超次元ゲイムネプテューヌ Re;Birth1 Origins Alternative   作:シモツキ

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第八十五話 次なる戦いに向けて

汚染モンスター討伐は順調に進んだ。通常よりも凶暴で凶悪な汚染モンスターは確かに捨て置けない存在ではあるものの、こと私達にかけてはむしろ好都合な状態でもあったのだ。

具体的に述べるとすれば、第一に汚染モンスターは心身共に異常な状態である為か、どこかに隠れる事や本格的な根城を作る事をしない。つまり、草木をかき分けての捜索をする必要が殆どなく、もっと言えば目撃報告のあった郊外やダンジョンを歩き回ればまず遭遇可能であるという事を意味していた。第二に、汚染モンスターは通常より強いと言っても別次元レベルの強さになる訳ではない。ざっくり言えばRPGにおける普通の雑魚モンスターがやや強い雑魚モンスターになった位の差しかない為に、油断しなければ安定して討伐出来るという事を意味していた。

以上の点から言っても汚染モンスターは前にネプテューヌ達が担当した偽女神討伐より数段楽であり、各国で問題が発生する事もなく討伐を進めていた。そして、そんな日々が一週間程続いたある日、

 

「では皆さん、それぞれ途中報告をお願いしますm(_ _)m」

「はいはーい。プラネテューヌは順調だよ、ネプギアもチュートリアル戦闘っぽいのを完遂出来たしね」

「ラステイションも順調よ、ユニも教えを吸収して成長してるし良い機会だわ」

「右に同じくルウィーも順調よ。それに、ロムとラムの才能を早期に発見する事が出来てありがたいわ」

「三者同様リーンボックスも順調ですわ、まぁ…わたくしは妹の事で報告など出来ませんのだけどね……」

 

私達は、ルウィー教会にて汚染モンスター討伐の状況報告会を行なっていた。報告を聞く限り、どの国も汚染モンスターの数を減らせている様なので、それぞれに私達は安堵をする。…因みに、今回ルウィー教会を会場にしたのは、

・プラネテューヌ教会…半壊を受けて現在工事中

・ラステイション教会…地味に何度か集まった覚えがある

・ルウィー教会…パーティーで集まったのは大分前

・リーンボックス教会…前回の集会場

…という理由かららしい。正直私としてはどこでも良い(絶賛工事中のプラネテューヌ教会は別)様な気がしたけど、こういうちょっとした事でも気を付ける事が長期的に仲良くする為に重要、だとか作者が○○贔屓、○○アンチという妙な噂を立てられない様にどの国も出来るだけ均等にした方が良い、だとか色々と意見が出てきたので、それに従って今に至っていたりする。

 

「では各国増援や会議は必要なし、という事ですね?( ̄^ ̄)」

「少なくとも現段階ではそうなるわ」

「はい。それでは次ですが…イリゼさんはどうですか?(・・?)」

「イリゼちゃんは確か、単独で特殊な汚染モンスターの対応をしてたんだよね?」

「うん、所謂遊撃担当ってやつかな?報告としては……ネプテューヌ達と同じく特に問題無しです」

 

イストワールさんの言葉と鉄拳ちゃんの質問に同時に答える私。私は報告を受けつつも基本的に自ら探しに動く各国担当とは違い、各国担当及び一般人やギルドから報告のあった、汚染状態なのかどうか微妙なモンスターや普通の汚染モンスターとは違う行動を取る例外的な汚染モンスターの調査と討伐を行なっていた。この役目に私が抜擢されたのは女神故に高い戦闘能力と広範囲への展開能力があって、且つネプテューヌ達と違って国を持たない分立場的にも精神的にも動き易いから、というものだった。…まぁ、ぶっちゃけマジェコンヌとユニミテス相手に時間稼ぎした時と似た様な理由だね。

 

「大変じゃなかった?単純に考えたら担当範囲が私達の四倍以上よね?」

「いや、そんなに大変じゃなかったよ?確かに担当範囲は広いけど、案外報告が少なくて一日一度あったかどうかレベルだったもん」

「え、じゃあ楽だったの?」

「んー…楽だったか苦労したかと言われたら…楽だった、かな?」

 

