超次元ゲイムネプテューヌ Re;Birth1 Origins Alternative   作:シモツキ

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第四十一話 休息と新たなる目標

--------身体を伝う滑らかな指。…いや、『這う』という表現の方が適切なのかもしれない。他人の身体でありながら一切の躊躇いもなく蹂躙していくその感覚に私は抗えないでいた。

その腕が、指が身体を這い、得も言えぬ快楽となって私の中を駆け抜ける。頭ではそれに抵抗しようとするも身体は頭での判断を受け付けずにその快感を享受し、逆に頭すらも蕩けさせようと感覚をそのままに伝えてくる。

 

「あっ…ふぁ、ぁ……」

 

固く閉じていた筈の口から漏れ出る嬌声。その艶やかな響きは私を…そして、この甘くも容赦の無い快楽に私を溺れさせようとしている主を高揚させ、更なる刺激を私へと叩きつける。

最早暴力的としか形容の出来ないその甘美な悦楽に思考は瞬く間に掌握され、再び私の口を開かせる。

 

「お願い…もっと欲しいの…だから、最後までして……」

 

己の意思なのかそうでないのか、快楽によって混濁した意識の中ではもう判別すら出来なかったが、ただこれだけは思い出す。…これは、自分が望んだ事なのだったと。

私が全身を駆け巡る快感の虜となった事に気付いたその少女は満足そうに口元に笑みを浮かべ、巧みな指使いで一層私を溺れさせる。

遂に頭も…心も溶かされた私は思考を止め、ただひたすらに快楽を享受する。そしてそれが頂点へと達した時私は…

 

 

「はぅぅ…効くわぁ…凄いじゃないネプテューヌ……」

「でしょー?わたし自身意外だったけどこれはマッサージ師の適正あるのかもね」

 

素直にネプテューヌに賞賛を送っていた。無論本職のマッサージ師には数段劣る(と、思う。実際にしてもらった事はないから分からないけど)ものの、素人の割には上手なものだった。

博覧会が終了してからおよそ一週間。その間ずっと働き詰めだった私の疲労はピークへと達しており、やっと一息つける段階となった時にネプテューヌがマッサージの提案をしてきたのでそれを受け、今に至る訳である。

…今思えばネプテューヌの提案をほいほい受け入れるのは危険行為だったけど…今回はその懸念を良い意味で裏切ってくれたわね。

…と、そこで周りが妙な雰囲気になっている事に気付く。

 

「……どうかしたの?」

「いや、どうかしたもなにも…」

 

私の言葉にイリゼが頬をかきながら返答する…が、どうも歯切れが悪い。彼女一人がそうなら単に調子が悪いのだと結論付ける所だが…全員が似た様な反応だからそれは違うらしい。…ほんとに何なのかしら……。

 

「あ、ノワール、今度は足の方もしてあげよっか?」

「良いの?じゃ、お願いしようかしら」

「おっけー、じゃあニーハイも脱いじゃってよ」

「えぇ…って、脱ぐの?…というか、ニーハイ『も』…?」

 

ネプテューヌの言葉に違和感を感じる私。『も』というのは基本的にその直前の事柄以外にも該当するものがある場合に使う言葉であり、ネプテューヌが誤用していない限りは私はニーハイ以外にも何か脱いでいるという事になる。

……首を回して身体を確認する。大々的に露出したお腹とおへそ。付け根近くまで露わとなった脚。人目につく形となった腕。そしていつもより外部から見て肌色成分を増している胸……

 

「…って、何脱がしてんのよ変態がぁぁぁぁぁぁッ!」

「ねぷうぅぅぅぅぅぅっ!?」

 

寝そべった状態から身体を捻って放ったアッパーカットはクリティカルヒット、ネプテューヌ(変態)を吹っ飛ばす事に成功したのだった。

 

 

 

 

「ネプテューヌ、大丈夫?」

「痛た…うぅ、美少女に理不尽な暴力を振るわれるのも主人公の宿命何だね……」

「うっ…わ、悪かったわねネプテューヌ……」

 

ネプテューヌが一撃でKOされてから数分後。即座に服を着直してネプテューヌに追撃をかけようとしていたノワールに状況説明をやっとし終わった所でネプテューヌが復活したのだった。…うん、何このラブコメ的展開。

 

