超次元ゲイムネプテューヌ Re;Birth1 Origins Alternative 作:シモツキ
本、テレビ、ネット…今のご時世情報を手に入れる手段は色々とあるけど、なんだかんだで一番良いのは人に聞く事、だと私は思う。他の手段は基本的に知りたい事柄に最も近い回答を探す形になる性質上、自分の求めていた事に完璧に合致するものが得られるとは限らない上、知りたい対象に対する最低限の知識が無ければそもそも調べられないという事もあり得る。
だが、人に聞いた場合は違う。知りたい事柄に対し相手がその場で考えて回答を出してくれる為より自分が満足出来る答えを得られやすい上にほぼ無知でも聞く事が出来る(勿論人と話す訳だからマナーは必要だけど)からだ。
無論、これは私の主観だし欠点(相手の都合に左右される、前述の通りある程度のマナーが必要)もある訳だから一概に人に聞く事が良いとは言えないけど、とにかく有益な手段の一つである事は事実だと思う。そして、それは私以外の皆も多かれ少なかれそう思っていたから……
「…って訳で、街中で聞き込みをしてみましょ」
女神の修行の場となっていたダンジョンについての情報収集を人に聞いて…つまり、街中で聞き込みをするという形で行う事となった。
「うぅー…こういう地味なの苦手なんだよなぁ…」
「だからって派手にした結果漫才になっちゃった事もう忘れたのかなぁ?」
「で、ですよねー…」
「根気強く頑張るですよ、ねぷねぷ」
各々の意気込みはともかく聞き込みを開始する私達。人海戦術…という訳では無いけどパーティーメンバーが九人もいるおかげで短時間に多くの人、多くの地域で聞く事が出来、かなり効率の良い聞き込みとなっていた。
…ただ、それはあくまで効率の話で……
「全っ然有力な情報手に入らないね…」
「そう簡単に見つかるとは思ってなかったけど、まさかここまでとは…」
「世の中都合良くはいかない、という事か…」
「…ところで、女神の皆は?」
一度集まって軽い報告会をした後、ふとした疑問をマベちゃんが述べる。彼女の言う通りノワール、ベール、ブランの三人は何故かこの場に集まっていなかった。
「三人なら情報のありそうな場所に行くって言ってたよ」
「情報のありそうな場所、です?」
「うん、どこ行くかは聞いてないけどきっと羽川さんの所とかじゃない?」
「いやそれだと旅の一環で次元超えてる事になるから羽川さん……」
今いる場所を集合場所としている為移動する訳にはいかず、仕方ないので他愛もない会話を始める私達。その雑談が適度に盛り上がってきた辺りで件の三人が帰ってくる。
「お待たせ、何か情報あった?」
「残念ながら全く…。そっちは?」
「図書館で調べたけど、全然駄目ね。お伽話位しかなかったわ」
「わたくしもネットでスレ立てしたりして情報を集めましたけど、それらしき情報はありませんでしたわ」
「私も伝承学で有名な教授とかに話を訊いてみたけど、ダンジョンの詳しい場所は分からなかったわ」
どうやら三人も収穫無しだったらしく、全員で揃って嘆息を漏らす。確かにそう都合よくはいかないだろうとは思っていたけど、ここまで情報が無いと気落ちもせざるを得ない。…というか、冒頭で人に訊くのが一番って出したのに普通に図書館とかネット使われたら私が古い人間みたいじゃん!
