超次元ゲイムネプテューヌ Re;Birth1 Origins Alternative 作:シモツキ
--------一瞬の出来事だった。振るわれる槍。迸る電撃。そのたった一撃で私達は吹き飛ばされ……
「ちょ、これどういう事!?このおばさん序盤のボスなのに強過ぎるよ!?バランスブレイカーだよ!」
「序盤ではあり得ないダメージ数値だったですぅ」
…ネプテューヌとコンパが気の抜ける様なメタ発言をしていた。貴女達実は割と余裕あるでしょ…。
そんな二人を尻目に私は身体を起こしながらこうなるまでの経緯を思い出す…。
「誰!?この時代遅れの笑い声は!」
突然響き渡った笑い声にちょっと失礼な評価をしつつネプテューヌが反応する。そのネプテューヌの言葉に対し、
「時代遅れは余計だ!…だが、人をおちょくる意地の悪さも相変わらずの様だな」
魔女の様な風貌の女性が反応しつつ現れる。体型は豊かで服装もある種妖艶とも言える物だけど…残念な事に総評では『ケバい』と言われそうな彼女には皆も似た様な感想を持ったらしく、何か関連のありそうなネプテューヌに問いを投げかける。
「もしかして、ねぷねぷの知り合いです?」
「まっさかー、流石のわたしでもこんな悪趣味なメイクのおばさんと知り合いな訳ないってー」
「それは良かったです。ちょっとだけねぷねぷの人付き合いを疑っちゃったです」
「そうね、いくらねぷ子とは言えあんな人と知り合いだったら私でもドン引きだわ」
「み、皆本人の前で言いたい放題だね…気持ちは分かるけど…」
「でしょ?そんな訳でおばさん誰?」
問いかけではなく最早例の女性への煽りだった。私も窘めたつもりが煽りに乗ってしまってた気がする。
「き、貴様等…私を好き勝手言いおって!四人まとめて葬ってやる!」
「あーあ。ねぷ子が余計な事言うから怒っちゃったじゃないの」
「わたしのせいなの!?」
…そして、今に至る。
「くっ…どうやら人は見かけによらないみたいね…」
「だね…って言うか、外見の時点で強者っぽかった気が…ネプテューヌが怒らせたせいでこうなるなんて…」
「だからわたしのせいじゃないよね!?皆も同罪だと思うんだけど!?」
「ふん、雑魚共が…今更何を言ったところでそれは負け犬の遠吠えにしか過ぎんわ」
見下すかの様な言葉を放つ謎の女性。悔しいけど言い返せない…。
「…だが、やはりガーディアンを倒し鍵の欠片を奪ったのは貴様だったか。返して貰うぞネプテューヌ」
「鍵の欠片…?」
聞き覚えのない単語に戸惑う私だったが、即座にネプテューヌが教えてくれようとする。
「あ、えっとそれはわたし達が探してる物でこの…」
「ふんっ!」
「なっ!?」
「わっ!?ど、どろぼー!それはわたしとこんぱが頑張って手に入れたんだぞー!返せー!」
「黙れ!」
奪われる鍵の欠片、ネプテューヌは抵抗するも力及ばず返り討ちにされてしまう。
「ねぷねぷ!」
「ねぷ子!」
「貴女…よくもネプテューヌを!そもそも一体全体何者で何なんですか!」
コンパとアイエフが駆け寄り、私が前に出る。
理不尽な暴力と横暴な態度。前者は私達にも非があるけど…少なくともここまでする必要は無い筈。にも関わらず暴力を振るった女性に沸々と怒りの感情が沸き上がる。
「どけ、貴様になぞ用はない」
「貴女に無くても私にはあります!このまま続けるつもりなら…私が相手になる!」
「…相手になる?ふっ、笑わせてくれるじゃないか……図に乗るなよ小娘がッ!」
「……ッ!?きゃあぁぁぁぁっ!」
一瞬で距離を詰める女性。辛うじてバスタードソードを掲げるも槍の一撃で防御を崩され、回し蹴りで吹き飛ばされる。
『……!イリゼっ!』
「…み…んな……」
壁に打ち付けられ、身体に激痛が走る。
全身が痛い。身体の反応が鈍い。地面に崩れ落ちながら私は……恐怖を、感じていた…。
イリゼが蹴られ、壁に打ち付けられる。それを見たわたしは反射的に跳ね起きた。
「ねぷ子、大丈夫なの…?」
「うん、それより二人はイリゼをお願い」
二人は顔を見合わせた後、すぐにイリゼの方に向かってくれる。それを見たわたしはおばさんの前に立つ。
「あの小娘の次はお前かネプテューヌ…反吐が出るようなお仲間ごっこだな」
「別におばさんに共感して貰いたくてしてる訳じゃないから良いもん、それよりおばさん…わたしはたいていの事は笑って見過ごすよ、でも…」
「でも何だというんだ?」
「どんな理由があっても…わたしは友達を傷付ける奴は許さない!」
自分の中で力の奔流を感じるのと同時に突進。そしてわたしの刀がおばさんの元に届く頃にはわたしは変身を遂げ、おばさんと斬り結んでいた。
「ちっ…はなから貴様に許してもらおうなんて思ってはいない!」
「なら尚更貴女を許す事はしないわ!」
横薙ぎ、刺突、逆袈裟。わたしの放つ攻撃は次々といなされるも、少なくともさっきと違って一方的にやられる様な事はない。まともな戦闘が出来るのなら…可能性はある!
