超次元ゲイムネプテューヌ Re;Birth1 Origins Alternative   作:シモツキ

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第二話 武器とディスクと高笑い

目の前には数多の武器、どれも振るえば人を傷付けるのに十分な威力を発揮するだろう。

持ち主無き武器の山を前にした時、私は……

 

 

「流石武具屋さん、色々あるね」

 

普通の感想を口にしていた。いや、まあ当然多少は気圧されたりもしたけれど武具屋に行くとなった時点で、ある程度は想像していたから極度の驚きはない。

 

「イリゼは武器とかに燃えるタイプ?」

「うーん…微妙…かな」

「じゃあ萌えるタイプ?」

「……?燃えるの同音異義語?」

「あー…うん、まさか記憶喪失にボケ殺しさせられるとはね…」

 

なんて雑談をしながら武器を見て回る私とネプテューヌ。

私は最初すぐにダンジョンに行くつもりだった(ほっぺのプリン?…ナンノコトカナ-?)けどその日はもう遅かった事と私は何の準備も無かった事から止めて、翌日である今日に行く事となったのだ。

 

「ところでこんぱとあいちゃんはどったの?」

「別の買い物みたいだよ。二人は武器の新調は必要ないみたいだし」

「そっか、つまり今は記憶喪失コンビで武器探しな訳だね」

「やけに説明口調だね…って言うか記憶喪失コンビって…」

 

迷子の危険性のあるコンビだった。二人が買い物終えてこっちに来るまで別のお店に行ったりしない様にしないと…。

武器を種類ごと見ていく私と両手持ちの刀剣類を中心に見ていくネプテューヌ。…うーん…。

 

「どうかしたの?万引きGメンならいないと思うよ?」

「取り敢えず万引きしようとしてる前提で聞くの止めてくれる…?…こう、何ていうか…これだ!って感じの武器が無くて…」

 

自分に合わない武器を選んだ結果モンスターにやられるのは御免なので合う武器を選びたいところだけど…中々見つからない。何となく刀剣類が良い気もするけど…。

 

「感覚で決めたら良いんじゃない?どの武器が合うかなんてこの場じゃ分からないしさ」

「確かにそうだけど…ネプテューヌは決めたの?」

 

そう、武器を買いに来たのは私だけじゃない。流石に木刀じゃ無理があると感じたネプテューヌも探していたのだ。

 

「うん、これとか…どうかな…?」

「これって…指輪?指輪って武器だっけ?」

「ううん…指輪だよ?…分からないの…?」

 

頬を赤らめ、上目遣いで私を見るネプテューヌ。それの意味するところはつまり……

 

「え……嘘ぉ!?嘘でしょ!?嘘だっ!」

「ひぐらしネタは微妙に古いですよ会長」

「いやネタでもなきゃ会長でもないんだけど…でもボケだったんだ、良かった…」

 

胸を撫で下ろす私。前の嘘といい今といいほんとネプテューヌのボケは縦横無尽過ぎる…。

 

「あはは、イリゼも結構良い反応するね。ねぷ子さん満足だよ」

「さいですか…あ、この剣何だろう…」

 

多少げんなりしながら武器に視線を戻した私の目に数本の刀剣が止まる。

 

「何って…片手剣じゃないの?」

「ううん、片手剣にしては柄も刀身も長いし重いよ?」

「あ、ほんとだ…でも両手剣でもなさそうだね…」

「双剣用でもなさそうだしレイピアや刀な訳もないし…あ、でも何か分かる気もする…えっと、確か……」

 

「バスタードソード、じゃなかったかしら?」

 

いきなり後ろから声をかけられる。だが声から察した私とネプテューヌが振り向いた先には予想通りアイエフとコンパがいた。

 

「二人共お待たせです。困った事は無かったですか?」

「大丈夫、無かったよ。…それであいちゃん今バスターソードって言ったよね、それってでっかい剣じゃないの?」

「バスターソードじゃなくてバスタードソードよ。片手剣としても両手剣としても使える剣で片手半剣なんて呼ばれたりもするわ」

 

アイエフが説明すると同時に私もバスタードソードについて思い出してくる。ただこれは記憶が戻ったと言うより単にど忘れしてただけな気もするけど…。

 

「へぇ、便利な剣があるんだね」

「…そうでもないと思うよ、主に重さの面で」

「どういう事です?」

「えっと、片手剣としては重いし、両手剣としては軽いの、分かる?」

「どっちとしても使える分どっちとしても中途半端、という事ね。最もそれも使い手次第でしょうけど」

 

旅人だからなのかアイエフは詳しかった。武器に詳しい女の子ってのもどうかと思う気がしないでもないけど…。

なんて思いながら持って構えたバスタードソードは意外としっくりきた。

 