「うぅん…どうする?もうここは職員さんに期待して待つ?」
「あの人に期待しないって訳じゃないけど、待つのはあまり得策じゃないと思うわ。それで情報無しだったら待ってた時間が無駄になるし」
「じゃあ、次はどうやって探すですか?」
「……あ、なら良い案があるよ?」
…と、言いながら樹の枝らしきものを取り出すネプテューヌ。一瞬満場一致で『……は?』という雰囲気になるも、このタイミングで出したのだから何かあるのだろうと思って質問をする。
「これって樹の枝…だよね?これが何なの?」
「これを倒して、倒れた先に進むの!きっとわたし達を導いてくれる筈!何故なら、わたしは主人公だから!」
「何その凄く古典的な方法…」
ネプテューヌの言葉に再び微妙な雰囲気になる私達。樹の枝の使い方も結果の根拠もふわっとし過ぎているにも関わらず自信満々のネプテューヌはイタいを通り越して逆に可愛さすら見せていた(私の主観です)。
…が、そこに意外にも援護が入る。
「…けど、手がかりがない以上それに頼ってみるのもありね。案外、思わぬ発見があるかもしれないわ」
「流石ブラン!冒険の浪漫が分かってるね!」
「あ、ネプテューヌは冒険の浪漫で言ってたんだ…」
浪漫と言うとそれっぽく聞こえてしまうから困ったものである。まぁ、それは別として実際ブランの言う事は最もだし、アイエフの言う通り、待ってた結果その間の時間が無駄になる可能性もあるからか皆も賛同し始める。
「まぁ、ブランがそう言うなら試してみましょ」
「そうですわね。ここで立ち話してても何も得られませんしわたくしもブランに賛成ですわ」
「…あれ?わたしの扱いなんか悪くない?」
「日頃の行いのせいね」
容赦のない突っ込みを浴びせられるネプテューヌ。…まぁ、突っ込みについては大いに同意だけどね。
ネプテューヌは自身の扱いと突っ込みに不満たらたらの様子を見せるも、反論するより樹の枝作戦で成果を上げて評価を上げてやろうと思ったのか樹の枝を地面に立て、手を離す。そして、その樹の枝が倒れた先は……
「…郊外の森を指してるわね」
「けど、あっちには森林公園と地下の洞窟がある位よ?例のダンジョンなんてあるかしら…」
「…ねぇあいちゃん。せっかくだしさ、行ってみようよ。案外身近な所に隠されてるかもしれないし、一から探してみるのもありだと思うな」
「…それもそうね……ねぷ子にしては珍しい事言うじゃない」
少々驚いた様な顔を見せるアイエフ。前にも少し思ったけど、ネプテューヌはボケに走りさえしなければ割とまともなのかもしれない。しょっちゅうボケに走るからその一面ははぐれメタル並みに出現率低いけどね。
「でしょ?…って、それちょっと酷くない…?」
「貴女の場合は日頃の言動のせいでしょ」
「うっ…あいちゃーん、ぼっちのノワールがいじめるー」
「だから…誰がぼっちよ、誰が!」
またも容赦のない突っ込み(内容は妥当)を浴びせられるも、今度は論点のズレた反撃をするネプテューヌ。勿論これは特別な理由があるとかじゃなく単にノワールの方が弄りやすいだけ、って事なんだろうけど。
「たまにはまともな事を言うと思ったら、すぐこれなんだから…」
「アイエフよ、ネプテューヌがまともで居続ける事などどだい無理な話だろう」
「だよね、そういうのネプテューヌさんのキャラじゃないし」
「異次元組はよく分かってるのね…ま、最初のダンジョン行くとしましょうか」
という訳で最初のダンジョンである森林公園へと向かう私達。ダメで元々、という考えではあるけど出来れば何かしら発見があるといいな、と思う私だった。
あれからおよそ数十分後、ダンジョンとしては難度が低い事もあって和気藹々としながら森林公園を進んでいった私達は大穴…つまり、ネプテューヌが突き刺さっていた場所に到着した。
「ここが例の…?」
「うん。ここでコンパに拾ってもらったんだ。で、記憶の手がかりを探して初めてきたダンジョンもここで、そこにある大穴はわたしが突き刺さって出来た穴なんだ」
「あの時はいきなりだったのでびっくりしたですよ。けど、ねぷねぷとの良い思い出です」
「わたしにとっても大事な思い出だよ!…でも、我ながらよく天空から落っこちて刺さったにも関わらず生きてたよねぇ……って、あれ?」
苦笑混じりのネプテューヌの言葉を聞いた途端、バツの悪そうな顔を見せる守護女神三人。笑うでもなく突っ込むでもないその反応にネプテューヌは勿論、私達も怪訝な顔をする。