楽だった、と言う返答を聞いて羨ましさと不満感とが同棲してる感じの表情を浮かべるネプテューヌ、私はそれに苦笑を返す。厳密に言うと少々大変…というか焦る出来事もあったし各国を飛び回る関係上地味に疲れたりもしたんだけど…まぁ、これはわざわざ言う必要もないし総合的に見れば楽だったのは事実だからね。

 

「じゃあ、討伐の方は全体的に問題ないって事ね。…ねぷ子に同行した結果、討伐よりねぷ子の姉としての言動には多数の問題が発見されたけど…」

「あれはネプギアに変な気負いや緊張を与えない為の演技だもーん」

「その場合ねぷ子は常にその演技をしてるって事になるんだけど…」

「ネプテューヌさん個人の問題はともかく、討伐が上手くいっている様で安心しました。次は、わたしからの報告ですね

(・ω・)」

 

そう言って佇まいを正すイストワールさんに私達の視線が集まる。イストワールさんからの報告と言えば思い当たるのは一つしかない。『マジェコンヌの行方の捜索』それがイストワールさんの行なっていた事だった。

皆が注目する中、イストワールさんはこほん、と述べ始める。

 

「えー…結果から言えば、まだマジェコンヌの行方は分かっていません(ー ー;)」

「…つまり、報告出来る事は無いって事ですの?」

「いえ、そうではありません。詳しく説明すると、わたしはこの次元のほぼ全域を探し、その結果見つける事は出来ませんでした。しかし、ほぼ全域には居なかったという事実から、消去法で可能性は発見しましたd( ̄  ̄)」

「…可能性、です?」

「えぇ、マジェコンヌがいるとすればそれは…天界、或いは別次元です( ・∇・)」

 

イストワールさんが示した二つの可能性。それを聞いた私は瞬時に、「あれ?不味いんじゃない?」と思った。そこで周りを見渡すと、皆も同じ事を考えていたのか似た様な表情を浮かべていたので、アイコンタクトの後私がその不安を口にする。

 

「…別次元って…それはもう捜索困難では…?」

「そうですね、しかし別次元というのははっきり言ってかなり確率が低いんです

(。-_-。)」

「え、そうなんですか?」

「まず前提として、次元なんてそうそう超えられるものじゃありませんからね。皆さんの中で今すぐ次元を超えられる、という方はいますか?( ˘ω˘ )」

 

その問いかけに対し、無理だと返す者や口を閉ざす者、首を横に振る者等反応はまちまちだったけど、回答としては全員『NO』だった。それを確認したイストワールさんは言葉を続ける。

 

「ですよね。別次元組の皆さんですら無理だというのですから、幾らマジェコンヌとはいえそう簡単に超えられる訳がないんです。それに、あのマジェコンヌがわたし達の手出し出来ない場所に逃げるなんて事すると思います?( ̄▽ ̄;)」

「それは…ないだろうねぇ。だって地味にノリ良くて大物なのか小物なのかよく分かんないのがマジェ座衛門だし」

「と、いう訳で別次元というのはまあまずないと言って差し支えありません。なのでその線も消えるので…」

「残った天界が有力、って事ね」

 

イストワールさんの言葉を引き継ぐ形で締めの部分を言うノワール。当然話の内容も天界についてのものへとシフトする。

 

「天界かぁ…ネプちゃん、天界ってどんな所なの?」

「んっとねー…あ、ごめんわたし天界の事覚えてないや」

「そうだった…こっちこそごめんね」

「天界の説明ならわたし達がするわ」

「と、言っても説明する程何かある訳ではないのですけどね」

 

ベールの感想気味の言葉に同意する様に頷くノワールとブラン。そのまま三人は私達へ説明を始める。

天界はのどかな自然に溢れているものの、下界と比較すればただただ広いだけで面白味に欠けるという事。虹が実体を持っていたり岩が浮かんでいたりと物理法則が所々通じていないという事。外に出て見上げても天界の底が見えない様に、天界、下界という呼び名は便宜的なものであって、単純な上下関係になっている訳ではないという事。天界をまるで知らない私は勿論皆も天界を、一般的に想像する『天国』的なものだと思っていた為に、天界の真実は私達を少なからず驚かせた。

 

「…とまぁ説明はこんな感じね、何か分かり辛い所はあったかしら?」

「単純な上下関係じゃないって所以外は無いかな。位置関係については…次元の差的な感じ?所謂三次元と四次元みたいな」

「そこは正直わたくし達もよく分かりませんの。ですが恐らくその認識で良いのでは?わたくしとしては上の世界と下の世界、夢の世界と現実の世界の様に捉えた方が楽だと思いますけど」