「あら、結構様になってるじゃない」

「そう?…まあ確かに今までの中では一番良いかも…」

 

その後もいくつか武器を持ってみるもバスタードソード程のしっくり感は無かった。なので私は決心し…

 

「お買い上げ有難うございましたー」

 

先程持ったバスタードソードを購入。ネプテューヌは私が聞くよりも前に決めていたらしく、私とほぼ同じ理由であまり豊かではないらしいお財布と相談した結果、お手頃なお値段の刀(俗に言う『なまくら』の類いらしいが実質的には打撃武器である木刀よりはよっぽど斬れ味が良い模様)を買っていた。

 

「…訳ありとは言え出会って数日の友達に借金なんて…私悪い子になっちゃったよ…」

「気にしなくて良いですよ?イリゼちゃんが素手でダンジョン行くよりはずっとマシです」

「って言うかならわたしにもお金貸してくれたらもっといい武器買えたのに…」

「ねぷ子はクエストでのお金あるでしょ」

 

武具屋を出てギルドへ向かう道中での会話。これで買った物がクレープやアイスとかなら可愛げもあるけど、これかが実際には刀剣類なんだから恐ろしいものだよね…。

 

「そう言えば…コンパは武器変えなくて良いの?」

 

そう、コンパは注射器を護身用の武器代わりにしている。確かにサイズ的には武器にならない事もないけど…それで良いのだろうか?

 

「看護師の武器は注射器だから大丈夫です」

「いや看護師ってそもそも戦闘職じゃないよね…?」

 

出来れば看護師や医師にはモンスターよりも怪我や病気と戦って欲しいところだけど…まあそこはコンパの自由だよね。

 

なんて思っているうちにギルドに到着。三人の手伝いをしつつ借金返済をする為にクエストを受注しようと思ったけど…

 

「…多過ぎてどれ受注すれば良いか分からない…」

「え?普通に【章】ってやつ選べば良いじゃん」

「アレプレイヤーさん視点限定のマークじゃないの!?」

「さぁ…?」

「二人して変な会話してるんじゃないわよ、ほら」

 

何故か私まで窘められてしまった…不備のある突っ込みをした覚えはないんだけど…。

その後コンパとアイエフに勧めてもらったクエストを受注し、ギルドを出る私達。今度こそいざダンジョンへ!

 

「…で、魔窟ってどう行くの?やっぱ陸路?」

「え?普通にワールドマップからカーソル合わせてぽちっとすれば良いじゃん」

「だからそれはプレイヤーさん限定じゃないの!?」

 

 

 

 

「はぁぁぁぁっ!」

 

魔窟に入った直後に襲ってきたシカベーターとか言うモンスターの攻撃をサイドステップで回避し、即座に袈裟懸けを叩き込む。攻撃を受けて消滅するシカベーター。ま、真剣でバッサリやられたらひとたまりもないよね。

 

「わぁ、イリゼちゃん凄いです〜」

「そう?皆も同じ位強いじゃん」

「初戦闘で同じ位戦えるから凄いのよ」

「そ、そっか…」

 

褒められるとは思ってなかったからつい照れる私。そっか、私って凄かったんだ…よーし、もっとモンスター倒して皆を助けよう!

 

「でも、油断と慢心は禁物よ?」

 

右手を振るってカタールを投擲するアイエフ。カタールは真っ直ぐ飛び…私の後方から攻撃を仕掛けようとしていたモンスターに突き刺さる。

 

「ほらね?」

「…はい、気を付けます…」

 

調子に乗った直後に落とされた。世界は優しいのか厳しいのかよく分からない…。

 

「…あれ?ねぷねぷはどこに行ったですか?」

「あー…ほら、ネプテューヌならあそこでしょうもない事してるよ…」

 

そう言って私が示した先には…

 

「ひゅーひゅー、熱いねぇお二人さん、モンスターを人って呼ぶかどうか知らないけどね」

 

やけに密着してるゴーストボーイとゴーストガールに野次を飛ばしているネプテューヌがいた。…何がしたいの……。

 

「仲良しなモンスターさんですね」

「コンパ、確かにそこも気にはなるけどそれはどうでも良い事よ…」

「ネプテューヌには定期的にボケないといけない縛りでもあるんじゃ…」

 

半ば呆れつつゴーストカップルを倒す私とアイエフ。今度は別の類いの野次をネプテューヌに飛ばされたけど当然スルーして奥へ進む。

 

「しかしこうも暗いと危ないね…」

「そうね、私もここら辺でねぷ子とぶつかった事で二人と出会った訳だし」

「そう言えばそうだったね、あ…」

「ねぷねぷ、どうかしたです?」

「ほら、二度ある事は三度あるって言うしまたあのでっかいモンスター出るんじゃ…」

 