「少しはやるな、最初からその姿でくれば小娘は無駄に傷付かず済んだものを…」
「貴女が一方的に攻撃してきたんでしょうが…!」
「貴様等も好き勝手言っていただろうが!…まあ、遅かれ早かれ攻撃はしていたがな」
そう言っておばさんは電撃を放ち、わたしはそれを回避する。電撃そのものを避けるのは容易だったけど…距離をあけられたわね…。
「回避の為に距離をあけたのは失策だなネプテューヌ。私は正々堂々戦う程甘くはない…必要なら人質も取るしその為に邪魔な相手がいれば殺すだけだ!」
そう言って横へ跳ぶおばさん。その先には……コンパとアイエフに介抱されているイリゼの姿。
「しまっ……!?」
即座に地を蹴り追いかけるも一瞬の遅れが絶望的な程の差を生み出し、現実という形でわたしに襲いかかってくる。
諦めるつもりは無い、だが現実は変わらない。そしてわたしが声をあげる前におばさんの槍は放たれ……
「ぐぁ……ッ!?」
放った槍ごとおばさんが弾き返される。
本来ならば槍は皆を貫き、その場に立っているのはおばさんだった筈。その現実が否定され、あり得ない事実が生み出された中心には、
「言った筈、相手をするのは…私だって」
水晶の様な翼と十字架の様な形状を持つ剣…そしてわたしとどこか似た雰囲気を持つ女性が立っていた。
ネプテューヌが変身するのを見た時、私の身体に何かが走るのを感じた。
ネプテューヌの変身した姿を見た時、私はそれを『知っている』と思った。
そしてネプテューヌを手助けする為に、襲いかかる敵から自分を介抱してくれているコンパとアイエフを助ける為には力が必要だと思った時…私は私自身今の今まで知らなかった私の力を解き放っていた。
「…もしかして…貴女、イリゼ…?」
ネプテューヌが驚いた様子で私を見る。多分コンパとアイエフも同じ様な顔をしてる筈。でもそれに答えるより先にすべき事がある。
「くっ…何だ!何なんだ貴様は!」
「私?私はイリゼ…貴女の敵よ!」
地を蹴り一気に接近、上段からの一撃を放つ。それに対し女性は槍の柄で防御するも…
「貰ったッ!」
状況を理解し側面から追撃を行ったネプテューヌへの対応が遅れ吹き飛ばされる。
「…ナイスタイミング」
「いつまでも驚いてる程わたしもアホじゃないわ、それより…まだ終わりじゃなさそうよ」
構え直し、鋭い視線を向けるネプテューヌ。その先にはさしてダメージを負った様子のない女性の姿。強さもだけど見た目からは思えないタフさに軽く辟易する。
「忌々しい…!何故貴様等は私の計画をこうも狂わせるのだ…!」
「貴女の因果応報よ」
「邪魔されたくないなら他所でやれば良いと思うけど?」
相手の言葉を一蹴し、攻撃を再開する私とネプテューヌ。二振りの長剣による連携攻撃で責め立てるも次第に状況が悪くなっていっている事に気付く。
私達が疲労している?否、私達も向こうもまだ余裕はある…だとすれば先程と変わっている点は一つ。
「…随分と派手な余興だったが、所詮は茶番だな」
そう、相手が動揺から持ち直した事。精神の状態がパフォーマンスに影響するとはまさにこの事だった。
「くっ……!」
「この…っ!」
力任せではない、技としての形を持った攻撃。的確なタイミングで放たれる魔法。それらが段々と精度を取り戻してきた事により私達は拮抗、或いは劣勢へと移っていく。
(……このままじゃジリ貧になり兼ねない…)
「隙ありだッ!」
私が思考に集中力を割いたその瞬間に女性は衝撃波を放つ。だが、衝撃波は私達を逸れて真上へ向かう。
好機…!そう私が思ったのもつかの間、次の瞬間には天井の一部が崩落してくる。
「……!?分断された…!?ネプテューヌ!」
「大丈夫よ!でも…ッ!」
落下した天井の一部が隔てた向こうからネプテューヌの切羽詰まった返答が聞こえる。女性はこの状況を作り上げる為にわざと衝撃波を上へ飛ばしたのだった。
障害物となっている瓦礫に一撃を与える。だが瓦礫は崩れるばかりで状況は好転しない。それに痺れを切らした私は強行突破を諦め、瓦礫を大きく迂回し皆の元へ。そして、私がそこで見たものは…
「えぇいです!ちょこまかと逃げ回りおってです!」
「敵の攻撃を無意味に受ける馬鹿がどこにいるってのよ!」