「その捉え方はサブカルの予備知識が必要じゃないかなぁ…じゃあもう一つ質問。その天界にはどうやって行くの?」

 

と、私が問いかけると、それを既に考えていたらしい数名はうんうんと頷き、そこに気付いていなかったらしい数名はあー、と声を上げる。

もし下界と天界が物理的に繋がっているなら飛ぶなりなんなりで向かう事が出来るけど、そうでないなら何か特殊な手を使わなければならない。……フォールドディメンショナルレゾナンスシステムでも使うのかな?

 

「天界には女神の力と教会のシェアクリスタルを利用すれば行けるわ」

「感覚的なものだから、多分記憶喪失のネプテューヌでも使えるんじゃないかしら」

「へー、教会のシェアクリスタル無しじゃ行けないの?」

「教会のシェアクリスタルは転移の座標固定と補助を行うだけなので原理上は出来ると思いますよ。その場合難易度が物凄く上がって消費もかなり増えると思いますが

( ̄ー ̄)」

「あ、じゃあ教会のシェアクリスタル使おっと」

「では、天界へと向かう日程ですが……

(´・ω・`)」

 

当然ながらじゃあ今すぐ行こう、となる訳はなく、現段階での汚染モンスターの討伐率や通常業務との兼ね合いも考えて全員で話し合う私達。勿論マジェコンヌが何をするか分からない以上早めに動く方が良いんだけど…皆、特に女神はそうはいかない。……私は汚染モンスターは受動的に行う形だったし通常業務もないから今すぐ以外ならいつでも大丈夫なんだけどね。

そして話し合いの結果、天界への突入は十日後となる。

 

「報告も決める事も済みましたし、今回はこの辺でお開きとしましょうか。わたしはすぐ戻りますが…ネプテューヌさんはどうしますか?(・・?)」

「わたしはまだここにいるよ、ネプギア達もまだ帰って来てないからね」

 

今回の話に妹四人はそこまで必要ではないという事と、ネプギアとユニにとっては初めてのルウィーという事で、フィナンシェさんに連れられる形で四人はルウィー探索に行っていた。…妹四人は姉四人に比べてまだ仲良くはなれてないっぽかったけど…大丈夫かなぁ……。

……っと、そうだ。

 

「イストワールさん、帰る前にちょっと良いですか?時間がないのであれば後日でいいですけど…」

「それは構いませんよ?何かあったんですか?( ̄∇ ̄)」

「まぁ…そうですね」

 

そう言うとイストワールさんはちょいちょいと手招きしつつ先に部屋を出る。それに私が着いていこうとすると、ネプテューヌ達はいってらっしゃーいみたいな雰囲気のまま部屋の中に留まる。……本当にありがたいよね、こういうのは。

そしてそのまま私とイストワールさんは近くの空き部屋へと入る。

 

「…さて、何があったんですか?(・ω・)」

「えぇと、ですね…これはどこから話したらいいかな…」

 

そう言って私は話し始める。私が汚染モンスター討伐の最中に起こった、想定外の出来事を……。

 

 

 

 

「はぁぁぁぁぁぁッ!」

 

私を喰らわんとする牙をすり抜け、すれ違いざまに一太刀浴びせる私。その一撃は深々と相手の胴を斬り裂くも、敵はまだ倒れる様子を見せない。

 

「もしかしたらとは思っていたけど…まさかノンアクティブモンスターが汚染化するとはね…」

 

跳んで汚染モンスター『汚染エレメントドラゴン』から距離を取る私。積極的に動き回り獲物や敵を襲う、通常のモンスターと違い、大型である場合が多く、自身のテリトリーから積極的に出る事こそ少ないものの通常のモンスターとは比べ物にならない程の力を誇る、『ノンアクティブモンスター』。これまでノンアクティブモンスターが汚染化したという話はほぼ無かったらしく、私としてもノンアクティブモンスターが輪をかけて厄介になるのは御免なので誤報である事を願いながら向かったんだけど…実際には正しい情報だった。

 

「……っと…!」

 