「え、っと…どうかしたの?もしやわたし何か嫌な事言っちゃった?」
「嫌な事って言うか、ほら…ネプテューヌが落ちたのって私達が貴女を
「あの時は何も感じませんでしたけど…今となっては罪悪感に苛まれますわね…」
「…本当に、貴女には悪い事をしたわ……」
「…なぁんだ、そんな事?もー、わたしが気にしてないんだから皆も気にしなくていいんだって。っていうか落ちたおかげで皆と出会えて友達になれたんだからむしろ良いこと尽くめだったんだよ?」
にぱぁ、と笑顔を見せながら返すネプテューヌに救われたかの様な表情を見せた後、それぞれの笑顔を返すノワール、ベール、ブラン。
…ネプテューヌが言った事は結果論で、偶々運が良かっただけだ。そう切り捨ててしまう事も出来るし、正直ネプテューヌは甘いのかもしれない。…でも、誰もそんな事は言わない。だって…
「…誰も幸せにならない論より、ネプテューヌの言葉の方が優しくて強いもんね…」
「ねぷ?イリゼ、何か言った?」
「ううん、私の中でネプテューヌの株が急上昇してるだけだよ」
「そうなの?よく分かんないけどやったね!」
若干恥ずかしかったので本音を隠しつつ、でも嘘ではない事を言って話を逸らす私。その内容が褒めるものだった為、予想通りはしゃぐネプテューヌ。
…と、その時どこかで聞いた声が響く。
「あれ?もしかしてネプテューヌさん達?」
「お、サイバーコネクトツーじゃん!久しぶりー!何してんの?」
「うん、ちょっとやる事が…って、MAGES.にマベちゃん?」
「やっぱりサイバーコネクトツーも来てたんだね」
「元気そうで何よりだな」
別次元組の二人と顔を見合わせるサイバーコネクトツー。三人の顔は多少の個人差はあれど、全員驚いた様な…そして懐かしそうな様子を見せる。…あれ、って事はつまり…
「…もしや、サイバーコネクトツーも二人と同じ次元から?」
「そういう事さ。まぁ、とある次元で仲間だった事があるってだけで別に皆同じ所出身って訳じゃないけどね」
「…という事はつまり、ここと貴女達が一緒にいた所以外にも次元はあるの?」
「あぁ、正確な数こそ分からないが私達が知る次元以外にも多くの次元があるだろうな」
さらっと衝撃の事実を口にするMAGES.。ただ、異常も非日常もお友達の私達でも流石に次元云々は実感が無かったおかげで変にテンパったり動揺したりせずに済む。まあ勿論驚いてない訳じゃないけどね。
「…ところで、サイバーコネクトツーさんはさっき何を言いかけたんですか?」
「あ…こほん、最近この辺りに不審者が出没するらしいから見回りをしてるんだ」
「不審者かぁ…わたし達なら簡単に撃退出来ると思うけど、一応気をつけないとだね」
「そういうネプテューヌさん達はどうしてこんな所に?」
至極真っ当な質問を投げかけてくるサイバーコネクトツー。私達はその質問はどのタイミングかでされるだろうと薄々思っていたので、ここに至る経緯を掻い摘んで説明する。
「隠しダンジョンに女神様の伝承かぁ…ごめん、今回は力になれそうにないや。けど、怪しいダンジョンならこの下の洞窟なんて凄く怪しそうだよね」
「この下の洞窟です?」
「ゲームでも、洞窟ダンジョンには昔から隠し通路や仕掛けが沢山あるからね」
「確かに、洞窟にある大穴に飛び込むと、別世界が広がっていたというゲームもありますし…可能性は高そうですわね」
相変わらず情報不足の私達にとってはどんな手がかり、どんな発想でもありがたい。…と、言う訳でサイバーコネクトツーにお礼を言って別れた後、目の前の洞窟…つまり、魔窟へと入る私達。
そして、そこからまた数十分後…
「うーん、一通り回ってみたけど特に何もないね…」
「ねーマベちゃん、忍者ってゲームだと盗賊と近い扱いだしスキルで何か見つけられたりしない?」
「わたしにそんなスキルは無いよネプちゃん…」
ネプテューヌのそれは明らかに無茶振りだったけど、気持ちは分からないでもない。初めて行くダンジョンならともかく、既に来た事のあるダンジョンをただうろうろするのは予想以上に暇になる作業だった。
そして鍵の欠片があったらしい所に辿り着いた時、それまで黙っていたノワールが口を開く。
「…ねぇアイエフ。プラネテューヌの鍵の欠片はここにあったのよね?」
「えぇ、そうよ」
「……そう」
「…どうかしたの?」