…明らかに口調…というか語尾の変化した女性とその女性の攻撃をちょこまか避け続けるネプテューヌだった。その軽く意味不明な状況に私は呆然とする。
「…どういう事?」
「…あ、イリゼ…!無事だった?」
「うん、で…この状況は一体…?」
「あいつはどういう原理か知らないけどコピー能力があるのよ。それでねぷ子の力をコピーしようとしたけどコンパが割って入った…後は分かるかしら?」
「勿論、で今はもう一度コピーを狙ってると…」
ネプテューヌの力をコピーする筈がコンパの力をコピーしてしまい、結果あの語尾になったと…。
「皆!今のあいつはコンパの力をコピーしたらせいでパワーダウンしてるわ、今がチャンスよ!」
「ち、バレたかですぅ!」
「そうと分かれば…」
「こっちのもの!」
私と踵を返したネプテューヌによる挟撃。先程までであれば対処されたであろうその攻撃も今の女性には捌ききれず大きく体勢を崩す。
「ぐっ…この…!」
「私達もいるのよ!」
「忘れないで欲しいです!」
槍をついて体勢を立て直そうとした瞬間にコンパとアイエフが追撃。この攻撃には対応すら出来ず手に持った鍵の欠片を手放してしまう。
「鍵の欠片は返してもらうわ」
「な…!?…おのれネプテューヌ…!」
女性よりも早く鍵の欠片を手にするネプテューヌ。これで完全に形成逆転となった。
「まだやる気なら相手になるけど、どうする?」
「少し優勢になっただけで調子に乗るな!」
「…それよりも一つ聞かせて頂戴。貴女はわたしを知っているの?」
「あぁ、知っているさ!貴様は知らなくとも、私は貴様をよーく知っているよ」
その言葉にネプテューヌは…私と同じ、記憶喪失の少女は反応する。
「なら、教えて。わたしが誰なのかを…」
「何を訳の分からない事を言っている。さては頭でもぶつけたか!」
「違うです!ねぷねぷは記憶喪失何です!だからお願いです、知っていたら教えて欲しいです!」
「記憶喪失?…クク…ハーッハッハッハ!まさか貴様が記憶喪失になっていたとはな…ならばまだ運命は私の味方の様だ!鍵の欠片は暫く預けておいてやろう、さらばだ!」
「待って!」
「私の名はマジェコンヌ!いつか貴様等を消す者の名を覚えておくが良い!ハーッハッハッハッハ!」
再び高笑いをした後、光と共に姿を消す女性。一瞬反撃に出るのかと思ったけど実際は逃げた様だった。
「…あのおばさん何者なの?ねぷ子を狙ってたみたいだけど…」
「分からないわ…こんな時こそいーすんと話せたら…」
「ねぷねぷ…」
「…いーすん?」
またも知らない単語が出てくる。文脈からして人だとは思うけど…。
「あ…イリゼちゃんはいーすんさんを知らなかったですね」
「待って、今はそれよりこれが先よ」
そう言ってアイエフは先程モンスターの出てきたディスクを見せる。
「確かにそれは何とかする必要があるね。…でも、どうやって?」
「取り敢えず…えい」
アイエフがディスクを割る。単純明快な手段だけどディスクがそれ以降光らなくなった事からして成功みたいだった。
「さて、と…じゃあ一旦ここを出ない?かなり疲れたし…色々確かめたい事もあるからね」
「そうね…ふぅ、疲れた〜」
そう言って変身を解くネプテューヌ。安堵の表情を浮かべているコンパとアイエフ。そんな三人の顔を見ながら私は……真横に倒れた。ばったーんと倒れてしまった。
「わぁぁ!い、イリゼちゃん!?」
「うぅ…何だか力が出ない……」
「うわ、イリゼが水や泥をかけられた某アンパンヒーローばりにへなへなになっちゃったよ…」
その後、再び皆に運ばれてダンジョンを出る私。初のクエスト&ダンジョン探索はあまりにも情けない形で幕を閉じたのだった…うぅぅ、恥ずかしい……。
本日のパロディ解説
・「〜〜わたしはたいていの事は笑って見過ごすよ、でも…」「どんな理由があっても…わたしは友達を傷付ける奴は許さない!」
ONE PIECEの第一話でのシャンクスの台詞。正確には『わたしはたいていの事は』の前にも台詞がありますが今回は省略させて頂いてます。
・某アンパンヒーロー
皆さんご存知それいけ!アンパンマンの主人公の事。当然ながらへなへなになっていた事を指してるのでありイリゼが似ている訳ではありません。