そう言って見回すネプテューヌ。コンパとアイエフも用心してる様に見える。

 

「でっかいモンスター?何それ?」

「二回も襲ってきたモンスターさんです、見た目は…うーんと…」

「何て言うか…そうそうあれだよ、ゲルズゲー。ライフルじゃなくて剣っぽいの持ってたけどね」

「うわぁ…それは大変だったね…」

 

ゲテモノ系MAっぽいのに襲われたら確かにキツい。私ん見付ける前に倒してくれて良かった…。

そして更に私達は進む。幸い例のモンスターはほんとに倒されたみたいで出る事もなく、私の受注した討伐クエストも問題無く遂行する事ができた。そしてそろそろ最深部なんじゃないかなー何て思い始めた頃…

 

「ねぇねぇあいちゃん、なんかこんなの拾ったんだけどさ」

「これは…ディスク?ねぷ子、こんなのどこで拾ってきたのよ?」

「何かあっちの壁に飾ってあったよ?」

 

ネプテューヌが洞窟内には似つかわしくない物を見つけてくる。

 

「このディスクが壁に?…本当かしら…」

「ねぷっ!?酷いよあいちゃん…まさかこのわたしを疑うの!?」

「ねぷねぷを疑うなんて酷いですよあいちゃん」

「ま、まあまあ…でも確かに飾られてた何て変だよね。何でディスクなんか…」

 

少なくともディスクは自然と生えてくる物じゃない。そしてディスクは洞窟内で役に立つ物でもない。つまり、ディスクは普通こんな所には無い筈の物…。

と、私が真面目に考えてる間にも三人の会話は続いていた。『あいちょ』だとか『ラブちゃん』だとか聞こえてきてどうも集中出来ない…。

だが、そんな私の思考と三人の会話はディスクが突如光りだした事で強制終了される事となった。

 

「な、何で光ってるの!?何かいじったの!?」

「わたしは何もしてないよ!?って言うかちょっとデジャヴ!?」

「あいちゃん、何が起こってるんですか!?」

「分からない…分からないわ!まさかディスクが光るなんて…!」

 

完全にテンパる私達。でも状況は私が落ち着くまで待ってくれる筈もなく…

 

『モンスター!?』

「そんな…ディスクから出てきたって言うの!?」

 

慌てて武器を構える私達。あまりにも唐突な敵襲だったけどさほど強くない事が不幸中の幸いだった。

数度の攻防の末、私の放った一撃がモンスターを斬り裂く。それはネプテューヌ達も同じらしく被害と言える被害が出る事もなく殲滅出来た。

 

「び、びっくりしたぁ…。まさかモンスターがディスクから生まれるなんてね。それならそうと早く言ってよ…」

「だね…てか、ディスクから生まれたの?ディスクがモンスター転送装置って可能性は?」

「いや、それをわたしに聞かれても…」

「そうね…モンスターの出処が判明してない以上何とも……」

 

急に口をつぐみ、思考を巡らせるアイエフ。私達は顔を見合わせた後、ネプテューヌが代表で質問する。

 

「あいちゃん、急に黙ってどうしたの?」

「…このディスクが原因だったのね」

「原因?」

「ええ、生み出してるのか転送してるのかはまだ分からないけど少なくともこのディスクからモンスターが出てきたのは事実よ。そしてディスクは目立つ程大きくないし…普通はディスクからモンスターが出てくるなんて思わない。だから急に増えたモンスターの出処が分からなかったのよ」

「これは大発見です!」

 

凄い…まさかこんな形で発見されるなんて…!

私達が棚からぼたもち…程都合良くはなかったので災い転じて福となす、かな?…の出来事に喜んでいる時、その声は響き渡った。

 

 

「ハーッハッハッハッハッハ!!!」

 

そう、この今時敵キャラでもロクに言わないであろう、いっそ逆に清々しい程のベタな高笑いが響き渡ったのだ。




今回からはパロディネタが導入されているので、今後毎回後書きで解説をしようと思います。

・「〜〜嘘だっ!」「ひぐらしネタは微妙に古いですよ会長」
これは勿論ひぐらしの鳴く頃に…ではなく、ひぐらしネタのパロディのパロディネタ。元作品は生徒会の一存 碧陽学園生徒会議事録1の『駄弁る生徒会』回。

・バスターソード
FFに登場する武器であり、クラウド(ザックス)の代名詞とも言える両手剣。作中でイリゼが使うのはあくまでバスタ『ド』ーソード。

・ゲルズゲー
機動戦士ガンダムSEED DESTINYに登場する連合軍の拠点防衛用試作型MA。この機体も門番っぽい運用をする為見た目含め門番蟲とちょっと似ている。

以上が今回の解説です。但し私が無意識に使っているパロディネタがあるかもしれません…指摘して下されば追記で解説します。

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