雄叫びを上げながら跳躍し、巨木の様な腕の先の爪で私へ斬りかかってくる汚染エレメントドラゴン。それを私はバックステップで回避しつつ腕へ反撃をかけるも、汚染エレメントドラゴンは翼をはためかせる事で身体を起こし、紙一重で私の攻撃を回避する。

汚染モンスターは簡単に言えば暴走状態だけど、その凶暴さの中には呼び起こされた本能も混じっているのか反応速度や生存本能は元と同じかそれ以上になっている。これが通常モンスターならそこまで気にならない程度のものだけど…元が厄介なノンアクティブモンスターなら別。はっきり言って力押しでは倒しきれないレベルとなっていた。

 

「これならもう一人か二人居た方が助かったかな…!」

 

次の攻撃に移ろうとする汚染エレメントドラゴンの腹部に軽く刺突をかけ、更にそこから斬り上げる事で追撃。その勢いのまま後退する事で攻撃範囲から逃れて長刀を構え直す。

確かに、ノンアクティブモンスターの汚染化はかなり厄介だけど、勝機が全くない訳ではない。私もそれなりに戦闘を重ねてきたし、色々な敵と戦ってきた。そして何より、つい最近戦ったユニミテスは目の前の汚染エレメントドラゴンよりもよっぽど強かった。無論単純比較は出来ないけど…今の私には、余裕も勝つ為の算段もあった。

 

「出来れば最小限の消費で勝ちたかったんだけど…ねッ!」

 

汚染エレメントドラゴンと数度の攻防の末、飛翔する事で十数メートル程離れる私。単純なスピードでは私に敵わないと既に分かっている汚染エレメントドラゴンは僅かに仰け反り、必殺の火炎ブレスを放とうとする。その瞬間が…私の狙い目だった。

 

「まず…一撃ッ!」

 

一気に下降し、それと同時に汚染エレメントドラゴンの胸部へ飛び蹴りを叩き込む私。無防備な所への飛び蹴りは汚染エレメントドラゴンを呻かせる事に成功、汚染エレメントドラゴンは反射的に右腕で私を跳ね飛ばそうとする。……けど、それも私は想定済み。長刀の背(私の長刀は両刃だからあくまでこの瞬間においての)に沿わせる形で圧縮したシェアを展開、それを爆発させる事で長刀にブーストをかける。そうして放った一撃は汚染エレメントドラゴンの腕を弾き返し、その瞬間に私がバスタードソードを精製し片手で腕へと突き刺す事で汚染エレメントドラゴンの動きを止める。

 

「これで--------沈めるッ!」

 

息つく間を与えず私は飛翔。空中でバク宙をかけて勢いをつけると同時に今度は翼へシェアブーストをかけ一瞬で肉薄する。

既に長刀は振り上げており、汚染エレメントドラゴンの頭部は目の前にある。戦いの度に感じる高揚感に頬を緩ませながら私は長刀を振り抜き……

 

「--------え…?」

 

着地する私。私の持つ剣は一直線に汚染エレメントドラゴンの頭を両断し、汚染エレメントドラゴンは断末魔の様な声を上げながら倒れ、そのまま消滅した。間違いなく私の勝利であり、討伐完了でもある。ただ一つ、おかしな点があったとすれば…それは、私の目の前の振り抜かれた剣が--------女神化した時の長刀ではなく、普段使っているバスタードソードになっていた事だった。

 

 

 

 

「……で、変に思って自分の身体を見てみたら…いつの間にか、女神化が解けていたんです」

 

と、締めくくる私。それを聞いていたイストワールさんは途中から目を閉じ、私が説明を終えるとそれに反応する様にゆっくりと目を開いた。

 

「…今の説明、何か間違えていたりはしませんか?( ̄  ̄)」

「はい、無いです。…何か、分かりましたか…?」

「そう、ですね…はい。思い当たるものが、一つあります」

 

こくり、と私の質問に頷くイストワールさん。イストワールさんは基本ボケたりしない人だし私の真剣さが伝わってる様なので、私は黙って次の言葉を待つ。

 

「……結論から言いますね。イリゼさん、あくまで恐らくですが…貴女は今、イリゼ様の残したシェアエナジーを上手く引き出せない状態になっています」

「上手く…引き出せない、状態……?」

 

その言葉に、私はごくりと唾を飲み込む。前にも一度、この様にイストワールさんと話した事があった。その時私はかつてないショックを受けたし、あの時の会話は今も私の脳裏に焼き付いているから、それを思い出して私は背中に嫌な汗をかく。