「全くもー、確かに脱ぐ事提案したのはわたしだけど…それ聞いてノワールが自分から脱いだんじゃん!」

「だから悪かったって言ってるでしょ…って言うか自分で脱ぐって何考えてんのよ私…」

「疲労がピークに達すると判断力が極端に落ちるんだね…私も気を付けないと…」

 

良くも悪くも真面目でしっかりしているノワールですら過労状態になるとこうなってしまうのだ。女神化出来る事と記憶が無い事を除けば普通(…え?その時点で異常?……女の子に不思議はつきものだよ、うん)な私だったらどうなるか予想出来たものじゃない。適度なお休みはしっかり入れないと…。

…と、そこで妙な会話が聞こえてくる。

 

「しかし委員長タイプのノワールがあそこまでなるとは…マッサージも中々恐ろしいですわね。…………」

「ですね。……あの、ベール様…?」

「…あいちゃん、肩凝ってません?疲れは溜まってません?今ならわたくしがマッサージしてあげますわ…」

「め、目が怖いんですけどベール様!?」

「ふふっ、良いではありませんの良いではありませんのー!」

「いや、ちょっ、ベール様……あーれー!?」

 

……うん、何も聞こえなかった。何だか物凄い展開になりそうな気がするしある意味気にはなるけど私は何も聞いてないし聞こえてないんだ。

…と、保身の為に自身を騙しつつ他の面子の会話に混ざる私。

 

「まあでもラステイションでの出来事も一件落着だし良かったよね」

「うんうん、わたしとしても皆に協力出来てよかったよ」

「しかし貴様もこちらに来ているとはな…」

 

顔を見合わせるマベちゃんとMAGES.。何でもこの二人は同じ次元からここにやって来たらしく、その次元でも共闘関係だったと教えてくれた。ハードブレイカー戦で私だけじゃなくMAGES.にも声をかけたのはそれが理由らしい。

 

「二人共同じ次元から来た…これは更に同じ境遇の子がパーティーに加入する可能性ありだね!」

「案外あり得るかもね、別次元から来た人なら他にも何人か会ってるし」

「皆さんがパーティーメンバーになったら凄い大所帯になる気がするですね…」

「…ところで、アヴニールはどうなったの?」

 

ブランの言葉に雑談を止め、答えてくれるであろう相手のノワールへと注目する。アヴニールの今後…それは私達にとってかなり気になるものであり、同時に少なからず影響を与えかねない事でもあった。

そんな私達の反応を見たノワールは特にふざける事もなく、真面目に答える。

 

「アヴニールはちょっと強引だったけど国営企業に変えて、役員を全員一新させたわ。解体するのも手だったけど技術力には私も一目置いてたし、そっちの方がラステイションの発展に活かせるって思ってるわ」

「シアン達中小企業への影響は?」

「そこも考えてあるわ。取り敢えず今までの独占状態にはさせないし、途中までしか出来なかったとはいえ博覧会のおかげで中小企業のシェアも少しは回復してる筈よ」

 

ノワールの言葉を聞く限りは今後の心配は必要なさそうだった。特にアヴニールにしてやられていたブランも安心そうな顔をしている。

 

「…あ、じゃあガナッシュさんと…サンジュさん、だっけ?…はどうなったの?他の役員さんと同じ扱いって訳にはいかないよね?」

「まあ、ね…ガナッシュの方は行方不明よ、多分ルウィーに帰ったんじゃないかしら?」

「ルウィーでわたしへの誤解が解けると良いけど…」

「どうかしらね、で次はサンジュだけど…」

「それはわたしが説明するぜ」

 

そういって現れたのはシアン。博覧会前に言っていた通りきちんとお休みを取っていたのか、彼女の目元のくまは殆ど消えていた。

 

「シアンが?」

「あぁ、サンジュは今うちで働いてるからな」

「へぇー…って…」

『……え?』

 

私は一瞬飲み込みかけた後、皆と揃って反応をする。アヴニールの社長が中小企業であるパッセで働いている…え、何それパッセってアヴニールの天下り先だったの?…って、社長が天下りっておかしいか…っていやいやそこじゃないから私!

