよね。

VB-06(ケーニッヒ・モンスター)のパイロット
マクロスFの登場キャラ、カナリア・ベルシュタインの事。味方がいたとは言え、バトル級へ強行着艦し艦橋を吹き飛ばしたのだからこちらも凄いパイロットですね。
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