我等がパーティーのクール&ビューティー組、アイエフとノワールが何やら話し始める(キレ要素や厨二要素が無ければブランやMAGES.も入れそうなんだけどなぁ…)。この二人は割と常識人だし何か見落としてる要素を発見出来るかもしれない。
「んー…気のせいだと良いんだけど、何か引っかかるのよ」
「隠し通路の事?」
「えぇ、けど具体的に何がどう引っかかってるのか全然分からなくて…」
「あるある。そういうのって歯痒くて気持ち悪いのよね」
ノワールの感覚にアイエフが理解を示し、揃って苦笑をする。あぁ残念、二人から何か発見出来そうな雰囲気が消えてしまった。全くそんな雰囲気を出せてない私が言える立場じゃないけどさ。
…とか思ってた所に聞こえてくるネプテューヌの声。
「…あれ?」
「どうかしたのネプテューヌ。そっちは行き止まりよ」
「ねぇ、皆なんかこの先変じゃない?行き止まりなのに風が吹いてるよ?」
「なんですって!?」
ネプテューヌの発見に皆がその壁へと集まる。一見何の変哲もない壁、しかし近付くと確かに風が吹いているのを感じる。
「もしかして……」
「……!?ブランさんが壁の中に消えたです!?」
「この壁…よく見ると魔法で出来た幻影ですわ」
「この先に道が続いているわ。多分、わたし達が探しているダンジョンじゃないかしら」
ひょこっ、と壁から顔だけを出すブラン。端から見るとシュール且つホラーという奇妙な状況ではあったけど、今の私達にとってはそんな事より隠し通路を発見した事の方が大きく、若干の興奮を言葉に帯びさせながら会話を続ける。
「まさか、こんな所に隠されてるなんて…気付かなかったわ」
「ねぷねぷ、お手柄です!」
「いやぁ、それ程でもー。これも主人公たる幸運って奴?…あ、ご褒美はバケツプリンが良いな!」
「こら、調子乗らないの。…けど、今回はその位のご褒美も有りね」
「やたー!夢のバケツプリンだー!やっぱ言ってみるもんだねぇ」
大喜びのネプテューヌと、それを温かい目で見つつも次々と壁の先の通路へと入っていく私達。ブランの言う通り、壁の先にはここまでとは明らかに別物と思われる場所が広がっていた。
「これは一気に可能性が見えてきたね…」
「だね。…っていうかこんぱ、あいちゃん、何かあの時の事思い出すよね」
「あの時の事?」
「ほら、イリゼを見つけた時もこんな感じだったじゃん」
『あー……』
自分の名前が出てきた事で目をぱちくりさせる私の前で頷き合うコンパとアイエフ。勿論、私もその当事者…というか中心人物ではあったけど、その時はずっと意識がないままだったからいまいち実感が湧かなかった。
…そういう意味では、私はネプテューヌ達女神以上に特殊な存在なのかもしれない。記憶もなく、私の事を知っている人もいないから私は特殊なのかそうじゃないのか…そもそも、私は何なのかすら分からにゃ……
「
「何か物凄く暗い顔してからだけど?」
「…ぷへっ…だ、だからって頬引っ張んなくても良いじゃん…」
「暗い顔してたって何にも楽しくないし何も変わんないよ?何考えてたのかは分かんないけど、せっかく皆でいるんだし楽しくいこうよ」
私の頬を引っ張っていた手を離し、今度は私の手を引っ張って皆と合流させようとしてくれるネプテューヌ。
……やっぱり、優しくて強いねネプテューヌ…。
「……ありがとね、ネプテューヌ」
「ねぷ?」
「何でもないよ、今日は戦闘無かったのに活躍多かったね。よっ、流石主人公!」
「でしょでしょ?ふふーん、この調子でいーすんも見つけちゃうよー!」
堂々と歩くネプテューヌに勇気付けられる私。そう、暗い顔してたって楽しくも、何か進んだりもしないのだ。ならば空元気でも明るくした方が良いのかもしれない。
ネプテューヌはそこまで考えていなかったのかもしれないけど、彼女の言葉で少しだけ元気を貰えた私だった。
今回のパロディ解説
・羽川さん
化物語シリーズのヒロインの一人、羽川翼の事。何でも知っている(気がする)彼女なら、場所そのものは教えてくれなくとも、大きなヒントはくれそうですね。
・はぐれメタル
ドラゴンクエストシリーズに出るメタル系モンスターの一つ。メタル系も色々といますが、最も発見し辛いのはどれでしょうね?勿論作品ごと出現確率は違うでしょうけど。
・「〜〜洞窟にある大穴に飛び込むと、別世界が広がっていたというゲーム〜〜」
ドラゴンクエストⅢ及びそれに登場するギアガの大穴の事。このパロディ内容ならば他にも該当する作品はありそうですね。もしお暇なら教えて頂けるとありがたいです。