超次元ゲイムネプテューヌ Re;Birth1 Origins Alternative   作:シモツキ

6 / 108
プロローグ 少女達の邂逅

バーチャフォレストの地下、魔窟。

およそ一般的な少女には似つかわしくないであろうこの場所に三人の少女の声が響く。

 

「ねぷぅ…ねーまだゴールまで着かないの?」

 

真ん中を歩く少女がぼやく。

短めの薄紫色の髪とそれより濃い紫色の眼を持つ、快活そうな少女の顔は憂鬱そうに歪んでいる。

 

「ねぷねぷはもう飽きちゃったですか?」

 

左隣の少女が声を返す。

ウェーブのかかったミルクティー色の髪と赤みの強い琥珀色の眼の少女は温厚そうな雰囲気でぼやく少女に微笑む。

 

「ゴールって何よゴールって…ゲームじゃないのよ?」

 

右隣の少女が突っ込み気味に嗜める。

リボンで茶色の髪の一部を結んだ緑色の眼の少女は二人よりも少し大人びた表情を浮かべる。

 

「へ?何言ってるのさ、あいちゃんにはプレイヤーの皆…あ、いや今回は読者の皆かな?…が見えないの?」

「またそんな事言って…側からだとイタい人にしか見えないわよ?」

「イタい人?やだなぁ、わたしはイタい人じゃなくて主j 「ねぷねぷは主人公さんなんですよね〜」 …こんぱ…そこはわたしに言わせてよ…」

 

ダンジョン内とは到底思えない緊張感もへったくれもない会話だが、地面に刺さっている所を発見されるという衝撃的な出会い方や不注意が原因で正面激突を起こすというベタ過ぎる出会い方をした彼女達では仕方ないのかもしれない。

当然、モンスターがその声に気付かない筈はなく、何度も彼女等に襲いかかるが…

 

「ぬら〜!」

「ていっ!」 「えーいっ!」 「遅いっ!」

「ぬ、ぬらぁ〜……」

 

返り討ちにされ、情けない断末魔をあげながら消滅するモンスター。三人は慣れた様子で各々の武器をしまい(三人の武器のうちでまともなものはカタールだけであり、他は修学旅行のお土産と思しき木刀とサイズのおかしい注射器である)、歩みを進める。

そんな珍妙な少女達一行だったが、別に暇を持て余して散歩に出掛けた訳でもなければ流浪の民という訳でもない。

 

「…にしても、さっきは驚いたわ。まさかねぷ子が変身するなんてね」

「わたしも最初に見た時はびっくりしたです」

「だよねー。当のわたしだって最初は驚いたし今も変身出来る理由が分かんないもん」

「不思議ですね…あ、行き止まりみたいです」

「そうね、じゃあちょっと戻りましょ」

 

暫く歩いた末に行き止まりにぶつかり、来た道を引き返す一行。またも紫色の髪の少女がぼやくと思いきや、少し開けた場所で足を止める。

 

「じゃあ今度はこっちの道を…って、どうしたのよねぷ子?」

「…ねぇこんぱ、あいちゃん…さっきあんな穴開いてたっけ?」

「え?…うーん…開いてなかったと思うです」

「そうね、あのサイズの穴なら見落とす訳ないし…あ、さっきねぷ子がここら辺で倒したモンスターがぶつかったんじゃないかしら?」

「そっか、わたしが吹っ飛ばした後砂煙で壁の方は見辛かったもんね」

 

さっきとは行き止まりに繋がる道に入る前、門番の様なモンスターと変身した少女が戦った時である。

少女達は興味本位で穴に近付く。

 

「道が繋がってるみたいです…行ってみるですか?」

「止めておいた方がいいんじゃない?この道の先がちゃんと歩ける様になってる保証はないわよ?」

「でもなんか舗装されてる感じしない?」

「言われてみると確かに…何かしらの理由で入り口が塞がっちゃっただけなのかしら?」

「それも行ってみれば分かるかもですね」

「うんうん、という訳で行ってみようよ、お宝があるかもしれないしさ」

 

会議…と言うよりも単なる話し合いの結果、穴の先へ進む少女達。道中でモンスターに出くわす事もなく順調に進んで行く。そして…

 

「わっ、なにここ…」

 

中央に柱の様な物が鎮座する部屋に出る少女達。どう見てもこの部屋は天然ではなく人工的な造りとなっている。

 

「ちょっとこれは予想外の展開ね…」

「不思議な所です…」

 

部屋を見回す二人を差し置いて紫色の髪の少女は柱の様な物に近付き、触れる。

 

「何だろうこれ…柱っぽいけど違うよね?」

「あ、ねぷ子いつの間に…って、何か光ってない…?」

「え、そんな訳…あった!?何で!?」

「わわわっ、光の線も出てきたです!?」

「ちょ、ねぷ子何したのよ!?」

「何もしてないよ!?こんぱどうにか出来ない!?」

「わ、わたしに言われても無理ですー!」

 

予想だにしない突然の出来事に動揺する少女達。その間にも光の線は柱状の物体を縫う様に広がっていき、それに比例する様に光の強さも増していく。そして光の線が端まで届いた瞬間、光は目を開けていられない程強くなり、部屋を白く染める。

 

数瞬後、光が収まると同時にゆっくりと目を開ける少女達。

 

『…え……?』

 

三人同時に声をあげる。それもその筈、少女達の視線の先には…

 

 

一人の少女が、眠る様に倒れていたからだった…。

 

 




手探りで始めた第一話(プロローグ?)を読んで下さり、ありがとうございます。
三人称視点、各キャラの名前が地の文で出ないなど特殊な点がいくつかありますがこの話が例外であり第二話(実質的な第一話)からは普通になると思います…多分。
至らぬ点も多いと思うので、皆様暖かく見守ったり指摘したりして下さい。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。