 

「シアンのとこで!?なんでなんで?…はっ!まさかこれはパッセのアヴニール化フラグ!?」

「それは洒落にならないから止めてくれよ…サンジュはわたしの親父の友人だったんだ」

「お父さんのお友達、です?」

「そうだ、まぁ…当の親父は大分前に事故で技術者じゃいられなくなっちゃったんだけどな」

 

シアンは語る。元々シアンのお父さんとサンジュさんは同僚だった事。サンジュさんは無人機開発、シアンのお父さんは有人機開発と系統は違ったが共に競い合う中だった事。そしてある時同時にテストをしていた所で事故が起こりシアンのお父さんは大怪我を追ってしまい、サンジュさんの開発していた無人機はその段階では性能が低く、助けられなかった事。それ以降サンジュさんは責任を感じて強い無人機の開発に執着する様になった事。

全てを語り終えた後のシアンは懐かしそうな、そしてどこか複雑そうな表情を浮かべていた。

 

「責任って…話聞く限りサンジュに責任なんてないわよね?なのにどうして…」

「責任、ってか悔しかったみたいなんだよ、友人を助けられなかった自分と自分の開発した無人機が」

「サンジュさんも色々あったんだね…あれ、じゃあシアンが今パッセの社長やってるのって…」

「あーいや、確かに親父の事もあるけど元々わたしは工業に興味があったからな、早かれ遅かれパッセの社長にはなってたさ」

 

人にはある所に辿り着くまでに色々な経緯があって、中には辿り着いた先と経緯が端から見たら結び付かない様な人もいる。そんな当たり前で、なのについつい忘れてしまう事をシアンの話で再認識する私達。先程までえらいピンクな空気を醸し出していたアイエフとベールも会話に参加してくる。

 

「ならばパッセで働く中でシアンさんのお父上と仲が良かった頃の様子に戻ると良いですわね」

「だね…って、マッサージは止めたの?」

「えぇ、満足しましたもの」

「はきゅぅぅ……」

「う、うん…ベールは白式の使い手か何かなの…?」

 

アイエフとベールは何でマッサージだけで言語能力失いかけてるのとか何でマッサージした側が満足してるのとか色々突っ込み所のある二人と化していた。ほんとこの二人が(物理的にも)絡むと毎回とんでもない状態になるなぁ…。

 

「…っと、それはそうと今日はお前等に渡したいものがあってきたんだ。これ、もしかしてお前等が探していたものじゃないか?」

「あ、鍵の欠片だ!シアン、これどうしたの?」

「鍵の欠片?」

「いーすんさんって人の封印を解く為にわたし達が探している物ですよ」

 

毎度おなじみ、新加入メンバーに鍵の欠片やイストワールさんについて説明するくだりが今回も発生する。…あ、もし閲覧して下さってる皆さんの中に知らない方がいたら鍵の欠片が出てくる話見て下さいね。……って…あ、あれ?今私は誰に何を……?

 

「お前等がぶっ壊したハードブレイカーを解体してる時に出てきたんだよ。どうもこいつを動力源にしてたみたいなんだ」

「どうりでどこを探してもない訳ね…」

「うぅ…ん……でもどうして動力源なんかに使われていたのかしら…」

「あ、アイエフ復活してる…」

「やはりマジェコンヌがわたくし達を倒す為にアヴニールに?」

 

ベールの言った意見は確かにあり得る。マジェコンヌにとって強力な味方…じゃなくて、ただの利害の一致なのかな…であるアヴニールに渡すのは何もおかしい所はない。

でも、それは考え過ぎだったらしく、すぐにシアンの否定が入る。

 

「いや、これはマジェコンヌじゃなくてガナッシュが見つけたらしいぞ。調べると凄いエネルギーを持っていたから動力源にしたんだとさ」

「瓢箪から駒だったという訳ね」

「にしてもまさか兵器の動力源にもなるとは…今構想中の新ガジェットに組み込みたいものだ」

「別の用途で使うんだから止めなさいよ…」

 

意外な形で手に入る三つ目の鍵の欠片。っていうかガナッシュさんが見つけたって事はあの人ダンジョンに行ってたの?…無人機と共にとはいえ毎回私達の前に現れてたし実は結構アクティブな人なのかな…。

 

「さて、渡す物は渡したし、わたしはそろそろ帰るよ」

「えー…もっとゆっくりしてきなよー」

「悪いな、今まで休みとってた上に注文も増えてるからそろそろ仕事しないと不味いんだ。その代わり今度ゆっくり飯でも食おうぜ」

「それならシアンとこの食堂が良いな!」

「…うちで良いのか?もっと美味い所なんて沢山あるぞ?」

「いいのいいの!わたしはシアンとこの食堂のご飯が食べたいんだからさ」

 