 

「まず、イリゼさんの使うシェアはイリゼ様が残したものなんです。詳しい事は知りませんが、イリゼさんが未来で問題なく動ける様多量のシェアを残し、その時々で適切な量のシェアがイリゼさんに流れる様な仕組みを作っていたとわたしは記録しています」

「多量のシェアを?…私は今までシェアが有り余ってる様に感じた事は無かったんですけどそれは…」

「それはおかしくありませんよ。だから適切な量、なんです。…ですが、イリゼさんの真価を発揮する為にはそれだけでは些か足りませんよね?武装精製も、爆発によるブーストも消費が激しいんですから」

「…そうです。だからそれを知ったネプテューヌ達が私にシェアクリスタルをくれて……もしかして、これが何か関係してるんですか?」

「その通りです。これも恐らくですが、イリゼ様は消費の激しいスタイルを使う程の敵は現れない、現れても多少使うだけで済むだろうと予測したのだと思います。しかし実際にはその予測は外れ、多量のシェア消費を賄う為にイリゼさんが使ったのは…イリゼ様が用意したもの以外の、シェアエナジーです」

 

自分の事ながら理解に若干の時間を要する私。……多少知ったつもりだったけど、まだ私は自分の事よく分かってなかったんだ…。

 

「……ネプテューヌ達のシェアは、私に取って有害だった…って事ですか…?」

「有害とまでは言いませんが…異物であったのは事実ですね。異物が大量に入ってしまった結果、イリゼ様が用意した本来のシェア配給システムに異常が発生した…という事だと思います」

「…そういう、事ですか……あの、その上で更に質問があります」

「…………」

「……私は、これからも女神化を…この力でもって、皆と戦えますか?」

 

あの後不審に思った私は女神化を試みた結果、問題なく出来たし違和感もなかった。…けど、異常が発生しているのならその影響が全くないなんてそんな事があるとは思えない。ひょっとしたら、私は……

 

「…戦えますよ。長時間戦闘や、瞬間的に多量のシェアを消費した場合はその時の様に女神化が解けてしまう可能性がありますが…何度もそんな事が起きない限りは、戦えなくなるなんて事はありません」

 

私の不安を感じ取ったのか、単に不安が顔に出ていたのか…とにかく私の不安を理解してくれていたイストワールさんは、私を安心させる様な優しい声音で言葉を返してくれる。その言葉に、私は……心から安堵していた。

 

「…良かった……」

「…安心、出来ましたか?」

「はい。まだ、私は皆と戦いたい…皆の力になりたいんです」

「別に戦うだけが皆さんの力になる事だとは思いませんよ?自画自賛になってしまいますが、現にわたしは戦闘以外で力となっている訳ですし( ̄▽ ̄;)」

「分かってます。……でも、私も『女神』ですから」

 

そう返すとイストワールさんは微笑みを浮かべ、また何かあったらその時は力になると言ってくれた。それが私とイストワールさんの創造主である原初の女神への敬意からなのか、私との友情からなのかは分からないけど、その言葉は本当に心強かった。

無理を、無茶を続ければ女神化出来なくなるかもしれない。私はこの力を大事に思ってるし、はっきり言えば失うのは恐ろしい。……けど、必要に迫られたら例え次女神化したらもう出来なくなるとしても、きっと私は女神化すると思うし、その時は怖じけずに女神化したいと思う。だって、女神化は…もう一人の私がくれたこの力は……私の大事なもの、無くしたくないものを守る為の力だから。




今回のパロディ解説

・上の世界と下の世界
ドラゴンクエストⅢの舞台となる、二つの世界の事。この場合は一応物理的に繋がってますが…塞がり方やその後の物語を見るに、単純な上下関係ではなさそうですね。

・夢の世界と現実の世界
ドラゴンクエストⅥの舞台となる、二つの世界の事。こちらは二つの世界の設定がかなり複雑な上、そもそも繋がっているという表現自体適切かどうか微妙ですね。

・フォールドディメンショナルレゾナンスシステム
マクロスシリーズに登場する特殊システムの事。これは次元は次元でも次元『断続』突破の為のシステムなので、仮にこれがあっても天界へ行けるかどうかは怪しいです。

一月二日、活動報告を更新(?)しました。気が向いた方は読んで頂けるとありがたいです。

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