ネプテューヌの言葉に同意する様に頷く私達。別にシアンの所の食堂の料理が美味しくない何て事はないし…何より良い意味でお店らしくない温かな雰囲気を私達は気に入っていた。

 

「嬉しい事言ってくれるじゃないか…なら、お前の茄子嫌いが治る位美味い茄子を用意しとくよ」

「え!?…そ、それはわたし的には遠慮したいかなぁ……」

「冗談だよ冗談。それじゃ、またな!」

 

ネプテューヌの反応に笑いつつも軽快に出て行くシアン。彼女も彼女でまだ色々と大変そうだけど…今までの努力がやっと実を結んだ事もあってとても幸せそうだった。…何だか私達まで嬉しくなるね。

 

「経緯はともあれ、これで三つ目ね」

「て事は、恒例のいーすんタイムだね!いでよいーすーん!カームヒアー!」

「…はい、皆さん三つ目め回収お疲れ様です」

『この人が、イストワール…』

 

今までイストワールさんとの会話の機会が無かった面々が驚き混じりの声を上げる。やはり実体が無いのに声だけ聞こえる、という状況に慣れてる人はおらず、女神も魔術師も忍者も驚いていた。

 

「けど、いーすんごめんね。マジェコンヌにノワールの力をコピーされちゃったよ」

「そうですか、ノワールさんの力までもが…。…まあ、過ぎた事は仕方ありません、ネプテューヌさんの力が奪われる前に一刻も早く四つ目の鍵の欠片を見つけ、私の封印を解いて下さい」

「えぇ、ルウィーの鍵の欠片はフィナンシェとミナを中心に探してくれてる筈だからもう少し待って頂戴」

 

そう、ルウィーで私達は鍵の欠片を見つけられなかった。…けどまあ、フィナンシェさんもミナさんもしっかりした人だからそっちは大丈夫かな。

 

「分かりました。では先に私の封印場所について教えておきます」

「どこどこ?もしかしてみたまのとう?」

「私は別に悪さをしたせいで封印された訳ではありません…私が封印されている場所はプラネテューヌです」

『プラネテューヌ?』

 

てっきり女神の統治の外にでも封印されているのかと思っていた私。どうやら皆もそうだったらしく全員で揃って復唱してしまう。

 

「プラネテューヌのどこなんですの?」

「申し訳ありません、詳しい場所までは…」

「なら、一旦プラネテューヌに行きましょ」

「そうね、コンパの部屋を拠点にした方が効率的だわ」

「はい、皆さんお願いします」

 

私達が今までと同様一度コンパのアパートへ向かう事を決定した辺りでまた時間が来たらしく、イストワールさんの声が遠くなり聞こえなくなってしまう。限定された時間の中で必要な事を話すのは難しいよね。

 

「よーし、そうと決まれば早速準備してコンパのアパートへGOだね!」

「わたしは行くの初めてだからちょっと楽しみだなぁ」

「別に面白い所のあるアパートじゃないですけどね」

 

雑談を交えながらも各々準備をし、およそ一時間後にはラステイションの教会を出る私達。イストワールさんの封印されている場所を探すという今までよりも重要な目的があるからか、皆の様子もこれまで以上に真剣なものに……

 

「ふふーん、プラネテューヌは言わばわたしのホームグラウンド!主人公らしさもバリバリになる筈だよね!」

「ホームグラウンド?何も女神としての記憶ないくせに?」

「そもそも貴女の主人公らしさはいささか尖り過ぎですわ」

「ほんとにどうして貴女が主人公なのかしら…」

 

…ならないよね!だって私達だもんねっ!……はぁ…。




今回のパロディ解説

・白式
IS〈インフィニットストラトス〉の主人公織斑一夏の使用するISの名称。織斑一夏もマッサージが得意らしいですが…ベールはどんなマッサージをしたんでしょうか…。

・「〜〜いーすーん!カームヒアー!」
無敵鋼人ダイターン3で主人公、破嵐万丈がダイターン3を呼び出す時の掛け声のパロディ。偏りのある私と違いほんと原作は多種多様なパロディネタを扱ってますね。

・みたまのとう
ポケットモンスター ダイアモンド・パール・プラチナで出る場所…というかオブジェクトの事。かなめいしで封印されるイストワールというのはちょっと想像出来ませんね。

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